ハンス・ロット/交響曲第1番
ハンス・ロット/交響曲第1番 他
ミュンヘン放送管弦楽団
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
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← これはこないだ、母の日で実家に帰ったときに持ち帰った本。
なつかすい。
自分が買ったマーラーの伝記の二冊目である。小学6年生の時に買った一冊目のマイケル・ケネディ著のはあんまり一生懸命読みすぎてバラバラに分解したので捨ててしまったものと思われる。今考えるととっても勿体ない。今あったら読みたいなあ。
で、このヴィニャル著のも結構ぼろぼろ。手あかだらけで懸命に読んだあとがある。これは中学生の時に買ったのかな。その次にアルマ・マーラーの著による分厚い本を読んだはずである。
そんな私と同じようなマーラー・フリーク(だった?)の人々には「ハンス・ロット」という名前はとっても近しい、懐かしい名前である(あろう)。伝記には絶対(はじめの方に)出てくるからである。
今、ロットの交響曲のCDが日本語解説付きで自分の手の中にあるのを見ると、しみじみと時代が変わったなあ、と思う。こんなの聴けると子供の頃には思わなかったのである。(まあ、何年か前からこの曲の録音はあるんだけども)5種類くらいの演奏が現在出ている。日本初演も沼尻さんの指揮により2004年にされたようだ(聴いてないけど)。
まあ、この曲についてはこのCDを買ってもらえばかなり詳細な解説書がついているので(これが一番ビックリ)読んでいただければいいのであるが、ハンス・ロットはマーラーのウィーン音楽院時代のご学友であり、親友である。ロットは不幸な生い立ちのため(不倫の子であり、両親がちゃんと結婚したあとも相次いで先立たれた)、学生時代すごい貧乏であった。その上、当時の音楽院でのブルックナー対ブラームスの激しい対立に巻き込まれた。ワーグナー派でありブルックナーのオルガンの弟子だったロット君はブラームスの激しい批判にあい、気が狂ってしまう。列車移動中に発狂し精神病院に入れられ、入院中に結核になって25歳で死んでしまうのである。
・・・と まあ、ロットはそんな可愛そうな人なのであるが、ここで聴ける交響曲第1番は若者の作品らしくとっても爽やか。青春の匂いがぷんぷんとして胸が痛くなるほど。第1楽章は「映画・エデンの東の音楽をマーラーっぽくしてみました」みたいな感じである。まあ、もちろんロットのほうが先に作ったんだけどさ。
しかし、特筆すべきは第3楽章である。もうコレ大好きである。聴いてて踊っちゃうくらいね。マーラーの交響曲のスケルツォ楽章に激似なのである。「巨人」が大好きな人ならもう楽しくってしょうがないと思う。無論、ロットが真似たのではなく、マーラーがパクったのである(作曲年代はマーラーの1番が10年後くらい?)。実は私はこの曲をGW中ヒマつぶしにYouTubeで聴いて凄く好きになっちゃったので、CD買いに行ったのだ。
・・・で、前記のようにこのCD、国内盤解説書付き(凄い詳しい)で、たったの千円である。録音もかなりいいし、演奏も思い入れたっぷりで好感が持てる(他の盤を聴いたことないんだけども)。マーラーかブルックナーが好きな人なら何らかの感想を持つと思う(好きか嫌いかは別にして)。私はもちろん大好きである。
なお、余白に入ってる管弦楽曲もそれぞれいいんだけど「ジュリアス・シーザー」なんちゃらという曲はたまーにワーグナーの楽劇(神々の黄昏?)のメロディがほのかに聴こえてきたりして楽しい(ロットは第1回バイロイト音楽祭に足を運んだ人である)。
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コメント
私もロットの交響曲、大好きです。
1楽章の序奏、そして終楽章のコーダで帰ってくる弦の分散和音に「指環」の波の動機を感じます。
投稿: フィディ | 2010年5月12日 (水曜日) 23時26分
>>フィディさん
ロットの交響曲、いいですよね。
終楽章の最後は確かにラインの黄金みたいです。ただ、対立したはずのブラームスの交響曲の第一番に聞こえる部分もありますね。
投稿: naoping | 2010年5月13日 (木曜日) 06時48分
こんにちは。
これはいい曲ですよねえ。
マーラーもパクったというより
不幸な生涯を送った友人へのオマージュのつもりだったのかもしれません。
投稿: 木曽のあばら屋 | 2010年5月13日 (木曜日) 20時47分
>>木曽さん
そうですね。マーラー的にはパクッた気はないと思います。でも・・・マーラーの交響曲には色々とこの曲の断片が出ていますね。影響を受けまくったのでは。
投稿: naoping | 2010年5月13日 (木曜日) 21時03分
ハンス・ロットの交響曲、このCDも持っていますが、ここ3ヶ月ほどの間にネットラジオで立て続けに聴く機会がありました。この曲をわりと頻繁に取り上げているパパ・ヤルヴィの2007年のベルリン・フィルとのライブに、最近取り上げ始めたらしいパーヴォ・ヤルヴィのシンシナティ響とhr響とのライブ。指揮者のアプローチの違いによって魅力が増すあたり、なかなか奥の深い曲のようです。パーヴォには是非CD化して欲しいものです。
ちょうど6月5日にブルーメン・フィルが田園前奏曲の日本初演を行うようです。こちらも楽しみにしているところです。
投稿: 白夜 | 2010年5月14日 (金曜日) 00時51分
>>白夜さん
おお、この曲はやっぱり人気ものですね。でも私は残念ながら一度もネットラジオでは聴いてないです。ヨーロッパでは結構演奏機会多いのかもですね。日本でも演奏会で取り上げられるのなら行きたいなと思います。
そうそう、ブルーメン・フィルが「田園前奏曲」を演奏するのですね。日本ハンス・ロット協会のHPで知りました。というか何気に「協会」があるのが凄いですね。
http://homepage3.nifty.com/hans-rott/
投稿: naoping | 2010年5月14日 (金曜日) 20時36分