女殺薬地獄(おんなごろしくすりのじごく)
近松門左衛門/贋作
押尾屋学兵衛(おしおやまなべえ)は江戸でも評判の色男で、芝居と歌舞音曲に長けていた(たぶん)。だが美しい恋女房のお亜希とは子までなしたというのに、今や女郎のお香に入れあげており、放蕩の限りをつくしている。
<一幕目 六本木町長屋の場>
六本木の長屋。ここは表向きにはただの長屋だが実は腰巻問屋「桃屋」の女番頭お美佳が所有している売春宿である。自らの商売の陰でこの宿を使って、下働きの若い美女を将軍や大名などに斡旋したりして自分の問屋を切り盛りしていた。学兵衛はお美佳に気に入られており(キメ台詞 / 「学兵衛の顔は本当によくできてるねえ~」)、この長屋を好きに使っていいとまで言われていたので、愛人との逢瀬にいつも使っていた。
学兵衛はいつものように六本木の長屋でお香と逢瀬の約束をしていた。長屋での合図は「来たらすぐいる?」である。学兵衛は南蛮渡来の不思議な薬を二人で使いつつ愛を交わしていた。南蛮渡来の不思議な薬はたった一つでもかなり効くのに、お香は二つも三つも飲んでしまうので、急に苦しみだす。学兵衛は取り乱し体のあちこちをもんだり触ったりしてみるがどんどん容体は悪くなっていくので、友人を呼びに行く。友人がやってくる。だが、学兵衛は世間では有名な役者(たぶん)なのでこの件が世間に知れ渡ってはまずい。ということで、友人は学兵衛を逃がす。友人が医者を呼ぶまでには一刻半ばかり過ぎており、お香は息を引き取っていた。
<二幕目 蕎麦屋の場>
学兵衛は仕事仲間と落ち合い馴染みの蕎麦屋に行き、何食わぬ顔で蕎麦を食べている。が、悪事が露見し学兵衛は召し取られる。
学兵衛の女房のお亜希は事の次第を知り、三行半を突き付ける。
(つづく?)
<出演>
押尾屋学兵衛
押尾屋女房 お亜希
押尾屋息子 りあむ
女郎 お香
桃屋番頭 お美佳
若い者 与助
若い者 万吉
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この演目のイヤホンガイド解説は高木秀木です。
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