ベーム/ジークフリート
ワーグナー:楽劇「ジークフリート」
ジークフリート:ヴォルフガング・ヴィントガッセン
ミーメ:エルヴィン・ヴォールファールト
さすらい人:テオ・アダム
アルベリヒ:グスタフ・ナイトリンガー
ブリュンヒルデ:ビルギット・ニルソン
ファフナー:クルト・ベーメ
エルダ:ヴィエーラ・ソウクポヴァー
森の小鳥の声:エリカ・ケート
バイロイト祝祭管弦楽団
指揮:カール・ベーム
(1966年7月)
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今日は、買ってからずっと森の中にほうりっぱなしの「ジークフリート」を聴いてみた。ごめんジークフリート。放置プレイしすぎ。
(ミーメ役のヴォールファールトってずいぶん早く死んだんだねえ。カワイソス。聴いてて涙出てきた。)
で。
ベームのリングを今さら私が語るのもどうかと思うんで、今日は(も)昔話をしよう。
リングというと思いだす。
日本でリング全曲公演が初めて行われた年のこと。
私はワーグナーどころか普通にオペラというものを舞台で観たことがなかった。日本人の公演でさえもなかった。外人の知ってる歌手が大量にやってくる公演なんて、どうやって観に行くものかわからんかった。親に連れてってもらったり、券を買ってもらったりとかそんなことも貧乏なウチにはなかった。
でも、どうしても行きたかった。CDショップに貼ってあった、炎をバックにヴォータンが槍を振りかざしてるポスターが私をめらめらと燃え立たせた。
そんな凄いの一生見れるかどうかわかんないし(少なくとも・・・その時は思ったんだよ、えへ)。値段は高かったけど、もう貯金をはたいてでも行きたかった。せめて・・・ワルキューレだけでも。
どうしたらいいか、発売日がせまったある日、意を決してN○Sに電話してみた。私、かなりテンパってた。で、電話を取ったおねいさんによると。
・発売日に電話をつながるまでかけまくる。
・東京文化会館に朝から並ぶ。
ということで運がよければゲットできるということだった。言うまでもなく昔はネットなんてなかったから、本当に苦労したものじゃ。(←誰)
で、電話がつながる自信が全くなかった私は、上野の文化会館に自分ができる限りの早い時間に並びに行くことにした。一人で。餡パンと座布団を持って。
朝の5時くらい。始発バスに乗り、山手線に乗った。初めての経験だったしクラヲタの友達もいなかったからどんな感じなのか想像もつかなかった。そういえばそんな朝早く上野に行ったこともなかった。
駅に着いて信号を渡って、目の前の風景に唖然とした。
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何、この沢山の浮浪者。
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いつもは上野公園にいるはずの浮浪者の男の人たちが、毛布をかぶって沢山寝ているではないか。文化会館のまわりで。ずうずうしいわね。
この中で発売時刻までいなければならんのか。うら若き女の子の私が、知らないおっちゃんたちと・・・。
しかし、そのあとすぐ浮浪者の皆さんたちがむくむくと起きだしてきた。みんな銀ブチメガネをかけていたり、見なりは普通の会社員風だった。なんて理知的な浮浪者・・・じゃないわ。
ああああああ。みんな私と同じ穴のムジナだったのか。
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昔は、こんな感じじゃった(と思う)。私があとにも先にもこんなに列に並んだのってこの時だけ。で、午後2時頃にギリギリセーフで「ラインの黄金」と「ワルキューレ」を入手した。まあ席は後ろのほうだったけど、嬉しくて嬉しくて、前に並んでた知らないおじさんと(ヒマなのでずっと喋ってた)本当に飛び上って喜んだ。
今じゃそんなにしてまで行こうと思うオペラ公演などそう滅多にあるもんじゃない。まあ、今は泊りがけじゃなくてもネットで買えるけどさあ。
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コメント
今更でもいいから、このジークフリート、コメントしてください。この盤は、ベームの演奏の中で、2本の指が入るほど好きです。まあ、特にミーメが。
投稿: にけ | 2009年9月13日 (日曜日) 22時52分
>>にけさん
ええ、いい演奏ですよ。とくにヴォールファールトは早い死が惜しまれますね。ヴィントガッセンは少々疲れが見えますが、がんばってます。ニルソン、ソウクポヴァも立派です。ケートも可憐な声を聞かせています。
こんな感じで宜しいでしょうか。
投稿: naoping | 2009年9月13日 (日曜日) 23時09分