« ベルギー幻想美術館展 | トップページ | 季節はずれのブリダイコン »

2009年9月 5日 (土曜日)

飯守さんのワーグナー・ガラ・コンサートin Bunkamura

Pa0_0420_2 ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
楽劇「ワルキューレ」第3幕

キャスリン・フォスター(ブリュンヒルデ)
ラルフ・ルーカス(ヴォータン)
増田のり子(ジークリンデ)
渡海千津子、江口順子、津山恵、磯地美樹、橋本啓香、庄司祐美、金子美香、西館望(ワルキューレたち)

飯守泰次郎指揮/東京フィルハーモニー交響楽団
(Bunkamuraオーチャードホール)

そんなわけで。

創立ン年の文化村記念特別コンサート。オーチャードのこけら落としということでン年前にバイロイト音楽祭が建物以外まるごとやってきたという画期的な事件があったのですが、ほんとに昔は日本は景気良かったんだなあと、しみじみ。

今じゃ考えられないし。

外国のワーグナー歌手を二人呼んで、あとは日本人歌手、オケ、指揮者。まあ飯守さんは好きなのでいいんだけど。

ワーグナー歌手ったって、世界的にも今はずいぶん小粒になってしまった。例えば「これぞ、今を代表するワーグナー・ソプラノ!!」っていう歌手が私、思い浮かばない。ベーレンスも死んじゃったしな。まあ・・・聴くとみなそこそこ歌えるんだが。

今回来るはずだったアラン・タイトスだって、現代を代表するヴォータンってほどでもない、どっちかっつーと私の中では「影のない女」のバラク。

そんな中で、今日の演奏会。実はトンでもなく前のほうの席を取ってしまった。いつも買い間違える、オーチャードの席。一階前から9番目だからちょうどいいなあと思って行ってみたら、4番目。しかもはしっこだから見にくい見にくい。

そういえば同じ間違いを、こけら落とし公演でも私はやっちまった。シノーポリの「タンホイザー」。席番号からして前から4番目かと思ったら、一番前中央。シノーポリの間後ろで。「えー、それってすごいことじゃない」と思われるかもしれんが、実際のところ、指揮をするシノーポリがオケピットの囲いにガンガンぶつかるので、その音が終始気になった。

シノーポリが早くも故人となった今はいい思い出かも。

.

で、今日の演奏会。

そうそう、アラン・タイトスが「咽喉頭炎から引き起こした非常に高い発熱」のために来日不可能になった。私がそれを知ったのは9月2日のことだが、別にタイトスが目当てで券取ったわけではないので、まあいいや。うーんやっぱりすこしガッカリしたけど。ラルフ・ルーカスはバイロイト出身のバリトン(ホントにバイロイトで生まれたんだそうな)、今度の新国の「影のない女」でバラクを歌うんだってよ。

ということで、すごく見にくい席で聴きにくい前のほう(実は、私オーチャードってあまり行かないホール。先日ミューザに2度行ったので耳があっちに慣れてる。)で、かなりハンデはあったのだがやはり飯守さんのワーグナーということで楽しめた。

「タンホイザー」はさほど思い入れがない演目なのだが、序曲はいいなといつも思う。飯守さんの指揮なら、なおのこと。

「トリスタン」は演目として好きなので前奏曲でも一生懸命聴いてしまう。タンホイザーではあまりまだ気が入ってなかった(私が)んだけど、さすがトリスタンとなると旋律の一つ一つが楽劇そのものを思い出す。トリスタンの苦しみや苦悩が嫌と言うほど思いだされてくる。薬はやっぱり厳しい。ああ、あのとき薬さえやってなかったら・・・。

それにしても、ずっと思ってたのだがワーグナーのオペラに出てくる「薬」って効き目がずいぶん長持ちである。大体薬っていつか切れてくるもんだと思うが。「ほれ薬」にせよ、「忘れ薬」にせよ。一晩したら切れて元通りということは、ないんだな。

(・・・ということで思い出したんだけど、「ワルキューレ」の最後でヴォータンがローゲを呼びだしてブリュンヒルデを火で囲むんだけど、それって次の「ジークフリート」で英雄が彼女を見つけ出すまでの役目でオシマイなのかと思ったら、その次の「黄昏」でもやってて、リング聴き始めた頃はローゲも大変だなと思った。)

で、20分の長い休憩のあと、メインの「ワルキューレ」第3幕。演奏会形式ながらオペラらしく多少は舞台っぽい動きもアリな公演。

第1幕だけを演奏会でやることは多いが第3幕は珍しいかも? なんといっても主役2人の他にワルキューレの歌手が9人(ジークリンデ含む)も必要なんで大変だ。しかも「ホーヨートーホー!」とはなっからデカイ声で歌わなければならんし。あのフレーズはド素人の私から見ても難しそうである。

今日の歌手さんたちはみなまだお若い方のようでスタイルもよく。あんまりでっかい方は見られなかった。(みなさん二期会「ワルキューレ」出てた方々)

ジークリンデはもっと大変で、ちょっとしか歌うとこないのに第1幕と2幕ではほとんど主役級で大悲劇を演じてきたということを、そのちょっとの歌う部分で(突然のハイテンションで)示さなければならない。本日のジークリンデの増田のり子さんは、二期会の「ワルキューレ」でそれは素晴らしいジークリンデを歌ったので今回キャスティングされたんだと思う。増田さん今日も良かったでした。それにしても、増田さんて写真より本物のほうが若くてスマートでお綺麗だと思うんだけどいつも。プロフ写真撮りなおしたらあ?と思う。

で、今回わざわざイギリスからやってきたソプラノ、キャスリン・フォスターだけども、やっぱり体格も日本人とは一回り(二回り?)大きいし、声も大きい。当然だがやっぱり「うーん」とうなってしまった。透明でよく通る声。発音がやっぱりイギリス人らしくさらさらと流れてしまう感じはしたが・・・さほど気にならず。声が誰かに似てると思ったんだけど、思いだせなかった・・・悔しい。

今回代役のルーカスは、たぶん初めて聴く歌手(バイロイトには出てるみたいだが・・・印象がない)だと思うんだけど、今日は急な代役をよくつとめて下さってたと思った。そんなに「ガッカリ声」というわけではない・・・ヴォータンにはまだまだ若いかなという気はしたけれども。ところで、ヴォータンの別れの「der freier als ich, der Gott!」のあと、また飯守さんの指揮が素晴らしいんだな~、凄い盛り上がってあすこで聴衆がいつもグスグスし始めるんだけども、そのあとルーカスもなんか胸が詰まってる感じに(まあちゃんと歌ってたけど)なってた・・・と思ったのは私だけ?気のせい? ブリュンヒルデもすごい勢いで駆け寄って抱きついてきたしね。

で・・・今回は舞台にオケが乗ってるんで「ああ、ハープが4台」って思った。4台も使うのっていつかなあ?って気にしてみてたけど、やっぱり最後のローゲ呼んだあとの炎の音楽んとこだねえ。

演奏会はなかなか盛況(こないだのブルックナーほどではないが)。皆さんお疲れ様でございました。

-----

Banner2_3 にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

|

« ベルギー幻想美術館展 | トップページ | 季節はずれのブリダイコン »

コメント

 こんにちは。

>シノーポリがオケピットの囲いにガンガンぶつかるので

 そんなことがあるんですか《まぁ想像するに難くないのかもしれませんけどね》。
 となると、人によっては1階席前方の席は避けたほうがいい場合が出てきますね。

 尤も貧乏な私自身には所詮無縁なエリアですが(自爆)・・・

投稿: 南八尾電車区 | 2009年9月 6日 (日曜日) 16時11分

>>南八尾電車区さん
こんにちは。
うーん、私もオペラ公演で指揮者の真後ろって後にも先にもその時だけなんで、今は何とも言えないんですが・・。他はそうでもないんですが、ワーグナーだと途端に神経質になってしまうんですよ、私。
指揮者がうるさい・・・という点では飯守先生も終始唸り声がすごいです。 でも私はそれを聞くと「お元気そうだなあ」と安心します。

投稿: naoping | 2009年9月 6日 (日曜日) 17時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 飯守さんのワーグナー・ガラ・コンサートin Bunkamura:

» 楽話§ワーグナー・ガラ・コンサート[上] [ひだまりのお話]
ホールそのものが好きではないので、オーチャードホールに行くのは 数年ぶりくらいのことになる。足が遠のく理由はたくさんあるが、百 貨店に併設したその無理矢理感が行く気を失せさせるわけなのだ。... [続きを読む]

受信: 2009年9月13日 (日曜日) 11時15分

« ベルギー幻想美術館展 | トップページ | 季節はずれのブリダイコン »