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2009年8月24日 (月曜日)

ディーリアス/海流 告別の歌 


ディーリアス:「海流」
「告別の歌」
「日没の歌」

サリー・バージェス(メゾ・ソプラノ)、ブリン・ターフェル(バリトン)
ウェインフリートシンガーズ、サザーン・ヴォイスィズ
ボーンマス交響合唱団
リチャード・ヒコックス指揮/ボーンマス交響楽団




それにしても最近、訃報が多いな。日本の芸能界でも、クラシック音楽界でも。

今日、CDを聴こうと思って取り出したのが、たまたま2枚ともヒコックスの指揮のだった。ヒコックス、去年亡くなったんだった。やなこと思い出したぜ。死因は心臓発作っていうけど、もしかして肥満?コレステロールの取り過ぎじゃない?(怖)

私にとってヒコックスはもの凄い好きな指揮者っていうわけでなくて(こんなこと書くと怒られちゃうかな?)、なんというか「CD買ったらヒコックスだった」っていうのが多い。そんだけヒコックスの録音が多いっていうのと、私の好きな分野の英国音楽を多く録音しているってことだろう。シャンドス・レーベルの全部の録音の何割かはヒコックスじゃないのかなあ。

ヒコックスは合唱指揮者でもあるし(詳しくは知らんが)この手の曲は得意だな。

それにしても、ディーリアスって勿論作曲家なんだけど、私にとっては「音を使って絵画を描いてる人」という印象がある。奥さんが画家っていうのもあるのかもしれないけど。どの曲を聴いても頭の中にどおおおおおおんと 情景が広がる。

で、このCD。実は国内盤も出てて対訳ついてる。これはありがたい、少し値段ははるが。英語が普通に読める人は必要ないけどな。

3曲のうち最初の2曲はディーリアスお気に入りの詩人ホイットマンの詩による。「日没の歌」はダウスンの詩。
やっぱりホイットマンの詩はディーリアスにぴったり(つか、これに曲をつけているのだから当たり前だ)。頭の中に情景がぱあっと広がる。何か印象派の絵画とか、ウィリアム・ターナーの描く海のようである。

「海流」

あるときポーマノックで
ライラックの香りが空に満ち
 五月の緑が育つ頃
ブライヤの茂るこの浜辺に
羽を持った二羽の客がアラバマから連れ添ってやって来た。
そして彼らの巣には
茶色の斑点のある四つの薄緑色の卵が抱かれていた

そして毎日雄鳥はあたりを飛び回り
そして雌鳥は巣の上にかがみ
 黙って、目を見開いていた。
そして毎日、好奇心旺盛な少年だった私が
決して近づきすぎないよう、彼らの邪魔をしないよう
注意深く見つめ、彼らの心を感じ取り、訳した。

(以下略)

海というよりは・・・なんか野鳥観察日記みたいな始まりですが、コレを合唱曲にしようと思うディーリアスのセンスが素晴らしい。それからなんだかメスのほうがいなくなっちゃうんだけど・・・。いや、そんだけで終わっちゃう曲ではないんですよ。なんかこれ鳥が出てくるってだけで、前に映画館で見た「ワタリドリ」ってフランス映画を思い出した。壮大で素晴らしい曲。

「海流」と「日没の歌」はディーリアスの作曲家としての最盛期に書かれたが、「告別の歌」は晩年の作品で、盲目となったディーリアスのところに助手にやってきたフェンビーがお手伝いをして出来上がった。ありがたや。

「告別の歌」

静かに過去をさかのぼるのは何と甘美なことだろう。
夢見るようにさ迷い   昔日を黙想し記憶を取り戻す
     愛した者たち、楽しかったこと、いろいろな人々、
旅したこと。
リンゴ園、木々は花に覆われている。
小麦畑は一面みずみずしいエメラルドグリーンのカーペットのよう。
永遠の、尽きることのない新鮮さに満たされた毎日の早朝。
黄色みがかった、金色の、透き通った霞のかかった暖かな午後の太陽。
高く育ったライラックの茂みにはたくさんの紫や白の花。

(以下略、以上 松本日登志/訳)

晩年、まさに人生を振り返っているディーリアスの心象風景を描いた曲である。自然に囲まれた庭先で、肘掛椅子に座り若い頃を思い出しているディーリアスの姿が目に浮かぶ(本当はもう寝込んでたのかもしれないけど)。ディーリアスの沢山ある好きな曲のうちのひとつ。詩も美しい。

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