飯守さんのブルックナー7番
フェスタサマーミューザ川崎2009
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 (ノヴァーク版)
飯守泰次郎指揮/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(ミューザ川崎)
おお、待ちに待った飯守さんのブルックナー。この日のためにエア・ブルックナーとかシャドウ・ブルックナーとかして鍛練を積んできた。いや、別にただ7番をかけっぱなしにしてたりしただけなんだけども。
ただ、予想してたのは、飯守さんは偉大なるワーグナー指揮者だからブルックナーでもきっと入魂の演奏をして下さるってことだった。だって、ブルックナー・ヴァージンのあたしだってわかるよ、近代演奏史の中でワーグナーが超得意な指揮者は大体ブルックナーも得意だってこと。クナッパーツブッシュしかり、フルトヴェングラーしかり。
正直。
私、今までワーグナー以外の飯守さんの演奏会、そんなに感動してない。まあほぼワーグナーばっかり聴いてきたんだけども。「惑星」とか『それ、ちげー』とか思ったし、マーラーの7番だって『これって・・・どう?』とか思ったものだった。同じ交響曲でも同年代のブルックナーとマーラーってやっぱり違うと思う。全然傾向の違うものだ。
でも、ブルックナーだったらきっと、ワーグナーの時みたいな「全く異議異論のない演奏」をしてくれるんじゃないかと思ってた。
で。
前にブログに書いたように、私はブルックナーの7番をまともに聴いたのってこないだ買った超廉価盤のパーデンネン・・・じゃなくてなんだっけ アレしかない。アレのチョイスは結構良かったんじゃないかな。あんまりオケがうまいとこのを予習に使うと、日本のオケを聴いてがっかりするかもしんないし。でもアレ、そんなに悪い演奏じゃないね。
で、本日のコンサート。いつものように、開演前の大先生の解説をきく。(なんか、マーラーだっけ?演奏会の前に曲の解説をえんえんとしてたのって。それを思いだした) 飯守さんの、こういった前世紀の巨匠みたいなとこが好きだ。ピアノを弾きながらの、ウンウン歌いながらの解説。弾いてるうちに熱が入ってしまって止まらなかったり。そういうとこもいいな。それにしても、同じ長調でも、ハ長調はこんなで、ホ長調はこんな感じでみたいな説明はナルホドなあと思った。正直・・・まあいわれてみればそうかな?ってくらいだけど。シンフォニストじゃない自分・・・恥。
(つか、飯守さんによるこういう形でのワーグナーの楽劇の解説を一回聞いてみたい。長いから無理だと思うけど。すごく「なるほどな~」って思うと予想)
そんでまあ、今日の席は一階席の前のほうだったもんで、オケの内部があまり見えん。ワーグナーチューバはどこなんじゃ。やっぱり2階席の横からがよかったかなあ・・・。前すぎると音もなんだか溶け合ってないし・・・すぐ慣れたけど。
で・・・あの。やっぱりシティ・フィルはなんで飯守さんとワーグナーの演奏のときはネ申になるのですか?という感じが今日のブルックナーでもした。なんというか・・・私の頭の中にはドイツ・オーストリアの深い森があった(えーと行ったことないけど。少なくとも富士の樹海でないことは確か)。とくに弦の方々はいい仕事してた。
この曲で好きなのは第2楽章の中間の弦のあの優しいメロディのとこ(わかりますか?)そこのところも飯守さんは一緒に歌い(唸り?)ながら指揮をしていた。弦の人たちは心をこめて演奏していた。それがわかる。
第3楽章のバケラッタバケラッタ・・・のところも「おお、これがブルックナー!!」みたいな演奏であった・・・初心者なもんでよくわからんけど。
で、細かいことはよくわかんないので記述は避けるけど、とにかく全体的に熱い演奏であった。とくに思ったのは、「これはナマ演奏だからこんなにすごく思うだけなのか? 他のオケと指揮者でも、ブルックナーだったらこんな弦の深い音が出せるのか?」というアホみたいなことだった。今日の演奏はたぶんパーデンネン?の演奏を軽く超えてる。いや、やはり実演の迫力はあるんだと思うけど。
曲が終わったあとはすごい拍手喝采で(客の入りは6~7割ってとこだってが)、なかなか指揮者とオケはおうちに帰れそうもない。しょうがないので飯守さんはオケに客席の四方にお時儀をさせて帰った(初めてみた)。もうそのくらいの盛り上がりようだった。ま、飯守さんのワーグナーのときはもっと盛り上がるけどな、ははん。
ブルックナーの演奏会って初めてだけど、やっぱり男子トイレのほうが並ぶんだなって思った。
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コメント
お昼休みに、こんにちは。
わたくし、この演奏会のチケットをまたもフイにしてしまいました。
車で埼玉方面を廻ってまして、レンタカーを返却して、京浜東北に乗っても間に合わない時間となりあきらめました。。。
神奈川フィルとN響は、不幸があり不可。
3つもチケット飛ばしちゃいました。
ミューザはどうも鬼門であります。
わたくしも、トイレの列に並びたかった・・・・。
投稿: yokochan | 2009年8月12日 (水曜日) 12時48分
>>yokochanさん
おつです。
う、神奈川とN響だけでなく、飯守さんの日まで・・・。
これは悔しいですね。ミューザちょっと都心から遠いから、ウィークデイは8時開演になってたりするんですけどね。
昔からワーグナーとかマーラーの日だと男子トイレの列が女子より長いですな。まあ最近は女性もワーグナー見るから女子トイレも比較的並びますが。
飯守さんお元気そうでしたよ。
投稿: naoping | 2009年8月12日 (水曜日) 21時25分
そういえば何かの映像作品でバルビローリがハレ管(?)に小うるさく(笑)練習つけてましたね。バケラッタのところだったと思いますが。
投稿: 蜜 | 2009年8月13日 (木曜日) 00時37分
>>蜜さん
こんにちは。
バケラッタバケラッタ・・・(゚ー゚)。それは一度観てみたいですね。
投稿: naoping | 2009年8月14日 (金曜日) 18時27分
私が、N響会員になって最初のコンサートが飯森泰次郎さんのタクト、メインは「幻想交響曲」。1973年だったと思う。
もし、お分かりの方、この月日(1973年という記憶も不確か)、と他の演奏曲目、教えていただけないでしょうか。
この年、マゼール=クリーブランド、小澤征爾=新日本フィルで、幻想を3回聞いてしまった。
投稿: 面久院滅多坊 | 2009年8月14日 (金曜日) 21時31分
アート・オブ・コンダクティングっていう作品だったと思います。えらく細かいリハーサルでした。
投稿: 蜜 | 2009年8月14日 (金曜日) 23時00分
>>面久院滅多坊さん
飯守さんの幻想・・・?
なんか凄そうです。
>>蜜さん
ああ、そういうビデオありましたね。
youtubeで出ないかなあ・・・。
投稿: naoping | 2009年8月15日 (土曜日) 13時24分
ワタクシも、このブルックナーとN響の吹奏楽&ローマの祭りに行きました。今年の川崎。というか、ミューザに行ったのはそれが初めてだったりします。
演奏もよかったけれど、解説、よかったですねぇ。「愛」がびんびん伝わってきました。
投稿: ガーター亭亭主 | 2009年8月19日 (水曜日) 08時16分
>>ガーター亭亭主さん
おお、同じ演奏会に行かれたのですね。
ミューザ、ほとんど夏にしか私行かないんですが、毎年行きたくなります。
コンサート前の解説、毎回飯守さんの思いが伝わってくるので凄く好きです。
投稿: naoping | 2009年8月19日 (水曜日) 19時49分