ちょっと昔のレビュー(7)*1996年・若杉弘・火刑台上のジャンヌ・ダルク(日本語版)*
皆様、ご存じの事かと思いますが新国立劇場の11月の「ヴォツェック」は若杉さんは振らないようですね。ヘンヒェンが振るのか~。なんかちょっと悲しいです、若杉さんのヴォツェックが聴きたかったのにね。
・・・というわけで、本日は「若杉さん復活!」の思いを込めましてコレ。でも、このコンサートはちょっと珍しいかも。行かれた方はいるかな?
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1996年11月4日
オネゲル:劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」 (訳詞上演)
タマリ・マリアム(ジャンヌ・ダルク)、高橋大海(ドミニク)、佐藤しのぶ(聖母マリア)、平松英子(マルグリット)、寺谷千枝子(カテリーヌ)、経種廉彦(豚)、田中誠(布告人Ⅰ)、青戸知(先導役、布告人Ⅱ)、小鉄和弘(布告人Ⅲ)、近藤伸政(ろば、司祭)、飯塚励生(粉やのおじさん)、鈴木五月(酒樽おばさん)
二期会合唱団、東京オペラ・シンガース、東京少年少女合唱隊
若杉弘指揮/新星日本交響楽団 原田節(オンド・マルトノ)
(日生劇場)
(前略)
きょうはなんたって一階A列であるから、舞台かぶりつきである。オンド・マルトノの原田節さんなんて、ウィンクしたら返してくれそうな距離である。だいたい原田さんはこの曲かトゥーランガリラのときは必ずお目にかかれるのでうれしい。今日は開演前にウォーミングアップで「ふ~けゆく~あ~きのよ~」なんて弾いてた。
本日の公演はなんといっても訳詞上演なので、大感動か大笑いがどっちかだと思っていたが、結果はどっちでもなかった。結局聞き終わって私が感じたのは「フランス語のほうが曲に合っている」という(当然な)ことだった。ただし、私がこう感じただけで、今日初めて聴いた人は「こんなもんかな~」と思っただろうし、聴いたことある人の中にはものすごく感動した人もいるのかもしれない。でも、私のようにこの曲が大好きで、(フランス語わからんながらも)この曲は全部フランス語で頭に入っているような者には大変居心地が悪い。
もちろん訳詞だから言っていることがわかる(まあ、舞台なので日本語でも聴き取れないこともあるが)から感銘が深いといえばそうとも言えるのであるが、訳詞での上演で最も困ることは(私だけかもしれんけど)、「オペラがあまりにも親しみやすく、身近になってしまうこと」なのである。ことにこの曲の舞台は何百年も前のフランスである。しかも主人公は歴史上のスーパースターのジャンヌ・ダルクである。だのに、突然日本語でやられてしまうとなんだか「中学のときの同級生だったおでん屋の娘の淳子ちゃん」といった感じなくらいに身近になってしまうのが、私はとっても怖いのである。だから、火あぶりにされるときはなんだかひどく気の毒になってしまう。知りあいみたいな気がしてしまうのである。フランス語?よくわかんない、ジャンヌ・ダルク?まあ名前は知ってるけど・・・、それくらいの感じでいいんだと思う。この曲にとってフランス語の歌詞は音楽の一部なのだから、あえて訳す必要はない。
そんなことだれより若杉さんはわかっていらっしゃるのだろうけど・・・。
ところで、この曲の主役を大竹しのぶにやってもらうのが私の夢なんだけど(でもそうしたら当然日本語版になってしまうな)、たぶんこれはかなうことはないだろう。演出は野田秀樹でね。
今日の主役の人はなぜかアメリカ人でジャンヌ・ダルクとは似ても似つかぬタイプで(まあ本人を見たことはないが)、なんというか「ガラスの仮面」の北島マヤがマンガから出てきて演技をしているような感じだった。キャロライン洋子にも似ていた。
歌手はいつもの若杉さんのコンサートに出てくる感じの人ばかりで、まあいつもの通りといったところ。佐藤しのぶさんはセリに乗って登場してきたので「紅白歌合戦」を思い出した(小林幸子との意見もあった)。このパートは今やこの人以外考えられない。
合唱は東京オペラシンガースの人たち(と二期会)だったので、期待していた通り。いつも思うけれどホントにうまい。
なんやかんや文句を言ったけど、最後はやっぱりちょっと涙でました。どんなに料理されても人を感動させてしまうこの曲のパワーは凄い。
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今はそんなでもないけど、一時期この曲(結構上演が大変なわりに)よく演奏されてたな。このあとだかN響でやったのも行ったけどそちらは当然原語上演でした。ところでこの文中のキャロライン洋子さんて懐かしいね。今でいうベッキーちゃんみたいな感じな人かと。
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コメント
こんちは。
え、ヴォッツエックのこと、初めて知りました・・・。
まずいですな。影なしだけはなんとかって気分ですよ。
若杉さんの火刑台は聴いてないのです。
いいなぁ。
この頃は家計炎上中でしてね・・・。
投稿: yokochan | 2009年7月21日 (火曜日) 12時38分
>>yokochanさん
そうなんですよ・・・私も情報を知ってがっくり。
せめて、代役の指揮者がうまいことやってくれればいいんですがね・・・まあそれでもがっかりです。
「影のない女」までにはなんとか!とは思いますが、病状はどうなんでしょう。祈るしかないです。
家計炎上・・・なんとうまいことを。ふふ。
投稿: naoping | 2009年7月21日 (火曜日) 19時17分
若杉さん、亡くなられてしまいましたね。
最後の方に舞台姿を拝見した新国の「夜明け」「軍人たち」「ペレアスとメリザンド」、それに東フィルとのシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」いずれも充実した素晴らしい公演でしたが、終演後のお姿は足元がおぼつかないご様子で心配しておりましたら、ほどなく入院されました。
新国立劇場監督としての三年間のプログラミングは筋が通って見事だったと思います。最後まで何とか全うして頂きたかった。そして元気に「ヴォツェック」や「影のない女」を振ってもらいたかった。残念でなりません。
シュターツカペレ・ドレスデンとの来日公演を思い出しつつ「英雄」と「巨人」とワーグナーのCDを聴きながらご冥福をお祈りしようと思います。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0721/TKY200907210298.html
投稿: 白夜 | 2009年7月21日 (火曜日) 23時58分
>>白夜さん
お知らせありがとうございます。
実はまだちょっと受けとめることができないんですが・・・。
ネット等で、ずいぶんお悪いとは聞いていたので、「影のない女」も内心諦めていたのですけど、こんなに早いとは・・・。
実はまだ昔のレビューが残っていますので、落ち着いたらまたUPしていきたいと思います。
投稿: naoping | 2009年7月22日 (水曜日) 00時33分
噂で体調悪いと聞いていたといえ若杉さんの訃報、驚いてます、彼の指揮で一番印象に残っている舞台、案外ドレスデン国立歌劇場日本公演の「魔弾の射手」だったりします。(これもかなり昔の話)当時は日本人でメジャーオペラハウスで指揮していたのは彼くらいでしたからね。
投稿: シロクマ雄 | 2009年7月22日 (水曜日) 09時27分
>>シロクマ雄さん
そうですね、こんなに早いとは思わなかったのでまだ信じていないんですけど・・・。
なんか今回、来日直前に亡くなったバルビローリを思い出しました。
投稿: naoping | 2009年7月22日 (水曜日) 21時51分
若杉さんの「ジャンヌ」、89年のN響公演のテレビ放送録画テープを発見した勢いの拙ブログのエントリーで、いくつも引用&TBしてしまいました。お世話になりました(ってちょっとヘンだけど)。今後ともよろしうお願いします(←さらにヘン)。
あ、私もミュンヘンの「アラベラ」「影のない女」の日本公演行きましたですよ。最近はドレスデンの「バラの騎士」(ルイージなのに!)すら行かない体たらくですが。。。
投稿: ガーター亭亭主 | 2009年8月24日 (月曜日) 22時16分
>>ガーター亭亭主さん
う、なんか激しく参考にしていただいて・・・恐縮でございます。こちらこそよろしくおねがいします(←ヘン)。
あー、私もN響のほうの若杉さんのはビデオ撮ったかな~?忘れました。サイトウキネンの「ジャンヌ」は撮りました。それをたいそう素晴らしいからと、オペラ好きの友人に貸したら「ごめん、半分くらい観たけどこの曲どこから面白くなるの?」と言われたという素晴らしい思い出があります。
ドレスデンの「バラ騎士」は私も行きませんでした。なんか、ルイージって俳優のロベルト・ベニーニっぽいからあんなひょうきん者なのかとてっきり思ってしまって(まあ関係ないですが)。はあ。
投稿: naoping | 2009年8月24日 (月曜日) 22時58分