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2009年7月 1日 (水曜日)

ちょっと昔のレビュー(4)*1996年・若杉弘・七つの封印の書*

ちょっと昔のシリーズ、年代順に掲載しようと思ったけど、この曲の演奏会が近いので是非とも先に書いておきたい。順番が前後しちゃって申し訳ない。

過去記事:ミトロプーロス・七つの封印の書

ウェルザー=メスト/七つの封印の書

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1996年3月10日
フランツ・シュミット:オラトリオ「七つの封印の書」
田中誠(テノール)、大島幾雄(バリトン)、大島洋子(ソプラノ)、寺谷千枝子(メゾ・ソプラノ)、福井敬(テノール)、青戸知(バリトン)
若杉弘指揮/JOA東京オーケストラ、晋友会合唱団
(サントリーホール)

私がこの曲に出会ったのは、六本木のWAVEでミトロプーロスのCDを見つけて購入したときだった。クラシックファンももう何年ともなると聴くものがだんだん無くなってきて、何か気になるものがあるとつい買って聴いてみたくなる。ミトロプーロスのちょっとしたファン(大ファンでもない)の私は、彼の指揮姿のジャケットと、「ふらんつ・しゅみっと」なる聞いたことあるようなないような作曲家が妙に気になって、購入してみたのである。そしてウィーン・フィルと錚々たる歌手が共演していたのも気になった。

聴いてみると宗教曲だった。輸入盤だったので対訳もなく、もっとひどいことにドイツ語の歌詞しか解説書にはなくて、ドイツ語は旅行会話くらいしかわからない私には、聖書の言葉などわかるはずもなかった。でも不思議と感動した。ちょっと前にザルツブルグとウィーンに行った私は、その時の不思議な体験・・・名も知らぬ教会に迷い込んで訳もわからず感動したことなど・・・を思い出した。なんというか(キリスト教でもないのに)敬虔な気持ちになった。

そんなこんなで訳もわからずこの曲に親しんでいたちょうどその頃、「音楽の友」を本屋で立ち読みしていると、若杉弘さんがこの曲をコンサートで取り上げるとの記事が。なんとなく日頃「若杉さんのやりたい曲って私の好きな曲と被るな」と思っていた私は本屋で声を上げそうになるほどびっくりした。そしてすぐに券を入手した。

そして待ちに待った演奏会がやってきた。こんな誰も知らんような曲、きっと場内ガラガラだろう、と思ったのは大間違いで超満員だった。当日券は長蛇の列、補助席まで出ていた。そして私の周りにはフランツ・シュミットのファンが少なからずいた感じ。

演奏は素晴らしかった。この感動をどう文章にしたらいいのかしら。オーストリア旅行で受けた敬虔な感動が蘇った感じ。解説書によると、この曲はオーストリア人なら聴いたことがない人はいないほど親しまれているのだそうである。それはどうしてか?というと、この曲の最後の「ハレルヤ」の部分は普通に教会のミサで歌われているものなのだそうである。それこそあのペーター教会やカールス教会なんかで。

オケは(アマチュアオケだった)細部に荒さがあったし、弦なんかは今までウィーン・フィルで聴いていた私にとってはちと辛いものがあったけれど、合唱団はあの晋友会で熱演を繰り広げていた。すごい、本当にアマチュア合唱団なのか?

歌手も意外なくらい良かった。女声の人などミトロプーロスのCDよりも良かったかも。男性の歌手も美しい声だった。オルガンもこの曲にとって重要な役割をしているが、信じられないほども効果をあげていた。天変地異を表すのにぴったりだ。

実演の迫力と前から5番目という良い席だったのも手伝って、私はめちゃくちゃになるくらい感動した。涙は必死でこらえたけれど周りに誰もいなかったらひっくり返って泣いていたと思う。曲の内容もものすごかった。阪神大震災とオウムとサリンとチェルノブイリとボスニア・ヘルツェゴビナが一緒になっちゃったような。大変だ!感動的すぎるよ!もうだめ、勘弁してって感じ。人間の声って偉大だわ。

若杉さんはあいかわらずかっこよかった。少しテンポは早めだったような。

それにしても詩の内容がわかっただけでこんなに感動するなんて。今まで聴いていたのは何だったのか。言葉って偉大だ。

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<後注>
こんなに感動しまくっていたのかと、文章を読み返して今さらながらびっくりいたしました。最近、この曲ははホルスト・シュタイン盤をよく聴いております。

新日本フィルの演奏も期待しておりますが、正直言って何事にも感激しやすかった当時と現在では感じ方は違うだろうなあ・・・。

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コメント

新日本フィルの公演に向け、必死に予習していました。
そうしたら、何と新日本フィルのホームページに、アルミンク自身による6ページにも及ぶ解説が載っているではないですか!これは、必読と思いました。
今まで、音楽や絵画でキリスト教文化とは比較的親しんでいたと思っていた私ですが、今回、この曲の予習で、いかに無知であったか思い知りました。
「7つの封印の書」なるのすら存在を知りませんでしたから・・・。7つ目の封印がとかれて、長い沈黙があり、そのあとで7つのラッパが鳴らされる。
アッ!そうか、ウェルディのレクイエムでバンダが吹く印象的な「ラッパ」の事か!
その後で、最後の審判が起こるんですね!
そう言えばシステーナ礼拝堂でも、ラッパの絵があったなあ!
と、まあ、そんな事も知らないで、「ウェル・レク」がどうのと論じていたのか!いや、恥ずかしい・・・
でも、この曲の台本、読み込めば読み込むほど、日蓮宗の私には、とても感情移入が出来なくなるんですよねえ。
異教徒は、すべて虐殺ですからねえ!まあ、恐ろしい。
まだ、ブリュッヘンで聞いた「天地創造」の方が、受け入れやすい気がします。
いまさら、気づいてしまったのですが、冬に心温まる「天地創造」から、夏のホラー「最後の審判」へと行く、実は凄いプログラムだったんですね!
定期会員を更新する時、ぜんぜん気がつかなかった、なんて無知な私・・・

投稿: ソメヤ | 2009年7月 3日 (金曜日) 10時47分

>>ソメヤさん
おお、かなりお勉強されてらっしゃるようですね。
私はこの若杉さんの公演を聴きに行ったときは全く予習できずに行ったんですけど、対訳は舞台についてたしパンフレットも懇切丁寧だったので雰囲気はつかめました。(そもそも何の曲にしてもそんなに予習はしないんですが)でも、どんな内容かくらいはつかんでおいたほうが感動は増すかもしれませんね。

今度の新日本フィルのは合唱も優秀だし名歌手揃いなのでそれだけでも名演になるのでは、と予想しております。

投稿: naoping | 2009年7月 4日 (土曜日) 18時45分

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