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2009年5月15日 (金曜日)

あらかわバイロイト・パルシファル

ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルシファル」

太田直樹(アムフォルタス)   
志村文彦(ティトゥレル)   
大塚博章(グルネマンツ)   
小貫岩夫(パルシファル)   
田辺とおる(クリングゾール)   
蔵野蘭子(クンドリー)   
阿部修二(騎士1)
鷲尾裕樹(騎士2)
青山奈未(小姓1)
小林由佳(小姓2)
安藤英市(小姓3)
岡村北斗(小姓4)
加藤裕美子(花の乙女1) 
青山奈未(花の乙女2) 
小林由佳(花の乙女3) 
富永美樹(花の乙女Ⅰ) 
熊木道代(花の乙女Ⅱ) 
本間千晶(花の乙女Ⅲ)

クリスティアン・ハンマー指揮/TIAAフィルハーモニー管弦楽団
あらかわバイロイト合唱団・アンハルト州立歌劇場合唱団

♪雪は降る~~ 荒川区内~~♪(アダモ)

Pa0_0393 行ってきました、あらかわバイロイト。うちから三つも電車を乗り継いで、バイロイト。東京に住んでいながら、都電乗るの初めてだぜ。ま、高校3年間世田谷線に乗ってたから、同じようなもんかなあと思ってたけど。

なんか風情があっていいねえ。下町っぽい。駅員さんはいないんだね。なんかウィーンみたい。

で、やっと着いたサンパール荒川。えーとこのホールももちろん初めて。どんなとこだろうと思ってたけど。

懐かしい。解体前の目黒公会堂のようだ。区の合唱コンクールだの、ブラスバンドの発表会だの、梅沢富生劇団だのやった。雰囲気的に同じだ。なんか・・・古びている。

(ちなみに、目黒公会堂は取り壊して都立大学跡地に移転、「パーシモンホール」になった。美麗。)

どうも・・・ここでパルシファルやるの似合わない。由紀さおり姉妹のシャバダバダとかやってるほうがぴったりくる。座席少ない。全体的にこじんまり。とってもパルシファルに似合わない。

しかし、それが主催者の狙いなんかな。こういう小さい公会堂で上演し、入場料を安く抑えると。

でまー、最初はちょっとヒキ気味な感じなあたしだったんだけど。お客さんは金曜日の4時から開演とあって少ないねえ。6~7割の入り。なんか出演者の家族・知り合いがほとんどだったりして。

Pa0_0394_2  で、上演の全体的な雰囲気的は、「なんかドイツの温泉地に旅行に行ったらたまたま近所の劇場でワーグナーやってて、あんまり期待しないで観に言ったら、意外と良かった。合唱団は町内会のおじちゃんたちで集まってやってたけど。さすがドイツはワーグナーの国だな」とかいう感じだった。

合唱は、有志の人が集まって、ということなんだと思う。舞台裏の合唱団は、アンハルト州立劇場合唱団の声の録音である。こういうのもまた温泉地っぽい。

ついでに言えば、第2幕の花の乙女のシーンはどう考えても常磐ハワイアンセンターみたいだった(まあ、そもそもそういうもんなのかもしれない)。

とか、いろいろ書いてみたけど(関係者の方ごめんなさい)、独唱者の方々のレベルはとても高かったと思う。男声の低音の方々(アムフォルタス、グルネマンツ、クリングゾル、ティトゥレル)は皆さま素晴らしかったですし。あ、アムフォルタスさん深い声でとっても素敵でした。
ちっちゃい役の独唱の方々もそれぞれ頑張られている様子は伝わってきました。

まあ、そもそも蔵野蘭子さまが出演される15日にしたわけなんですが。ランコさまはエロかっこよかった。あーやって年下の男は誘惑するのか。参考にしよう。ブラヴォーはなかったけど(なんで?)ランコさま張りのあるお声でずば抜けて素晴らしかったわ。惚れた。

タイトルロールのパルシファルさんは、最初はアレ?とか思ったんですけど2幕あたりからなかなか美声でいいなあと思いました。リリックなかんじで。声量はあんまりない感じだったのですが、例えていうなら軽めのイエルザレムみたいな感じがしました。ジークムントやってもらいたい。ハンサムだし。

指揮とオケは。なんかオーケストラ・ピットがこじんまりしてたので編成も小さかったのかなと思ったんですが、音楽的に盛り上がるところはかなり頑張ってたので良かったです。たまに「チューニング合ってる?」とか思ったりとかするとこがありましたが。録音と合わせるの難しいね。

指揮者はかなり的確なテンポで振ってました。やや早い気はしましたが、間延びしてなくて良かった。もー、パルシファルが間延びしてると死にますから観客。「聖金曜日の音楽」はもうちょっとたっぷりとやってほしい感じはしたのですが。。。仕方ないか。

ということで、最終的にはブーはいくつかあったものの(ワーグナー協会の人?)、盛況で終わりました。土日はもっとお客さん入るものと期待します。

テンポのせいか、わたし的には「あっとゆうまにおわったな~。短かった。」と思いながら帰ったのですが、帰りの荒川線の中は「も~長くて長くて、耐えられなかった~。」とか「たいした筋でもないのにいつになったら終わるんだ~~~」という苦情がちらほらあった。ま、これはワーグナーに言ってくれ。

あ。そうそう。

Pa0_0392_2 第1幕のあとの拍手ですが、たぶんそういった事情がよくわかんない観客がほとんどだったようで、普通に拍手してました。ざっと見て、私ととなりの(恐らく日本ワーグナー協会会員)おにいさんは一応拍手しませんでしたけど。歌手のみなさんだけに拍手しました。明日あさってはどうだかわかんないですが。

えーと、来年は「トリスタンとイゾルデ」らしいです。(4月23日~25日) ってことは・・・毎年あるんだね。


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コメント

わざわざ休みとって初日に行ってきたんですね。流石です!!蔵野さんのキャスティングはたしかに魅力的・・・なんでよりによって平日4時なんだー
わたしは行けるとすると日曜日なんですが、なんとなくまだぐずぐずしております(笑)まあ今月はこの後、月末の「嘆きの歌」までコンサートの予定がないので、今後に期待できるものかどうか様子を見に行ってみようと思ってはいるのですが。

投稿: 白夜 | 2009年5月16日 (土曜日) 01時09分

>>白夜さん
平日だったのでお年寄り夫婦のお客さんが多かったです。心なしか舞台上の騎士さんたちもご年配な方が多かったですし。

上演の雰囲気としては縮小版(縮尺版?)を観た感じがします。曲の長さは同じなはずなのになんでかしら不思議。ホールのせいかな? なかなかない体験ですよ、区立の公会堂でワーグナーのオペラ。

ランコさまは素晴らしかったですが、他のクンドリーも聴きたいかもです。お金ないので行けませんけど。

投稿: naoping | 2009年5月16日 (土曜日) 12時47分

私も蔵野さん目当てに有休とって昨日行ってまいりました。
ソリストの方々はみな素晴らしく、全体的にも予想以上の上演だったのですが、
不快な出来事があって正直十分に集中して楽しむことができませんでした。
それはスタッフが上演中の途中入場を認めていたことです。
私は扉近くの席だったのでその度に集中力を削がれるはめに。
一度はスタッフ蹴りつけて、小声で「上演中に客通すなよ」って言ってやったのですが、
(もちろん先日の一人自警団オヤジのように人様に迷惑がかからないよう配慮したつもりで)
間違った対応をしているという認識がないのか全く効果がなく、
休憩時間にそのスタッフを探したものの見付からないので諦めました。
途中入場を制限するのって当たり前だと思ってたんですが、もしかして違うんでしょうか?
副指揮者が隣りにいるよりはマシなのかもしれませんが、
ワタシ的には重大なことで、仮にも「バイロイト」の名を冠する団体が、
そのようにワーグナーの理念や精神に反するような対応をとることが許せなくて、
何というか作品に対しても冒涜だと思うし、演奏者や他の客に対しても失礼だと思うんですよ。
アンケートにはびっしり書いてやりましたが、改善が見られないようだったら来年の「トリスタン」は行く気がしないですねぇ。
ついでに、二幕途中で入ってきたオッサンは休憩中に何人もの人にご挨拶されてたから、
公演関係者かワーグナー協会の偉い人なんでしょうが、ウチはそういう人偉いとは思いません。
三幕殆ど寝てたし。

投稿: フィディ | 2009年5月16日 (土曜日) 13時50分

>>フィディさん
同じ日においででしたのですね。
うーん、書くの忘れましたがそういえば途中で出て行ったオバちゃん(トイレ行って戻ってきた?)とかオジちゃんとかいましたね。何このフリーダムって思いましたが。私は通路側でも扉側でもなかったので、さほど被害は感じなかったでした。
確かに、係員に途中入場を禁じるという教育?は、なされてなかったのかもしれません。普段は発表会とか歌手のコンサートとかばかりでおそらく本格的なオペラの上演は初めてなホールだったんでしょうし。係員の慣れていない感じはあちこちで見られました。

今日明日の上演からでも改善されるといいんですが。してもらわないと困りますね。上演する側も観客があれでは気持ちよく演奏・歌唱できませんしね。

投稿: naoping | 2009年5月16日 (土曜日) 14時13分

>あ、アムフォルタスさん深い声でとっても素敵でした。
耳の肥えたnaopingさまにそのように言っていただけてとても嬉しいです。義兄にはメールしておきます(*^_^*)

小貫さんはリリックtenorなのでパルシファル役は結構意外なキャスティングでした。
昔、天羽さんがツェルビネッタを歌った「アリアドネ」に出演されておられた際、小貫さんもキャストにいらして終演後、サインを頂いたら小貫さんのお母様がサインをするわが子を一生懸命写真に収めていらしたのが印象的です。

蘭子さまは新国「ラインの黄金」の時、「パルシファル」のお話をしたら指揮をされるドイツ人(?)指揮者の元へ行かれるようなことをおっしゃっていましたよ。きっと素晴らしいクンドリーだったでしょうね?
以前、飯守先生の日生劇場「パルシファル」で小山由美さんが凄いクンドリーを歌っていましたよ~naopingさまは行かれなかったのかしら?

平日じゃなければ私も新潟から上京したのに・・・あらかわバイロイト(T_T)

投稿: えーちゃん | 2009年5月16日 (土曜日) 22時55分

こんばんは。ご一緒でしたね。
というか、ホールを出たときに似た方をお見かけしましたので、やっぱりそうだったんだ。声かければよかったですね。

私も書きましたが、ま、あのホールではいろいろと不首尾なことが起きてしまいますね。
ホール職員も今後本格コンサートに慣れてくれるとよいものです。
演奏も、今後に期待ですが、歌手の方々は文句なしでした。
蘭子さまにブラボーかければよかったです。無念なり。
フラガールは、激しく同感。これはネタになると見ながらニタニタしてましたよ(笑)

投稿: yokochan | 2009年5月17日 (日曜日) 00時27分

蘭子さん(◎´∀`)ノ
女性の私も、クラ(蔵)っときましたが

投稿: operaview | 2009年5月17日 (日曜日) 02時01分

書き忘れました。
ランキング、ぽちっとしますね~。

投稿: operaview | 2009年5月17日 (日曜日) 02時12分

>>えーちゃん さん
お待ちしておりました。行かれなかったのはほんとに残念でしたね。

「パルシファル」というオペラはタイトルロールはテノールだけれど、本当の主役はアムフォルタスとグルネマンツだと思いますので、この二役が優れていないと無理。声も勿論必要ですが、知性を備えてないとダメですね。この日はどちらの歌手さんも素晴らしかったです。義兄さまには宜しくお伝え・・・えーとちょっと恐れ多いですね。あたしなんかがすいません。

小貫さんは初めて聴く歌手さんですが、ワーグナー・テノール絶滅の危機を救う人なのでは、と期待してしまいます。パルシファルはジークフリートなどと違いリリカルなところもある役なのでよかったのかもしれませんね。

飯守先生のパルシファル、行ってないんですよ。その頃はあまりオペラ行ってなかったのか、あまり日本人の実力に気づいていなかったんじゃないかと。残念です。


>>yokochanさん
見つかっちゃいましたね? 客層から言ってあの日は自分でも「目立つなあ」とか思いました。お声をかけて下さればよかったのに・・・でもこの日は都電にまっしぐらでしたけど。
あのホールはこじんまりとしてよいところもたくさんあるので(どこからでも見える)、そこを伸ばしてもらってだんだんと改善されれば、と思います。

私も蘭子さまにブラボーしたかった・・・でも女性のブラボー声は目立つので。そのときだけおっさんになりたいなといつも思います。

花の乙女はフラガールしか思い浮かばない・・・おお、あれはしずちゃんだ!とか思いながら見てしまいました。(私、あの映画大好きなんですよ)


>>operaviewさん
あ、プログラム冊子の写真家の方ですね? コメントありがとうございます。私もぽちっとしました。


投稿: naoping | 2009年5月17日 (日曜日) 10時27分

 こんばんは。

 都電荒川線にて”バイロイト詣で”をされたとの由・・・お疲れ様です。
 掲載されているお写真(1・2枚目)に写っている先頭部分が紅色っぽく塗られた車両は先月下旬にデビューしたばかりの都電8800形車両なのですが、もしやそれに乗られて聴きに行かれたとか・・・

 それはさておき、今度の都区内北部の下町・荒川の地に於けるワーグナー舞台作品の上演、取り組み自体は立派なものと感じました。
 尤も一部「常磐ハワイアンセンター」っぽいところがあったとの由には正直心の中で「クスッ」ときてしまいましたが・・・

 来年以降もこの”あらかわバイロイト”の取り組みは続くとの話を聞きますので、少しずつでも成長していってほしいと願うところです。

投稿: 南八尾電車区 | 2009年5月24日 (日曜日) 01時16分

>>南八尾電車区さん
密かにお待ちしておりました。>電車ネタ
私が乗ったのは残念ながら行き帰りともに旧型でした(赤いの乗りたかった~)。写真の電車は反対車線の電車でした。「きれいな色だなあ」って思って撮ったんですけどやはり最近デビューした子だったのですね。すっごく可愛いですよね。しかし来年のあらかわバイロイトまでは私が乗ることは多分ないと思います。

ハワイアンセンターは恐らく観客全員・・・いや出演者も思ったと思います。その方々と同じ舞台で国内第一級のワーグナー歌唱を堪能するという稀有な体験をさせて頂きました。来年(予定)のトリスタンは・・・合唱はせいぜい船乗りと出迎えの人くらいのものなので、「え?こんなおじいさんが船乗り?」みたいな感じがするくらいかも。

投稿: naoping | 2009年5月24日 (日曜日) 10時00分

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