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2009年5月28日 (木曜日)

イアン・ボストリッジ/ブリテン初期歌曲集

51zhrmymz6l__sl500_aa240_ サマセット民謡「おお悲しい」
ブリテン:4つのフランスの歌「六月の夜」「英知」「子供」「秋の歌」
フランス民謡「父さんと暮らしていた頃」「エイオー!エイオー!」
シンフォニエッタ 作品1
我らの狩をする父たち
サフォークの童謡「オリヴァー・クロムウェル」
(以上、民謡・童謡はブリテン編曲)
イアン・ボストリッジ(テノール)
ダニエル・ハーディング指揮/ブリテン・シンフォニア

このところブリテンばっかりでちょっとこのブログも静かな感じになっているんですが、すいません今日もブリテンで(・・・しーん)。ブリテンがガキから青少年時代にこさえた曲を主に集めたCDである。思いっきりマニアックな選曲が禍いし、もしかして廃盤?

CDに針を落とすと(いや、針はないのでこの場合どう言ったらいいのやら)、はなっから「東京電力・テプコからのお知らせです」の曲である。そうか、そういう題名だったのかあの曲は。おお悲しい。電気使い過ぎてでんこちゃんは悲しい。もっと節電しろ。

このCDに収録されている曲の作曲年齢は民謡・童謡の編曲以外では「4つのフランスの歌」が14歳、「シンフォニエッタ」が18歳、「我らの狩をする父たち」が22歳だそうである。

14歳ってのがちょっとびっくりだが、師匠フランク・ブリッジに師事したのが14歳でその頃の作曲らしい。このフランス語の曲は、ふと聴いてみるとブリテンとはとても思えない。いろんな作曲家の影響うけまくりである。第一曲目なんてびっくりのベルクのそっくりさん。ブリテンがベルク好きなのはのちの作風からも明らかだが(そもそも、英国には珍しく前衛的な作風をも受け入れる師匠の影響だという)、14歳からヤツはこんなだったのか。この歌曲集の他の曲はマーラーっぽいのやらドビュッシーっぽいのやら。でも14歳でこれはすげえ。

ところで、このCDを聴くのはずいぶん久しぶりなの。途中で聴くのをやめてしまったりしていた。それは、なんでかというと。

フランス民謡の「エイオー!エイオー!」という曲がどうしても生理的に受け付けないのだ。そもそもこれ 元はブリテンの作曲ではないしどうでもいいのだがどうしてもダメだ。今日は我慢して全部聴いてみたけど、この曲だけは もー二度と聞きたくない。なんか「エイオーエイオー」という掛声がどうも骨髄に響く感じがするのである。

ま、それはおいといて。シンフォニエッタはブリテンの作品番号第1番で、いかにも学校で書きました的な感じでなるほどうまく出来ているけど、まだブリテンらしさという点では・・・まだそんなでもない。

で、このCDの主になる歌曲集「我らの狩をする父たち」でやっとなんだかブリテンらしさが出てくる。年代的には郵便局記録映画の曲「ナイト・メール」を作った頃である。この郵便局の仕事(っていうのもへんだな)で詩人・オーデンと出会う。「我らの狩をする父たち」5曲のうちプロローグとエピローグはオーデンの詩による。

この歌曲集のテーマは・・・動物愛といったところであろうか(よくわからないが)。ねずみ、猿、鶉、鷹などが歌詞に登場する。戦争大っきらいなブリテンは狩猟も嫌いだったようだ。(大体、英国人で不思議なのは動物を時に人間以上に大事にするのに、狩猟がスポーツのように盛んだったりすることである)

途中、魔法の呪文っぽい歌詞?が出てくるが、そもそもこのボストリッジという歌手はケンブリッジだかオックスフォードだかで魔術師の研究をして博士号らしいんで、この曲はぴったりな感じがした。つか、ボストリッジって結構怪しくないか?外見からして。ハリー・ポッターの映画に出てきそう、怪しい先生役で。奇麗な声で油断させてみんなに魔法をかけちゃうぞー、はっはっはっは。

最後はブリテン編曲民謡では結構有名な「オリヴァー・クロムウェル」でしめる。この曲はオケ編曲で聴くと結構うるさい。うう。

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コメント

先日の教育テレビでやってたボストリッジの来日リサイタルもイギリス歌曲を集めたものでしたね。行けなかったのでありがたかったです。
以前リサイタルで接したボストリッジは長身痩躯な上に顔も長く、上半身の身振りがやけに激しいのが印象的でした。声が喉や声帯からではなく、まるであの広いおでこから四方に向けて放射されているかのようなのです。ボストリッジがこっちを向いている時はその声を強烈に浴びることになります。あっちを向いている時はちょっと寂しい気がします(笑)
なんともインパクトの強い歌手であります。もちろん言うまでもなく大好きです。

投稿: 白夜 | 2009年5月29日 (金曜日) 21時57分

なんかこのCD、わたしの持ってるブリテンの歌曲集と歌手も指揮者もオケも同じだなあ、と思ったら、曲目も全部同じでした。日本語タイトル見ただけだと全然別のものかと思ってしまいます。このCD買ったけどあんまり聴いてなかったので。。。久しぶりに聴いたら、悪くなかったけど。
ボストリッジ博士の歌う歌曲ではやっぱりシューベルトのほうがずっといいので。フィッシャー=ディスカウのと同じくらい好きだわ。
でも、最近は、博士の歌うヘンデル・アリアにはまってます。いいのよ、これが、意外にも。

投稿: レイネ | 2009年5月30日 (土曜日) 19時30分

>>白夜さん
教育テレビでそんなこと。うう、全然見逃してしまいました。しかもイギリス歌曲・・・。不覚です。

ボストリッジ、実は初来日のとき(ハーディングと来た)に見たはずなんですが、ブリテンの「セレナード」歌ったはずなんですが、あんまり覚えてないんですね~。なんでしょうね。席遠かったのかしらん。ボストリッジは何にしても不思議な歌手です。


>>レイネさん
このCDお持ちでしたか。ずいぶん渋いものお持ちですね(・・・って私も?)。そうそう、日本語の題名だと別モノに感じますね。私は今となっては貴重な国内盤を持っているのです。

私は実はボストリッジがイギリスもの以外歌うの聴いたことないんですよ。ヘンデル!これはよさそうな感じですね。


投稿: naoping | 2009年5月30日 (土曜日) 20時06分

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