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2009年5月19日 (火曜日)

ピーター・グライムズ(1969年・BBCテレビ)

ブリテン: 歌劇「ピーター・グライムズ」
ピーター・ピアーズ(ピーター・グライムズ)、ヘザー・ハーパー(エレン)、ブライアン・ドレーク(ボルストロード)、エリザベス・ベインブリッジ(アンティー)、オーウェン・ブラニガン(スォロー)、ロバート・ティアー(牧師)
その他
ベンジャミン・ブリテン(指揮)、ロンドン交響楽団 アンブロシアン・シンガース
ジョン・カルショー(プロデューサー)、ブライアン・ラージ(ディレクター)
(DVD 1969年、BBC制作)

ふうむ、いつの間にかこんなものが発売されてたとは。知らなかったのよ。渋谷塔の安売りにて発見。昨年の今頃(とっくに)発売されてたようだ。今頃何言ってんのといわれてもしょうがないが、びっくりした。

タワーの説明文によると。

英国の国民的作曲家ベンジャミン・ブリテンと同じく最高のテノール、ピーター・ピアーズ。このふたりは長きにわたり良きパートナーであり、互いに芸術的インスピレーションを与え合ったことで知られています。今回、BBCアーカイヴのフィルムが完全初出。ビデオ、LDなどのフォーマットでもまったく販売されたことがなかった映像です。

ブリテンのオペラの中で最も成功を収めた作品ですが、ピアーズ&ブリテンによる映像は今回のDVDの物が唯一です。1969年のスタジオ収録。これは、カルショーがDECCAからBBCへ移るのを記念して収録が決められたもので、政治的背景を読み取るのも密かな楽しみかも知れません。ピアーズ以外も当時のイギリスを代表する歌手が揃い、映像の貴重度をさらに高めています。

他に「ビリー・バッド」と「オーウェン・ウィングレイヴ」も並んでたので買い占めた(大人買いといえよう)。渋谷で欲しい人すまん。

さっそく「ピーター・グライムズ」だけ見てみた。

ブリテン指揮のCDとはピーター以外はまた別のキャストだが、こっちはこっちで名歌手が並んでる。

これはまったくのスタジオ録音で、舞台ではない。映像的には(なんとなく)TDLの「カリブの海賊」とか「大草原の小さな家」を思い出す、服装とか。年代的にそんな感じなのか?セットは・・・うーん。このオペラで重要なはずの「海」がなんか灰色の厚手の布をぷっかぷっか人口的に(下から)動かしているだけだ。なんとなく貧相。ドリフっぽい?

有名な間奏曲の映像は心象風景というか、光と影の動きによって表わされる。

テレビ用の制作っていうんでどんなもんかと思えば、この映像はテレビで家族団らんして見ても、楽しいものでも心温まるものでもない。容赦ない。ぐさぐさと見る人に突き刺さっていく内容である。殺伐とする。

ところで私、映像になっている(舞台でも)「ピーター・グライムズ」を見るのはこれがまったく初てである。CDでしか聴いたことない。(もし、衛星放送かなんかで放送されていてもウチは見られない。) そういえばピーター・ピアーズが歌曲以外で何か『演じている』映像を見るのも全く初めてである。で、見るとなるほど、ブリテンがこの声を想定してこの声のために書かれた役だということが(CDよりも)もっとわかる。

で、思ったんだが。

普通、「村民の嫌われ者」とか「あらくれ者」とかそんなキャラクターだったらこんな優しいリリックの声のテノールをキャスティングするもんだろうか。最初から「そーゆーものだ」と思っているから違和感ないけれど。他の作曲家だったら、バリトンとかバスにするんじゃないかな?逆にこういう声にして不気味さを出すのには成功してるけども。

とはいうものの、ピアーズはやはり創唱者というか全然違う・・・って他の歌手で聴いたことないんだけんども(←え)。映像でみると舞台俳優っぽい。さすがは演劇の国である。

他の歌手もみんな素晴らしいが、とくにハーパーのエレンは本当によい。美声で心が洗われるような歌唱である。特に第2幕の冒頭で教会の合唱とともに歌う場面は本当に美しくて殺伐とした中でオアシスのようなシーンである。あと、ぜんぜん歌わないけど子役の男の子はとても可愛いし演技力ある。もしかして、存命なら今はもう50歳くらいになるのかなこの子。

(あと、オペラだからしょうがないのかもしれないけど歌手一人一人も合唱もあまりにも上手なので、「なんでこんなにこの漁村の住民は声だけは美しいのか」とか逆に不自然に思ってしまった。私だけか?)

まあ、述べたように映像的には殺伐として暗いし全然楽しくないので、何回も見たいもんでもないけど、見終わったあとずっしりと心に来る。うーん、でももう一回見ようかな。

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コメント

あらら、新宿タワーで買占めちゃったの?
去年から欲しかった3つのオペラ、まさにブリテンしているといえよう。
 いずれも映画だし、ちょっと躊躇していたんです。

ブリテンオペラの傑作は、ピーターとビリーバッドだと思います。ビリーのおホモ世界はモノクロだとかなり怪しいんじゃないでしょうか?
 ピーターグライムズは、メットのライブビューで見ましたが、凄まじく殺伐とした厳しいドラマでしたよ。
そこでも、少年が哀れで・・・・。
新国の尾高さん上演に期待しましょう。

投稿: yokochan | 2009年5月21日 (木曜日) 00時21分

>>yokochanさん
買い占めたのは渋谷なんで大丈夫です(?)・・・新宿塔にもあるかな?
まだピーターしか観てないんですが、ブリテン好きならご覧になったほうがいいかと。作曲者の意図とかわかるし、ピーター・ピアーズが演じるピーターが観れるのもまた貴重です(「おー」って思います)。映画といってもテレビ放送用っていうのも(セットが貧相で)また面白いです。

あの少年は可哀そうですね。なんか戸塚ヨットスクールを思い出しました。

投稿: naoping | 2009年5月21日 (木曜日) 00時35分

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