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2009年3月20日 (金曜日)

モンテヴェルディ/ポッペアの戴冠  ガーディナー

モンテヴェルディ:歌劇「ポッペアの戴冠」
シルヴィア・マクネアー(ポッペア)
ダナ・ハンチャード(ネローネ)
アンネ・ソフィー・フォン・オッター(オッターヴィア)
マイケル・チャンス(オットーネ)
フランチェスコ・エッレロ・ダルテーニャ(セネカ)
キャサリン・ボット(ドゥルシッラ)
ベルナルタ・フィンク(アルナルタ)
ロバート・バルコーニ(乳母) その他
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ

一昨日貰った大量のチラシの中で見たのだが、近々この「ポッペアの戴冠」てオペラを新国立劇場中劇場でするらしい。主役はモリマキさんでな。やはりこの役は男を惑わす色香がないとね。こないだテレビでみたときはすっかりおかーさん体型(っていうのは太ったって意味じゃなくて、出るとこ出てたっつー意味)になってらしたけども、この役には容姿的に不足ないかと。

私はこのオペラ、一回だけナマで見たことがある。ずいぶん前だがオール日本人で、何故か演出が歌舞伎っぽくアレンジされていた。全員和装でした。女性は十二単だった気がする。副題名は確か「花羅馬恋立引」だった・・・ような。漢字間違ってたらごめんなさい。あ、「はなのろうまこいのたてひき」って読むんだったよ。
普段、あまりバロック系は聴かないのだが、この舞台はとても楽しめた。歌舞伎好きの友人も連れて行ったのだが、面白かったみたい。最後はお雛祭りみたいな戴冠式になってた。ちょうど3月の公演だったと記憶する。

で、その時の予習として買ったんだか・・・このCD。そんなに滅多に聴くことはないのだが、久しぶりに引っ張りだしてみた。

このオペラの筋書きはローマ時代って昔の話なのに、とても革新的である。例えて言えば、ベルクのオペラなんかと大差ないって思う。筋を簡単に言えば、愛人が正妻をおんだして自分が妻の座につくというもの。

あらすじ
<プロローグ>
神々の遊び。運命の神と美徳の神が「私たちの力が一番だ」と語りあっている。そこへ愛の神が「一番は私だ」と登場。運命と美徳は「お前だったのか」とそれを認める。

第1幕
皇帝ネローネの時代のローマ。皇帝ネローネは自分の部下である騎士長オットーネ(出張中)の妻ポッペアと情事を重ねていた。ネローネが去るとポッペアは戴冠に夢見て心躍らせるが、乳母はこれをいさめる。一方ネローネの妻オッターヴィアはダンナの不貞を嘆いている。

オッターヴィアの元にネローネの師であるセネカが現れ、彼女を慰める。しかしネローネは妻を離縁しポッペアを正妻に迎えることにしたという。それを聞いたセネカはネローネをいさめるが、ネローネはブチギレるばかり。

そのことを知ってポッペアは大喜びし、邪魔者のセネカを亡きものにしようと皇帝に仕向ける。そしてオットーネに別れを告げるポッペア。オットーネは彼に想いを寄せる宮廷の女ドゥルシッラに慰められるが、ポッペアを忘れることはできない。

第2幕
セネカは皇帝からの使いに死を命ぜられると、自分で命を断つ。オッターヴィアはオットーネにポッペアの殺害を命ずる。一方ドゥルシッラは自分の恋の成就を信じて幸福に舞い上がっている。オットーネはドゥルシッラの服を借り変装して妻の暗殺に向う。

戴冠への希望を強めたポッペアが乳母の子守唄でまどろんでいる所へ、女装したオットーネが現れ妻を殺そうとするが、ポッペアを応援する愛の神が現れ「私だ」とこれをさえぎる。オットーネは逃走。愛の神はポッペアを皇妃とすることを宣言。

第3幕
そんな大事件が起こってることもつゆ知らず幸福な様子のドゥルシッラだったが、ポッペア暗殺の疑いをかけられ捕えられてしまう。彼女は皇帝の前に引き出される。ようやく事情を知った彼女はオットーネの身代わりに死のうとする。そこへオットーネが現れ自分が真犯人だと告げる。かばい合う二人をネローネは追放処分に、さらに陰謀の張本人の妻オッターヴィアを小舟に乗せて海に流すことに(島流し?)。オッターヴィアはアリアを一発歌ってローマに別れを告げる。

全ての障害がなくなったネローネとポッペアは戴冠の時を迎える。愛の神やすべての人に祝福される二人。めでたしめでたし・・・て。

めでたいのか?
 
まあ、追放されたとはいえ新しい彼女ができてダンナのオットーネは良かったのかもしれない。ドゥルシッラは何よりラッキー。一方オッターヴィアは可愛そうだ。お舟がついた島でよいご縁がありますように。本来なら可愛そうなこっちを主役にすべきだと思うが、あくまで主役は悪役のポッペアなのが、このオペラのポイント。

こういった設定でなかったら、今も普通に上演されているかどうか。バロックな演出でも、逆に現代的な演出でもどんな読み換えにも対応しそうな筋書きだから、今も上演される機会があるのかな。少なくともモーツァルトのオペラよりも刺激的だ、私には。

さて、このCDの演奏は(一般的には普通なのだろうか)主役はほとんど女声かカウンターテナーなのでなんだか区別が付きにくい。暴君ネローネがソプラノっていったいなんなのよ。そしてオッターヴィアの乳母が男の人が演じてたり(ばってん荒川さんを想像)、なんだかややこしい。

普段聴きなれている歌手のみなさん(マクネアーとかオッターとか)がバロックということでちょっと違う発声なのがまたいい感じ。ノンヴィブラートだったり小刻みなヴィブラートだったり。マクネアーのささやくような声がエロい。

ただ、この曲 CD3枚でうち2枚は目いっぱいって少し長すぎる気はするが(こんなに長かったっけか?)。舞台で見るとドラマティックで面白いのかもね。

(新国のこの曲の公演は行く予定はなし。飯守さんのガラコン買っちゃったんで。すいません)

出演者が何故かみんな奇麗な件。

http://www.youtube.com/watch?v=4E3C5tbmKtY

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コメント

このCDは、携帯プレイヤーに入れて、夜な夜な枕元でかけています。台本は読んでいないのですが、音楽は聴きやすいと思っています。でも、どちらかというと「ウリッセの帰郷」の方が、好きなので、新国でやってくれないかなー。

あのー、恥ずかしながら、『「世界のかみさま」の絵がないのが残念』って意味が、わからないのですが…
まあ、文章と同じで、どっちにしても、描けるものしか描けないのですが。

投稿: にけ | 2009年3月20日 (金曜日) 18時53分

>>にけさん
バロック音楽全体の中で自分のレパートリー(というか聴くだけなんですが)が3曲しかなくて(ポッペア、オルフェオとエウリディーチェ、ダイドー)、これだけでバロックを語るのはおこがましいのですが、この曲は好きですね。

あー、最後の「ワルハラ入場の場面」の世界のかみさま、白スーツ大仏とかオバQ?とか卑弥呼様とか沢山出てきましたよね、アレの事ですよ。(パンフレット19頁に解説あり) 言葉足りなくてすいません。

投稿: naoping | 2009年3月20日 (金曜日) 19時41分

ポッペアの戴冠のCDをショップで探していて、ウリッセの帰還を買って帰ってきてしまった最近です。
新国立劇場でやるんですか。行きたいなあ。ちょっと日程をチェックしてみます。
情報ありがとうございます。

投稿: ピースうさぎ | 2009年3月20日 (金曜日) 21時13分

絶対見逃せない、聞き逃せない主要バロック・オペラは、「ポッペア」「オルフェオとエウリディーチェ」「ダイドー」に、ほぼ尽きると思いますので、これプラス、ヘンデルの「ジュリオ・チェザーレ」を押さえたらばっちりです。
それから、前回の「ダイドー」のあらすじではツッコミどころがいくつかあるんですが、今回は主要人物とその愛憎劇を明快によくまとめていらっしゃるわ。

ヨーロッパでの「ポッペア」公演は、最近ではバルセロナでサラ・コノリーのネローネ、来シーズンはマドリッドでフィリップ・ジャルスキーがネローネと、いい歌手のが続きますが、なんといっても我が愛するマレーナ・エルンマンさまのネローネが非の打ち所がないハマリ役でした。(他のは観てないので比べられない。。。)

投稿: レイネ | 2009年3月20日 (金曜日) 21時13分

>>ピースうさぎさん
こんにちは。ピースうさぎさんは単身赴任になられるのですね。ちょっとさみしい?けど一人もたまには悪くないんじゃないかなあと思います。なんといっても神奈川はコンサートいいのたくさんやりますから(私は神奈川県寄りの東京なので横浜川崎方面に行くこと多いです)。
新国立劇場だって行けるじゃないですか!「ポッペア」は当日Z券1500円っていうのがあるんですね。買えるかどうかわからないけども。


>>レイネさん
まいどどうも。そうそう、ヘンデルのオペラもありましたね。「ダイドー」は対訳持ってないのがバレバレでした・・・笑。「ポッペア」はアルヒーフの対訳つき国内盤を持ってるんですね。持っててよかった。

このオペラ、ヨーロッパでは結構演奏されるみたいですね。よさそうなDVDもいくつか出てますし。でも今回マレーナ・エルンマンさんという歌手を(レイネさんのブログで)初めて知ったのですが、オッターみたいに男役得意なのかしらん。なるほどカッコイイですね。

投稿: naoping | 2009年3月21日 (土曜日) 11時00分

そうでしたか。パンフレット買ってないし、確かにいろいろな人たちが出てきたのは覚えているのですが、あれって神だったのか?
確かに皆さんの記事を読んでいると興味深そうな点なのですが、私は全然別の部分を見ていたのですね。そこのところは描けません。

見終わって、最初の記事だけ書いて、これで終わりと思っていたのです。3日目に絵を描きたくなって、それから思い出して描き始めました。そんで、1週間かかりました。

あとは、エルダが出てくるところが、描こうと思って、描けなかったのです。それから、第2場を上げてから、書いておけば良かったお笑いネタをいっぱい思いついて、悔しい思いをしています。『ワルキューレ』に期待!
しないように。

投稿: にけ | 2009年3月21日 (土曜日) 22時58分

「ポッペア」は以前一度舞台で観たのですけどオケが50名近くチェンバロ2台の大編成(ホールも大きかった)でちょっと変な感じでした。
聞き逃せない主要バロック・オペラならフランス物(リュリとかラモー)も無視出来ないと思ってますけど、だからと言って詳しくないです。フランスバロックも日本で誰か頑張ってほしいです。
 今年は新国立劇場全然行けないですけど無理して休み取って聞きに行きたい気分。

投稿: シロクマ雄 | 2009年3月22日 (日曜日) 15時28分

>>にけさん

そうですか・・・・。かみさま見なかったのは残念す。
にけさんもたいそうツボではないかと思ってたので。
ワルキューレの絵はどんなでしょう。楽しみです。

それにしても、私もたまには舞台の絵を描いてみようかな?今週末のトゥーランドットとか。

>>シロクマ雄さん

リュリですかー。指揮棒足にぶっ刺して死んだということしか思いつかないです・・・。

休み取ってですか。トーキョー・リング、演出は面白いのですが、指揮者はどうなのかなあと思いました。ワルキューレはもっとガンガン引きしまった指揮で聴きたいです。なので、秋の飯守先生のワルキューレ第3幕のほうが目下のところ楽しみです。

投稿: naoping | 2009年3月24日 (火曜日) 22時45分

 今晩は。
   
 このオペラ、面白そうですね。   
 最後にまーるく解決するとか天誅が下るとかでないため、鑑賞者は皇帝ネローネとポッペアに対し、整理しきれない或る種の感情を抱くことになり・・・。昔のこと、漫才のネタか何かで「水戸黄門のテレビドラマに、もしも最後まで水戸黄門が登場しなかったら」というのがあったと思うのですが、ま、観る者にとって釈然としない顛末になると言いますか。   
   
 ところで、ネローネは皇帝ネロをモデルとしているらしいですが、だとすれば、オットーネはオトがモデルになっていることになり・・・ Wikipedia での「オト」の項に気になる言及がありますが、ネローネとオットーネとの間にその種の過去の関係があったとすれば、オットーネの怒り・感情は普通に想像される以上のものがあったかも知れず・・・オペラにおいて彼ら二人のそういう関係が描かれて/示唆されているかどうか知りませんが(オペラ上そういう示唆があるならば、配役としては、ポッペアが魅力的女性であるばかりでなく、ネローネまたはオットーネの少なくとも一方くらいはやはり美男子然としていないと恰好がつかない気も・・・ま、そっち方面は分からない世界なんで何とも言えないですが・笑)。  
   
 オペラを離れて歴史の話になりますが、オトが処刑によって命を失うことなく、のちに皇帝の位に(短期間でも)就くことが出来たというのは、ホッとするところがあります。   
   
 いや、ローマ帝国の時代に限りませんが、濃くて過激な人生を送っている人たちがいたものです。   
 それにしても、出張族とか、単身赴任中のオトーサンとか、遠距離恋愛中の青年とかに一抹の不安を抱かせかねない皇帝の手口には許しがたいものが・・・。   
   

投稿: クラシカルな某 | 2009年3月25日 (水曜日) 20時02分

>>クラシカルな某さん
まいどです。
このオペラは(普通の演出の舞台を見たことがないのですが)おそらく舞台で見ると演劇的にたいそう面白いのではないかなあと思います。それにしてもずいぶん昔の話なのに、なんというエロ・・・。結構きわどい演出にすることもできそうな感じです。

そうそう、ウィキペディアにはずいぶん入り組んだことが書かれていますね(長い文章を読むのが苦手なので挫折しましたけど)。ローマ帝国とかこういったところから世界史に興味を持てればよかったのに・・・と自分で思います。なんか石膏像とかは学生時代ずいぶんお世話に(苦しめられ)なりましたが・・・。

オトちゃんとネロちゃん出来てたんだ~うわ~。なのにオトの妻ポッパエアともデキてしまうとは。なんという人間関係。なんて世間は狭いのやら。そして史実では妻オクタヴィアは自殺させられるのですな。

やはり「英雄色を好む」ですな。

投稿: naoping | 2009年3月26日 (木曜日) 22時48分

バロックオペラは音楽の雰囲気とは裏腹に、どろどろとした人間ドラマがあって、本当に驚きます。すごく面白い。ぜひ、生で観たいと思っています。

投稿: Mevrouw | 2009年3月27日 (金曜日) 22時16分

>>Mevrouwさん
ヨーロッパは日本とは違いバロックオペラが多く演奏されるようで(っていうのはレイネさん情報)、もっとポピュラーなのかなあと思います。

・・・と思ったら、二期会で「ウリッセの帰還」やるみたい。もしかして流行っているのかしらモンテヴェルディ。

投稿: naoping | 2009年3月28日 (土曜日) 21時50分

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