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2008年12月14日 (日曜日)

マゼール/抒情交響曲


ツェムリンスキー:抒情交響曲
ユリア・ヴァラディ(sop)、ディ-トリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
ロリン・マゼール指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(1981年3月 ベルリン)

過去記事:シャイー/抒情交響曲

抒情交響曲(シノポリ)

グレゴルの抒情交響曲は意外と。



(疲れのため、いつにも増して文章がめちゃくちゃなことをお詫びします)

毎日の残業と忘年会の連チャンで死にそうである。ぐったりです。音楽聴くの久しぶり。そうそう、真央ちゃん優勝おめでとうであります。

で。今日は真央ちゃんには何の関係もないツェムリンスキー。(交響詩「人魚姫」はいつ試合に使ってくれるのか?) こないだ買ったまま放置のマゼール盤である。

考えてみるとこの曲が日本のコンサートで取り上げられることは意外と?あまりない気が。私に入るコンサート情報が少ないからかな? 

私がこの曲を生で聴いたのってたった一回である。N響で釜洞さんが独唱だったってこと以外あまり覚えてない。指揮者も忘れた。もっと有名なマーラーの「大地の歌」も意外とコンサートではやらないような気はするけど・・・。やはり独唱者が必要な交響曲は、あまり一般的ではないのだろうか。

ツェムリンスキーについては、ここのブログでは大人気ではあると思うけど、一般的には「アルマに振られた男」とか「ベルクやそこらへんのお友達」とか「シェーンベルクのヨメの兄」ということでしか名前が知られてない気がするんだが。気のせいか?

・・・で、このCD。永らく廃盤になってたというこのマゼール盤だが、このたび 塔で千円という安価で発売されました。

このCDの売りは何と言ってもベルリン・フィルが演奏しているってことである。そしてドイツの島田夫妻ことD・F=Dとヴァラディが歌ってるってことだ。

私は今ではすっかりF=Dが好きになっているけれど、そもそもF=Dが苦手であった。頭脳的というか、確かに考え抜かれていてうまいんだけど、どうも親しめなかった。このCDでは、私自身が彼の歌唱に慣れたせいか毛嫌いするほどの違和感はない。人間、慣れって大事だ。この曲にぴったり合っているかどうかは・・・疑問だけれども。

ヴァラディは好きな歌手の一人だから全然オッケー。なんでか重量のあるドラマティック・ソプラノの歌手の録音が多いこの曲の中で、可憐な雰囲気があっている。つか、本来は叙情なのだからこっちじゃねえの。(すいません、シェーファーは未聴なので。)

しかし。しかしだ。

なんだか落ち着かない。マゼールは落ち着かない。「マゼールだから」という先入観が私をぐるぐる縛っているのか。

最初からシュトラウスの交響詩か?と思うくらい、圧倒的演奏である。あれー、これではウィーンの情緒はぶっとんでしまわないか。キュートなはずの第2楽章もなんでこんなに強烈なの?ツェムリンスキーの官能性とか(このブログでイヤというほど語ってきたエロさ)がどっか行っちまってる。ベルリン・フィルだからっつーことでもなさそうなんだが。これがウィーン・フィルだったら・・・とかそういう問題でもない気がする。

例えば第5楽章は「もうキスはたくさんだ!」なんて歌詞なのに、F=Dの歌唱とあいまってなんだかものすごい威圧的な音楽になっている。なんかF=Dに怒られてるみたいよ。さんざ尽くしまくってやったのに、突然意味もわからず客に怒鳴られてるデ○ヘル嬢のよう。なによもうあたしだってたくさんよ。

ということで、この演奏はこの曲からツェムリンスキーの官能性とかウィーンの情緒とかを求める人には少々方向性が違うかもしんない。しかし人それぞれ思うことは違うのでこういうのがいい人もいるんだろう。ベルリン・フィルの演奏はやっぱり格調高く素晴らしいです。

まあ、曲かを知るにはいいかも。録音もいいし。それに対訳つきでありがたい。しかし対訳の日本語の文字があまりに小さい(ねこに集る蚤くらいの大きさ)。お年寄りはぜひ虫眼鏡を用意されるようお知らせしておきます。

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コメント

いやあ、naopingさん好み「叙情交響曲」も出揃ってきましたね。エロス不足気味ですか、この盤は。でも、本当に、ツェムリンスキーを語れるブログっていうのは貴重です。
私事になりますが、先週の土曜日、義弟主催のチャリティパーティーでツェムリンスキーの例のピアノ曲を弾きました。マイナーなので多分知ってる人はいないだろうから、間違えても家族以外気がつかないだろうと目論んで。
目論みは見事に当たりました。が、計算違いも。ドイツ人が40人くらい集まったパーティーでしたが、「あの曲は東洋的だけど、日本の作曲家の作品か?」と訊かれてしまいました。ううむ、やっぱり、世紀末ウィーンの世界を表現するのは、未熟なわたしには無理だったんでした。

投稿: レイネ | 2008年12月14日 (日曜日) 19時12分

naopingさん、こんばんは!
ご紹介のマゼール盤、私にとってこの曲&この作曲家との出会いの録音でした。(そして、たぶんカンディンスキーの作品を初めて観たものとなると思います。)そのためか、この曲はマゼール&ベルリンフィルそしてDFD夫妻がすりこみとなっています。
DFDの歌唱は今もって好悪が激しいのですが、悪役には好きなものが多いです(笑)。
さて、師走に入り師匠はカッポーの中で戯れる毎日をお過ごしと存じますが、私は今もってニーベルハイムにおります。Xデーが近づきましたらば、愛を断念したニーベルハイムを抜け出してはみるものの、リーゼンハイムの洞窟に篭ってお宝にまた手をつけることでしょう…
はい、予告です(笑)。Xデーあたりになりましたらば、「音楽鑑賞雑記帳」を訪れてくださいまし…

投稿: Niklaus Vogel | 2008年12月14日 (日曜日) 22時11分

マゼール盤は発売当初FMでよくかかっていたので聴きました。対訳なしで響きに浸っていただけでしたが。その後シャイー、ギーレン、シノポリ、エッシェンバッハと買い集めて行くうちに、マゼールの筋肉質で頭でっかちなアプローチに異和感を感じるようになり、今回も購入は見送っております。
それにしてもこの曲、たまには実演で聴きたいものですね。在京オケで取り上げてくれそうなのは若杉、下野、アルミンクあたりでしょうか。シルヴァン・カンブルランが読響のシェフに就任した暁にはぜひ期待したいのですが、それまで待ちたくないというのが本音です(笑)

投稿: 白夜 | 2008年12月15日 (月曜日) 00時21分

マゼール盤は最初に買った叙情交響曲のCDだけど、もう14年前になりますね・・・で、その時にイメージが出来上がってしまったか(?)、シャイー盤やシノーポリ盤を買ったときにどうもピンと来なかったですね。

何しろカラヤン時代のベルリン・フィルが演奏しているわけでシャイー盤やシノーポリ盤の豊麗さというよりは豪華な色彩とマゼールの明晰さでぶった切ってる感じですね。マゼール盤が出てきたときにはまだまだ秘曲扱いだっただろうこの曲も、選択肢が増えた事は歓迎すべきですね。マーラーだって今ではいろんなアプローチがなされてるし・・・

>もっと有名なマーラーの「大地の歌」も意外とコンサートではやらないような気はするけど・・・

確かに声楽付きの曲になるとなかなかお目に(耳に?)かかる機会が少ないですね。そんな中でも先月の九響定期でのベルシャザールの饗宴や(来年6月には大阪フィルも演奏するそうで、その際には九響合唱団が参加するとか)今月のマーラ4番は本当に良い機会でしたし、来年にはメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」全曲とか交響曲第2番「讃歌」含む全交響曲を演奏するそうで、このチャレンジ精神に頭が下がります。

投稿: Masahiko | 2008年12月15日 (月曜日) 23時10分

マゼールにはやはり先入観があったので購入してませんが、
島田夫妻の「抒情」ならオルフェオのツァグロゼクのライヴ盤持ってるからいいかなと。
こっちはハルトマンの「歌の情景」も入ってるし。
F-Dはやはり説教臭いですが、官能への欲求を必死に理性で押し殺そうとしてると思って聴くと逆に萌えます。
コメントでカンブルラン/読響の話題もありましたが、
読響ならアルブレヒト時代に採り上げられなかったのが不思議です。

投稿: フィディ | 2008年12月16日 (火曜日) 16時46分

最近このブログの表示が重いんですが、私のPCだけなんでしょうか・・・ご迷惑かけてすいません。


>>レイネさん
公衆の面前でツェムリンスキーを弾けるなんて素晴しい腕前なのですね(って・・・もしかしてレイネさんはヨーロッパ在住のピアニストの方なのかしら~)。
ドイツ人でもツェムリンスキーなんてよく知らないから(?)、弾く人の外見から判断して日本の音楽に聴こえるんじゃないですかね。「あ、あれはよく知らないけどたぶんタケミツとかいう作曲家に違いない」とかね。


>>Niklaus Vogelさん
こんばんは。
DFDは、彼の本領である歌曲や声楽曲に今一つ惹かれないんですけど、シュトラウスやワーグナーのオペラだと何故かいいんですね、これが。説教じみたとこがあんまりないんで。あ、説教じみてるとこがいいのかしらん。

まあ、師走なんですがクリスマシてるような盛り場にも行けないくらい仕事が詰まってて、今年はツリーとか電飾とかほとんど見てませんな。残業だらけですが、お金がたまるということはまた好きなオペラを見に行けるってことなんでまあいいかなと思います(←まじめな返しでごめんなさい)。お金もらえるニーベルハイムって感じです。

音楽鑑賞雑記帳が復活するんですか!楽しみにしています。

>>白夜さん
マゼールはどんな曲でも見事に期待を裏切らないので、まあ今回も覚悟はしていました(何で買った・・・)。マゼールのファンの人は彼のそういうところが好きなのかなあ。グレゴル盤を聴くと思うんですが、比べるとツェムリンスキーの曲にある人間の心の深い痛みと憧れみたいなのがマゼール盤にはまるでないんだなあと思いました。

実演で聴いた時は釜洞さんが曲に合ってるなあと思ったの以外覚えがないんですね・・・。アルミンクあたりやってくれたらなあと。バリトンは石野繁生さんで(って勝手にキャスティングしてみる)。

>>Masahikoさん
マゼールでこの曲のイメージが出来上がってしまったのですか・・・ううう。私は逆にシャイーとシノポリで入ったのでマゼールが受け付けないのかも。ま、この曲が好きなのでいろんな面が見えるのはいいですね、おっしゃる通り。ベルリン・フィルは確かにぜんぜんうまいです。カラヤンが指揮してたら逆にどうだったんだろうか。


>>フィディさん
ツァグロセク盤・・・これは持ってないですね。FD、逆に萌えるんですか・・・そういう聴き方もありますね。発見。でもマゼール盤はオケとの相乗効果もあって全然萌えません私。全くお説教に聴こえるもんで。

ずっと抒情交響曲のことを書き続けて、ここのコメントが沢山あるのを見たどこかのオケの関係者が「おお、この曲はこんなに隠れた人気があるのか!」と取り上げてくれるんじゃないかと思ってるんですが・・・ダメでしょうかね。

投稿: naoping | 2008年12月16日 (火曜日) 22時01分

カラヤンがツェムリンスキー指揮するなんてまるで想像つかないけど、新ウィーン楽派の録音を聴いている限りではどっしりとした感じの、思いっきりロマン派しまくってるでしょうね。

逆にマゼールがウィーン・フィルを振って録音していたら・・・あまり変わらないかもしれないですね(笑)。

投稿: Masahiko | 2008年12月17日 (水曜日) 17時51分

こんにちは、久しぶりに家におりますので、まとめて拝見してます。
出ましたな、マゼールのツェムリンスキー。
今日のツェムリンスキー・ブーム(?)を作りだしたのが、このレコードやアルブレヒトのオペラですね。
私は速攻でこのレコードを購入し、前期シェーンベルクと同じ響きがするこの音楽にすっかり参ってしまったものです。
その後CDをたくさん聴きましたが、マゼール離れをおこしてしまった今、そのジャケットだけは大いに惹かれておりますが、遠い存在の1枚と感じられます。
naopingさんと同じで、マゼールだから・・・、という思いがイカンのでしょうかね。
もう20年以上も聴いていないのにですよ。
でもFD夫妻だし、1000円だから聴いてみようかしらね。

そうそう、飯守先生の名古屋時代に聴きましたよ。
木村俊光のバリトンでした。東京でも是非取り上げて欲しいですよね!!

投稿: yokochan | 2008年12月21日 (日曜日) 10時21分

>>yokochanさん
そうそう、アルブレヒトがツェムリンスキーのオペラ録音してましたね・・・カプリッチョ(レーベル)かなんかでしたか。「昔々(Es war einmal...)」とかだったか?よく聴いてました。
マゼールはいまだに「ルル」全曲盤を聴きとおしてません。なんか・・・違うんですね。何かウィーン的なものを勘違いしているのではと思います。毒舌。

このところ出てるプッチーニ全オペラ箱もマゼール指揮のが多くて購入をあきらめました。なんで自分の好きなレパートリーがマゼールと被るのかが不思議です。

投稿: naoping | 2008年12月23日 (火曜日) 13時45分

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