山田一雄/千人の交響曲
マーラー: 交響曲 第8番 変ホ長調「千人の交響曲」
中沢桂、酒井美津子、曽我栄子(sop)、木村宏子、長野羊奈子(A)、
板橋勝(T)、平野忠彦(Br)、岡村喬生(B)、
山田一雄指揮、東京都交響楽団、湘南合唱連盟
(1979年2月12日 藤沢市民会館)
このCDはベストセラーらしい。現在タワレコのクラシック部門では売上1位だ。
てなわけでまあ、「千人」好きの私も購入してみたわけなんだ。ヤマカズさんはご存じのとおり、この曲の日本初演者である(1949年)。他にショスタコ「革命」やハルサイも日本初演はヤマカズさんだったという。
ひと時代前までは日本のマーラー指揮者といえば山田一雄さんだったのである。
昔、千人の交響曲の日本初演のニュース映画の映像をテレビで見た記憶がある。←リアルタイムじゃないぜ、言っとくけど。白黒で、非常に古臭い映像とアナウンス(もう、気分的には「兵隊さんは太平洋戦争でお国のために戦っています」とかそのくらいの古い雰囲気だったっけ)なんだな。ちなみに『千人の交響曲初演ではルパシカを髣髴させる舞台衣装を身にまとって指揮をしたりもした。』とウィキには書いてある。
まだ「マーラーていったい誰」の時代だったのに、この大掛かりな曲を初演したなんてすごいね。
で。
このマーラー。オール日本人の歌唱とあってなんだかとても懐かしい響き。ああ、自分でもこの曲歌ったからね。でも、自分の歌ったのより心なしか・・・というかぜんぜんうまい気がする。児童合唱がなんか「ひばり児童合唱団」っぽい無垢なかわいらしさで(普通に)萌える。
(日本人の合唱だと出だしが「べーに、べーに」に聞こえる。欧米の合唱団だと「ヴィーニ」と発音してるだが。まあ、Veniなので合ってるっちゃ合ってるか)
ライブなので無論演奏上のキズはたくさんあるけれど(この曲はどんなライブ盤でもキズは多少はある)なんか・・・もうどうでもよくなる。このようなマーラーの本質に触れるようなすごい演奏が日本人に可能なのだ。第一部の終わりに「あ、ヤマカズさんやっぱり飛び上ってる」みたいな「ど、どすん」という音が聞こえる(まあ、全曲ところどころ飛び上っているような音や唸り声は聞こえる)。ほんとに大熱演。
第2部のオケ部分は「これぞマーラー」と思える響きで聴かせるが、やっぱりこの曲は演奏が難しいのか?合唱や独唱者と入りがあってなかったりところどころハラハラする。でも、まあそれもスリリングでいいのかも。
独唱者のお名前も懐かしい。中沢桂さん、曽我栄子さん、長野羊奈子さん、平野忠彦さん、岡村喬生さん・・・日本のオペラ界で活躍されていた方々である。お名前は存じ上げないのだけど、テノールの板橋勝さんはなかなかいいなと思った。
最後の神秘の合唱はとても壮大にして美しい。録音は年代のわりにはよいのでは。マンドリンの音もちゃんと入ってるし。終わったあとのブラヴォーも気持ちいい。やっぱりライブはいいね。
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コメント
こんばんは。こんな音源が出たのですか!
当時は神奈川の実家にいたもので、藤沢で千人は、ちょっと話題になりました。
そして懐かしい歌手の面々。わたしゃリアルですよ。
板橋さんは、当時のヘルデン系の歌手だったと記憶します。
日本のマーラー演奏も奥が深いものですな。
投稿: yokochan | 2008年11月26日 (水曜日) 00時42分
>>yokochanさん
こんばんは。この演奏はすごいです。
濃ゆいマーラーが聴けます。私が演奏会に足しげく通うようになる前にはヤマカズさん=マーラー、渡邉 暁雄さん=シベリウス、朝比奈さん=ブルックナーっていうその作曲家の大スペシャリストが日本人にいたんですよねー。今は・・・ワーグナーの飯守さんくらいですか(若杉さん、早く元気になってほしい)。イギリスものは大友さん尾高さんの存在が大きいですね。
それにしてもイギリス音楽スペシャリストのヒコックスは残念です。飯守さんにはうーんと長生きしてほしいです(ちょっと系統が違うけども)。
投稿: naoping | 2008年11月26日 (水曜日) 22時28分