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2008年10月 9日 (木曜日)

アイスラー/雨を描く14の方法

P1110111映画音楽集
クルト・ワイル:「ロイヤル・パレス」より
シュレーカー:大オーケストラのための4つの小品
シェーンベルク:映画の一場面への伴奏音楽
ベルク:歌劇「ルル」よりオスティナート
ハウアー:Musik-Film
アイスラー:雨を描く14の方法
ローター・ツァグロセク指揮/ENSルシェルシュ








最近巨人を応援しているから。毎晩優勝をお祈りしているから(苦情は受け付けない)。



えーっと。

退廃音楽演奏の巨匠、ツァグロセクによる隠れた名盤(とっくに廃盤)。
そもそも大編成のための曲を小編成のオケのために(ハルモニウムって安っぽいオルガンが入っていてとてもチープな音がする)編曲された曲集である。えーと、そもそもこの編成の曲もあんのかな。実はドイツ語とフランス語で曲目が書いてあってよくわからん。

このCD、ずっと温存しててたまに聴くんだけど・・・こうやって曲目書いてみるとなかなかマニアックですなあ。もー、名前だけでもなんか変人揃いっつーか。かなりキテル感じがする。

しかし、一個一個は短いんでそんなに恐れることはない。しかも映画音楽(でも純粋に映画音楽なのかなあ)なので映像を思い浮かべればなかなかいい感じである。

最初のワイルという作曲家はもちろん「三文オペラ」で有名なんだが、他にも面白そうな作品をいっぱい書いている。曲の名前が面白い。

・ロシア皇帝は写真を撮らせ給う
・ニッカーボッカー氏の休日
・ヴィーナスのワンタッチ

・・・なんて感じなのだが、どんななんだろう。

このCDにちょろっと入ってる「ロイヤル・パレス」ってのは全体は一幕のオペラらしいんだけど、ジャズっぽくてなかなか素敵。出だしびっくりするが。出オチ。

シュレーカーの曲は「大管弦楽のための」ってわざわざ書いてあんのに(大事なことなので2回いいましたよ)わざわざ小編成にしてある。この編曲しか聴いたことがないからでかいオケでは想像つかない。2曲目の「ぽぽぽぽ」した音楽が好きでたまにこれだけのために引っ張り出して聴く。鼠先輩ではないからあしからず。3曲目もかわいくて好き。

シェーンベルクはまあ有名な曲だからまーいいや。「迫りくる危機→不安→破局」。どれも字面はいやな感じだ。

ベルクの「ルル」の演奏は、私に言わせて頂ければ「これはひどい」。あの愛するオペラの中核となるあの映画音楽・・・あんなにスリリングな音楽ってそんなにクラシックの中ではないと思うんだけど、大胆に小編成にされたうえに「のったりのったり」と演奏。ブーレーズのテンポの2倍くらいの遅さ。うああああ。

で。

他ではあんまり聴けない残りの二人。居残り。

ヨーゼフ・マティアス・ハウアーって作曲家については、なんか「シェーンベルクよりも先に12音技法を発明」したのに有名になってない人ってことしか知らん。まるで「世界記録を出したのに公式記録になってないスポーツ選手」とか「論文を書くのが一歩遅かったためにノーベル賞を他に人にとられてしまった化学者」とかを思い出すんだが、本人はどうだったんでしょう。

12音技法ってよくわかんないんだが いまだに。

12音技法に対してハウアーがこさえたのは「44のトローペの理論」っていうんだそうだ。まあ、このCDで聴ける Musik-Film という音楽は、何故かシェーンベルクのようにおどろおどろしくない。「かわいらしい」とさえ思う。他の曲もこんなかわいいのかなあ。もしかしたら、半ばホラー映画入ってる気がするシェーンベルクの12音技法の音楽よりも聴きやすいかもしれん。ちょっとなごむ。9つほどの小品集で「期待」とか「スポーツ」「嵐」とかの表題もかわいい(ドイツ語なのでよくわからんが)。

最後にアイスラー。ジャイアント・ロボに出てくる冷凍怪獣ではもちろんない。
ベルクやウェーベルンと並びシェーンベルクのお弟子であるが、なんだか破門。マルクス主義とやらに溺れ?ブレヒトと仲良しになる。その後世界を転々としたあと米国に亡命。映画音楽をずいぶんたくさん書いている。(その後国外追放で東ドイツへ)

このCDに入っている音楽は、オランダの(のちにフランス)映画監督のヨリス・イヴェンスの「雨」という記録映画につけられたもんだそうである。この映画監督はその道ではかなりビッグネームのようだが、私はもちろん知らない。

この「雨」という映画はただ、いろんな雨の情景を撮影しただけの映画のようである。なんか「つまんなそー」な感じがするが、曲はそんなでもない。そんなでもない・・・か?
もう、最後のほうまで聴くとだんだん感覚がマヒしてくる。もし、この世の音楽が全部こんなになっちゃったらどうだろう。うああああ。

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コメント

お久しぶりです。
ハウアーって12音技法のB級グルメみたいな
感じで、稚拙きわまりないけど独特怪しげな
感じがありますよね。

投稿: シロクマ雄 | 2008年10月10日 (金曜日) 06時22分

>>シロクマ雄さん
おひさでございます。
ハウアー、残念ながらこのCDの曲でしか知らないのですよ。これは決して天才的な曲ではありませんが、他の曲も聴いてみたい気はします。

投稿: naoping | 2008年10月10日 (金曜日) 21時47分

あ、なんかヲイラ好みの選曲。わざわざ小編成ってのがひっかかりますが(笑)
ツァグロゼクはこういう曲ばっかやってくれりゃいいのに、
来日の時はベートーヴェンとかモーツァルトとかでがっかりですよ。
シュトゥットガルト・リングも引越公演の計画があったっていうのに。
そういえば、何かと話題の「7つの封印の書」ですが、うちにツァグロゼク盤もあったりします。

投稿: フィディ | 2008年10月11日 (土曜日) 21時33分

>>フィディさん
まいどどうも。全般的に好みな曲のCDの多いツァグロセク先生ですが(何気にウチにゴロゴロあります)、来日公演はやっぱりフツーの曲目になっちまいますね。ちなみに英国指揮者が来日してもやっぱりドイツ系音楽。シュレーカーとかばっかり演奏してたら客入らないから仕方ないけど。
「7つの封印」は・・・うちには彼のはないですね。ミトプー、メスト、シュタインです。

投稿: naoping | 2008年10月13日 (月曜日) 09時52分

アイスラーお気に召しませんでしたか^^;
実はこの曲は結構お気に入りです。ツァグロゼクのは持ってなくて、ベルリンの歌劇場のメンバーのCDで聴いています。短い断片に込められたそこはかとなき悲哀を感じます。15分ほどの映画に描かれたさまざまな雨の表情を一度見てみたいと思いつついまだ果たせません。

投稿: 白夜 | 2008年10月13日 (月曜日) 18時33分

>>白夜さん
アイスラー、耳で聴いてるぶんには普通(というか、CDで最後なので結構疲れてくる)なんですが、映像も一緒で聴いたらずいぶん違うだろうなあと思います。

ヨリス・イヴェンスの「雨」はYoutubeでさがすと1929年の別の音楽がついているのは出てきますが、1941年の(アイスラー音楽の)はないのですね。がっかり。

投稿: naoping | 2008年10月14日 (火曜日) 19時58分

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