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2008年10月 5日 (日曜日)

トヨタコミュニティコンサート/グレの歌

Pa0_0323_2 トヨタコミュニティコンサートin東京
シェーンベルク:「グレの歌」
水口聡(ワルデマール王)、佐藤ひさら(トーヴェ)、向野由美子(山鳩)、東原貞彦(農夫・語り手)、小山陽二郎(道化師クラウス)
堤俊作指揮/俊友会管弦楽団・晋友会合唱団
(すみだトリフォニーホール)





はじめに言っとかなきゃなんない。

新しい会社でのストレス&ちょっと昨日遊びすぎて(カラオケで伊藤久男からミスチルまで日本歌謡史大熱唱)体も頭も本調子ではなかった。何と無く頭がぼーっとしていた。そんな状態の聴き手ですってことも踏まえて読んで。

トヨタコミュニティのコンサートは二度目。前は1996年の500回記念の時のフランツ・シュミットの「七つの封印の書」だったから12年も前である。でも、そのときは若杉さんの指揮ってこともあって、今も忘れられないくらいの感動を残した(・・・と思うんだけど、誰か聴いた方いませんか?)。

だから、今日もそのくらいの感動を残してくれるとは思ってた。大好きな「グレの歌」だったらなおさら。

まず、前のコンサートのときと同じように三枝成彰さんの解説から。まあ、どうでもいいがシェーンベルクはいつからドイツ人になったのだろう。あたしの頭の中ではバリバリのオーストリア人だったのになあ。

お話によると「この曲はとーーーーっても難しいです。世界的にもアマチュアのオケと合唱団が演奏することは初めてではないでしょうか・・・」とのこと。

たしかに、CDで聴くと音が固まって聞こえるのでオケがそんなにいろいろなことをしているようには思えないのだが、実演で聴くと本当に色々なことがあちこちで起こっているのに気がつく。第一ヴァイオリンの人たちもみんな弓の動きが色々なので「へー、そんなにパートが分かれてるんだ」と思う。(今まで唯一この曲の実演を聴いたのは、若杉さんのN響だった)

ということで、シェーンベルクはこんな大きな編成を用いながら、まるで絹織物のような精妙な響きを作りだしているのである・・・ってことで難しいのか?

で、今日の演奏。(以下、思いつきでグダグダなので、「演奏評」とは考えないで「しろうとのバカな感想」くらいに思って読んで。)

ここ2年くらい、飯守泰次郎さんの指揮によるワーグナーの演奏を聴きたいがためにアマオケのコンサートにも行ったりしてる。で、アマオケだからってすごく劣ってるってことはないってことを知った。だから、今日も普通のオケと同じように聴いていた(つもり)。

私はあまりオケのことは詳しくないし、そんなに聞く耳は持ってない。でも、今日の俊友会さんはすごく優秀なオケだということはわかった。なぜかというと、難解で複雑で混沌としがちなこの曲を、ほぼ行方不明になることなく最後まで演奏したから。あの難しい(プロでもすっとばす演奏を聴いたことがある)道化のクラウスの所のTpのソロもちゃんと吹いてらした。

だから・・・といって。演奏会が終わって「あああ!!!!この素晴らしい演奏をありがとう!!!!みんな愛してるわ!!!!」と舞台に駆け寄るような気持ちにはならなかった。

最後の合唱の盛り上がりは素晴らしかった(合唱が晋友会さんだってこともあって)。でも、自分が愛してやまない第1部のワルデマール王とトーヴェの愛の場面は、私の期待しているような演奏ではなかった。

なんだか「1、2、1、2、」とただ規則正しい演奏のような気がした。ここは「トリスタン」ばりに官能的な演奏でなきゃ、なんか気が済まないのよ、私は。これは指揮者さんがそういう考えなのかなあ。実力的にそれがせいいっぱいのオケとは絶対思えなかった。まあいろんな考え方も演奏もあるしねえ。私が好みでない演奏だったってだけなのかしらん。

「グレの歌」も「トリスタン」も、例えはヘンだが日曜にベッドでゴロゴロしてて「あー、もう明日の仕事なんかどーでもいい」とか思うくらいの演奏じゃないと。今日の演奏は(他に仕事持ってる人が多かったとかそんなことは関係ないと思うが)どうも明日の仕事のことを思い出してしまう感じ。

・・・とここまで書いてはみたものの、そう滅多に聴けることはない「グレの歌」をナマで聴けて良かったという気持ちは変わらないから。

あ、独唱者の方。前に飯守さん指揮の「マイスタージンガー」でワルター歌ってた水口さんは、そのときは「イタオペの声じゃん」とか思ったのですが、今日は重い声が曲に合ってたと思いました・・・が、あまりにオケが巨大で強奏のときは気の毒です。佐藤ひさらさんに至っては私の席からステージの反対側にいらっしゃったのであまり聞こえず。良いお声であったのに。残念。山鳩さんの向野さんはよい歌唱だったでした。

私の席が前から6~7番目だか?だったのでちょっと前すぎ。2階席の横からとかだったら珍しい楽器もよく見えただろうになあと残念。当日券にすればよかったかもなあ。

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コメント

こんばんは。私も聴きました。
またお近くだったかもしれません。
前半は確かに皆さん固かったし、声もセーブしてました。
音楽をかっちり譜面どおりに鳴らすのも指揮者の考えだったかもしれませんね。
私は、音楽そのものの魅力にあらためて感嘆しました。
いずれ、インバルや飯守さんの指揮で再び接してみたいですね。

投稿: yokochan | 2008年10月 5日 (日曜日) 23時38分

私も行きましたが、演奏に関しては同じような感想です。
ただ、演奏がどうあれ作品の持ってる力で、ある程度の感動を得ることはできたし、
なかなか生で聴く機会のない作品を聴くことができたので十分満足しています。
声楽ソリスト陣は、プロフィール読む限りイタリアもの中心な方ばかりですが、
もっとドイツものに特化した歌手揃えられなかったんでしょうかね。
藤原にはそういう方いないんかなぁ。

投稿: フィディ | 2008年10月 6日 (月曜日) 18時23分

>>yokochanさん
多分・・・席近いですね(爆)。
昨日のホールは(お笑いで言えば)場が暖まっていない感じが最後まで続きました。「どうなんだろう?」「はて」とか思いながら私は聴いていました。やっぱり12年前のフランツ・シュミットくらいの大感動を私は期待してたのかもしれません。あと・・・やはりすみトリはちょっと足を運びづらいです。サントリーだったらもうちょっと人入るかもしれません。お金の問題もあるのかもしれませんが。

飯守さんの「グレの歌」なんて想像しただけでぞくぞくしますね。


>>フィディさん
おお、いらしてたのですね。
独唱者はみなさん頑張ってらしたし水口さんも(イタオペの声ながら)この曲はなかなか合ってた気がしました。

昨日はいろいろ文句を私は書いてしまいましたが、やっぱり歴史的に凄い演奏会であったことには変わりはないです。


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俊友会の方々、文句書いてごめんねえ。よい演奏会をありがとうございました。また演奏会ありましたら(曲によりますが)行かせて頂きます。


投稿: naoping | 2008年10月 6日 (月曜日) 20時46分

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