« 白戸家のクラシック音楽 | トップページ | ホルスト・シュタイン追悼盤 »

2008年9月27日 (土曜日)

アバド/ルル組曲&アルテンベルク歌曲集

P1110109ベルク:「ルル」組曲、3つの管弦楽曲
アルテンベルク歌曲集

マーガレット・プライス(ソプラノ)
クラウディオ・アバド指揮/ロンドン交響楽団

過去記事:ブーレーズ/ルル組曲









このところ、ずいぶんベルクを聴いてないなあ。ていうわけで、今日はアバドの指揮でな。おお、これは一番いい時代のかっこいいジャケットですな、若過ぎでもなくちょうどいい感じ。ジャケ買いではないよ言っとくけど。

私は指揮者アバドと意外と縁がない。実演、一回も聴いてないし。

原因としてはヴェルディをあまり聴かないのと、マーラーの録音は子供の頃はメータ&ワルター派であったので、アバドが一番かっこよく大活躍してた頃もほとんど聴かなかった。別に嫌いなわけではなく、なんかのめぐりあわせであろう。中学生の頃は経済的にも、色々聴き比べるなんてことはできなかったし。

アバドはウィーンで学んだだけあって相性がいいのか、ベルク(や他の新ウィーン楽派)の録音は少なからずある。もちろんVPOとの名盤「ヴォツェック」はたまに聴くけど(この演奏がマーラー好きには一番入りやすいと思うよ)、「ルル」全曲はやんなかったのかしらん。

ベルクの管弦楽曲&歌曲集のCDをアバドは他に2枚録音してるはずだが、なんだか持ってない(大好きなエゴン・シーレのジャケットであるのに)。

私の持ってるこのCDはVPOでないのはとっても残念だが、「ルル」組曲はブーレーズの演奏とは違ってアバドの演奏は全体に非常に熱っぽい。後期ロマン派?みたいな演奏である。マーラーを尊敬したベルクであるから、「3つの管弦楽曲」なんて『え、もしかしてマーラー?』と思えるような曲に聞こえる。

このCDでソプラノ独唱を務めているマーガレット・プライスは、ご存じC・クライバーの「トリスタン」でイゾルデを歌ってた歌手。まー、実際の舞台でイゾルデを歌ったんだか不明だが、録音だけで言えばイゾルデだろうがマルシャリンだろうが大変美しく歌う人じゃないかと思う。声はとっても好きな歌手である。

無論、このCDで歌ってるルル役は舞台では歌ったことないだろう。そんなことあったら国際ルル規約に反する(ルルはド外れて美人じゃなきゃイカンと作曲者も言ってるし)。しかし、この録音では大変美しくルルを歌っている。これを聴くとアバドは「ルル」全曲も録音してほしかったなあと思う。←アレ?何故過去形。

CDの最後に入っているアルテンベルク歌曲集は一曲一曲がとっても短いので5曲がすぐ終わってしまう。ウィーンの変なおじさん、ペーター・アルテンベルクのコレクションした絵葉書に添えられたウィットに富んだ詩(というか短歌くらいな長さ)に曲をつけたものである。曲は短いが伴奏の管弦楽はマーラーやシュトラウスくらい大規模だ。

この曲のスキャンダラスな初演(シェーンベルク指揮によるコンサートで2曲演奏)は音楽史に残るくらい有名なのかなあ? ウィーンの新聞記事が伝記に載っていて印象的だったので、引用してしまおう。

(前略)アルバン・ベルクのペーター・アルテンベルクの絵葉書に書かれた詩による2曲のオーケストラ歌曲はしかし、それまで冷静だった人たちからも自制心を失ってしまった。最初の詩はこうである。

お前は雷雨の後、森を見たか?
すべては安らぎ、輝き、前より美しい。
ごらん、女よ、お前にも嵐が必要だ!

この愉快で他愛のない絵葉書の詩句につけられた音楽は、(この日のコンサートの)これまで聴いたものの中では一番の出来であり、こういうものを聴いて心から笑うことで満足しようとしたのはひとえにヴィーン人の気立ての良さのゆえである。しかしシェーンベルクが急に曲を止め、聴衆に向って、平静を乱す者は公的な力で強制的に退場させると叫んだことによって、また新たに、ひどく興奮し激昂した野次、殴り合い、挑発の怒号が巻き起こった。(後略)<シェルリース著/アルバン・ベルク 生涯と作品>


この本で見る限りこのコンサートのむちゃくちゃ加減はハンパなかったものと思われる。あの温厚で物静かなウィーンの人々(しかも昔の人だ)が演奏会でこんな大騒ぎを起こすなんて、よっぽどこの曲が前衛的だったのか、それともシェーンベルクの空気の読めなさが原因だったのか・・・わからん。 KYですねシェーンベルク、わかります。




-----

Banner2_3 にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

|

« 白戸家のクラシック音楽 | トップページ | ホルスト・シュタイン追悼盤 »

コメント

いやあ、naopingさんのブログとちょっとしたバッティングでびっくりのコンサートでした。
ただいま帰ってきたのですが、R.シュトラウスとマーラーの歌曲のコンサートに行ったつもりでした。
昨日、歌手が病気でキャンセルしたのは知っていましたが、歌手だけ代理で、プログラムは同じだとばかり思っていたら、ベルクの歌曲集に変更になった!当日の差し替えパンフレットを見るまで知りませんでした。
歌ったのは、コラ・ブルフグラーフというかわいらしい新人で、この子ならルックスもスタイルも抜群で、ルル国際規格にもばっちり。世紀末っぽい背中がどーんと開いた(胸もとも脚も露出度高し)ドレスもショートカットに似合っていました。

投稿: レイネ | 2008年9月28日 (日曜日) 06時19分

>>レイネさん
たびたびどうも!
マーラー&シュトラウス→ベルクになったと?しかも歌手も変更・・・なんだかずいぶん変わってしまった印象を持ちますが(詳しくはわかりませんが)。コラ・ブルフグラーフという人はまったく初耳です(新人じゃ知りませんね)。今に欧米でルルとか歌ったりするんでしょうかね。そんなにかわいらしいのなら見てみたいですね。

投稿: naoping | 2008年9月28日 (日曜日) 16時16分

九州も急にひんやりとしてきました(普通に涼しいのを飛び越して!)、この秋は休みの日はほぼ音楽浴って感じです・・・今日も金聖響指揮によるシベリウスの2番を聴いてきました。

>ベルクの管弦楽曲&歌曲集のCDをアバドは他に2枚録音してるはずだが、なんだか持ってない(大好きなエゴン・シーレのジャケットであるのに)。

僕も買ってなかったので近くの図書館でよく借りて聴いています、悪いことに生産中止だとか・・・アバドのマーラーもだけど、新ウィーン楽派の演奏もあくまでもウィーン的というか、それまでの音楽史の流れの延長って感じで捉えてますね。三つの管弦楽曲なんかマーラーそのものですね(まあ曲自体がマーラーの後期の交響曲の影響大だし)。似たアプローチだけどより深くえぐるような解釈だったのがシノーポリですね。アバド/ウィーン・フィルの演奏とシノーポリ/ドレスデンの演奏はどっちを持っていても無駄じゃないです。

投稿: Masahiko | 2008年9月28日 (日曜日) 20時55分

こんばんは。
これはまた私の最愛の1枚であります。
アバディアンのわたくし、そのCDは、ほぼ根こそぎ楽しんでますが、LSO盤とVPO盤のベルク、ウェーベルンはヴォツェックと並んで宝物ですよう。
初出のレコードの病的なまでのベルクのお顔、いいジャケットでした。アバドのベルクやウェーベルンは、その歌心と精緻なピアニッシモが魅力です。
「ルル」も上演する予定だったのですが、ウィーン国立歌劇場を辞任してしまったことで、その機会が失われました。
もうやらないでしょうね・・・。

投稿: yokochan | 2008年9月28日 (日曜日) 23時24分

naopingさま、Cora Burggraafでググってみて下さい。ちょっと見、イアン・ボストリッジの妹か?という感じのボーイッシュなルックスですが、実物はかわいい。きっと化粧栄えするタイプです。

投稿: レイネ | 2008年9月29日 (月曜日) 05時08分

>>Masahikoさん
こんばんは。東京も昨夜から急に冷え込んできました。突然布団とか出してしまいました。
キムさんは九州で働いてたのですね。ふむふむ。
アバドのベルク集のうち古い録音が唯一の現役っていうのも今回初めて知ったのですが、買っておけばよかったと思います(そういうこと多い)。アバドのベルクはブーレーズの録音とかと比べるとすごく浪漫的で聴きやすいです。 いやブーレーズはブーレーズでいいんですが。シノポリは聴いたことないですね、残念。

>>yokochanさん
アバディアンご登場ですね。
アバドはウィーン国立の指揮者なのに不思議とご縁のない方ですが(ムーティはVPOで実演聴いたのですがね)、大病されたものでなんか後になってすごく残念だなあと思いました。「ルル」をもし上演してたらどんなに素晴らしかったかと思います。wikipediaでのお写真、ずいぶん老けてて驚きました。私はもうこのジャケットくらいでイメージ止まってるんですよ。

>>レイネさん
ふむむ。ようつべにあったので見てみました。なかなかよいお声ですね。容姿もなかなか舞台映えしそうですね。覚えておきます。
http://jp.youtube.com/watch?v=jHN1MawLeA4&feature=related

投稿: naoping | 2008年9月29日 (月曜日) 19時33分

アルテンベルク歌曲集の初演の模様は、うちにあるシェーンベルクの伝記にも同じ新聞記事が引用されてます。
オスカー・シュトラウスはこの時、嘲笑して主催者から殴られたそうで。

投稿: フィディ | 2008年9月30日 (火曜日) 02時38分

>>フィディさん
こんばんは。
シュトラウス・ファミリーじゃあしょうがないですねえ。水と油って感じですね。

うちにあった本で、あのプッチーニがシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」のフィレンツェ初演のときに大騒ぎの聴衆の中でスコア片手の熱心に聴きいってたっていうことが書いてあって、あながち私のプッチーニ好きも間違いではないなあと思いました。

投稿: naoping | 2008年9月30日 (火曜日) 20時12分

自己レス。
あ、オスカー・シュトラウスってヨハン・シュトラウスとは血縁関係はなかったのねんねん。すいません。

投稿: naoping | 2008年9月30日 (火曜日) 22時13分

オスカーくんは、ワグネリアンなら「愉快なニーベルンゲン」っていうオペレッタでご存知な方もいるのでは。
彼はシェーンベルクが若い頃に指揮者兼作曲家として働いていた文芸カバレット「ユーバーブレットル」の音楽監督だったようで。
その時の二人の関係はよう知りませんが、おそらく当時から馬が合わなかったんじゃないかと。
因みにそのカバレットの主宰者ヴォルツォーゲンは、また別のシュトラウスの二作目のオペラの台本書いてたりしますね。
プッチーニは同時代の音楽の動向にはかなり敏感だったようですよ。
「トゥーランドット」なんか無調や複調性にまで接近してますし、未完部分のスケッチでは12音音列の実験までしているようです。
私は初めて聴いた時、「エレクトラ」を思い出しましたが。

投稿: フィディ | 2008年10月 1日 (水曜日) 05時59分

>>フィディさん
そういえば、「愉快な二ーゲルンゲン」てあったなーと思いました。実は聴いたことないんですけど、題名は存じております。
なんか文芸カバレットっていふ響きが懐かしい・・・。うーんいい感じですね。

プッチーニ、内容が一般大衆に親しみやすいわりに音楽的には先進的だったような気がします。とくにトゥーランドットはねえ。もうちょっとがんばって最後まで完成して欲しかったなあ・・・ってみんな思ってると思うけど。

投稿: naoping | 2008年10月 2日 (木曜日) 20時28分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/108585/24074920

この記事へのトラックバック一覧です: アバド/ルル組曲&アルテンベルク歌曲集:

» 全日本短歌大会:埼玉の国分さんら受賞 [鶴ヶ島近郊ニュースひろい読み]
全日本短歌大会:千葉・市川で開催 埼玉の国分さんら受賞 第29回全日本短歌大会と第2回全日本ジュニア短歌大会(日本歌人クラブ主催、文化庁・毎日新聞社後援)が27日、千葉県市川市の行徳文化ホールI&Iで開かれた。一般の部の文部科学大臣賞に選ばれた国分(くにぶ)道夫さん(60)=埼玉県日高市=をはじめ、日本歌人クラブ賞の中里茉莉子さん(62)=青森県十和田市、毎日新聞社賞の渡辺秀雄さん(81)=札幌... [続きを読む]

受信: 2008年9月28日 (日曜日) 03時05分

« 白戸家のクラシック音楽 | トップページ | ホルスト・シュタイン追悼盤 »