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2008年9月21日 (日曜日)

飯守さんの「トリスタンとイゾルデ」inティアラこうとう 

O0921ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」(完全全曲演奏)
成田勝美(トリスタン)、緑川まり(イゾルデ)、小鉄和弘(マルケ王)、島村武男(クルヴェナール)、青栁素晴(メロート)、福原寿美枝(ブランゲーネ)、近藤正伸(羊飼い)、須藤慎吾(舵手)、村上公太(若い水夫の声)
東京オペラシンガーズ
飯守泰次郎指揮/東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団









過去記事:新響:トリスタンとイゾルデ


マイスタージンガー第3幕


飯守さんのワーグナー/日フィル


飯守さんの「ワルキューレ」その1


飯守さんの「ワルキューレ」その2


飯守さん/関西フィル ワーグナー・コンサート


飯守さんのナクソス島のアリアドネ


サントリーホールへ。




今日、行ってきましたティアラ。で、家帰ってきて(一時間もかかるんですが)これ書いてます。すぐ書かないと忘れるだね。

何、本当にすごかったでした。なんかすごくたくさんのものを見聴きしてきた気がします。「トリスタンとイゾルデ」一曲聴いてきただけなんだけども。2時から7時まで、たっぷり5時間、ワーグナーのお風呂にどっぷり漬かってきた感じ、となりでは寝てる者あり、なんだかイスの上でごろごろもぞもぞしてる人ありで、みんな思い思いに楽しんでた。私は本物のバイロイトなみに、お座布団を家から持参で行った。まあ、そもそも座りごこちはわるくはないけれどティアラこうとう。持って行ってよかったな。

なんだかネットで席取ったら「U列」なんて聞きなれないアルファベットで。ブラジャーのカップで言ったら普通の人間でせいぜいGかHまでだから、Uなんて途方もなく後ろだなあと思ったんだけど、結構ちっちゃいホールだからそんなに後ろでもないでした。逆に、オケの音はマイルドにブレンドされていたから(以前、このホールに行ったときに前のほう取り過ぎてなんだか音がバラバラで困った)、オケ聞くぶんには聞きやすかったかなと思う。

しかし今回は「オーケストラル・オペラ」ということで、オケの後ろのほうにもう一つ舞台が作ってある。だから歌手はオケの後ろなのですごくウチの席からは遠くなってしまう。ちょっとこれは困ったなあ。声量のある人は大丈夫だが。

で、まあ最初は前奏曲から。こんなに熱のこもった前奏曲を聴かせられて、もうすでにおなかいっぱい。中間のテンポの動かし方とか「おおおお、こう来たか」とか思いながら聴いていた。これはオペラ本編も期待できる。

舞台はありながらも、大して変った演出はないのでそんなに書くことなく(衣装も普通、化粧も演奏会の化粧)、変わることといったら舞台うしろに映し出される絵が場面によって変わるくらいかなー。ただ、第2幕の草木の絵はなんだか心霊写真みたいだし(←そんなの見過ぎ)、メロートやマルケ王登場のあとの絵も目がいっぱいでキモいかった。第3幕の最後もなんか宇宙の絵でちょっと「ホルストの惑星かよ」とか思った。歌詞にそんな感じのことは出てくるとはいえ、ちょっと安易だと思う。演奏とは関係ないが。

で、歌手について。
イゾルデのマリ緑川については、再三このブログで彼女の歌唱について書いてきたのでもう書かない(一緒だから)。ただ、彼女は(新聞で読んだのだが)今月だか体調を壊して何かのコンサートをキャンセルされている。そんな中で主役を務めたということだから、それはアッパレなのかなあ。(来日歌手にはありがちの)「今日は調子が悪いです」みたいなアナウンスは何もなかったし、ただ、高音はさすがに苦しそうで、オケのTpの音かなんかで補っていた感じである(席が後ろのほうだったのであまり不自然ではなかったが、前のほうの人はどうだっただろう)。まあ、いちいちシュワルツコップを呼んでくるのも大変だしな。声はいつもどおり一番でっかかったけど。

難役トリスタンの成田さんは、今年見た「ワルキューレ」のジークムントのときにはお疲れのご様子で(私は二回目の公演だったので)、今日のトリスタンはどうかなあと思ったけど、初日ということで「おお、これはヘルデンテナーじゃ」と思いました。世界的にも不足どころか絶滅の危機のヘルデン・テナー、しかも長身でスマートならばもう言うことありません。このところ輸入ヘルデン・テナーはメタボな歌手ばっかり見てきたので、貴重です。

クルヴェナール役の島村さんは立派なお声でこの役を演じてらっしゃいました。マルケ王の小鉄さんは今年の「ワルキューレ」でプロレスのヒール役みたいなフンティングでしたが、今日も素晴らしかったです(でも・・・長谷川さんだったらなあと思ってしまった。贅沢な。)。青栁さんのメロートも歌うとこ少ないの気の毒だったくらい良かった。

今日一番期待してた、関西二期会の福原寿美枝さんのブランゲーネはやっぱり一番素敵だったです。彼女は今年の関西二期会の「ナクソス島のアリアドネ」で作曲家を歌ってらして、私個人的にすごく気に入ってしまって前のblogに『歌うの前半だけだから、ちょっと悲しかったです。この歌手、もう二度と聴く事ないんだなあと思ったらなんだか寂しくなった。』って感想を書いたのですが、こんなに早く聴くことができて良かったです。彼女はふくよかでしなやかな声、そうだなあ外国の歌手で言えばイヴォンヌ・ミントンとか思い出します。他のワーグナーの役も聴いてみたいです、たとえばヴェーヌスやクンドリー、「神々の黄昏」のヴァルトラウテとか。あ、マーラーも歌って欲しいす。第3幕でちょっと抜けてしまったかな?と思いましたが、第2幕の見張りの場面とかオケとマッチしてて官能的で、ずっと聴いていたい感じでした。東京でもっといっぱい歌って欲しいなあ。

あと、以前なんだか偶然にサントリーホールの新人コンサートでお声を聴いて印象に残ったバリトンの須藤さんが出演されるのでちょっと期待してたのですが、アレ、本当に歌うとこ一か所なんだ舵手って役は。でも「ここしか歌うとこないから力いっぱい」って感じですごく好感はもちました。大丈夫、私は須藤さんがとっても素晴らしいお声の持ち主だってこと知ってるから。期待してます!!

演奏については・・・長くなっちゃうんで。
第3幕の最後のほうはなんだかカオス状態になってて、それはそれでスリリングで良かったです。明後日の2回目は慣れてスムーズに行くのかなあ、でも主役の声が疲れてるかもしれないしどっちがいいとも言えないですね。あと、なんかプロンプターの声が(こんなに後ろの席なのに)ひっきりなしに聞こえて「ちょっとーこれってどうなの~~」とか思ったのですが、・・・なんか頑張ってる感があってあとのほうは「よくやった!!」という気持ちになりました。

飯守先生の指揮についてはもちろん、もう何にも言うことはないんだけど。ただひとつだけ言わせて(ごめんなさい、怒らないでね!)。こちらのオケ、なんでか他の作曲家の時は「まあこんなもんかな」みたいな感じなんですが(関西フィルも)、ワーグナーになるとなんでこんなに皆さん「ネ申」になるんでしょう。これって他のアマオケさんのときもそうなんですが。飯守先生がワーグナーにおいて「ネ申」だからかな~、違うかぁ。

終演後の拍手は素晴らしく長く。みんなブラヴォーも多く。福原さんのブラヴォーはなんか他の歌手のブラヴォー(ブラーヴァ)とは違ってちょっと「ああ・・・」みたいな感嘆の声が入ってたのが印象深かったです。ブーは(私が聞く限り)なかったです。

最後に・・・飯守さん、最高だああ!! なるべくずっと元気に長生きしてたくさんワーグナーを聴かせてね。100歳くらいまで指揮してね。

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コメント

以前から楽しく拝見させていただいていますが、はじめて書き込みさせていただきます。
私も2階席3列目で、この歴史的パフォーマンス(と言っていいと思います!)を体験いたしました。
まずもって、「トリスタンとイゾルデ」という難解な楽劇をオール日本人キャストで挑んだことに対して、心から敬意を表したいと思います。
もちろん、細かいことを挙げればいろいろありますが、主役のお二人は本当によく奮闘されていましたし、またnaoping様のご指摘のとおり二人の従者、特にブランゲーネには第一声からグッと引き込まれるものがありました!

そして何よりもマエストロ・飯守の指揮が素晴らしくて、第一幕前奏曲から2階席まではっきり聴き取れる唸り声を発しての熱演に、鳥肌が立ちっ放しでした・・・・。
時に崩壊しそうになるオケを強靭な統率力で牽引し、最後の音が静かに消えていく、その瞬間の何と幸福だったことでしょう!
実演奏時間も4時間を越える長丁場だったはずですが、なんかあっという間に過ぎていった・・・そんな感じです。

とはいえ、さすがに疲れました・・・・が、また聴きたくなってしまうところがワーグナーの「毒」なのでしょうか?
明後日はどうしようか迷っています。

投稿: キンモクセイ | 2008年9月21日 (日曜日) 22時31分

>>キンモクセイさん
はじめまして!コメントありがとうございます。いつも読んでいて下さってたのですね。これからもよろしくお願いします。
いや、本当に昨日は素晴らしい一日でございました。あの場にいたワーグナー・ファンは心からの幸せを感じていたでしょうね。オケがまた素晴らしかったですね。飯守さんのワーグナーへの心からの思い入れというか、愛を感じました。(比べるのもアレですけど)昨年のベルリン国立のトリスタンも確かにすばらしかったのですが、まあドイツのトップの人たちがやってるんだから良くて当たり前、日本人だけでこれだけ愛情をもってワーグナーを演奏できるなんて心から凄いなあ~と感じました。

うー、私も明日も行きたいと思ってしまいます。でも、昨日の疲れを思うとちょっと躊躇してしまいます。と、当日券あったらわかんないけども。

投稿: naoping | 2008年9月22日 (月曜日) 20時56分

二日目を聴いてきました。緑川さんはやっぱり「あれ?」ってところはありましたが、全体的に歌手、オケともに素晴らしい公演でした。今ワーグナーをやらせたら東京シティ・フィルが日本一かもしれないですね。振り返ると「ワルキューレ」の東京フィルはやっぱり飯守さんのワーグナーを100%は体言できてなかったんだなあと思ってしまいました。
また、オケの定期とかでピットじゃなくて舞台上にフルオケ並んでると、ワーグナーではどうしても歌手の声はかき消されてしまうことが多いんですが、そして朝比奈さんの「指輪」もそうでしたがオケの背後に歌手を持ってくると声はますます通りにくくなるんですが、客席から舞台が近いティアラこうとうで、しかも弦が12-10-8-8-6という絶妙の編成で、見通しがよく透明度の高い響きと分厚い圧倒的なフォルティッシモを両立させ、さらに歌手とオケ、弦と管のバランスもよく目配りが効いており、さすがにスコアを熟知した飯守さんならではの手綱さばきと感心しました。
次回は何を取り上げてくれるのでしょうね?

投稿: 白夜 | 2008年9月23日 (火曜日) 23時45分

こんばんは。
23日の2回目を観劇してまいりました。
素晴らしかったです。舞台の印象も含めて、naopingさんとほぼ同じ印象です。
このホール、なかなかいいホールだと思いますね。
日本人のオペラにはちょうどいいし、響きも美しい。
行きは住吉でしたが、帰りは少し歩いて錦糸町まで行きました。
途中いい雰囲気の飲み屋さんがあったりして、これまた気に入りましたよ。
若杉さんの体調が不安ですが、飯守さんには、ずっとずっとワーグナーを振り続けていって欲しいものですね。

投稿: yokochan | 2008年9月24日 (水曜日) 01時07分

>>白夜さん
二日目だったのですね!
昨日はぎりぎりまでどうしようかなあと思ったのですが(大体、当日券あったのかもしらない)体力と経済状態を考えて聴きに行くのやめました。クライバー盤を聴いて我慢しようと思ったのですが、まるで方向が違ってたので悲しくなって(いや、クライバーももちろんいいのですが)しまいました。そういえば、ワルキューレの時は東京フィルだったわけですが、シティフィルのほうが常任指揮者ということもあってか精神的なつながりみたいなものを感じました。おととしの新交響楽団のハイライト演奏会のときも素晴らしい演奏でしたが、やはり今回は一まわりも二まわりも大きな、愛情に溢れた演奏でした(比べるのも悪いけんども)。次回はなんでしょうね、マイスタージンガー?


>>yokochanさん
二日目もよかったみたいですね。私はもう3日経っているのですが、ずっと熱にうなされてるような感じです。こりゃワーグナーの毒ですね。音楽を聴いた感動というよりは何か「とてつもなく大きな事件」があったあとみたいな感じ、うまく言えないですが。

錦糸町と住吉は近いですね。あそこらに住んでる人はいいなあ、すみトリとティアラが近くて(まあ、ウチもサントリーは近いけど)。

投稿: naoping | 2008年9月24日 (水曜日) 20時15分

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