ケンペ/ワルキューレ
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」
ラモン・ヴィナイ(ジークムント)、シルヴィア・フィッシャー(ジークリンデ)
フレデリック・ダルベルク(フンディング)、ハンス・ホッター(ヴォータン)
ビルギット・ニルソン(ブリュンヒルデ)、ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィチ(フリッカ)、その他
ルドルフ・ケンペ指揮/ロイヤル・コヴェントガーデン管弦楽団
(1957年9月27日)
このところ買った合計46枚ものワーグナーのCDに舞い上がっていて(今世紀最多購入)混乱してた頭をやっと元に戻し、今日は集中して大好きな「ワルキューレ」を。
録音は、前に書いたとおりあまり芳しくはない(特に第1幕)。カイルベルト・ステレオ盤と比べるとキツイ(←比べるな)。でも、とても私ガマンできないわ~というほどでもなく、おそらくワーグナー上演史でも最高と思われる1950年代の(もっと昔になると知らんがの)、名歌手の歌を堪能するには不足はない。
というか、世間はどのくらいの音質をもって「ヨシ」とするのかわからない。私1930年代のフラグスタートの録音だって結構平気で聴いているくらいだし。
で。
このケンペの「ワルキューレ」を聴いていて、やっぱりハイティンクの演奏を思い出した。やっぱり通じるものはあるんじゃないかなと。激しいところは更に激しく(速い)、オケが歌うトコは思いっきり歌う(遅い)。そんな感じの指揮。こんな古い録音なのに、年代的な古臭い野暮ったい表現が比較的少ないのでは。
第1幕冒頭はテンポが早い。嵐の予感である。
期待のシルヴィア・フィッシャー。いや一般的にはあんまり期待してない人が多いのでは?と思う(ダレこれ?的な)が。前に書いたとおりジークリンデにぴったりの、はかなげで女性らしいお声で(でも力強いところはちゃんと力強い)、きめこまやかな折り目正しい歌唱である。ややビブラートが多いかなとも思うけれども。例えばレジーナ・レズニックみたいにアクの強い歌唱よりはよっぽど好きだ。カイルベルト盤でのジークリンデ、ブロウウェンスティンと比べても遜色ないと私は思うんだけど。どーだ。
ジークムントのヴィナイもとっても調子がいい感じで、カイルベルト盤よりも声の伸びがよいと思う。なんだかオテロとか歌ってるかの如く絶好調。とっても強そうだ。この双子はとってもバランスがとれていていいカッポーのような気がする。ナマで聴いたら相当感動しそう。
例の「冬の嵐は過ぎ去り」からの二人の愛のシーンのところは叙情的にオケもゆったりと歌っているが、ジークムントが剣を引き抜くとこからはオケは激しくなり、1幕最後の所ではオケが思いっきり早くなって(「フルトヴェングラーか?」くらい。弦の人タイヘンそう)終わる。拍手は熱狂的。
第2、3幕は第1幕よりも音質は若干いいような?
ブリュンヒルデの登場の「ホーヨートーホー」がニルソンの後年よりもあまり強烈でないのが面白い(やる気ねーの?くらい)。まだ表現とか声がまだ若い感じで新鮮・・・だけどこの時もう39歳。これより2年前にミュンヘンでブリュンヒルデを初めて歌ったのだそうで、意外と遅かったんですね・・・ヴァルナイは20代で歌ってたし(ヴァルナイが早すぎるのか)。
ジークムントに死を宣告する場面も(「ジークムント、私を見なさい」)、ニルソンは出だし元気がない。だんだんと良くなるんだけど。2幕でのヴィナイとフィッシャーも絶唱を聴かせている。いいぞ、おい。
3幕になるとずいぶんニルソンは元気になる、良かった。 ヴォータンの別れと魔の炎の音楽は何故かテンポがちと速いがホッターはやっぱり立派。
ま、細かい歌唱のミスとかたまーに見受けられるが、全体にはたいしたキズでもない。ライブらしくていいのではないか。
-----
| 固定リンク
コメント
やっと届いたケンペのリング。まずはお楽しみのワルキューレ第一幕から聴いてみました。
・・・ここまで凄い演奏だとは思いませんでした。
シルヴィア・フィッシャーは素晴らしいジークリンデですね!こんな人が録音に恵まれていないのは何故でしょう?
音質についてはもう少し期待してはいましたが、私には充分です。残りのディスクも楽しみです。
投稿: 大分のワグネリアン | 2008年5月20日 (火曜日) 23時03分
>>大分のワグネリアンさん
まいどです。
やっとお手元に届いたのですね?ケンペのワルキューレなかなか素晴らしかったですね。リングは歌手の充実も勿論必要ですが、やっぱり指揮者が中心のオペラだと思います。
シルヴィア・フィッシャーの歌唱はかなりいい感じですよね。写真とか見たことないのでどんな顔なんだろうって思います。
そうそう蛇足ですが、「黄昏」で第2ノルンを歌ってるのはシャックロックでバルビローリのゲロ夢ライブの天使役の人です。
投稿: naoping | 2008年5月21日 (水曜日) 20時08分