アルミンク/戦争レクイエム
ブリテン:戦争レクイエム
ジェラルディン・マクグリーヴィー(ソプラノ)、ロバート・マーレイ(テノール)、石野繁生(バリトン)
クリスティアン・アルミンク指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団、栗友会合唱団、東京少年少女合唱隊
すみだトリフォニーホールが10周年だという。おめでとうございます。私はすみトリには結構行ってる。遠いんだけどな。このホール内の暗い色合いとか真四角な感じ(もちろん響きも)が気に入っています。ま、プログラムもいいから遠くまで出かけているわけなんですが(うちから小一時間かかる)。
今日は戦争レクイエム。この曲の実演を聴くのは3回目。このブログをはじめてからは2回目になる。あまり人気のなさそーな曲なのに、わりと演奏頻度は高いんじゃないかな。今月もー1回やるし。
過去記事:
戦争レクイエムin神奈川県民ホール(2007年3月17日)
ブリテンのブリテン指揮による「戦争レクイエム」
本日の演奏会は、墨田区民および墨田区在勤在学の人は半額料金なんだそうだ。私はもちろんどれでもないので満額はらわにゃならん・・・会員でもないし。S席9千円はちょっとなあ・・・と思ったので7千円のA席。音テキにはブレンドされてて良かった。が、正直、あんまり見えなかったなあ。アルミンクは近くで見ようぜやっぱり。
本日は「すみだ平和祈念コンサート」。1945年3月10日の東京大空襲の日を忘れないため(・・・ゴメン忘れてた)にということで、コヴェントリー大空襲によって爆撃されたコヴェントリー大聖堂の再建を記念して作られたこの曲が選ばれたということで。なんて意義があることなのかしら。
しかし。1階席は7割の入り。2・3階は知らないが。お安くしときますわ~とか言っても、この曲ではどうだろう。ブリテン好きな私でも結構聴くと心が沈んでしまうのだが、全然知らない人だったら・・・かなり辛くないか。
案の定、私のとなりの席の中学生か高校生くらいの女の子は、最初のテノール独唱の部分から舟をこぎ始めた(♪はーるの~うら~ら~のーすみだ川~)。対訳を途中で追えなくなっていた。アレレ、どこ歌ってるか教えてあげようか?
・・・というのも。
今日は何故か字幕スーパーなし。対訳の紙を入り口で渡された。すっごく小さい字だぜ。しかも、演奏中は観客席は薄暗いから、読むのはかなりつらい。まあ、あんまり読んではなかったけど。
昨年の今頃の県民戦争レクイエムは、「おいそりゃやりすぎだろ!」と思うほどの過剰な字幕スーパー+映画上演だったけれど、あれはあれでわかりやすかった。今日は曲そのものを聴くという点ではよかったけど、字幕ほしかったな~。
で、演奏は。
独唱者はソプラノとテノールがイギリス人、バリトンが日本人。別に一人日本人にしたのは予算をケチったのではなく(ないよね?)、この曲の性格としてテノールとバリトンは戦争で戦う敵同士だから、別の国にするのが望ましいと思う(できれば)。ブリテン指揮の録音ではテノールはイギリス人(ピアーズ)、バリトンはドイツ人(F=D)だったのは有名。(ついでにソプラノはロシア人のヴィシネフスカヤ。)
でも、今回は金髪青い目(だと思う)の白人と、黒髪黒目の黄色人種とを組み合わせることにより、より敵・味方感が倍増した。お二人とも見た目にも若い兵士感がバッチリだぜ。軍服着て出てくればよかったのに(ウソ)。
テノールのマーレイは、私が普段CDで聴いているようなイギリス伝統のテノールの声であった。この声でこの曲が聴けるのはどんなにうれしいか。去年の県民でのテノールも素晴らしかったが、本場ものにはかなわない。もっと色々なイギリスもの聴きたいなあ、ついでだから。
バリトンの石野さんは、例の「ローエングリン」で伝令を歌って他の外人の歌手(何故か不調だった)を出し抜いて素晴らしい声を聴かせていた人だったので、今回おおいに期待してた。つか、石野さんを聴きに行ったようなもんだ。
で、期待通り今日も素晴らしい響き渡る声だったす。つか、彼はアルミンク指揮のもとでしか聴いたことないんだけど、もっと他のオペラの舞台とかで聴いてみたい。シュトゥットガルトの歌劇場の人だというが、うまい日本人はみんな外国へ行ってしまうのだな。
ソプラノのマクグリーヴィーは、おそらくどこかで聴いたことある人だと思うんだけど、思い出せない(うー)。このところ聴いていたブリテン盤のヴィシネフスカヤ様があまりに強烈で、そこから抜け出せず(うー)。
合唱は、栗友会さんだからヘタなわけない。もう全然期待通りだった。児童合唱は、舞台ウラから響いてくる感じで演奏中は全く舞台には出てこないが、これが幻想的で素晴らしかった。お能の笙みたいな音が聞こえ児童合唱が聞こえてくるのだが、ここはまるでカーリュー・リヴァーのよう。合唱に関してはなにも言うことがない。何かあったとすれば私が何か聞き漏らしているんだろう。(カーリュー・リヴァー≒隅田川)
それにしても、この曲をナマで聴くということは(何の曲でもそうだが)なんと色々な発見があることだろう。途中のガムラン音楽のような打楽器は、このホールではなんと美しく響いたことだろう。
・・・というか、今日の演奏はとても美しかった。心に響くものは多かったけれど、とにかく美しかったから、ブリテンの意図からは外れてた・・・かも?(ブリテンはリハーサル録音では少年合唱に「きれいな音にしようとしちゃだめだ。これはおぞましい現代音楽なんだから!」と言ってたよ)。まあ、音楽だから美しいほうがいいのかもしれないけども。あ、見た目にも美しかったです、指揮者も。
曲の最後の方はどんどん魂が天に昇っていく感じ。静かに曲が終わると、しばらく沈黙。そして拍手。曲が曲だけにブラボーはやや控えめ。反応はどうしていいのかワカラン感があり。 拍手はまーまー長かったが・・・みんな、寝てた? つまんなかった?
(帰りにブリテン自作自演盤をロビーにて買い求める人アリ。)
帰りの電車にて。となりにいたカッポーの会話。
女 「今日は・・・なんか映画観てるみたいだった。」
男 「そうそう・・・あの歌詞書いたオーウェンって人、25歳で死んだんだって。オレらと同い年だってよ。」
女 「知ってるよ~、解説に書いてあったもん。」
あれ・・・若者も結構まともに受け止めてたみたいね。意外と心配なしよ。
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正直、今日は本当に疲れてしまった。いい演奏だったが。コメント返しは明日でごめんご。
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コメント
やはりいらっしゃいましたか。
私も7000円。26列です。ちょっと高い。
そしてあの空虚なまでの空席は演奏者が気の毒になってしまうほどでしたねえ。
感想はわたしも、ほぼ同じ。
あとで拝見したら、同じような記事になっちまいました。
錦糸町は、私には近くていいけれど、ホールの隣のあの商業ビルの今日の混雑はとんでもないものでした。
どーも客層が・・・・・。
投稿: yokochan | 2008年3月10日 (月曜日) 00時39分
>>yokochanさん
こんばんは。
錦糸町駅前のアルカキットの混雑ぶりにはまいります・・・休日は行かないです。
ところでコンサート。あれー実は私も26列めだったのですよ。ホント、正直あまり盛り上がったコンサートではなかったけれど、声に関して言えばなかなか日本では聴けないレベルのものであったな、と思います。
ブリテンと墨田区→隅田川→カーリュー・リヴァーのご縁を感じて、ちょっとウレシイ。
投稿: naoping | 2008年3月10日 (月曜日) 20時51分