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2008年2月 9日 (土曜日)

バターワース/シュロップシャーの若者

P1000896ジョージ・バターワース:狂詩曲「シュロップシャーの若者」、「青柳の堤」
その他
ネヴィル・ディルクス指揮/ザ・イングリッシュ・シンフォニア



ゴロヴァノフのカロリーたっぷりギトギトの重量級演奏のあとはさっぱりと、イギリス音楽。いやー、年取ると脂っこいものは受け付けなくてね~という方もおられるだろうし。(あたしはまだまだ大丈夫だ。本当は今日はイタリアンを食べに行く予定だったが、天候により順延。)

しかも私あんまり知らないディルクスって指揮者のレコード。(ディルクス指揮の録音は他にウォーロックのカプリオル組曲がウチにはある。)
とはいうものの、コレは気に入っている。演奏も録音も素晴らしいし、なんといってもイギリス田園風景のジャケット写真も(なんだかよくあるパターンだが)よい。羊しかいねー。商店街とか飲み屋とか見渡す限りなさそうだ。私は住めない。

このレコードは、バタちゃんの他にブリッジ「川岸にしなだれる柳」とか、ハーティとバックスが入っている。どうも渋すぎる曲目のせいか、一家離散状態?のようで(サザエさーん、カツオくーん、海に還る)これをそのままの選曲でCD化してるもののが現在出ているのかどうか不明である。大人の事情として仕方ないのかもしれないが、英国管弦楽曲ってどうしても演奏者がバラバラのをかき集めた感のあるCDが多い。(←批判してるわけじゃないってば!)

バターワースの曲を愛するイギリス音楽好きは多いと思うんだけど、残念ながらバタワースは戦争行く前に初期の作品の多くをナイナイしちゃったので、遺された作品は非常に少ないのである。

バターワースは作曲家としては珍しく(?)志願して戦争に行った。本などによれば、大学卒業後は職を転々としていたようだが、ちょこっとだけ王立音楽大学で学んだりし、作曲や評論などの音楽の道を歩み始める。しかし第一次大戦が始まると、1915年には彼はフランスの最前線の塹壕にいて、1916年のソンムの襲撃の指揮中にドイツ兵に射殺された。31才であった。

バターワースの戦地での様子を死の直前に塹壕を訪れていたページ・クロフト陸軍大将は次のように報告する。

私はケイ・バターワース中尉と一緒に最も遠い地点まで行った。塹壕はひどく浅く、あちこち破壊されていたので、中尉は姿勢を低くするように私に向かって何度も声を励まして叫んだ。平和な時代には光り輝く音楽家で、緊張の時代でも輝かしい兵士だった哀れなバターワースが、頭を小銃弾で撃ち抜かれて戦死したと聞いたのは、ちょうど一人で大隊本部に戻ったときだった。ほんの一分前まで私の安全のためにあんなに尽くしてくれたのに、かの人物は非業の最後を遂げてしまった。(「イギリス音楽の復興」より)

RVWと同じように、イギリス民謡を愛した作曲家バターワースは、民謡と同様にイギリスという国自体も愛していたのだろうか。戦争に志願するほどの愛国主義者だったのかしら。曲を聴く限り穏やかな作風だし・・・そこんとこは今ひとつわからない。ホモ疑惑もあり。

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曲についての感想も何もなく、ごめん。

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コメント

 バターワース大好きです。「青柳の堤」が好きになってCDを集めようとしたんですが、本当に遺された作品が少なくて残念に思っていました。資料も見つけられなかったので知らなかったのですが、naopingさんのおかげでバターワースの人柄をすこし知ることができました。ありがとうございます(^.^)。
 ちなみに私はゴロさん(ゴロヴァノフ)も大好きです。以前1812年を聴いて鼻血がでそうになりました\(◎o◎)/。

投稿: ココアカ | 2008年2月10日 (日曜日) 10時30分

こんにちは。
このレコードいいですね。インテリアとしてもよさそうだし。
EMIのブリテッシュシリーズでも、復刻されてないですし、残念なことです。

バターワースの無念の死の場面は、初めて知りました。

投稿: yokochan | 2008年2月10日 (日曜日) 11時54分

>>ココアカさん
こんにちは。コメントありがとうございます。バターワースはここらへんの曲か、あとは歌曲になってしまいますね。作品が少ないのがほんとに惜しいです。作曲者自身も謎が多いみたいですね。
ゴロちゃんの1812年は是非入手して鼻血出してみたいです。

>>yokochanさん
TBありがとうございます。曲についてはそちらをご覧下さいって感じです(すいません)。
このレコードは、何年か前のレコ芸の英国音楽特集で紹介されていました(私は中古で購入)。レコードで聴くディーリアスやここらへんの曲はCDとはまた違う趣きがありまする。

投稿: naoping | 2008年2月10日 (日曜日) 20時41分

このバターワースの2曲だけは、CD初期に輸入盤で出てたEMI LASERという廉価版で買いました。元のアルバムはこんなだったんですね。
ディルクスという指揮者は全く知りませんが、ちょっとザラッとした風合いの素朴な演奏。「青柳」の冒頭のクラリネットが、鼻歌歌いながら春の川縁を歩いてるみたいで素敵。

投稿: ぜん | 2008年2月12日 (火曜日) 06時16分

>>ぜんさん
コメントありがとうございます。
EMIのジャケットは再発すれば再発するほど風情のないものになるような気がします(しませんか~?)。レコードって素敵。
ディルクスって指揮者は「指揮者のすべて」(オントモムック)に載ってなかったので相当珍しい指揮者なの?と疑問です。ふと思い出して針を落とす、お気に入りの一枚です。鼻歌はぴったりな表現ですね。

投稿: naoping | 2008年2月12日 (火曜日) 20時22分

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ジョージ・バターワースは1885年ロンドンに生まれ、1916年、31歳の若さで第 [続きを読む]

受信: 2008年2月10日 (日曜日) 11時38分

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