ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」
大野徹也(ジークムント)、小鉄和広(フンディング)、泉良平(ヴォータン)、増田のり子(ジークリンデ)、桑田葉子(ブリュンヒルデ)、増田弥生(フリッカ)、その他
飯守泰次郎指揮/東京フィルハーモニー交響楽団
(東京文化会館 2月21日)
いやー、行ってきましたついに。飯守さん&二期会のワルキューレ全曲。一回目上演の評判もちらりちらりと見て、かなり良かった風だったので結構期待して行きました。
今日は一階21番目というちょっと舞台から遠い席。なので双眼鏡なしでは細かいところはちょっと見るのつらい。音はほどよくブレンドされてて良かったです。
演出家以外全員日本人っつー。すごい時代になったもんだ。しかも、新国立劇場でのトーキョー・リングに負けまいとする意気込みがひしひしと感じられる。(演出家が外人っていうのも意識してる感がある)
で、演出はジョエル・ローウェルスというベルギー人。どんなもんかな?と思ってたけど恐ろしくわかりやすい演出だったです。というよりわかりやすすぎだと思う。「ここではこの人はまだ出てこないのに」と思いつつ色んな人が出演している。歌手の人も休む暇なくて気の毒だ。ヴォータンがはなっから出ているし、普通2幕の真ん中ヘンだけであんまり出番のなさそーなフリッカもかなりしょっちゅう登場する。
第1幕の最初っから、ヴォータンが舞台真ん中の井戸?みたいなとこに腰掛けているのである。井戸みたいなのは兼プロンプターボックスなのかな? しかしこの中から髪の長い女が出てきたりはしない。
で、最初から男女が踊っている。よく踊るんだな、二期会。あと、戦いの帰りっぽい人々が影絵のように通り過ぎる。
ジークリンデとジークムントは最初からなんだかラブラブっぽい。フンディングはいかにも悪そうな輩と登場。まるでプロレスのヒール役みたいな髪型である。嫌がるジークリンデとダンスを踊ったりする。きめェー。
(今日は小鉄さんてプロレスっぽい名前の歌手さんがフンディングでしたが、もう一つのキャスティングでは私がファンであるカッコイイ長谷川顯さんがコレやるんだ、と思うと凄くやなんですけど。長谷川さんはヴォータンやってほしいよ~。)
緊張感のある3人のやりとりのあと、舞台後方でフンディングとジークリンデのベッドシーンがあり、その途中で眠り薬が効いてフンディングは眠ってしまう。そのあと例のジークムント・ジークリンデの愛のシーンが続く。
この日、一番良かったなあと思ったのがこのシーンで、とくにジークリンデ役の増田のり子さんが丁寧にして的確な歌唱でした。外国人でもこれだけのジークリンデってなかなか歌えないと思うよ。愛のない砂をかむような結婚生活を切々と語るシーンでは「ああ、こんな結婚は間違ってもしちゃいかんなあ」と思った。・・・と心から感情移入してしまう歌手は素晴らしい証拠である。
ベテランの大野さんのジークムントもかっこよかった(休憩中に女の子たちが「ジークムントかっこいい!」と騒いでた。)けど、そろそろ若いイキのよいヘルデン・テナーが日本でも出てこないだろうか。後半ちょっと疲れてたっぽいし。
第2幕、最初からワルキューレの騎行かと思ったし。ワルキューレの娘さんたちやら死んだ英雄さんたちが舞台に。ワルキューレさんたちは灰色のおっきな羽を背中につけている。歌うのに邪魔くさそー。
この演出では、かなりフリッカが重要な感じになっているのである。退屈なフリッカとヴォータンの夫婦げんかのシーンも、色々と工夫がなされていて、ヨメに逃げられてフリッカに苦情を言ったらしいフンディングが出てきたり、本邦初登場?の執事みたいな人が二人にお酒を持ってくる。
ヴォータン役の泉良平さんは立派な体格と声でなかなか聴かせていたけれど、やっぱりヴォータンにはまだお若いなあと。
ブリュンヒルデ役の桑田葉子さんは、美声でなかなか聴かせるけれど、外見的に「昔ながらのブリュンヒルデ」感が強い。機敏な動きの歌手にこのところ慣れてしまっていて、演技とかに心なしか制限があるような気がする。ないものねだりなのかもしれんが。
ジークムントはやっぱり今日も負けてしまった。たまには勝って欲しいものである。
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今日は平日の3時はじまりとあって、観客は比較的ご高齢の(多分働いてない)女性が目だった。実は私の隣の女性も高齢な方(おばはん)っぽくて、ワーグナー慣れてないんだか、上演中も始終「はあ~。はあ~。」とタメイキばかり。結構うるさかったんですが、第2幕あとの休憩時間に「あー、長くて。もう疲れちゃった。」と独り言を言い、私に「長くて疲れちゃうわよねえ。」と話しかけてきたので「え、全然大丈夫ッスけど」と冷たく答えてさしあげました。つか、「退屈なら帰ればいいじゃないっすか」と喉元まで出掛かったんですけど言わなかった。
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第3幕。戦いの場でワルキューレの娘さんたちが働いている。ト書きどおりである。
で、まー、普通にブリュンヒルデとジークリンデが登場(ここでもジークリンデの歌唱は感動的でグッとくる)、怒り狂ったヴォータンが登場して、毎度おなじみブリュンヒルデのお仕置きタイムということなんですが。ブリュンヒルデの羽はぶちぶち引っこ抜かれ、神性を失われる。でもって、ジークムントが天に召される(もしくは未来の夫ジークフリート?)シーン。
いや、ここらへんまでは「まあ、あたしとしたことが、ワルキューレごときに泣いたりはしないだろう」と思ってたんだけど、ここでブリュンヒルデの少女時代っつー役の女の子登場。ヴォータンに駆け寄るが「バイバイ」と手を振って消えていく。私、これでダム決壊。子供と動物は反則技だって何度言ったらわかるんじゃ~~~~。
ローゲを呼んだら本当に出てきた。また踊ってる。最後は幻想的な炎のシーン。とても綺麗でした。
(拍手は指揮者が手を下ろしてからって何度言ったらわかるんじゃ~~~~。)
あ、一番素晴らしかったのは言うまでもなく飯守さんの指揮。いつものことながら、説得力がある先生の指揮はスゴイ。オケの音楽自体が一つの生命体のようである。歌の伴奏をしながらも、「へ、それで?どうなったの?」とかちゃんと会話してるように思う。東京フィルさんの力いっぱいの演奏も凄かった。連日お疲れ様です、本当に。いい演奏ありがとうございます。
多少、歌唱上のキズはあったものの(入りが早すぎたり、遅れたりとか)、本当に素晴らしい上演でした。終演後、出口で関係者の方が「こんなにできるようになったんです。」と感無量なことをおっしゃってたのが印象的でした。
さて、もう一つのキャストも楽しみですね。
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