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2008年1月 6日 (日曜日)

ケンペ/ナクソス島のアリアドネ

P1000876 R・シュトラウス:歌劇「ナクソス島のアリアドネ」
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(プリマドンナ/アリアドネ)、シルヴィア・ゲスティ(ツェルビネッタ)、テレサ・ツィリス=ガラ(作曲家)、ジェームズ・キング(テノール/バッカス)、テオ・アダム(音楽教師)、エバーハルト・ビュヒナー(将校)、ペーター・シュライアー(舞踏教師/スカラムーチョ)、ヘルマン・プライ(ハルレキン)、ジークフリート・フォーゲル(トルファルディン)、アンネリース・ブルマイスター(ナヤーデ)他
ルドルフ・ケンペ指揮/シュターツカペレ・ドレスデン




こんにちは。
のだめカンタービレスペシャル、面白かったですね(←話題に遅れるとマズイので一応見た)。
しかし在日外タレ&ハーフタレ総動員って感じだったですね。ベッキーは私のファッションリーダー?なので彼女の活躍は嬉しかった。しかしダニエル・カールやジローラモが出てるのに、デーブ・スペクターが出ないのが残念でした。ダジャレ連発のフランス人指揮者ローニン・マズール役で出て欲しかった。指揮しながらイヤミの「シェー」とかやってほしい。 ※注・・・そんな役はありません

シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」が沢山出てきたのが嬉しかった。しかし曲名が長すぎて俳優さんにはあまり愉快でないかも。ま、あたしらは「ティル」って言えば通じるがね。 あたしらってどこらへんよ

さて。
新春一発目(かなり遅い)はやっぱりシュトラウス。今年は大ブームを巻き起こすに違いない(?)、ナクソス島のアリアドネ。シュトラウスの他のオペラに比べてオケが小規模で地味だけれどチャーミング、そして芸達者が揃わないと上演は不可能と思われるこの曲を、今年はオール日本人プロダクションで二種類も見られるのだ、ああ、何と言う幸せ。まだ東京二期会の券頼んでないけど。まだあるかな。

一応、あらすじを。



プロローグ。ウィーンのある富豪の屋敷。その日の晩に催される余興に出演する人たちが最後の稽古をしているところに執事が現れ、シリアスな歌劇「ナクソス島のアリアドネ」とツェルビネッタが出演する喜劇を一緒にやるようにプログラム変更されたことを告げる。

歌劇を作曲した作曲家は不満タラタラ、しかしツェルビネッタはこーゆーときは切り替えが早い人なのか、すぐに覚悟を決める(うらやましい性格だ)。そして作曲家はツェルビネッタのチャーミングさにちょっぴり萌え~てしまうが、そんなこんなでバタバタと芝居の幕は上がる。

歌劇。舞台は寂しい洞窟の場で、3人のニンフがアリアドネがまどろんでいるのを見守りつつ、夫に捨てられてこの島に残されたアリアドネの悲しい運命を歌う。やがて目覚めたアリアドネは途中で出てきたイタリアのお笑い芸人の人たちに慰められながらも、いっさいを忘れて黄泉の国に行くことを願う。

それを見たお笑い芸人の一味であるツェルビネッタは、人生と愛についての楽天的なコロラトゥーラのアリアを歌うが、これでもアリアドネの心は慰められない。

4人のお笑い芸人がツェルビネッタの手を取ろうと争って、ハルレキンが勝利を収め騒ぎが収まったところで、トランペットの響きがバッカスの到来を知らせる。アリアドネはバッカスを死の神と思ってしまう。自分を黄泉の国に連れ去ってくれることを願ってバッカスの腕に身を投じる。しかし、彼の接吻を受けるとアリアドネはいっさいの苦痛を忘れてしまう。

っつーわけで。たいしたすじではない。曲も短い。すぐ終わってしまう。聴いてるぶんにはそんなに恐れることはないオペラである、歌うんなら別だが。結構名盤も多い。古くはカラヤンやベームそしてこのケンペ盤、ちょっと新しいのだとレヴァインやマズア、シノーポリなんかがある(手に入るのと入らないのとあるけど)。そのうち聴いたのはケンペの他はマズアとレヴァインと映像のほうのベームだけ。本当はせめてカラヤン盤は欲しいとこである。シュワルツコプフも出てることだし。

ベームの映像は素晴らしい。世界遺産と言ってもいい。まづ作曲者直伝の指揮者ベームがVPOを振ってるだけでも有難い。ヤノヴィッツとコロもスゴイが、なんといってもツェルビネッタをグルベローヴァが歌っているのが何ともよい。しかし贅沢な悩みだが、私はあの長大なアリアを歌うときのグルベローヴァのカメラ目線が気になって曲に集中できない。

さて、ケンペ盤。この名盤をいったいどこからやっつけてよいものか。なんといってもあのキング皇太子がバッカスを若い声で歌いまくっているのだけでもこのCDはヨイ。1982年のザルツブルグでのサヴァリッシュ盤(オルフェオ)でも歌ってるみたいだがなんたってアンタ、ケンペ盤は1968年録音。このときまだ43歳。まだまだ、ぴっちぴちやで(←ザ・ブングル風に)

まあ、それはそうと。普通何より先に書かなければならんのは名シュトラウス指揮者ケンペによる指揮とドレスデンのオケのコトであろう。

残念ながら私はドレスデンの昨年の来日公演に行かなかったので(チクショー、イタ公イタリア人指揮者&モリマキで油断してたぜ。しかも高価だったし)、ナマ演奏がどんなもんなのか未体験なのだけれど、このCDで聴けるオケの音というのはやっぱり他のCDの音とは一味もふた味も違う。典雅な、というのか、なんだか古いコントラバスの中に入って聴いているような(?)響き。これが伝統のシュトラウス・サウンドであるのかーと思う。小編成のオケでもそれはよくわかる、いや小編成だからわかるのかな? ドレスデンのオケを支える奏者一人一人の音が聴こえてこの録音は素晴らしい。一人一人でもちゃんとドレスデンなの。そして古い録音ながらちっとも古さは感じない。そしてケンペの指揮に何の文句があろう。もーちょっと長く生きてほしかったが。

他のキャスト。アリアドネ役といえばヤノヴィッツ。シュトラウスを得意としている彼女だが、これも最高の当たり役である。ツェルビネッタ役はどうしてもクルベローヴァの亡霊(まだ死んでないから~、引退もしてないから~)がつきまとうが、ゲスティもなかなかチャーミングだし何より人間らしくてよい。

本当はけっこうどうでもいい役かもしれないのにハルレキンのヘルマン・プライはいつもながらとっても素敵。プライが歌うとどんな役でも好きになってしまうのは困る。作曲家のツィリス=ガラも魅力的。ズボン役っていいよね。
シュライヤーやアダムは歌うとこ少ないのが申し訳ない。なにしろキング様が最後のオイシイとこを全部持っていってしまうのである。ふっ、またしてもやられたぜ。


ナクソス島


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すげー、こんなに下がった。すいませんお恵みを。

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コメント

はじめまして。Shushiと申します。ブログ村から辿って参りました。

「ナクソス島」は、1月末の東京での公演に出掛けることにしていまして、目下シノポリ盤で予習中です。

ヤノヴィッツさんが歌っている盤があるのですね。とても勉強になりました。これは買わねばならない、と思いました。

「ナクソス島」といえば、昔NHK地上波デジタル教育裏番組で、デセイさんがツェルビネッタを歌っていたのを見て、すっかり魅了されてしまったのが良い思い出です。

またちょくちょく寄らせて貰います。よろしくお願いします。

投稿: Shushi | 2008年1月 6日 (日曜日) 18時10分

新年初カキコです、今年もよろしくお願いします(^_^)

ケンペのR・シュトラウスと言えば僕もブログに載せてますが(http://blog.livedoor.jp/un_journal/archives/422395.html)、シュターツカペレ・ドレスデンの古風なサウンドとケンペの実直な解釈がぴったりはまってますね。今はホルン協奏曲を聴きながらコメントしてます。

今日は九響のニューイヤーコンサートに行ってきましたが、指揮の大町陽一郎さんの軽妙なトーク(さりげなく九響とのCDのセールストークまで^^;)と九響の伸び伸びとした演奏で最高のひとときを過ごしました(^_^)v

投稿: Shamshyraq | 2008年1月 6日 (日曜日) 19時58分

今年もよろしくお願いします。
十数年前、グルベローヴァののリサイタルで、「偉大なる女王さま」聴きました。CDでは、全曲盤よりもオルフェオのアリア集に入っているのが、一段高めの元調で歌っていてすごいです。グルベローヴァしか考えられません。
初生、1月27日行きます。

投稿: にけ | 2008年1月 6日 (日曜日) 21時26分

こんばんは。
ケンペのアリアドネは、おそらくこのオペラの決定盤でしょうね。68年のドリームキャストによる録音ながら、日本の東芝EMIは発売せずに温存したまま。75年頃にびくびく発売してレコ大取ったんです。あのレーベルの温存&廃盤主義には毎度腹に据えかねるものがありまする。

ま、そんなことはさておき、キングをはじめとする名歌手による競演とケンペ/ドレスデンには、もう何も言うことがありません。今年うまくすれば、実演で2度経験できるアリアドネ、ちょっとブームになりますかね? ならないでしょうな!

投稿: yokochan | 2008年1月 6日 (日曜日) 23時30分

うちにあるのはカラヤンとシノポリの新旧フィルハーモニア盤ですが、やはりシュトラウスはドレスデンの音で聴きたいものですね。今度探してみなくては。
やや迷走気味だった昨年のSKD来日公演は最後の「サロメ」がサヨナラホームラン級の名演で、シュトラウスオーケストラ健在を強く印象づけてくれました。
それはそうと東京二期会どうしたもんですかね?まだ迷ってます。ラルフ・ワイケルトはきっといいはず・・・なんだけど・・・

投稿: 白夜 | 2008年1月 7日 (月曜日) 01時10分

新春あけたのに、あまり他の方のblogにご挨拶に行ってなくてごめんなさい。みんな来てくれてありがとう(←天皇?)。

ところでデーブ・スペクターとマゼールってなんとなく似てないですか?
親がユダヤ系ロシア移民でアメリカ人ってとこも同じだし。まさか親戚じゃないよね~。


>>Shushiさん
はじめまして!コメントありがとうございます。
私はシノポリ盤は聴いてないのですが、デセイやオッターが歌っているのですね。シノポリも結構早死にでした。
ヤノヴィッツはやはりおとなしい系シュトラウス歌いソプラノのトップだと思います。何歌ってもハマってると思います。ベーム盤のカプリッチョとかでもいいですね。

デセイは最初ラジオで聴いてウィーン国立デビューの「ホフマン物語」がたいそう良かったので、是非ナマで見ようと翌年だかウィーン旅行でこの曲の券を取ったのにもかかわらず、彼女は翌週のアリアドネにキャスティングされてて、夢叶わず。まあ、なかなか海外では思うようにいかないものです。

宜しくお願いします。


>>Shamshyraqさん
こんにちは。今年もどうぞ宜しく!

そうそう、シュトラウスの管弦楽曲集がセットで売ってますね。私も中坊の頃は「アルプス交響曲はケンペに限る」とか言ってよく聴いていました・・・カセットテープで(←古)。うあう、ケンペのセット買いに行きたくなりました。

コンサート、楽しかったようでよかったですね。私は新春初ライブは(多分)浅草歌舞伎で、次はナクソス島のアリアドネになりそうです。


>>にけさん
こんにちは、山ごもりから戻っていらしたのでしょうか。今年も宜しくお願いします。

グルベローヴァのリサイタル、私も行きましたがそのときは残念ながらツェルビネッタ歌わなかった気がします。ホフマン物語とかキャンディードを歌いました。まだエディタちゃんは可愛かったです・・・今も年相応にカワイイのかな。リサイタルというよりは何だか声のアクロバットみたいだったけども。

公演楽しみですね!私もこの曲はナマ初めてです、そういえば。感想楽しみにしてます。


>>yokochanさん
TB&コメントありがとうございます。サヴァリッシュ盤もお持ちですね。

このベストキャスティングのケンペ盤が今は発売されてないのは、大きな驚きです。持ってる人は宝物ですね。中古でも見つけたら是非ゲットするべきです。
(EMIといえば一頃は結構見かけたイギリス音楽シリーズあまり見かけませんな。もっと買っておけばよかったかなあと思います。)

アリアドネ・ブーム、来るか?なんて・・・。つか、R・シュトラウスブームがこないですかね、こないだの「のだめ」で。あの千秋様が振ったあの曲は・・・なんて。因みにウチの検索には全然きませんね、ティル・オイレンシュピーゲル。


>>白夜さん
こんにちは。
シュトラウスはドレスデンですね~。ま、VPOはVPOで違った魅力がありますけども。
ドレスデンのサロメ、良かったみたいですがなんだか演出がえっちで怪しそうですね、批評を見ると。でもナマでこのオケを聴かなかったのが残念でした。ムリをしてでも行けばよかった・・・。

ワイケルトという指揮者を恥ずかしながらあんまり知らないのですが、よい指揮者という評判は聞いています。しかし、どっちのキャスティングに行くかが問題で、まだ迷ってます。うううう。

投稿: naoping | 2008年1月 7日 (月曜日) 21時09分

>「アルプス交響曲はケンペに限る」

今回聴いてみて僕もそう思いました。まあこの曲自体、ドレスデンのこのオケの響きを念頭に書かれているので当然と言えば当然なのでしょうけど、あまりにもはまりすぎてるし、ベーム盤と並んで必聴ですね。

投稿: Shamshyraq | 2008年1月 7日 (月曜日) 22時34分

ケンペ盤、いいですね。端役まで物凄いキャストですし、歴史的名盤、定番です。でも、ベームの1944年録音(Priser)も加えたいところです。シュトラウスの誕生日公演ということで、作曲者本人が客席にいました。それだけに、出演者の気合いが尋常ではないです。特にマックス・ローレンツのバッカスが強烈で、血管ブチ切れそうな強靭な声です。全盛時のマリア・ライニングのアリアドネも感動的。ゼーフリートの作曲家も最高。録音も意外に良好です。

ワイケルトもコシュラーも、自分には懐かしい名です。子供の頃、二人の第九をN響で聴きました。

投稿: Ervin | 2008年1月 8日 (火曜日) 06時05分

>>Ervinさん
マックス・ローレンツ、ライニング・・・時代を感じるキャスティングですね。手に入るなら聴いてみたい。ベームの昔のシュトラウスによくライニングは登場しますね。ウチには彼女のアラベラ(マンドリーカはホッター、デラ=カーザはツデンカ)のLPがあります。フィアカーミリがちょっと狂気入っててコワイです。それにしてもローレンツってなんでいっつもあんなに頑張ってるんでしょう?
コシュラーはマタチッチなんかとともに日本人には懐かしい指揮者ですね。「日本にしょっちゅう来てる指揮者なんて・・・」と子供の頃はあんまり省みらなかったのですが、いい指揮者だったのですね。

投稿: naoping | 2008年1月 8日 (火曜日) 21時29分

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