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2008年1月 7日 (月曜日)

歌え!千人の交響曲

P1000877 マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」
エリザベス・コネル、イーディス・ウィーンズ、フェリシティ・ロット(ソプラノ)、トゥルゼリーゼ・シュミット、ナディーヌ・ドニーズ(アルト)、リチャード・ヴァーサル(テノール)、ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)、ハンス・ゾーティン(バス)
クラウス・テンシュテット指揮/ロンドン交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー合唱団、ティフィン少年合唱団


また!千人の交響曲登場。なんたって好きなのだからしょうがない。

今日は定評のあるテンシュテット盤。

第1部よりも第2部の感銘深さが素晴らしい。イギリスの合唱団のため、ドイツ語圏の合唱団に比べてどうもコクとかが足りなくてサラサラ流れていってしまうのが(まー、これは仕方ない。ロンドンでハイティンクのリング聴いたときも思った)気になるときもあるが、どうもお祭り騒ぎとなりがちになるこの曲がもっと深い音楽に聴こえる。ことに「神秘の合唱」は泣ける。テンシュテット、惜しい人を亡くした。

・・・と、普通に演奏についてはこれくらいにして(←短)。

どっかで書いたのかもしれないけど(書いたぞ)、私は一回だけ合唱団に入ってたんだ。もうそれでやめちゃったんだけどね。

レパートリーは一曲。千人の交響曲。ふふ、「復活」しか振らないギルバート・キャプランみてえだぜ。

それはまだ私が学生の頃。女友達とコンサートに行って・・・確か曲は友人の知り合いの出る「マタイ受難曲」全曲だったと思うのだけど、「合唱団員募集」のチラシが入っていたのね。オケは東京都交響楽団。

その場で友人とわーわー盛り上がって、参加することに決めた。練習期間は半年だったかなあ一年だったかなあ。週一回どっかの文化センターの一室とか、リハーサル室とかでやってた。本番は東京文化会館でした。

ソリストは今考えるとそーそーたるものだったと思う・・・伊原直子さんとか、木村俊光さんとか。あんまり前の話なので忘れたがそんな感じ。

(文化会館! 本番前にソリストの使う楽屋とかトイレとか見て大興奮。トイレ、でっかいドレスで入っていいように広いんだな。楽屋で頭をくるくるカールしてた独唱者の一人がちらっと見えたりして。舞台わきの来日演奏家のサインとかも見たよ。)

指揮者は・・・今考えると貴重ナリ。ズデニェク・コシュラーさん。(意外と早くにお亡くなりになり、びっくり。残念でありました)

ズデニェク・コシュラー (Zdeněk Košler, 1928-1995)は、チェコの指揮者。カリスマ的なスター指揮者ではないものの堅実でバランスの良い演奏に定評があった。東京都交響楽団の客演指揮者としてたびたび来日しており、日本でも親しまれた指揮者である。

まあ、オーディションなんかぜんぜんなくて参加費さえ払えば誰でも参加できた。関東地方のマーラーヲタロウニャクナンニョ大集合。今考えるとなんて無謀な。合唱指揮者の郡司先生も随分ご苦労なさったことだろう。

私(と友人)は声が低いので、第2アルトにした。

私はブラスバンド部とかだったので楽譜は一応読めたけど、合唱用のスコア(全パート&ピアノ伴奏)にはかなり苦労。っつーか、合唱団だってかなりのパートに分かれていたから楽譜の細かいこと細かいこと。音もなんだか中途半端だしとりにくい。あっというまに楽譜がエンピツの印だらけに。

まあ、大好きな曲であるから練習の楽しいこと、楽しいこと。合唱とはいえ、憧れのマーラーの演奏に参加できるなんて、本当に信じられなかった。ヘッタクソだったけど、本当に一生懸命練習しました。まだ歌えるよ、きっと。

・・・中略・・・。

で、やっと練習期間が終わり本番が近づいたので、舞台に乗ってリハーサルをした。まあ、ご存知の通り文化会館の舞台に千人乗るのは大変な騒ぎ。本当に千人もいたのか、記憶がないけれども。出演する合唱団がひな壇のキャパシティを越えていたのは確かで。

ひな壇のウラには転げ落ちてもいいように、布団とかマットレスが敷いてあった。演奏中に「うわあ!」なんて落ちるのもありか?トスカか?

そんなこんなで。当時まだ若く冷静だった私はそんなでもなかったのだが、合唱団のオバちゃんたちの不満は頂点に達し、

こんなんじゃうたえませーーーん!!!

と、シュプレヒコール。でももう仕方ない。後へは引けないのだ。歌え!歌うんだ!!ジョー!!

コシュラー先生は、最後のオケ・リハーサルのときにやっと現れた。著名な外人の指揮者の指揮でこのド素人が歌うなんて、今考えると随分贅沢な。

リハのとき覚えているのは、都響の打楽器奏者の人が怒ってた(なんだか忘れたけど)のと、第1部の一番盛り上がるとこ「アッツェンデー」を「アクツェンデー」と歌い、普通の演奏だと「アッ」で一回とめる所をとめずに続けて歌ったことで・・・「へえ、そういう解釈もあるんだな」と思ったくらい。

本番で覚えているのはわれわれド素人合唱団の中の一人(男)が第2部最初の「聖なる隠者」の部分で間違えて「ズぅぅぅ~~~」という声を出してしまったこと、別の部分で少年合唱団の子が一人何を思ったか一箇所フライングしてでっかい声で歌ってしまったこと。

(本番後、暫くして全員にダビングして配られた本番のカセットでは、2回公演のいいところを使って収録されてあった・・・あとで聞いたら本当にヘタクソでいやになる。ごめんねコシュラーさん。)

まあ・・・本番の公演2回とも超満員で、曲が終わってブラボーの嵐。かなり盛り上がったコンサートでした。なんかすごく嬉しかったです。ちょっと涙出ました。


それと、今考えると。
・・・貧乏学生なのに(しかもマーラーなんか全然知らないのに)券買ってくれて見に来てくれたクラスの友人4人に(今更ながら)感謝したい。

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コメント

いつもスコア片手に聴いている者からすると本当にうらやましい限りです・・・マーラー8番と言えばホントに大曲だし、コーラスのパートも細かく分けてあるから大変だったでしょう。

>第1部の一番盛り上がるとこ「アッツェンデー」を・・・

マーラー自身がしつこくスコアの欄外に書いてますよね、「Accende」の「Ac」の後にはっきりと休みが入るのはこの曲の「顔」みたいな感じなので最初は戸惑ったのじゃないですか?

投稿: Shamshyraq | 2008年1月 8日 (火曜日) 00時08分

新年明けまして・・・。
いやぁ、貴重なドキュメント!殺人的合唱パートの生々しい裏側、プロだって逃げたくなるであろうに、アマチュアでやる(といおうか、人数揃えるのが大変なんだな)んだから、皆様の苦労がしのばれるのであります。
バロック声楽曲を歌えるレベルでなければならんのだから・・・。でも、最近8番のことをおおっぴろげに語れることができるようになったのはイイことだっ!
一昔前だったら3番、7番、8番(そして10番クック版)は鬼子扱いだったのだから。

投稿: IANIS | 2008年1月 8日 (火曜日) 01時01分

>>Shamshyraqさん
そうそう、今思えば本当に懐かしい、愉快な経験でした。8番がいまだに大好きなのはこれのせいもあります。
アッツエンデの件ですが、ホントに「おおお~」と思いましたよ、はじめ。「こ、こんな堅実なイメージの指揮者コシュラーがこんな大胆なことを!」と思いました。ここの部分でマーラーは(初めて聴く)聴衆の度肝を抜くことを考えてたと思うんですが、コシュラーさんはそのまたウラを書いたのかも。


>>IANISさん
・・・おめでとうございます。
そうそう、命知らずの集団です・・・というか、実際は音大生(参加することで単位が取れたらしい)と普段活動してるアマチュア合唱団も参加してたので、そんなはちゃめちゃな演奏でもなかったかも。しかし、最近?の説によると千人も必要ないとのことなんで、人数あわせの必要は果たしてあったのかな~?とも思います。募集で参加した方でも、合唱経験者が多かったみたいでしたし。
8番がレコードアカデミー大賞を取ったなんて、素晴らしい時代になったものですね(←未聴)。

投稿: naoping | 2008年1月 8日 (火曜日) 21時51分

こんばんは。
ワタシ、コシュラーのそのコンサート行きましたよ。
もう会社員でしたよ。
どこかに書きましたが、周りじゅう少年合唱の親御さんたちで、双眼鏡覗いて大騒ぎしているから、どうなるかと思いましたが、曲が始まると、圧倒されたのか静かに黙って聴いてくれてました。
ワタシにとっても貴重なコシュラー千人体験でした。
そこにnaopingさん、いたんだ。
追)テンシュテットの千人もいいですねぇ~。

投稿: yokochan | 2008年1月 9日 (水曜日) 00時12分

テンシュテットの「千人」はDVDで出ているのをTVで見たことあるけど、とにかく輝かしい演奏でしたね。本当にオーラを感じたし(!)。

この曲を演奏するときの人数ですけど、4年前に熊本であったときには、おそらく300人もいかなかったと思います。合唱のパートが複雑だからそれなりの人数がいないとさまにならないけど、あまりに多いと合わせるのがとんでもなく難しくなるから難しいですけど、500~600人(オケ含め)が妥当な所じゃないでしょうか???

ブーレーズ/ベルリン・シュターツカペレの8番は一回しか聴いてないけど、まあ、オーソドックスな演奏でした。僕が聴いた中ではバーンスタイン/ウィーン・フィルのザルツブルクでのライヴ盤がやはり良かったです。やはり音楽から放射されるオーラが違います。後はテンシュテット盤にクーベリック盤にノイマン盤・・・シャイー/コンセルトヘボウ盤は美しさでは最高だけど、テンポがあまりにダラダラしてて聴き続けるのが辛かったです^^; ショルティ盤は未聴だけど、今度探してみます。

今思い出したけど、80年代のバーンスタイン3回目のマーラー交響曲全集で、8番はアムステルダム・コンセルトヘボウと録音していたけど、出来映えに不満だったらしくお蔵入りになったと、10年くらい前に聞きました・・・まああくまで噂ですけど。

投稿: Shamshyraq@マーラーでも何時間と話せます | 2008年1月 9日 (水曜日) 02時20分

この記事、昨日一日のココログでの音楽カテゴリー全体でアクセス数24位を叩き出しました。こりゃびっくりです。やっぱりマーラーは人気もの。

http://www.cocolog-nifty.com/cocoflash/categories/ranking/html/e515ec537e8e79e6b52894c61ca94c1b.html


>>yokochanさん
きゃあああああ~~~!! 
どなたか「聴きに行きました」とか「実は参加してました」っていう方がもしかしているかなあ、と思ったのですが、他ならぬyokochanさんが聴きにいらしてたのですね!うれしいような、恥ずかしいような・・・何か不思議な縁ですね~。本当に聴いた方はきっと、うまいヘタよりもド迫力ですごく感激したのではないかと思います。終わったとたんのブラヴォー!!がホント気持ちよかった。

私の唯一のナマ「千人」体験は若杉さんです。サントリーでメチャクチャかっこよかった。終演後大拍手喝さいが鳴り止まなかったのに、若杉さんが指揮者の身振り手振りで「まあ、観客のみなさんちょっとボクの話を聞いてください」とばかり熱狂の観客を一瞬にして黙らせて話をしだしたのがすごく印象に残りました。


>>Shamshyraqさん
再度コメントどうも。「千人の交響曲」は、沢山いると迫力で何か得したような気がするのかなあとも思います。

バーンスタインVPOのヴィデオは遠い昔にビデオ屋で借りてきて(そんなのも置いてあったんだなあ)見ました。あれは本当に素晴らしいですね。

ショルティ盤については他の記事で沢山書いたのですが、レコードのタスキ(←死語)に「宇宙が鳴り、神が声を発する!」と書いてありました。これってマーラーが遺した言葉そのままではないんですが、このショルティ盤の演奏をよく表現していると思います。録音にケネス・ウィルキンソンの手腕が感じられ、第1部でのルネ・コロの声が遠い宇宙の果てから聞こえるようになってるのがすごくカッコイイです。くー!!是非聴いてみてください。

投稿: naoping | 2008年1月 9日 (水曜日) 21時02分

おお~。
コメント出遅れてしまいました。
こんな大曲、本当に得がたい体験ですね。

テンシュテットの演奏はめったに聴きませんが、ライヴ映像のDVDと共にすばらしい内容ですね。(先日は車を運転しながらラトルの千人を聴いておりましたが。)

名古屋ではいつ演奏する機会があるやら・・・もしあったら絶対合唱で出ますよ!

投稿: ピースうさぎ | 2008年1月 9日 (水曜日) 21時20分

私もコメントで遅れてしまいました。この曲にご参加されたのは素晴らしい経験&レポートですね。
実は、今日もアバドの千人の交響曲を聴いて、ウハウハと帰宅していたところでした。なんだか、最近千人の交響曲が生活上に現れる確率が高いです。

ちなみに、私のブログにリンク貼らせて頂いてもよろしいでしょうか?

投稿: Shushi | 2008年1月 9日 (水曜日) 21時38分

>>ピースうさぎさん
マーラー&合唱団の話題ということでお待ちしておりました。新パソコン、繋がったようでよかったですね。

バブル時には結構「千人の交響曲」の演奏会はあったように思えるのですが・・・最近はコンサートホールの杮落としとかでしかやらないような。かくいう私も都響何十周年記念かなんかで参加したんでした。ピースうさぎさんも歌う機会があるといいですね・・・名古屋で「千人」のコンサートがありますようお祈りしています。

投稿: naoping | 2008年1月 9日 (水曜日) 21時42分

>>Shushiさん
こんばんは。私もこのところ何故か千人の交響曲ブームです。比較的不人気なこの曲の人気が上がるといいなあと思います・・・3番や7番みたいに。

リンク、貼って頂けるのであれば、こちらからもリンク貼らせて頂きます。

投稿: naoping | 2008年1月 9日 (水曜日) 22時16分

 本文とは関係ありませんが…。僕の管理してるボールト・コミュから情報を頂きました。ご存知だったらごめんなさい。

 http://www.testament.co.uk/

 Testament からボールト指揮のマーラー第3交響曲のCDが出るそうです。カスリーン・フェリアーが歌っているとのことです。

投稿: なおらー | 2008年1月10日 (木曜日) 06時33分

>>なおらーさん
こんにちは!あけましておめでとうございます(遅)。
おお!フェリアーの歌う3番。これは聴かなきゃです。見かけたら入手します。

情報ありがとうございます。

投稿: naoping | 2008年1月10日 (木曜日) 21時25分

8番は東京では4月にの終わりにインバルの指揮であるみたいですよ。

naopingさんのブログ、僕のブログにリンク貼っていいですか??

投稿: Shamshyraq | 2008年1月10日 (木曜日) 21時29分

>>Shamshyraqさん
お返事遅れてすいません。
インバル・・・それは人気ありそうな。インバルのマーラーは一回だけ実演に行ったことがあり、ずいぶん前のことなのに強烈な印象があります(6番)。

リンク、貼って頂いてオッケーです。

投稿: naoping | 2008年1月11日 (金曜日) 07時16分

随分前の記事へのレスで恐縮ですが、このコシュラーさんの振った千人、客席で聞いてました。私が生で聴く初めての「千人」でした。割と引き締まって、きびきびした演奏だった記憶があります。当時、合唱で一緒だった友人2人を連れて行きましたが、第2部で寝てしまった彼らを、神秘の合唱が始まる前に起こしてやりました。

投稿: Herbertoka | 2014年3月10日 (月曜日) 08時03分

>>Herbertoka さん

おお!この演奏を聴いて頂いてたのですね。
なんか嬉しいです。
でも、たぶん客席で聴いたのと舞台で聴いたのと違う印象なのかも・・・と思います。きびきびだったのですね。

全く関係ないですが、たまたま昨日京都の三十三間堂に行きまして、千も立ち並ぶ仏様たちを見て、千人の交響曲を思い出しました。

投稿: naoping | 2014年3月10日 (月曜日) 21時22分

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