飯守さんのナクソス島のアリアドネ
関西二期会東京公演
R・シュトラウス:歌劇「ナクソス島のアリアドネ」
蔵田裕行(執事)、荻原寛明(音楽教師)、福原寿美枝(作曲家)、竹田昌弘(テノール歌手/バッカス)、日紫喜恵美(ツェルビネッタ)、畑田弘美(プリマドンナ/アリアドネ)、大谷圭介(ハルレキン)、その他
飯守泰次郎指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団
(新国立劇場・中劇場 2008年1月27日)
あー、ついに行ってきました、アリアドネ。本年初オペラ。
実は、一回目の公演を色々他のblogを見たところ、いつもお世話になってますyokochanさんはかなり好意的に書かれていたのですが、他の方は・・・・・・結構そーでもなかったので、ちょっぴりダークな気分で臨んだのですが・・・。
結局、そんなに恐れることはありませんでした。
とてもよかったです、ワタクシ的には。感動しました。
中劇場、行ったのは3~4度目かな? 小さいホールなのでまあ、どこの席でもきっと見やすいかと。私は前から7列目くらい、右端に近い席でした。
舞台は、普通にオーソドックスな感じ。現代風にもどんなにもできそうなオペラですが、衣装もセットもト書きどおりな雰囲気。冒険はしてないね。
舞台前方に波とか貝の飾りがくっついてたのがかわいかった。オペラの時に、貝の後ろにろうそくをつけるようになってたんだね。
で、まー飯守さんの指揮ですが、実は私オケピットに入ってる飯守さん初めて見たのですが、途中は舞台に気を取られてちょっと忘れてたくらいでした。おそらくテンポに違和感がなかったからでしょう。
どこかのblogで「関西フィルの音がうすっぺらくて気になった」と書かれてたのを読んだのですが、36人くらいなんだから仕方ないと思う(まあ、そんなことわかってて書かれてたのだろうと思うが)。はじめのほうこそオケがなんだか揃ってなかったり、ばらけていた気はしたのですが、あとのほうは気にならなかったです。
歌手のみなさんは大健闘だったと思います。ただ、コメディアデラルテの役の方々は、どうしても身軽に踊ったり動きながらも指揮を見て、しかも合わせるのが大変なパートということで、なんだか大変そうな感じが観客に伝わってきてしまうのが残念でした(ヨイショ、ドッコイショ、みたいな)。まあ、そんなもんなのかなあ。声を響かせるオペラ歌手が身軽っていうのはそもそもムリでしょうがね。
ツェルビネッタの役というもの、オペラ史上最も歌うの難しい役なのに「あら、私こんなの歌うのなんでもないわ」という顔で身軽に演じなきゃならない。残酷な役です。この役の日紫喜さんもなんだかとっても気の毒な気がし(あくまで私が思っただけですが)、あの長大なアリアを歌っている最中も心の中で『がんばれ、がんばれ』って応援してしまいました。まあ、最高音はちょぴり悲鳴っぽくなってしまった気はしますが、一人ぼっちの舞台でよく頑張ったと思う。終わったとたんにブラヴォーをもらい、カーテンコール時にも大喝采で、彼女涙ぐんでいらした。きっと東京の地で大プレッシャーだったんだろうな。
一番良かったなあと思ったのは、作曲家役の福原さんで、ズボン役ってことで何かとオトクな感じの役だけれど、声もよく響いていたし、何よりとても可愛かった。ちょっと私ほれてしまいました。歌うの前半だけだから、ちょっと悲しかったです。この歌手、もう二度と聴く事ないんだなあと思ったらなんだか寂しくなった。
アリアドネ役の畑田さんも、ややハスキーな感じもしたけど声はよく響いていたし良かったと思います・・・ちょっと声がリザネクっぽかったかな?と私は思いました(違いますかね)。テノール歌手の竹田さんも、プロローグの時は「こんなのつかえねーよ」とか言ってかつらぶん投げていましたが(←いや、そういう役だってば)、いざオペラになるとかっこよくやってました。大きなお船に乗って出てきたのでびっくりしました。愛し合う2人は最後はセリに乗って上に上がってきました。最後、なかなかきらびやかな舞台。
あんな人数少ないオケなのに、最後はちょっとだけ「影の無い女」みたいだな、と思いました。だって同じ作曲家だもんねえ。
チョイ役のはずの3人の女の人たち(エコー、ナヤーデ、ドリャーデ)も、なんだか活躍してはりました。「赤い毛糸だま」のようなものがオペラでは活躍するのですが(おそらく運命の赤い糸みたいなのを象徴)、ツェルビネッタがアリアのときにあちこち散らばしたものを、3人で歌いながらくるくる後片付けしていて、大変そうでした。これって「神々のたそがれ」の3人のノルンにを思い出したりした。
終わったあとの拍手はなかなか熱狂的で、ブラヴォーもたくさんでしたけど、観客に一人だけ飯守さんにブーを言ってた男がおり(本当に声だけ聞いたかぎり一人だけだった)、その勇気にブラヴォーを贈りたい。なわけない。
開演前に行った「めん屋桔梗」。
いつもラーメンはオペラシティ内のラーメン屋に行ってたのだけれど、安い早いだけであまりにもチープな味に閉口してた(まあ、便利っちゃー便利だが)。
煮玉子ラーメンを食した。しょうゆ味。麺は細いのと太いのと選ぶ。
スープはこってりお魚系。こういうのが好きな人は好きかも。ちゃんとだしを取っている感じ。ざるラーメンが名物らしく、みんな頼んでいた。ちょっと駅から離れているけれど、なかなか人はいっぱいになってた。
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コメント
こんばんは。
そうなんです。結構批判評があってアレレと思いましたが、私的には素晴らしい公演だったと思います。
そう、ワタシも福原さんが一番。序幕のカーテンコールでブラボーしてさしあげましたよ。
オケの真近で聴いたものですから、その熱演ぶりは目で確認できました。序幕の出だしは、どの演奏でも難しいと思うのです。
それにしてもブ~とは悲しいですな!
偉そうに、憎ったらしいこと!
投稿: yokochan | 2008年1月27日 (日曜日) 21時36分
>>yokochanさん
ども。私もついに初アリアドネでございます。この曲はCDでしか聴いたことなかったのですが、すごくいいですね。東京二期会・・・まだどっちのキャストか迷ってるんですけどね。作曲家役の歌手さんどっちもカワイイし・・・(どういう決め方・・・?)。
福原さん、可愛かったです。あのスーツ姿にちょっときゅんときちゃいました。低い声も素敵でしたし。東京でもまたどこかで彼女の舞台が見れるといいなあと思います。
・・・まあ、ブーはちっとはあるかなあと覚悟はしてたんですが、今日のお客さんは全体的には好意的でしたよ。
投稿: naoping | 2008年1月27日 (日曜日) 22時18分
僕もいってきました。18の26。舞台全体が見渡せて結構いい場所でした。7列目ですか。字幕が見えなかったでしょうね。
歌手の皆さん健闘しておられました。新国では2日空けるのに1日なんだもの。キツイ!ツェルビネッタの日紫喜さんなどは後半疲れてきて音程が下がりだしたものだから、ハラハラしてました。
ステージは本当にチャンとやっててよかったです。最後なんかうっとりしてました。天井から金粉とまではいかないけれどキラキラしたものがふってきたし。どうせならMETのゼッフィレッリが「トゥーランドット」でしたように盛大に降らして欲しかったけど(ちょっとショボいぜ)。
一番の功労者は飯守氏。yokochanさんが「響きが薄いという批判もある」というけれど、40名そこそこの編成、しかも中ホールのちょっぴりデッドな響きではSKDのCDのように厚い音を出せというのが無理(中ホールの天井が低い!りゅーとぴあの劇場のほうがよっぽど響きがいい)。それに最初のうちは楽器が温まっていないから音は出るもんじゃないですよ。オペラの大団円では結構いってたじゃないですか。
それよりも、このオペラを、日本人だけで、これだけの質の高い上演をして見せたところに意義がある。
2階席からのブーイング(僕には複数聞こえたけれど)、残念です。これは「バラの騎士」でゾフィーを歌った森ちゃんに対するブーイングと根っこが同じじゃあないでしょうか。外国来のオペラ・カンパニーだってこれだけの質の上演など滅多にできないんじゃあないですか。そりゃドイツ語の発音や体力など、日本人の我々が同逆立ちしても敵うわけがない。けれど、オペラの感動ってそんなものばかりじゃないと思うんです。
ともかく、6月の東京ナクソス、楽しみになってきました。
投稿: IANIS | 2008年1月27日 (日曜日) 23時28分
わたしも十分に楽しませていただきました。
オーケストラは木管はじめソロがもうちょっと冴えた音色を聴かせてくれると、もっとオーケストレーションが映えたんじゃないかとは思いますが、飯守さんの作り出す音楽の土台がしっかりとR.シュトラウスの世界を築き上げていたことが一番の勝因なのではないでしょうか。
歌手の皆さんも総じて健闘してました。関西でやってきただけにアンサンブルが安定していて、安心して見ていられました。おっしゃる通りわたしも作曲家が一番よかったと思います。ツェルビネッタもやや金切り声に近くなる瞬間があったとはいえ、よく転がっていましたね。プリマドンナ(アリアドネ)はもうちょっと気位の高そうな雰囲気が欲しかったかな。さすが関西だけあって(?)道化の割り込むタイミングなどスムーズで悪くはありませんでしたが、演出にもうひと工夫あってもよかったかもしれません。
そうそう、昨夜の某評論家は○山氏です(笑)
投稿: 白夜 | 2008年1月28日 (月曜日) 00時17分
>>IANISさん
こんばんは。感想を寄せていただき、ありがとうございます。
ダブルキャストじゃなくて中一日ってのはキツイですね、高校野球じゃないんですから。日紫喜さんは後半疲れてるのかなあと思いましたが、頑張ったと思います。世界中にこの役が完璧に歌える歌手なんて何人もいないですから大健闘だと思います。
ステージはなかなか綺麗でしたね。「貴族の家で上演する」っていう設定だから、あんな感じでいいんじゃないかなあと思います。
ブーイングは・・・まあ、あるだろうなあと覚悟してたんですが・・・。正直、私は全く知らない歌手ばっかりのオペラ上演であまり期待してなかったので、逆によい意味で裏切られた感じです。まあ、気が付くところは私もあるにはあるんですが、純粋に「シュトラウスのオペラ見たんだなあ」という気持ちで帰ってきました。因みに私の前の席に西洋人のお兄さんが座ってたのですが、真剣に見てましたよ。
このレベルでブーイングだったら、今度の「妖精」はどうなるんだろう、心配になります。(券取ってないけど)
>そりゃドイツ語の発音や体力など、日本人の我々が同逆立ちしても敵うわけがない。けれど、オペラの感動ってそんなものばかりじゃないと思うんです。
コレ全く同感です。本場と同じレベルを求めるのが間違ってる。それと、チャレンジ精神も大事だと思います。普通の演目ばっかりやってたら、向上しないじゃないですか。
投稿: naoping | 2008年1月28日 (月曜日) 20時14分
>>白夜さん
こんばんは。感想ありがとうございます。楽しい公演でしたね。なんだか曲が終わるのもったいない感じがしました。
私は飯守さんのことは何故か途中で忘れていて、舞台に没頭してしまいました。飯守さんの指揮でシュトラウス、他の曲も聴いてみたいなと思いました。
関西も、結構いい歌手の方がいるのかも。東京に住んでいると「日本中の歌手が聴ける」ものとすっかり勘違いしていたのですが(まあ、関西のお笑い芸人を意外と知らなかったりするのと一緒です?)、そんなでもないんですね。作曲家役の福原さんは、オクタヴィアン役でもよさそーですね。
これを見て?東京二期会もいっそう素晴らしい上演をしてくれるに違いないです。(まだ、どっちのキャストに行くか決めてないんですけど・・・)
あー、お知り合いはやっぱり○○○秀さんでしたか。いろんな意味で、ス・・・スゴイっす。
投稿: naoping | 2008年1月28日 (月曜日) 20時39分
1月29日(火)ココフラッシュにて、この記事が前日のココログ音楽記事全体でアクセス数が12位にランクされました。今までで最高記録です。ありがとうございます。(毎日変動)
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投稿: naoping | 2008年1月29日 (火曜日) 09時07分