ブーレーズ/シェーンベルク「地には平和」
シェーンベルク:無伴奏混声合唱のための「地には平和」作品13
ピエール・ブーレーズ指揮/BBCシンガース
うー。
まだ終わんねえの?クリスマス。もう10回くらいクリスマスした気分だ。もー、いらん。
で、さて。今日はそんな苦情?にもめげず、ちょっとクリスマスっぽい・・・かな。
先日の若杉さんの新ウィーン楽派のコンサートに行ってから、「やっぱりいいよね、新ウィーン楽派は。」などと思いながら連日聴いている。結構、昔ブーレーズにはまってたから、このデザインのジャケットのは懐かしい。
今日も、昨日の続いてブーレーズ。合唱音楽ばっかり集めた2枚組なんだけど、12作品くらい入ってて私が聴くのはだいたい最初の「地には平和」と最後の「ワルソーの生き残り」である。 それってどうなの
この最初と最後の2曲の根っこは同じ(平和を心から願うという意味で)ながら、曲の感じは正反対だ。荒々しい、ちょっと聴くとなかなか立ち直れない「ワルソーの生き残り」のほうは結構有名なので今日はおいといて、今日はシェーンベルクの作品の中でもかなり上位にランクされるほど私の大好きな合唱曲「地には平和」を。
いや、ほんと、いいからこれ。画学生時代の(ワーグナー・ヲタの)担任の先生に強くすすめて買わせたくらいなのだ。
9分ほどの短い曲で、伴奏なしのアカペラで歌われる。終始静かで聴けば心がどんどん豊かになっていくような、感銘深い曲である。
一応、調性はあるような、ないような・・・。
解説によれば、シェーンベルクはこの曲を当時の合唱団のレベルをかえりみずにこさえてしまったために、実際に合唱によって歌われるまで、この曲は歌唱が不可能だということに気づかなかったようである。
あまりに難しくて「こんなの歌えねーよ」という苦情にお応えし、室内オケの伴奏版というのをシェーンベルクは作った。
実際私は伴奏つきなのは聴いたことないけど、想像するにせっかくのこのアカペラのピュアな感じがなくなって普通の曲になってしまったのではないだろうか・・・。
初演はシュレーカーの指揮でウィーン・フィルハーモニー合唱団で行われた・・・が作曲者には決して満足のいくものではなかったという。
が。
このブーレーズの指揮による録音は、やはりBBCシンガーズだけあってさすがというべきか、スタジオ録音だし完璧である。聴いていてあまりに気分がよいので、そしてすぐに終わってしまうので、このCDを取り出すと10回くらい?ついつい聴いてしまう。
私の持っているのは国内盤で(ありがたいことに)対訳つきである。今となっては宝というか。輸入盤でなら買えるみたいだから、ぜひおすすめします。私、これ一曲でもういいやって感じ(いや、他の曲もとってもいいですよ!)。
詩を読めば、この曲の雰囲気がつかめるかもしれない。
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地には平和
(コンラート・フェルディナント・マイヤー原詩)
羊飼いたちが羊の群れを置き去りにして
天使が告げたことばを胸にいだき
聖なる母と聖なる子のおわすところへ
低く狭き門をくぐりおもむくと
星空のなか天上の童たちはこぞって
歌をうたいつづけているところで、
天空はあますところなく鳴り響いていた、
「地には平和、地には安らぎが!」
天使たちがそのように助言したのちにも、
おお、いくたびも血の惨劇が争いにより、
武具に身を固めた争いにより、むごたらしく
野生の馬たちのうえにもふりかかったことか。
聖なる夜、いくたびとわず夜ごと。
精霊たちは声をそろえ、ときに恐れためらい。
ときに嘆願し、ときに訴え、合唱しつづけた。
「地には平和、地には安らぎが!」
だが、弱きものかならずしも
殺戮の厚顔無恥なふるまいの
餌食になるとは限らない、
これぞ世にありて永遠に変らざる信仰。
殺戮にも惨劇にも正義とおぼしきこと、
かならずただよい働くはず、さあれば
あらたな王国も建設されることだろう、
「地には平和、地には安らぎが!」
望ましき王国はしだいに形なし、
聖なる務めもとどこおりなく、
武器をこしらえても危険なく、
正義を守る炎の剣だけになるであろう。
ついにはこの王国につどう一族は
強健な子息たちに恵まれ栄え、
一族の吹き鳴らす喇叭が告げるだろう、
「地には平和、地には安らぎが!」
(訳:深田 甫)
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コメント
この曲は確かに演奏は難しいですね。
しかし、いまや日本のアマチュアでも歌うようになってしまいました。
いつか歌いたいので楽譜だけは持っています。
投稿: ピースうさぎ | 2007年12月19日 (水曜日) 08時34分
>>ピースうさぎさん
そういえば、たまーに日本の団体のコンサートのチラシでみた、ような。スゴイ進歩ですね。(まー、今や大学オケでもマーラーやる時代ですものね)
いつか歌ってください!
投稿: naoping | 2007年12月19日 (水曜日) 20時18分