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2007年11月 8日 (木曜日)

ミトロプーロス/浄夜

P1000845 シェーンベルク:「浄夜」
(RVW:トーマス・タリスの主題による幻想曲)
ディミトリ・ミトロプーロス指揮/ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽セクション





浄夜。または清められた夜。
いうまでもなく、シェーンベルクの代表作。一般的にはこの作曲家のイチ押しの曲である(多分)。

しかし、私はこの曲はこの一枚しか持ってない。CD、LP通じてこれだけ。好きじゃないわけではもちろんない。大好きなのであるが。

このミトプー盤だけで充分じゃないかなあと思い。

きっとカラヤンとかメータとかの演奏もきっといいのではないかと想像しつつ。

このミトプー盤のほかには別にいらないのでは、と思うくらいこの演奏が好きだ。まことに求心的で、恐ろしいまでの集中力をもって演奏されると、他の演奏を聴きたいという気がまず起こらない。寒気がするくらいである。で、つい何回も聴いてしまうのである。まことにミトプーらしいというか。

(そうそう、このCDはシェーンベルクが25分、RVWが12分と信じられないほど短い収録時間である。なのに国内盤で2300円もする。ボラれている気もするが、演奏が素晴らしいので文句も言えない。RVWも勿論素晴らしい。ちょっとイギリス的なのどかさに欠けるが。)


ところで。以前、どなたかのblogにコメントしたかもしれないが。

以前、葉書を出して抽選で当たった、この曲とチャイコフスキーの弦楽セレナーデという曲目の、弦楽オーケストラ(確かいろんなオーケストラのOBのおじいさんたちによる)のコンサートがあった。

NHKホールだったんだけんども。

私は懸賞で行くコンサートが大好きで、いろんなものに行っているし大抵は満足して帰ってくるんだけれども、こんな珍妙なるコンサートは行ったことなかったし、もうないと思う。

何が「珍」かというと、まず聴衆の方々が、おそらくクラシックのコンサートに来たの初めてみたいな方々がほとんどで。まあ、クラシックのコンサートでないときはNHKホールとて客席でものを食べたり飲んだりしているのかもしれないが・・・。

もうほとんど客席は映画館を化していて。ジュースを買ってきて彼女が彼氏に「ハイ」なんて手渡してたりとか、演奏中でもあちこちでものをむしゃむしゃ食べてたりとか。

それはまあ、しょうがないわな、と思いつつ演奏に入ると。

例の有名なチャイコフスキーの弦楽セレナーデの有名な楽章で(あの、以前のスタッフサービスの宣伝のアレよ)、ひとメロディーごとに「じゃん!」といったあとにパチパチと拍手が入り。

この楽章だけで途中何回拍手してんだ、このコンサート。

チャイ5の終楽章の途中で拍手が!!(汗)・・・なんてそんなのまだまだ甘いわよ、というような忘れられぬ演奏であった。

そのあと、お待ちかねの「浄夜」。それが、演奏だけでなくて、演奏中(だったか演奏前だったか忘れた)に例のデーメルの詩「女と世界」が朗読されるという豪華版で。

「女と世界」大意:
冬の夜、林の中を愛し合う男女が散歩し。女はかつて母になることを夢見て見知らぬ男の子供を宿したことを後悔していると告白する。彼女を深く愛している男は、月光が降り注ぐ浄夜をたたえ、その子供を自分の子として生んでくれという。二人は抱き合い、歩み去る。

(そんなやつぁいねえよ)

しかも朗読したのはあの、津川雅彦さんで。

どんなもんかなあ、と思ったら、津川さんはシルクハットにマントのついたコート?にステッキと、なんだか手品師みたいなカッコで現れて。(笑ったのは私だけ?)

かなりそれらしい幻想的な照明の中、雰囲気たっぷりに「女と世界」を読んでくれた。

その効果は絶大だったのか、演奏の邪魔になったのかはとんと覚えていないが・・・演奏はなんだかぶっつけ本番ぽくてミトプーの求心的な演奏とはまるで別物だったのだけは覚えている。

で。

タダだったので、別に頭にきたわけでもなかったのだけど、トホホな気分で帰宅。後日、他のコンサートで会った知人にこの日のことをこと細かに話したところ、いたく羨ましがられ。

「いいなあ~オレそういうの好きなんだよ~。行きたかったなあ~!」と言われた。

あらそう。

2名分当たったのだから誘うんだったわ、とその時後悔しました。



・・・・みなさん、行きたいですか?こんなの。

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コメント

ゲルギエフ/マリインスキー劇場のコンサートから帰ってきた所ですが、まさに降臨されたって感じの豪演でした。

浄夜と言えば中学の頃からカラヤン/ベルリン・フィルの演奏で聴いてきたけど、オリジナルの弦楽六重奏に比べると、弦楽合奏だとちょっともたれる感じがしますね・・・ブーレーズの演奏でもちょっともたれ気味です(-_-)。

>・・・・みなさん、行きたいですか?こんなの。

地元にいたときに、たまにあるコンサートの度にマナーの悪さに辟易しまくりだったから絶対に嫌ですね。拍手もひどかったですね、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」の中間部での高潮の後で盛大な拍手が出たときなんか、それまでの気分が全部吹き飛びました。

投稿: Shamshyraq | 2007年11月 8日 (木曜日) 23時54分

 私もこの演奏大好きです。
カラヤン盤を聴いてもピンとこなかったこの曲の素晴らしさに、この演奏で初めて目覚めさせられたような気がしています。(もちろんカラヤン盤の演奏もすばらしいのですが)

>なんだかぶっつけ本番ぽくてミトプーの求心的な演奏とはまるで別物・・・

 ミトロプーロスの演奏も別の意味でぶっつけ本番的な香りがしませんか?細部を磨きあげるというよりも、音楽の核心をぐっとつかんで、オーケストラを一期一会の気迫でぐいぐい引っ張っていく凄味のようなものを・・・。意味合いは全然違うと思いますが(^_^;)。

投稿: ココアカ | 2007年11月 9日 (金曜日) 15時31分

>>Shamshyraqさん
こんばんは。ゲルギエフ、ナマは一回しか聴いたことないのですが、他の指揮者にはない衝撃波のようなものを感じました・・・。かめはめ波っつーか(←?)。

浄夜、名曲だけあって色んな考え方や好みがあると思うのです。私は弦楽6重奏版ってのは聴いたことないのでなんとも言えません。ミトプーの演奏は結構コテコテですね。もたれやすいかも。

>たまにあるコンサートの度にマナーの悪さに辟易しまくりだったから絶対に嫌ですね。
ま、こないだのバレンボイム「トリスタン」の最後でオケの音が終わらないうちに拍手が・・・とゆーのは払ったお金を考えると(想像しただけで)滅法ヘコみますが・・・。私はこのチャイコのときはタダだからまーいいやって思うしか。話のネタになったのでよかった(笑)。

>>ココアカさん
中国からお帰りなさいませ。そうそう、うちのマンションの一階が花屋からいつのまにか接骨院になっていました(だからなんてことはないですが)。

このミトプーの演奏はほんとに素晴らしいですね。ま、違う意味で即興的な感じはします。ミトプーの演奏はどの曲でもハマると他のはなかなか聴けなくなります、私。

この私の行ったヘンテコ演奏会は、一回合わせたくらいでほぼぶっつけ本番だと思います。だって・・・テンポとか合ってなかったもん。


だれか、この演奏会行った人いないかな?


投稿: naoping | 2007年11月 9日 (金曜日) 20時32分

>他の指揮者にはない衝撃波のようなものを感じました

全くです、昨日のコンサートのメインは「火の鳥」だったけど、静かな所でも緊張感が漲っていてすごかったです。ゲルギエフというと豪快なイメージばかり先立つけど、静かな所でも高いテンションを保つ所こそが彼の真骨頂なのではないかな??

>たまにあるコンサートの度にマナーの悪さに辟易しまくりだったから絶対に嫌ですね。

たまにしかないからマナーが根付かないのかも・・・自分が行った中で最悪だったときにはその騒々しさに途中で帰りました。あと、静かに終わる曲でもお構いなしに盛大に拍手する人も困ったものですよね・・・

投稿: Shamshyraq | 2007年11月 9日 (金曜日) 21時58分

こんにちは。お久しぶりです。ミトロプロスのソニー盤「じょうや」は有名ですね。私も聴いたことあります。というか、この指揮者の普通のオーケストラ曲の録音って、ほかには殆ど聴いたことがないんですけど。(苦笑)

フランチェスカッティと共演したブラームスの協奏曲とかをオルフェオのライヴCDで何年か前に聴きましたけど、どうも私にはしっくりこなかったです。

偏った意見かもしれませんが、私にとってのミトプーせんせーは何よりも、オペラのライヴ発掘盤に面白いものがある人、って感じなんですよね。ボルクとのエレクトラとサロメ(特に前者のウィーン・フィル盤)、テバルディらとの運命の力やトスカ、チェルクェッティが凄いエルナーニ、ザルツブルクでのドン・ジョヴァンニ、歴史的なヴォツェック、あとレア物系でバーバーの「ヴァネッサ」(←これはスタジオ録音で、演奏も録音も一番バランスがいい)とか。

あ、そうそう、「じょうや」はブーレーズがウィーン・フィルの弦楽メンバーを指揮したライヴがNHKのFMで紹介されたことがありました。何年前になるかなあ。結構よかったですよ。NYPとのソニー盤よりもさらにゆったりしたテンポで、精密度もうんと上がってました。特に弱音がきれい。天下のウィーンだからか、各奏者がやっぱり巧いんだな。この音源、CD化してくれるといいんだけど。

では、また。

投稿: さすらいのジーン | 2007年11月10日 (土曜日) 09時55分

>>さすらいのジーンさん
お久しぶりです。
ミトプーは契約のソニーとの関係か、バーンスタインとややレパートリーが重なるためか、マーラーのスタジオ録音とかR・シュトラウスのオペラやヴォツェックなどの得意なレパートリーは他のレーベルのライブ録音がほとんどですね。ひどく冷遇されてた気がします。(そういえば同様にブーレーズも新ウィーン楽派とかしかソニーにはないような気が。ワーグナーやマーラーはグラモフォンだし)

以前、例の間違った情報(生涯独身で音楽の修道士みたいな生活・・・てやつ)からガキだった私はこの指揮者に相当入れ込んでたので、昔出た録音はまーまー持っていますが、イタ・オペまでは手が届いてません。バーバー「ヴァネッサ」は是非聞かなきゃなあと常々思っています・・・こないだ新宿塔で見かけて手には取ったのですが。

ブーレーズといえば、こないだ珍しくウェーベルン集を持ってるのを思い出して聴いてみたらなかなかよかったので、レビュー書こうかなと思ってたとこでした。

投稿: naoping | 2007年11月11日 (日曜日) 11時40分

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