ボド/火刑台上のジャンヌ・ダルク
オネゲル:劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」
Nelly Borgeaud(ジャンヌ・ダルク)、Michel Favory(ドミニク)その他
チェコ・フィルハーモニック合唱団、キューン少年合唱団、
セルジュ・ボド指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
レトロ電子楽器つながりでまた、フランス代表電子楽器のオンド・マルトノが大活躍する曲で「火刑台上のジャンヌ・ダルク」です。(う~んまたマニアック路線に戻してしまうだ。テルミンで来てもらった方々ごめんね~)
過去記事:火刑台上のジャンヌ・ダルク/イングリッド・バーグマン
トゥーランガリラ交響曲とともに、オンド・マルトノが演奏に必要となる数少ない古典名曲である(メシアンをすでに古典というのはどうなんだろう。まだ現代音楽に分類されるんだろうか?)。
しかし、昔の演奏の録音だとオンド・マルトノははしょってあったりもする。なきゃないでなんとかなるのである(多少間の抜けた演奏になる)。日本ではありがたいことにオンド・マルトノ奏者の原田節さんが存在するので、この曲の演奏頻度は比較的高いのではないだろうか。まー、そんなに毎年やるもんでもないが。
ここでのオンド・マルトノは、ときに「キュイーン」と舞台に異様な緊張感をもたらし、ときには犬やらブタやらの鳴き声っぽい音を出したりする。まさに現代のシンセサイザーの先駆けといった感じの使い方である。
一応、「歌劇大辞典」より解説。
火刑台上のジャンヌ・ダルク
オネゲル作曲、ポール・クローデル作詞の劇的オラトリオ。1938年バーゼルで初演。日本初演は1959年日比谷公会堂(草笛光子、露口茂、岩城宏之指揮/東京フィルハーモニー管弦楽団)。
この作品は厳密な意味では歌劇ではないけれど、近来は歌劇として諸方で上演されている。その先鞭をつけたのは1958年にナポリのサン・カルロ座で、ロベルト・ロッセリーニがイングリッド・バーグマンを主役として試みた上演である。そして日本でも1959年秋の第14回芸術祭にこの作品は歌劇として上演された。
神のお告げによってフランスを救いながら、火刑台上に短い一生を終わった物語に取材したものではあるが、この作品ではジャンヌ・ダルクの一生に起こったいくつかの場面が順を追わずに自由に表現されている。そして登場人物はうたう役とセリフによって演じる役とにわけられ、ジャンヌ・ダルクの役は小さな歌を一つ歌う以外はセリフによって演じるようにされている。
この曲を私がはじめて聴いたのは、FM-NHKラジオで海外(多分スイスの団体)の公演の放送である。まあ、こういう曲があるのは本で見て知っていたんだけど、初めて聴いたときの衝撃は今も忘れられない。全体にまれに見る緊張感と暗さで貫かれた曲である。実演を聴きに行けば大抵涙する。だってさー、少女が生きたまま焼かれるんだぜええ。オマケに少年合唱まで出てくるしな。反則技じゃ。ま、レスリングでいえば相手の顔面を頭突きして鼻柱を折ってしまうようなもの。京子ちゃん、あたしゃ悔しいよ。応援してるから必ず北京に行ってね!
(・・・とはいうものの。クラヲタを長くやっていると、何か初めて聴いて衝撃を受けるなんてことは最近はほぼなくなってしまった・・・。演奏会でもここ何年か滅多に泣きゃしねェ。年を取ると涙もろくて・・・なんてことは私はないなー。昔はよく演奏会やオペラでブタ泣きしてたけど。感受性が強かったんですかねえ。←自分で言うな)
当時は国内盤も発売されてなく、CDでやっと入手したものはジャンヌ役の声がえらく老けていて、おばあさんみたいな声であった。その後、2番目に入手したのがこのスプラフォンのボド盤である。
いうまでもなく古典的な名演である。現在は廃盤になっているものと思うが、本当に素晴らしい感動的な演奏である。(まあ、大体どんな指揮者がやっても感動するんだろうけど)
オネゲルの曲を沢山録音しているボドならではの手堅い演奏である。ジャンヌ・ダルク役の女優さんも少女らしくて可愛らしい声で好き。
余白に収められた「クリスマス・カンタータ」も同様に素晴らしい演奏である。時代的な緊張感と宗教的な美しさが入り混じっている名曲。
それにしても絵でも音楽でも、この時代(1920年代から30年代)の芸術の青臭いような、一種異様な空気は本当に素晴らしいパワーを感じる。
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