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2007年9月 9日 (日曜日)

チューリッヒ・ばらの騎士

Pa0_0165チューリッヒ歌劇場公演
R・シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」

ニーナ・シュテンメ(ヴェルデンベルク侯爵夫人)、アルフレッド・ムフ(オックス男爵)、ヴェッセリーナ・カサロヴァ(オクタヴィアン)、ロルフ・ハウシュタイン(フォン・ファーニナル)、マリン・ハルテリウス(ゾフィー)その他
フランツ・ウェルザー=メスト指揮/チューリッヒ歌劇場管弦楽団・合唱団


過去記事:ウィーンで見た薔薇の騎士

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Er laesst auf sich warten wie ein Kapellmeister.
(オーケストラの指揮者みたいに人を待たせやがる)
ベルク「ルル」より

指揮者出てくるの、。お陰で私の隣の席のお兄さんは開演時間ギリギリで突っ走って入ってきたけど余裕だった。よかったね 誰か知らんが

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ああ、でもやっぱり高いお金を出して行くオペラはいいわねえ。何事も、ケチっちゃいかん。 (まあ、引越公演オペラにしては安いほうだが)

チューリッヒ歌劇場は、初来日という。でもこの名前はなんとなく私には耳慣れた感じ。

というのも。
チューリッヒ歌劇場(旧・チューリッヒ市立歌劇場)は、ナチスが猛威を振るっていた頃、ドイツ・オーストリア系で迫害されていた音楽家の作品を多く初演していたのである。中立国だし。

あの、ベルクの「ルル」2幕までの世界初演(1937年、デンツラー指揮)もここでだったし、ヒンデミットの「画家マティス」も翌年ここで初演された。その後、20世紀の傑作オペラが数多くここで初演・または上演された、という。

ということで、なかなか革新的・意欲的な伝統をもつこの歌劇場の「ばらの騎士」。「ちょっと変った演出」という前情報もあり、不安と期待が入り混じっていたのだけれど、結局とても面白かったし、突っ込みどころ満載であった。

基本的に、私の中では「ばらの騎士」は大好きなシュトラウスのオペラ中でも人気のない(CD・LPともバーンスタイン盤しかない。クライバーのウィーンのほうのビデオはさすがに持っているが)ほうなので、この今年の日本での「ばら戦争」もこのチューリッヒのしか観にいかないけれど、結局この上演を観てよかったと思った。

なんで私の中で人気がないかというと、いままでどんな演出でも頭に糸コンニャクのようなカツラをつけて、女性は裾の広がったでっかいドレス、お胸は寄せてあげて、男性はニッカポッカみたいなのはいて、それってほとんどモーツァルトじゃん・・・みたいな。これしか選択肢ないぞ、みたいな。

でも、チューリッヒのはなかなか変った演出ながら、衣装等は新旧取り混ぜた感じでよかった。前にNHK衛星で「ええええ?」みたいな演出(どこのだったんだろう。カサロヴァが出てて、第1幕で朝食のココアをテーブルにこぼしまくってた。)を見てたので、それなりに覚悟してたせいもあるかも。

演奏等専門的なことはまあ、他のblogなり音楽雑誌の批評なりご覧頂くとして。(逃)

印象に残った点。

第1幕で商人やら孤児やら色々乱入してくるシーンで、マルシャリンの頭を「おばあちゃんに結いあげる」美容師の、頭に乗っけた黒い帆船がすげーツボ入った。なんとなく、しりあがり寿の「ひげのOL薮内笹子」を思い出した。

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まあ、マリー・アントワネットが舞踏会で人より目立つために、頭に帆船乗せたりしてたのは知ってる。だから史実と違うというわけではない(?)。もしかしたらマルシャリンだって帆船乗っけてた日もあったかもしれんし。でもこの日はたまたま美容師のテーマが「おばあちゃん」だったのだ、不幸にも。

いくつかのblogで書かれていた、「ハコに入ってラッピングされて届けられたテノール歌手」も、このヒゲ帆船美容師の影に隠れて(あくまで私の中では)影が薄かった。


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素晴らしい。行ってよかった。

演出は。

第2幕では何故か調理室での場面となり。調理人たちが何故かえんえんと「何か青いもの」を右から左へうけながす行為をしていた。なんだか懸命にミンチしてたし。

で、銀のばらを受け取り、いよいよお婿さんと初対面・・・というところで熊みたいに大きなオックス男爵を初めて見たゾフィーの、「コケ」が大変よかった。まるでなんばで吉本見てるようですわ。

(ついでに言えば、第3幕で恋人に別れを告げたあとマルシャリンはショックのあまり気絶してた。)

ガラスの向こうでオクタヴィアンのお付のお爺さんがオックス男爵のワルツに合わせて踊ってたのも可愛かったし。

第3幕は何故か第1幕と同じマルシャリンの部屋である。その中にしつらえたあずま屋にお店をつくり、オックス男爵はまるで「電波少年」みたいに目隠しされて連れてこられる。なるほど、これでこの一件がみんなで仕組んだ「茶番劇」であり、わざわざ何でマルシャリンがここで登場すんの?というギモンは解消される(・・・かな?)。

舞台装置と衣装は、白を基調にミントブルーとサーモンピンクがアクセントとして利かせてありとてもセンスがよいものであった。裁縫好きな私は「あ、あの布地素敵!」とか「あ、あのエプロンの布地はユザワヤで見たことある!」とか楽しめた。

で、歌手だが。

そもそも、カサロヴァが目当てで観にいったので、彼女の深い声と魅力的な演技を観ることができ、よかった。ただ、フォン・オッターみたいに文字通りの痩身の美少年といった感じではなく、「女装」の第3幕のほうがキレイだった。

ムフは見るからに「バス歌手~~(実際はバリトンだが)」みたいな容姿で、声もやっぱり西洋人らしくパワーがあるなあと思った。

ゾフィー役のハルテリウスという人は、遠目にはカワイイかなと思うけど、双眼鏡で見るともうちょっと若やいだ感じも欲しいかなと(実生活ではゾフィーくらいの娘さんがいるらしいが)。

しかし、この日の主役は(ほんとに主役だけど)ニーナ・シュテンメだったと思う。ブラボー(ブラーヴァ)も多かったし。CDジャケットとかの写真だとまだ若くてお綺麗な方なのに、他の歌手との兼ね合いかやや老けてるお化粧だったのが残念。いずれは日本でもイゾルデを歌いたいとインタビューでおっしゃっていたので、美貌と声を兼ね備えたイゾルデが見聞きできることを期待。

その他。

逆隣の席のご年配のご婦人2人お友達同志でいらっしゃってたのですが、片方のご婦人がトイレから間に合わなかったのか、第3幕で席に戻ってこなかったのがお気の毒でした(どこか後ろのほうで見てたのかもしれませんが)。

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コメント

こんにちは。オペラになるといつも周辺に悩まされるのですが、今回は理想的な環境でした(笑)
あの美容師や箱入りテノールの絵、完璧ですよ(^O^) ついでに昆虫給仕やマホメットちゃんも見たいっす。
面白い演出でしたね。
元帥夫人がバッタリはびっくりしましたし、オックスの胸にバカバカもたまげました。威厳よりは、一人の女性としてとらえたんでしょうか。
あとで私もTBさせていただきますね。

投稿: yokocan | 2007年9月 9日 (日曜日) 13時13分

こんにちわ。あら、おんなじ日に行ったんですか?
今日はこれを書くのでいっぱいでした。トラバさせていただきましたが、どうなんでしょう。
「開演時間ギリギリで突っ走って入ってきた人」も、「ご婦人2人お友達同志でいらっしゃってたのですが、片方のご婦人がトイレから間に合わなかったのか、第3幕で席に戻ってこなかった」人もいました。3階2列め若い番号席だったのですが、近かったですか。
2枚の絵、すごくいいです。おもしろい。
しかし、いやー、とってもよかったです。

投稿: にけ | 2007年9月 9日 (日曜日) 19時20分

>>yokochanさん
私も今回は周りにヘンな観客もいなかった(珍しい・・・)ので、良かったです。ただ、ワーグナーの時と違ってこういう女性も好きな演目だと女子トイレが混んでしまってイヤです。
虫さんたちの給仕もかなりツボでした。別にこんなに面白い必要はないと思うんだけど、この曲。でも、面白かった・・・日本の観客はあまり笑わないから、ツボ入ったときは結構苦しいですが。

>>にけさん
同じ日でした!
はあ、なるほどあの字幕は確かにヘンテコリンでした。ま、筋は知ってるしシュトラウスの音楽を楽しめばいいのであまり見なかったですけどね。あのヘンな訳はフジテレビ主催なせいかしらん。ドラリオン!
ところで、同じような方(開演ギリギリ・・・等)が3階にもいらっしゃったのですね。因みに私は1階の真ん中より少し後ろのS席でした。比較的券が安く設定されていたので奮発しました・・・が、ドレスデンは高くてはじめから買う気になれませんでした。

1階席真ん中少し後ろで、開演ギリギリに入ってきた方のコメント求む!

投稿: naoping | 2007年9月 9日 (日曜日) 19時46分

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