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2007年9月11日 (火曜日)

カルショーの本とフラグスタートのグリーグ

P1000815 フラグスタート・グリーグ・リサイタル
君を愛す/エロス/バラに囲まれて/波に揺れる舟/小屋/初めての出会い/春へ贈る歌/桜草に寄せて/睡蓮に寄せて/夢/モンテピンチョより/小さなキルステン/野心、他
キルステン・フラグスタート(ソプラノ)、エドウィン・マッカーサー(ピアノ)


このところ、こないだ購入したカルショーの書いた「ニーベルングの指環 リング・リザウンディング」を読んでいるんですが、まだ3分の1くらいです。

Book ニーベルングの指環 リング・リザウンディング

著者:ジョン・カルショー
販売元:学習研究社
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(今更ですが)とにかく面白いです。ショルティのリングのCD(レコードでもいいけど)を持っている方はとくに面白く読めますし、去年発売のカイルベルト盤を聴いている人も面白いと思うし、またはクナッパーツブッシュの人となりとかも垣間見えて楽しいです。最近興味のある、レコードをつくる側のことも知ることができる。レコードを作る人も、会社員なんだなあというのが素直な感想。

ま、文句を一つ言えば、とってもこの本重いです。中学生にも読めるくらいの大きな字で書いてあり(老眼の人でもってこと?)、400ページ以上あるのでちょっと電車の中で読もうと思って持ち歩くことが出来ません。腕が鍛えられそうでいいかもしれませんが。もっと字を細かくしたり、2段にしたりとかできなかったのかなあ。

ま、そんな中で(まだ読み終わってもいない本について書くのは気が引けるが)。今のところ大変印象深いのが、大歌手キルステン・フラグスタート(1895-1962)とカルショーの交流です。これから読む人のために詳しい内容は書きませんが、とかく謎めいて気難しそうなイメージの彼女の人となりが知れてとても興味深い。

例のフルトヴェングラーとの「トリスタンとイゾルデ」の事件(第2幕の愛の2重唱の高音を、ウォルター・レッグの奥さんのシュワルツコプフが声出した)が大衆にバレてしまったので、傷ついたフラグスタートはEMIとは縁を切り録音もしなくなって影に引っ込んでしまった。

そんな(まだ歌える)フラグスタートを再び録音現場に引っ張り出し、文字通り社運を賭けたデッカのリングに(何らかの役で)登場させるためにあらゆる手を尽くし頑張ったのがデッカのカルショーであり。

で、その時のデッカとのいくつかの契約で録音されたのが今回紹介のレコードである(あろう)。残念なことに私の持っている英デッカ・レコード盤はまたしても録音データがないときてる。彼女の登場する「ラインの黄金」が最後の録音で1958年だから、その周辺の録音であろう(激しくテキトーですいません)。ステレオ録音。

ショルティ・リング「ラインの黄金」のフリッカはかなり声が太くなっていて、「うーん、オペラ的にはどうだろう」と思うこともしばしばですが、このグリーグ歌曲集は純粋に素晴らしく大変に味わい深い。年数を重ねた芳醇なブランデーのようである(本当はそんな高いブランデーはとんと縁がないが)。また言うまでもないけれど、グリーグの歌曲のなんて美しいこと。現存の歌手とは全く違う味わい。

ところで。
晩年のフラグスタートの歌声はふかぶかとしてあのカスリーン・フェリアーを思わせる。カルショーのこの本によると、「電話で話したところ、喋り方や声がフェリアーにそっくりでびっくりした」そうな。

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コメント

音楽之友社 昭和44年第2刷発行 定価1000円 ので持ってます。今まで出てなかったのが不思議なくらい面白い本です。訳者が黒田恭一になってますけど、まさか同じじゃないでしょうね。
グリーグ・リサイタルは知りませんでした。近いところでは、ショルティのワルキューレ第3幕でもフラグスタートが歌っていたと思います。

投稿: にけ | 2007年9月13日 (木曜日) 02時00分

>>にけさん
この本の黒田さんの書かれた序文によりますと以前出版されたものは、日本で「ニーベルングの指環」を発売するにあたり若かりし頃の黒田さんが一ヶ月ちょいホテルにこもって翻訳されたもののようです。

今回出版されたものは山崎浩太郎さんによる翻訳です。だから多少?こなれたものになっているようです。比べたわけではないのですが。

このデッカのグリーグは3年くらい前に中古レコード屋さんで入手しました。CDでは見たことありません。ワルキューレ3幕は以前このblogで取り上げましたが、あまり録音を劇的にいじってなくて素直に聴ける感じです。
http://naoping.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_6d27.html

投稿: naoping | 2007年9月13日 (木曜日) 20時21分

こんばんは。カルショーの本が復活ですね。

『リング・リサウンディング』は、以前図書館で借りて
読みました。でも苦労だ狂一の翻訳文は、はっきり言って
悪文!ひょっとしたら、カルショーの原文を尊重して
直訳したらそうなった、のかもしれませんけど、まあ
くどくどしくて読みにくい文章でした。イライラもん
でしたね。新訳の登場は、大歓迎。

ところで、その本に出て来る「われらのジークフリート」って、
誰のことか、新本では種明かしされていますか?もし出てなかったら、
私が教えてあげますヨ。思わず、ええっ、こいつかよ、っていう感じの
意外なテノール歌手なんですよね。(笑)

じゃ、また。

投稿: さすらいのジーン | 2007年9月13日 (木曜日) 20時52分

>>さすらいのジーンさん
こんばんは。コメントどうも。
まだ30歳の黒田さんは本当にぶっつけ本番的?に仕事を引き受けちゃったということなんで、そういった文章でもしょうがないかな~と思います(←援護)。ご本人もあとで読んだら誤訳があったり文章もこなれていなかったり・・・、と思われたようです。ということでこの新訳本は歓迎すべきです。

で、「われらのジークフリート」は、その黒田さんの序文に書いてありました。私は知らない名前でした。はは。

投稿: naoping | 2007年9月13日 (木曜日) 22時30分

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