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2007年9月17日 (月曜日)

クナ/神々の黄昏・1951年

ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」
アストリッド・ヴァルナイ(ブリュンヒルデ)、ベルント・アルデンホフ(ジークフリート)、ヘルマン・ウーデ(グンター)、エリザベート・ヘンゲン(ワルトラウテ)、ハインリッヒ・プランツル(アルベリヒ)、ルートヴィッヒ・ウェーバー(ハーゲン)、マルタ・メードル(グートルーネ)、エリザベート・シュワルツコプフ(ウォークリンデ)、ハンナ・ルートヴィヒ(ウェルグンデ)、ヘルタ・テッパー(フロースヒルデ)、ルート・ジーヴァルト(第一のノルン)、イラ・マラニウク(第二のノルン)、マルタ・メードル(第三のノルン)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮/バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団、合唱指揮ウィルヘルム・ピッツ
(1951年8月4日)




基本だな、こりゃ。

「リング・リザウンディング」を読んで(ま、大体読み終わって)、真っ先に聴きたいなあと思ったのは、この本のテーマであるデッカのショルティのリングではなくて。全然なくて。

このクナのバイロイトのライブだったのだわな。

このCDはご存知の方は十分ご存知だと思うんだけど、英デッカのスタッフの録音なんですね。しかも、ジョン・カルショーとケネス・ウィルキンソンが会社の命令により戦後第1回目のバイロイト音楽祭に乗り込み、録音したものなんだけれども。

実際録音を行ってみると、ウォークリンデ役でEMI専属のシュヴァルツコプフが歌ってて、しかもシュヴァルツコプフはライバル会社の社員のウォルター・レッグの奥さんであり、レッグもちょうど同じ音楽祭に録音にきててって感じで。
しかもEMIは1951年から7年間、バイロイトにおける「リング」上演の独占的な録音権をバイロイト音楽祭側と契約してたっつー。

早く言えよ、EMI。

そんなこんなで、このカルショーの録音はお蔵入りに。発売されたのはわりと~最近である(カイルベルトのステレオ・リングよりは前)。テスタメントはここらへんの契約の問題を解決して発売。いつもながら、テスタメントはどうやってこのへん?を解決しているのやら。

戦後第一回のバイロイトのリングはクナとカラヤンとで指揮して行われた。EMIはカラヤンのほうを、デッカはクナのほうを主に録音。

しかし、この年のクナのリングはこの「神々の黄昏」しか残ってない(たぶん)。他の演目の上演はイマイチだったのだそうである(本によると)。オマケにデッカの機械のほうの動きもイマイチだったようで。

しかし。なぜか「神々の黄昏」だけは神がかりの演奏に加え、録音機械もうまく動いてくれて、当日の気象もずっと雷っぽかったがぐっと我慢して3幕の最後の最後に雷鳴っている(らしい。そんな感じの音がする。)。まさに神がかり。

考えてみると、1951年の公演がこんな音でお家で聴けるなんて本当はものすごく感謝しなきゃいけないことよ。

で、クナの演奏については色んな人が書いているからもー今更うんざりだと思うんだけど。とくに「葬送行進曲」のあたりからあとのソーゼツさっつーのは当時でも語り草だったらしいけれども。

私は~というともっとデリケートな部分でグッときちゃうな。例えば、ブリュンヒルデがギービヒ家に連れてこられてジークフリートの裏切りに気が付いたときのオケの間とかが・・・。「ジークフリートは・・・私を知らないのか?」とブリュンヒルデが呟くとことか。間が絶妙なのだわ。(歌舞伎っぽい)

で、やっぱり歌手で圧倒的にうまいのは当時まだ33歳だったヴァルナイで。その若さは驚異的だが、恐ろしくうまい。どうしてこんな天才なのか、血筋か天性のものなのか(両親はオペラ歌手でおとうさんはオスロの歌劇団を設立した人らしい)、それともダンナさんのワイゲルトがよかったのか。

ヴァルナイはスウェーデン生まれだけどアメリカ人である(アメリカ人になった)。メトでのデビューは23歳のときにリハなしでロッテ・レーマンの代役でジークリンデと、その6日後のヘレン・トローベルの「ワルキューレ」の代役でブリュンヒルデを歌った。
1947年にブエノスアイレスでのリング全曲初演でも歌った。メトの音楽部員でバイロイトの芸術顧問だったハーマン・ワイゲルトと26歳だかで結婚して、アメリカからヨーロッパへ渡り1951年フィレンツェ音楽祭の「マクベス」でヨーロッパデビュー、その年のバイロイト音楽祭にも出演。その時の録音がこのCD。

(しかし、ワイゲルト氏は残念ながら1955年に亡くなられたそうな。結婚生活約11年。結婚はヴァルナイをバイロイトに連れて行くためだったのか、それとも愛があったのか、それとも両方なのか・・・。)

ヴァルナイはこの年の舞台写真はまだとても若くて女優さんみたい。しかし、カルショーの本にもあったが、衣装がものすごくみすぼらしい。私も「なんかそこらへんのズタ袋着てるみたいだなあ」と思ってたけど、ナマで見たカルショーも同じように考えたようで。で、(演奏は素晴らしかったものの)ナンニモない舞台にかなりガッカリしたらしい。バイロイトのお金のなさは後年伝えられる以上のものだったらしく。

・・・。
でも。この場合、舞台装置なんかワタシどうでも。
もし、タイムマシンがあったら、この時代のバイロイトに行きてぇな。

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コメント

こんにちは。半世紀以上前とは思えない演奏ですな。
私も、ヴァルナイには、ほとほと参りました。すごすぎですよ。
昨今の過剰な演出からすると、日本の能のような静的な舞台だったんでしょうねえ。知らないけど、あの頃は良かった。

投稿: yokochan | 2007年9月19日 (水曜日) 00時38分

>>yokochanさん
世にも恐ろしい名演ですね、これは。ヴァルナイはニルソンより実力では上だったと私はずっと思っています。ジークフリート役のアルデンホフもウィントガッセンなどと比べたらアレですけど、かなりがんばってると思います。カルショーの本では本当にがっかりするほどみすぼらしい舞台装置だって書いてありますが、こんなに壮絶な演奏だったらワガママ言えないと思います(よね?)。

投稿: naoping | 2007年9月19日 (水曜日) 21時17分

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