ヨッシャ!ホーレンシュタインの千人の交響曲
マーラー:交響曲第8番
ジョイス・ベーカー、ベリル・ハット、アグネス・ギーベル、カースティン・マイヤー、ヘレン・ワッツ、 BBC合唱協会、 ゴールドスミス合唱連盟 、エマニュエル校少年合唱団、その他
ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮/ロンドン交響楽団
3連休。涼しくなったことだし、行楽地にお出かけになった方も多いと思いますが、私は韓国料理とカラオケに行った以外はとくにこれといった行事もなく(いや充分でしょ)、うち一日は飲みすぎによる頭痛で寝てた以外は普通の休日。
いやーなるべくお金は使いたくないもんでね。来月はオペラと歌舞伎とサッカー観戦が控えていて。
大枚はたいたオペラ(バレちゃん)は入金済みだけど、他は金払ってないし。
今日はじみーに。ごくごくじみーに近所の商店街の美容院へ行き、ごくごくじみーにショッピング。
あ。
と、思ったら。遠くから熱帯の巨大蝶々のような一団。浅草サンバカーニバル来日。
南米か!
あああ、もう。殆ど体感したこともないくらいの大音量。昨日の頭痛がぶり返してしまうわよ、まったく。
てことで。
浅草サンバカーニバルに対抗する騒々しいクラシック音楽といえば、マーラーの8番。(←すげー適当なチョイス)
とはいえ、本日の8番の演奏はド派手ではない。いかにもマーラーの世界をよくわかっている指揮者が振っているという印象の演奏。
私は、(常々blogに書いているが)8番はショルティのCDが一番好きだが、録音がよいのと、独唱者が見事に好きな歌手を揃えているので(それと初めて買ったマーラーなので)そーゆーことになっている。
しかし、純粋に演奏だけだったらやっぱりミトロプーロスのザルツブルグのライブと、このホーレンシュタインのライブが素晴らしいのではないかな、と思う。古い録音だけど。
ホーレンシュタインのこの演奏は、1959年のロイヤル・アルバート・ホールでのライブ録音。ロイヤル・アルバートは私が外国で行ったことのある数少ないホールである。
このホールは、コンサート・ホールというよりは日本の武道館に近い感じ。お値段の高い席で聴いたときは普通に良かったのだが、2階席のかなり後ろのほうになると、歌手の歌はほとんど聴こえなくなる。おそらくこの演奏会も安い席だとかなり混沌としちまってキツかったかもしれんな(と勝手に想像)。
しかし、この録音はステレオ録音である。私がこのホールで聴きに行ったのはワーグナーだったけれど、この録音を聴くとなんとなくこのホールの響きの感じをちゃんと伝えている、と思う(思い出す)。たっぷりと残響もあるが合唱の沢山分かれているかなり細部まで聴こえる。ミトロプーロスの録音とあまり年代が違わないのにこれは不思議不思議。さすがBBC。マンドリンの音もちゃんと綺麗に入っている。
ま、ライブなので演奏上のキズはたくさんある。ミトロプーロス盤もなぜかそうだったがテノール歌手がここでもやらかしている。入りを間違えたりしている。ちゃんと練習したのだろうか。
他に気づいた点では、瞑想の教父をバイロイトの実況録音でよく名前を見るアルノルト・ファン・ミルが歌っている。(ま、録音のマイクが遠かったのかさほど威力は感じないが)
全体的に独唱者は地味目かと。合唱団は少年合唱団が(ウィーン少年などと比べて)子供らしいややしろうとっぽい感じが私は好きだ。
ホーレンシュタイン(1998~1973)については、他に一枚も持ってないので何とも言えないけれど、キエフ生まれとはいえ子供のときに(まだマーラーの匂いの残る)ウィーンに引っ越したそうだしおかあさんはオーストリア人てことでほとんどウィーンの人な感じがする(後年、ナチスに追われてアメリカに帰化)。そんな演奏。
(実際、色々この曲のCDは聴いてきたが、中には恐ろしくツマンナイのもあったのよ。売ってしまったので誰の指揮か忘れたけど。しかし、この曲のツマンナイ演奏というのは今考えると逆に貴重だったかもな。)
終わったときの熱狂的なブラヴォーが間髪いれずのタイミングで非常に心地よい。聴衆も指揮者も満足の、きっといい演奏会であったに違いない。
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(付け加え2011.6.6)
・彼の指揮者としての技量を物語るエピソードして、イギリスBBCが1958度の予算消化のため、急きょマーラーの交響曲第8番の演奏が計画された。「千人の交響曲」と称される膨大な演奏者を必要とする作品を、わずか半年の準備と総練習なし、しかもホーレンシュタイン自身初めて振るというとんでもない条件の元、1959年3月20日、それこそぶっつけ本番で成功させたというのがある。(wikipediaより)
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コメント
ホーレンシュタインを持ってきましたか!
第8フェチのIANISも当然持ってます。熱い演奏ですねぇ。凄ぇーぜっ。今の水準からすれば随分荒っぽいですが。まぁ、第8ってぇのは御祭り気分が入らなけりゃ駄目な曲なものですから。ミトロは持っておりません。すみません。
投稿: IANIS | 2007年9月25日 (火曜日) 00時16分
>>IANISさん
こんにちは。 IANISさんも第8フェチでございますね。マーラー・ファンってやっぱり9番とか好きみたいなんですが・・・私は8番ですね。コテコテでよいです。
でも、ホーレンシュタインはかなりグッドな演奏かと。他にリストの「ファウスト交響曲」なんかもBBCから出てますねえ(←未聴)。
ヘルマン・プライの独唱がグーなミトロプーロスもオススメでえす。
投稿: naoping | 2007年9月25日 (火曜日) 20時51分
マーラー8番と言えば、地元のアマオケが挑戦したのをいつも思い出します。何しろ曲が曲だからアマオケだとメンバーが足らない中だったけど、それでも第一部や第二部のクライマックスなんか神々しささえ感じました。第一部の中間部分のオケの難しいところや、その後の「Accende lumen sensibus」のオケと合唱が爆発するところもばっちり決まってましたね。
という事を思い出しながら、マーラ8番とは対照的なヴェーベルンの交響曲を聴きながら書いてます(笑)。
投稿: Shamshyraq | 2007年9月26日 (水曜日) 06時02分
こんにちは。
今気がつきましたが、私が初めて生で聴いたマーラーは第8番でした。
地元名古屋フィルで指揮が外山雄三さんでした。
まだなんにもわからない15歳の私でしたが、やっぱり生演奏はええなあと思いました。
投稿: ピースうさぎ | 2007年9月26日 (水曜日) 11時51分
>>Shamshyraqさん
アマオケで千人とは!しかしこの曲は実際は千人もいらないという説が有力かと。マーラーは最近アマオケや学生オケでも普通に演奏しているみたいですが(未聴)、8番はなかなかないですね。
>>ピースうさぎさん
外山雄三さんの8番が最初ですか。しかも15歳。私は多分ブロムシュテット指揮N響で5番がマーラーのナマで最初に聴いた演奏だと思います。
合唱をやっておられるピースうさぎさんで思い出しましたが、私が一度だけ合唱団に入って歌ったのはこの8番です。ここらへんのことはネタとしていつかこのblogで書こうかな?結構今考えると笑えること満載でした。
投稿: naoping | 2007年9月26日 (水曜日) 20時29分
こんばんは。
「バレちゃん」とは、いったい? ・・・それって、誰んぼいむ?
昔、「刑事コロンボ」の「コロンボ」と同じアクセントで「バレンボ」と略す人がときどきいました。
ピアニストに徹することになるか、それとも指揮の道で成功できるかと注視されながら、いまやマエストロと呼ばれるまでになり、この秋の上演・演奏が見事なものになるといいですね(チケット代も見事・・・大所帯ゆえ仕方ないでしょう)。
別稿から懐メロ好きなところが窺えますが(“窺えますが”というか、「舞台狭しと」とのことで何よりです・・・“何よりです”というのも何か変ですが・笑)、井上陽水のCD "United Cover" を是非とも御一聴いただきたく思います(懐メロのカバー)。ムード歌謡のものではないです。
懐メロはもちろんオリジナルもいいですが、この盤で醸されている世界などはなかなかのものがありまして、リスナーそれぞれに収録内容の3分の1くらいの曲についてはハマってしまうものがあろうかと想像します。リリースされてずいぶん経つため、大きなレンタル・ショップには置かれているのではないかと思います。
投稿: クラシカルな某 | 2007年9月26日 (水曜日) 21時27分
>>クラシカルな某さん
そう、誰んぼいむです。 もう私、今年はこの男に身を任せる感じです。こいつがいい演奏をしてくれるか、またはワルトラウト・マイヤーの調子がよいかにかかっているのです。
井上陽水さんはかの有名な「氷の世界」を姉が持っていて、私がかなり大人になってからですが姉の目を盗んで聴いていました。なかなかいいですね、陽水。(これしかありませんが)
>United Cover
タワレコのHPで試聴しますた。
最初に「蛍の光」ってのがなんだかすごいですね。「嵐を呼ぶ男」も好きです。
投稿: naoping | 2007年9月27日 (木曜日) 22時11分
前にも書いたような気がするけど、このオケは毎月一回から二回、半年かけてマーラーの交響曲全曲演奏しました(もちろん「大地の歌」と「第10」もです、さすがに10番はアダージョだけでしたが・・・)。僕が聴きに行ったコンサートでも、「巨人」と「大地の歌」だの、「9番」と「10番」という重量級のプログラムを何事もなくこなしてました(!)。
まあ、一晩のコンサートでチャイコフスキーの交響曲第4番から6番まで取り上げるオーケストラですから、聴く側もさほど驚きませんでしたが・・・
確かに8番の演奏に千人もいらないです(このタイトル自体後付けだし)。スコアを見ててパート別に勘定したけど、合唱を含めても300~400人で十分いけそうです。
数年前に地元のユースオーケストラが「復活」を演奏したし、福岡の大学オケが12月にブラームスのピアノ四重奏曲(シェーンベルク編曲)を演奏するし、アマオケや学生オケでも今はすごいですよ。
投稿: Shamshyraq | 2007年9月27日 (木曜日) 22時51分
こんばんは。
なんで今頃ここにコメント?と思われるでしょうが。
調べものしててwikiのホーレンシュタインに行き当たって、内容に疑問持ったのでいろいろ検索してたらこのブログが出てきました。
>わずか半年の準備
ここおかしくないですかねぇ。「半年」の準備で「千人」振っても、指揮者の技量を示すエピソードにはならないし、しかもその間ゲネプロ無しって笑
なので「半日」の間違いかなとも思ったんですが、書いた人がIPのみの名無しさんなので訊くこともできません。英語版のwikiにも該当箇所は無く、とりあえず「半年」のところだけ削除しようかと思ってますので、一応お知らせを。
投稿: ぜん | 2018年1月23日 (火曜日) 02時21分
>>ぜんさん
考えてみたらそうかもしれませんね。私が歌った時も練習半年だった気がしますし。(・・・ということでこちらもなおしました。)
ただ、当時のイギリスは(今と違い)あんまりマーラーを演奏する土壌がなかったようですよ。
投稿: naoping | 2018年1月27日 (土曜日) 17時36分