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2007年9月 1日 (土曜日)

ベーム/DECCA盤・影の無い女

P1000810 R・シュトラウス:歌劇「影の無い女」
ハンス・ホップ(皇帝)、レオニー・リザネク(皇后)、パウル・シェフラー(バラク)、その妻(クリステル・ゴルツ)、クルト・ベーメ(霊界の使者)、エリーザベト・ヘンゲン(乳母),他
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団・ウィーン国立歌劇場合唱団

(1955年ムジークフェライン・ザール録音)

ウチのLPの中で随一のお宝。(←?)
CDで一回だけ国内盤で発売されたのを見たが、その時ヘンな意地を張って買わなかった。「へん!ウチにはレコードがあるんですからね!」

・・・買えばよかった。
CDで持ってる人が羨ましい。

CDってどんなに便利なものか。このレコードを聴いているとひしひしと感じるのである。4枚組のレコードをひっくり返しながら聴くめんどーくささは何ともいわく言いがたい。なんてズボラな人間になってしまったのだろう。子供の頃はワーグナーだって大喜びでレコードで聴いてたのにな。

ああ、あの時CDを買っていれば、こんな思いは。

例えば、第1幕の、乳母と皇后が人間の世界に行く時に空を飛ぶあのダイナミックな管弦楽の部分(素晴らしい録音!)が終わったとたんに、盤をひっくり返さなければならない無念さ。最もノリノリになる部分でのカナシイ作業。そして盤のホコリをいちいち拭かなければならないし。

レコードたった一枚だったら「なんて懐かしい作業!」とかいとおしく思えるんだけども・・・。

とはいうものの。もしかしたらCD復刻盤よりレコードのほうが音はいいのかもしれない、と色々想像。なんたって、製作者側が遺した音に一番近いんだから。

ものは考えよう。

さて。このスタジオ録音は(オルフェオから出ているはずの)ベームの舞台上演が大層評判がよかったので、その余力でムジークフェラインにて録音されたもののようである。

(ライブのは未聴。ステレオなのかモノラルなのか不明だけど・・・。)

スタジオ録音よりライブのほうが熱気が勝っているのは当然!とタワレコでもHMVでも書いてあるが。

ライブよりもスタジオ録音のほうが録音はいいに決まっているのである(キッパリ)。残念ながらこの私の持っているLPには録音データが全くないが、この録音の製作に当たったのはあのカイルベルトのステレオ・リングのプロデューサーのピーター・アンドリーだそうである(とHMVには書いてある)。アレと同じ年の録音。

ということで、1955年録音のレベルからすると驚きの優秀録音(ステレオ録音)である。もちろん、今のデジタル録音のレベルから言えばどうかなと思うけど、録音で聴くR・シュトラウスの魅力は満載である。この曲、実演はなかなか聴けないし、これしかないから仕方なく聴く・・というよりも、これはこれで立派な録音芸術だと思う。(第3幕にありがちなカットは比較的少ない・・・ような。舞台ではプチプチとカットされがちな主役4人による最終場面が、ほぼちゃんと聴けるのは嬉しい。)

ここで聴けるウィーン・フィルの弦の音はえもいわれぬ魅力がある。とろけそうに官能的である。このレコードの魅力の第一はコレである。金管楽器もバリバリとかっこよくダイナミックに録音されている。50年以上も前のウィーン・フィルの「影の無い女」が、こんなステレオ録音で聴けるのは幸せ。

こんなウィーン・フィルの弦に負けず劣らずの色っぽさを誇るのは、バラクの妻役のクリステル・ゴルツである。もしかして録音で聴けるこの役で一番魅力的かもしれない。

リザネクはベームの新しい録音のほうでも同じ役で歌っているが(随分息の長い歌手だ)、この1955年のほうがよいと思う。声にハリがあって若いし。
他の歌手も当時のベストメンバーという感じである。ライブ盤ではバラクはルードヴィヒ・ウェーバーだったのがパウル・シェフラーに変っただけであとは一緒である。多分、ウェーバーは素晴らしいと想像はつくけれど、シェフラーの歌唱だって立派だしそんなに劣りはしないと思う(多分)。


(ウチのレコードも滅多に聴かないとはいえずいぶん減ってきてしまったので)
DECCAレーベルでのCD復活を強く強く望む。

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追加。(2010.5.30)
ふと、思ったんだがこれはどのくらいの価値なんだろうか。ネットで調べたら結構安く取引されてて大層驚いた(£25くらい)。日本のサイトで調べたらこのディスクのレーベル「Ace of Diamond Grand Opera Series」は「希少価値」的なことが書いてあったんだが。レコードの事、実は私よくわかってない。ま、名盤なのは確かなんだけどね。

P1110403_2 

http://www.eurojapantrading.com/RecordLabel/RecordLabell_DECCA.htm

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コメント

それは「お宝」ですよ!
そもそも私目がクラシックを聴き始めてシュトラウスには「サロメ」、「エレクトラ」、「バラ」以外にオペラがあるのを初めて知ったものなんですから。当時は絶対的権威を誇っていたR芸のムック本(今振り返るに、非常に高い水準にあった)で「オペラ」のをみた時、「ロンドン」の広告に載っていたんだなあ。年が割れるけど。
CD化された50年代のデッカ録音、CD時代になってリマスターされれば相当いい音でなる筈です。当時の録音年代に近い「ラインゴールド」だって下手なデジタル録音より相当な線をいってまする。

投稿: IANIS | 2007年9月 1日 (土曜日) 23時30分

連日投稿です。私の大好きなシュトラウスのオペラだし。

このレコード、名盤、名録音ですよね。今でこそ、「影の無い女」は知られるようになりましたけど、50年前にこんな無名の大作の録音をやったのは凄い事。ある意味、ショルティのリングに匹敵する歴史的偉業かもしれない。CDは廃盤で、時々、中古をAmazon.comでみかけますけど、プレミアがついて100ドル以上することがあります。

たぶん、ブックレットに書いてあるんじゃないかと思いますが、無名の大作、ということでデッカ首脳陣は録音する気ゼロ。そこで指揮者ベームが直接社長に掛け合い、出演者全員ノーギャラ、暖房なしの各幕一発取り、という条件をつけて、やっと録音が実現しました。恥ずかしいことに、デッカはテープ費用さえケチっていたわけです。ところが、結果は、世界中のレコード賞を総なめ。ベームも自慢の一枚になりました。デッカ自身がこの録音の復刻や宣伝に冷淡なのは、ショルティの「リング」と違い、デッカ主導で作られていない、という歴史的経過もあるのかもしれませんね。でも、デッカには復刻する義務があると思います。

オルフェオの録音は聴いていませんけど、海外批評では、「デッカ盤を持っていない人なら買うべきだが、持っている人はデッカ盤で良い」とありました。音はモノラルですが、非常に良好だとのことです。

投稿: Ervin | 2007年9月 1日 (土曜日) 23時32分

naopingさん、「こびと」は、ありがとうございました。
「影のない女」ベーム・ウイーン1955年デッカ盤LP日本語対訳付きは、わたしも持っています。そのときは50回以上聴いたと思います。
1984年のハンブルグ来日公演での日本初演の準備で買いました。ただ表紙の写真が違いますので、うちの方が後で発売されたものかも知れません。ブックレットにはErvinさんのようなことは書いてありませんが、プロデューサーは、カルショウの上司であったヴィクトール・オロフ(発音不明)になっています。

投稿: にけ | 2007年9月 2日 (日曜日) 00時15分

>>IANISさん
こんにちは。
私はこのLPが国内盤のロンドンから発売されていたのはツユ知らずの事だったので、大いに驚きました。中古レコード屋でだって見たことないです。だいたい、この曲の第二の日本公演(エンノスケさんの)がある!ってことでこの曲の存在を知ったくらいです。
私の持っているのは輸入盤でLP時代も末期も末期、お店のほとんどがCDばかりでLPの棚はほんの一部になってしまった頃新品でゲットしました。「こんなのあるんだ~」ってその時は思いましたが、聴いてみてあまりのクオリティの高さにびっくりしました。この年代のデッカ、エース・オブ・ダイアモンドシリーズのステレオ録音は素晴らしいです。

>>Ervinさん
連日投稿ありがとうございます。色々と勉強になります。
ウチのLP、輸入盤でしかもブックレットは配役と対訳(英語とドイツ語)のみなので、他のデータや解説はいっさいないのです。なので、このような意外ないきさつは全く知りませんでした。あの名演奏が一発取りなんて信じられません。ほとんどミスなどないし。デッカ主導の録音でないから宣伝しないわCDにしないわっていうのは、まさにカイルベルトのリングと同じではないですか。テスタメントはがんばってこの録音もCDとして出すべきですね。
オルフェオのはモノラルのようですね。ちょっと高いけど欲しいです。


>>にけさん
この曲の日本初演に行かれたのですね!私は年代的にムリでしたが(爆)、その時大人だったら絶対行ってましたね。
日本盤のジャケットというのを見たことがないので・・・私の持っているジャケットはCD復刻でちらっと出たときに同じデザインでした。
>プロデューサーは、カルショウの上司であったヴィクトール・オロフ
そうそう、HMVのHPにはオロフとともに部下のアンドリーが製作に携わった・・・と書いてあります。その後2人はEMIに移ってしまい、オロフの後任にキャピトルから戻ってきたカルショーが就任→ショルティのリング録音、及びカイルベルトのリングは封印、というわけのようです。

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※コメント投稿で混乱させてしまったようですいません。設定を変えまして、管理者承認なしにしました。最近はヘンなコメントもこなくなりましたので。

投稿: naoping | 2007年9月 2日 (日曜日) 11時15分

こんにちは。
naopingさんは、影なし女、私は、無口女(怖い・・)を昨晩仕上げて、今朝から北海道入りです。メタボ出張です。

やはりシュトラウス好きにはたまらない名作ですね。
ベームのこの盤は、69年の某雑誌の広告や批評を後生大事に持ってますが、そのジャケットとおんなじです。
ホンマ宝物ですよ。
私もともかく聴いてみたいです。
P・アンドリーは、EMIで名盤を沢山プロデュースした人ですね。
懐かしい名前です。
そろそろ、この曲にも新録音が欲しいところですね。

投稿: yokochan | 2007年9月 2日 (日曜日) 21時51分

>>yokochanさん
まいどです。そうそう、無口女のCD私も持ってたのですが、実家で行方不明になりました。なのでコメントできなくてすいませんです。

この曲を取り上げると、結構コメント欄が白熱するもんですなー、いつもながら。マニア心をふつふつとくすぐる何かがあるんですよね、この曲には。

そうそう今日、たまたま他の方のblogを色々見ていたら、youtubeでPアンドリーのインタビューが映像であって(おやぢクライバーのチェコでの第9の映像の中に)、探してもないのに大層縁があるなあと感心しました。こんな顔なのね。
http://www.youtube.com/watch?v=Zt_knlbpxyc

投稿: naoping | 2007年9月 2日 (日曜日) 22時36分

ブログ始めた頃から拝見していましたが、今更ですが、リンクさせていただきます。よろしくおねがいします。

投稿: にけ | 2007年9月 3日 (月曜日) 18時13分

>>にけさん
ありがとうございます。こちらでもリンクさせて頂きました。

投稿: naoping | 2007年9月 3日 (月曜日) 20時44分

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