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2007年7月23日 (月曜日)

クーベリック・パルシファル

ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルシファル」
ジェイムズ・キング(パルシファル)、クルト・モル(グルネマンツ)、イヴォンヌ・ミントン(クンドリー)、マッティ・サルミネン(ティトゥレル)、ベルント・ヴァイクル(アムフォルタス)、フランツ・マツーラ(クリングゾール)、ルチア・ポップ(花の乙女)、その他
ラファエル・クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団、バイエルン放送合唱団、テルツ少年合唱団

(1980年5月、バイエルン放送によるスタジオ録音)



なんかもうぅ・・・舞台神聖祝典・・・なんてパソコンで打つだけでなんだか仰々しいblogに感じられてくるわよ。なにこれ。

4年前に発売、既に話題になって久しい録音だが、私が買ったのはつい先週。こんな魅惑的なものをなんでまたずっと買わなかったのかというと、輸入盤にしてはなんだか高すぎるから。いっくらデジタル録音とはいえ、30年近く前の録音の輸入盤に7千円近く出すだろうか。(HMVで買うほうが安いようなのだが、たまたま塔のポイントが満点になってたので)

でも、買って正解であった。まれにみる美しい録音と演奏である。

ジャケット絵はベルギー象徴派の画家・ジャン・デルヴィルのデッサン「パルシファル」。ジャン・デルヴィルといえばワーグナーに深く傾倒した画家である。ワーグナーの楽劇にインスパイアされた作品を多くのこしているし、サイモン・ラトルのトゥーランガリラ交響曲などのジャケットに絵が使われることもあって我々音楽ファンには近しい画家であると思う。名前はあんまり知られてないが。

ベルギーの画家ではクノップフと共に大好きな画家の一人である。ここらへんのベルギー象徴派の絵はあまりに繊細すぎて印刷ではうまく再生されない。日本でもベルギー象徴派はウィーン分離派とともに人気があるのでたまーに展覧会で展示されたりするが、エンピツで書かれた絵などナマで見るとあまりの繊細さ、精密さに言葉を失う。(カタログを買ってあとで見ると「こんなんじゃなかったのになあ」とがっかりする。)

このクーベリックの指揮による録音も、これらの絵のようにとても静謐な感じである。ダイナミックというよりは、ことこまかに描かれた細密画のようである。クノップフの描いたベルギーの教会に内部のデッサンのように精密である。

場面一つ一つが、絵のように頭の中に広がる。映像などもはや必要はない。

まあ、どこも素晴らしいが、とくに第1幕の教会での合唱の場面がとてもうまく録音されていて、さすがデジタルであるなあと思う。テルツ少年合唱団が少年たちを歌っているのが本当に素晴らしいし、遠くからかすかに聴こえてくるのも、なかなかライブでは表現しにくいと思う。スタジオ録音ならではの素晴らしさ。鐘の音なんかもレヴァイン盤のようにことさら強調したり下品になっていない。

歌手は・・・まあいうまでもないんだけど、よくもここまでそろえたなあと思う。隙がない。チョイ役である第1花の乙女にルチア・ポップなんて、贅沢である・・・が、彼女以上に花の乙女な声もない(ワーグナーの楽劇にちょっとだけ出てくるポップは本当に素敵である・・・ショルティのリングとか)。クンドリー役のイヴォンヌ・ミントンは、大好きな歌手なので、何も言うことはない。彼女のちょっとした言葉の発音とか発声のしかたとかとても好きである。

ジェームズ・キング皇太子様は勿論そんなの言うまでもなく素晴らしい。そんなの当たり前である。そんな今更何を。パルシファルの中のパルシファル。あたしゃキング様は神だから。キング・イズ・ゴッド(?)

・・・とまあ、一人一人の歌手について触れるのもなんぼかかかりそうなのでやめるが、バス、バリトン系の歌手はみな素晴らしいだけでなく声に個性がある。

クーベリックは音楽作りの上で何一つ変ったことはしてない。安心して曲そのものを聴いていることができる。聞かせどころの「聖金曜日の音楽」も感銘深くグッとくる。

対訳がない、価格が高いということを除けば(っつーかそれってかなり重要だけんども)、誰にでもお薦めできる名盤であると思う。

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コメント

こんにちは。
これ4年前に購入しましたが、3千円台だったような記憶があります。
でも信じがたいことに、何故かまだ聴いてないんです。
聴くまえから素晴らしいのがわかっていて、ほかを聴いてしまうのってありますよね。(そんなのないか?私だけ)
マイスタジンガーがよかっただけに、尚更なんです。
勇気をふるって聴いてみますかな。

投稿: yokochan | 2007年7月27日 (金曜日) 00時31分

>>yokochanさん
飯守さんのコンサートから今帰還しました!!

さて、このCDが3千円台だったなんて、ちょっとショックですが・・・まだお聴きになってないのですか。しかし、わかんないでもないです。指揮者・メンバーからいって素晴らしいのはわかっているし、どんな演奏かは大体想像がつきますね。意外なことは何一つないです。

でも、もったいないので聴きましょうね。マイスタージンガーも欲しいです。

投稿: naoping | 2007年7月27日 (金曜日) 22時32分

お久しぶりです。

このパルシファルは、いいですよね!
マイスタジンガーも輪をかけて素晴らしい演奏です。
この両番は、ワーグナーをあまり聴かない私にとしては珍しく繰り返し聴いてます。

投稿: ちょ | 2007年8月 7日 (火曜日) 15時52分

>>ちょさん
お久しぶりです!
このパルシファルは、なぜずっと発売されてなかったのか不思議ですね。パルシファルってこんなに美しいんだわ、と思いました。マイスタージンガーも早く買わないと、と思います。

投稿: naoping | 2007年8月 7日 (火曜日) 21時45分

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