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2007年7月30日 (月曜日)

ミューザ・アルミンク/新日本フィル

フェスタ・サマーミューザ川崎2007
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調
ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調
ソル・ガベッタ(チェロ)
クリスティアン・アルミンク指揮/新日本フィルハーモニー管弦楽団

性懲りもなく。
また性懲りもなく行ってしまった、川崎。

決してウチからだって近くないんだけど川崎。

Pa0_0152 ラーメンが食べたくて。コンサートの前に。で、今日は「えるびす」のとんこつ醤油ラーメン750円。

これはおいしかった。ちょっとしょっぱかったけど。値段だけのことはあったわ。他のラーメンも食べてみたい。

(「えるびす」は他に池袋に2店舗あり、北京にも1店舗あるんだそうな。前に渋谷「一蘭」に中国人?観光客の女の子たちがうれしそうに並んでいたトコを見ると、中国のラーメンと日本のラーメンは違うらしい。ま、違うよな。)

で、肝心のコンサート。

モチロン、目当てはイケメン指揮者アルミンク・・・ではなくて、エルガーのチェロ・コン。これはね、聞き逃すテはないから。

ソル・ガベッタというチェリストは、器楽奏者に激しくウトい私がしるよしもないが、1981年生まれというから、ずいぶん若いな。

若くて金髪でスマートな指揮者とチェリストがステージに登場するととっても映えるものだわね。

で、(アタシは外見には騙されないわよ)演奏がはじまると。

・・・見事に外見に騙されまくった私が客席にいて。

斜め前45度から見るこのチェリスト、この少々すすけたうす水色のドレス、後ろに束ねた長い金髪、面長の顔、自分のパートを弾き終ったあとに指揮者を見るちょっとした微笑みとか、オケだけの部分で無邪気にリズムを取ったりとか。まるで、どこかで見たような。

うーん、私、錯覚しちゃった、ここイギリスかと。ロイヤル・アルバート・ホールかと。指揮してるのバレンボイムかと。・・・でもこのチェリスト、イギリス人じゃなくてアルゼンチン人なんだよね。あわわ。すごい錯覚。

でも、観客の拍手に応える顔を見ると・・・あんまり似てないんだよね。

でも、演奏はアッパレでした。デュ=プレのように魂をつかみとられるような物凄い演奏ではないけれど。かなり引き込まれました。ずっと聴いていたい感じがしました。

で、大拍手に応えてアンコール。バッハでもやんのかと思ったら、怪しい現代音楽のような不思議な奏法を駆使した知らない曲、チェロに合わせて歌っちゃったり。(ロビーで確認したら?ヴァクネス作曲?のチェロのための「本」とかいう曲らしいが、一瞬見ただけだったのでこれで合ってるかわかんない・・・違ってたらごめんなさい。) →コメントを見ましょう

で、休憩なしで2曲目。ベト4。

ベト系はまったくダメなんで、最初ドンヨリした音楽が始まったときは「?こんな曲あったっけ?」などと思ってたが。

運動会徒競走風の早いメロディになったとたん、あ、これかーなんて思って。古典音楽になんて疎いのかしら、私。

で、そのへんからウィーン人のアルミンク君は水を得た魚のようにオケをドライブしてて。やっぱりベートーヴェンは自国もんだから(ま、ベートーヴェンの生まれはドイツだがそのへんは勘弁して)、まるで「函館の女」を歌う北島三郎のような。

で、まー、このへんは私の庭ではない曲だから、演奏についてよりついついアルミンクの指揮ぶりを観察する感じであった。指揮棒を持たないアルミンク。いろんなところを指差したり引っ張ったりでまるでフランス料理のシェフみたい。

上ではフライパンを動かして、中のものをひっくり返したり、次はしゃがんで下のオーブンのスィッチを入れたり、中に鍋を突っ込んだり。まあ、忙しいこと。

塩・コショウしてブランデーを一振りして、最後は鍋に火を入れてフランベして出来上がり!!

てなわけで・・・オーケストラの常任指揮者のことを「シェフ」っていうことがたまにあるけど、なんとなくわかったような気がしました。


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2007年7月28日 (土曜日)

飯守さんの惑星

Pa0_0151フェスタ・サマーミューザ川崎2007
ホルスト:組曲「惑星」 
(コリン・マシューズ作曲「冥王星」つき)
飯守泰次郎指揮/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京シティ・フィル・コーア(女声合唱)


行って来たわよ、川崎。

会社が結構東京都でも上のほうにあるため(すみトリやゲイゲキには近いが)、川崎まで行くにはだいぶかかる・・・と思ったら大間違いで。

会社は定時に終わって6時45分には川崎駅に着いてしまった。っつーことは。

前の日のアルプス交響曲聴けたじゃん!!

・・・と深い後悔の念。

まあ、終わってしまったことは仕方ない。ということで、「泰次郎の夏」。


8時からの開演なので余裕余裕。

その前に、腹ごしらえ。なんか大きな駅ビルができてたので散策。おいしそうなフードコートがありますね。本当はぴょんぴょん舎とやらに行くべきだったのですが、実は冷麺に載ったすいかがニガテなので、ラーメン。

「すみれ」で醤油ラーメンを食すことに。しかし。

800円で麺がこれしか入ってないのか!!

Pa0_0150 比べるのもヘンだが、私の大好きな「じらい屋」は650円で腹いっぱい食べられる。しかもここのよりウマイと思う、好みにもよるが。ま、ちょっとクドかったがおいしかった。

まあ、ここは味噌ラーメンが有名だということだし、ネーム・バリューでこのお値段なのだろう。それに支店なので仕方ない。次はちばき屋にでも行ってみよう。(あくまで食中心)

さて、惑星。

ワーグナー指揮者の飯守先生が振るイギリス音楽。ま、惑星はもはやイギリス音楽の範疇ではないのかもしんねいが。

飯守さんは例によってひょこひょことお姿を現した。そしてその指揮ぶりは何かに操られているようだ。

「火星」は遅めのデロリとした音楽。早めでスタイリッシュな火星に慣れている私なもんで、「おお、さっきのラーメンのようにドロドロしている。大丈夫かしら」と思ったけれど。気のせいであった。

「スター・ウォーズばりのSFっぽい音楽」というよりは、各惑星の表題に基づいた表現というか。戦争の神はあくまで戦争っぽく、不安に満ちた感じ。

やっぱり一番好きな「木星」は飯守さんらしく圧倒的なスケールで。やっぱりこの曲はナマで聴くといいよね。「天王星」の魔術師も軽快に。(なんか聴きながら頭をフリフリ、リズムを取ってしまいそうで危ない)

「海王星」は女声合唱つきで幻想的。いいホールで聴くと効果が素晴らしい。ホルストはよく考えたね。しかし結構いっぱいの人で歌ってたんだなあ。

さて問題の「冥王星」。聴くの日本初演から2度目だが、これっていったいどうなの?コリン星からやってきたマシューズ作曲。

霊媒師にホルストの霊を降ろしてもらって、「このコリン・マシューズの冥王星はぶっちゃけどう思いますか?」と訊いてもらいたいよ。ロイヤル・アルバート・ホールかなんかで公開でな。ところでぶっちゃけって英語でなんていうんだろう。

・・・ま、この形は定着してしまったようだな。死人に口ナシ。くちなしの花の~♪by渡哲也

ま、結果は大拍手に終わり。メデタシメデタシ。急いで帰宅。(だって楽しみにしてた「俳優祭」の放送があったんだもーん)

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8月納涼歌舞伎を楽しみに。
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2007年7月26日 (木曜日)

マリア・カラス/永遠の名唱集

P1000800 マリア・カラス/永遠の名唱集
・ああそはかの人か(椿姫)
・さようなら、過ぎ去った日々よ(椿姫)
・自殺!(ジョコンダ)
・早く来て、明かりをつけておくれ(マクベス)
・いつか私も晴れの身となり(ナブッコ)
・優しいささやき(ルチア)
・若いインドの娘はどこへ(ラクメ)
・あらゆる苦しみが待ち受けていても(後宮からの逃走)
・影の歌(ディノーラ)
・その日から(ルイーズ)
・誰もが甘い愛の命ずるままに(アルミーダ)
・無慈悲な女神(巫女)

・麗しい光が(セミラーミデ)
・遊びの仲間に入れてください(ハムレット)
・再び望みを(清教徒)
・優しくかすかな彼の微笑み(トリスタンとイゾルデ)
・清らかな女神よ(ノルマ)
マリア・カラス(ソプラノ)
サンティーニ、ヴォット、ブリティス、シモネット、バジーレ指揮/トリノ放送交響楽団、ローマ放送交響楽団、ミラノ放送交響楽団、その他

(1949年~56年録音)

ミューザ川崎(あるぺんしんふぉにー)はどう考えても会社から遠いので、悩んだ末あきらめた。行きたかったんだけどなあ。

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今年はマリア・カラス(1923年12月2日 - 1977年9月16日)の没後30年記念だそうだから、9月以降記念のCDがたくさん発売されるようである。

私はどっちかっつーとドイツ・オペラ好きなので、イタ・オペはプッチーニ以外からっきし弱い。

ヴェルディ、ドニゼッティ、ロッシーニとかそのへんのイタ・オペのオイシイとこは椿姫以外、題名とアリアくらいしかわからんので、実際、このカラスのアリア集でしか聴かないようなオペラがたくさんある。

このずいぶん前に発売された、フォニット・チェトラの2枚組のCDは大変素晴らしい。

これ、6千円もしたのである(どんだけー!)。国内盤2枚組とはいえ、今考えると信じられないお値段である。なのになんで買ったかっつーと。

わたくし溺愛のオペラ、シャルパンディエの「ルイーズ」のアリア「その日から」と「イゾルデの愛の死」が収録されているから。ただそれだけである。大歌手カラスがどんなふうに歌うのか聴いてみたかった。

今これらを入手するのは、そんなに大層なことではないと思うが。当時は(約20年前・・・)これしかなかったんだと思う。

(このCDの音源のほとんどは、イタリアのRAIの放送していたラジオ番組からの録音らしい。1940~50年代、熱狂的な人気を博していた番組だといい、カラス、テバルディはいうに及ばず、F=ディースカウ、シュワルツコプフなども出演してたそうだ。すげー。)

このルイーズのアリアは本当に素晴らしい。心ときめくオトメの心を切々と歌っている。全曲盤のコトルバスとは一味違う。イゾルデもイタリア語だけれど大変素晴らしい・・・なんか別の曲みたいだけども。カラスは歌手という前に舞台女優なんだと思う。歌唱がどうの、というよりどのオペラも演じきっているというか。彼女は「モーツァルトは退屈」と私と同じような発言をしてシュワルツコプフを苦笑させたというが、ここではモーツァルトも一曲歌っている。

秋の夜長(って・・・まだ7月じゃないか!!)にしみじみとカラスの名唱を聴きつつ、赤ワインでも飲みながら旬のお魚を食べるのもまた味わい深いものである(結局そっちか・・・)。




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2007年7月25日 (水曜日)

おさかな天国

ごめんなさい、今日は音楽の話じゃないの。




さかなさかなさかな~さかなをたべると~~~~♪

お魚を食べると、頭がよくなるっていうのは本当だろうか?
お魚を食べると痩やすくなるってのは本当だろうか?
いや、私はただお魚が好きだから、食べ続けているわけなんだが・・・。

捌いてないお魚が豊富なスーパーを見つけてから、すっかりお魚のとりこ。自分で捌いた魚のおいしさよ。今までスーパーで切って陳列してあるお刺身しか食べてなかったから。

↓最近のお魚生活↓。


Pa0_0149 140円ほどのスルメイカ。皮をむいておさしみに。新鮮だからするする剥けてキモチイイ。クセになりそう。









Pa0_0148 生は甘くておいしい。ゲソはフライパンで醤油焼きにして食べました。

輪切りにして大根と煮てもおいしい、そのとき内臓も一緒に煮れば、プロの味。







P1000793 真鯛。高価な鯛がなんでこんなに安いかっていうと、体長18センチほどしかないから。でも味は絶品。

三枚おろしにして身はカルパッチョに、骨の部分はまだたくさん身が付いていてもったいないのでお出汁とともにお米を炊いて鯛めしに。まるで料亭。



P1000798 本日の夕飯。20センチほどの刺身用アジ2匹、280円(から、夕方なので50円引き)。









P1000799 3枚おろしにしてお刺身、しょうがと万能ねぎを散らして出来上がり。骨は塩を振って油でゆっくり揚げて、骨せんべいに。これでカルシウムたっぷり。いや、たかがアジだがうまいな、やっぱり。






私はいったい何を目指しているのだろう・・・・・・・・。

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2007年7月23日 (月曜日)

クーベリック・パルシファル

ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルシファル」
ジェイムズ・キング(パルシファル)、クルト・モル(グルネマンツ)、イヴォンヌ・ミントン(クンドリー)、マッティ・サルミネン(ティトゥレル)、ベルント・ヴァイクル(アムフォルタス)、フランツ・マツーラ(クリングゾール)、ルチア・ポップ(花の乙女)、その他
ラファエル・クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団、バイエルン放送合唱団、テルツ少年合唱団

(1980年5月、バイエルン放送によるスタジオ録音)



なんかもうぅ・・・舞台神聖祝典・・・なんてパソコンで打つだけでなんだか仰々しいblogに感じられてくるわよ。なにこれ。

4年前に発売、既に話題になって久しい録音だが、私が買ったのはつい先週。こんな魅惑的なものをなんでまたずっと買わなかったのかというと、輸入盤にしてはなんだか高すぎるから。いっくらデジタル録音とはいえ、30年近く前の録音の輸入盤に7千円近く出すだろうか。(HMVで買うほうが安いようなのだが、たまたま塔のポイントが満点になってたので)

でも、買って正解であった。まれにみる美しい録音と演奏である。

ジャケット絵はベルギー象徴派の画家・ジャン・デルヴィルのデッサン「パルシファル」。ジャン・デルヴィルといえばワーグナーに深く傾倒した画家である。ワーグナーの楽劇にインスパイアされた作品を多くのこしているし、サイモン・ラトルのトゥーランガリラ交響曲などのジャケットに絵が使われることもあって我々音楽ファンには近しい画家であると思う。名前はあんまり知られてないが。

ベルギーの画家ではクノップフと共に大好きな画家の一人である。ここらへんのベルギー象徴派の絵はあまりに繊細すぎて印刷ではうまく再生されない。日本でもベルギー象徴派はウィーン分離派とともに人気があるのでたまーに展覧会で展示されたりするが、エンピツで書かれた絵などナマで見るとあまりの繊細さ、精密さに言葉を失う。(カタログを買ってあとで見ると「こんなんじゃなかったのになあ」とがっかりする。)

このクーベリックの指揮による録音も、これらの絵のようにとても静謐な感じである。ダイナミックというよりは、ことこまかに描かれた細密画のようである。クノップフの描いたベルギーの教会に内部のデッサンのように精密である。

場面一つ一つが、絵のように頭の中に広がる。映像などもはや必要はない。

まあ、どこも素晴らしいが、とくに第1幕の教会での合唱の場面がとてもうまく録音されていて、さすがデジタルであるなあと思う。テルツ少年合唱団が少年たちを歌っているのが本当に素晴らしいし、遠くからかすかに聴こえてくるのも、なかなかライブでは表現しにくいと思う。スタジオ録音ならではの素晴らしさ。鐘の音なんかもレヴァイン盤のようにことさら強調したり下品になっていない。

歌手は・・・まあいうまでもないんだけど、よくもここまでそろえたなあと思う。隙がない。チョイ役である第1花の乙女にルチア・ポップなんて、贅沢である・・・が、彼女以上に花の乙女な声もない(ワーグナーの楽劇にちょっとだけ出てくるポップは本当に素敵である・・・ショルティのリングとか)。クンドリー役のイヴォンヌ・ミントンは、大好きな歌手なので、何も言うことはない。彼女のちょっとした言葉の発音とか発声のしかたとかとても好きである。

ジェームズ・キング皇太子様は勿論そんなの言うまでもなく素晴らしい。そんなの当たり前である。そんな今更何を。パルシファルの中のパルシファル。あたしゃキング様は神だから。キング・イズ・ゴッド(?)

・・・とまあ、一人一人の歌手について触れるのもなんぼかかかりそうなのでやめるが、バス、バリトン系の歌手はみな素晴らしいだけでなく声に個性がある。

クーベリックは音楽作りの上で何一つ変ったことはしてない。安心して曲そのものを聴いていることができる。聞かせどころの「聖金曜日の音楽」も感銘深くグッとくる。

対訳がない、価格が高いということを除けば(っつーかそれってかなり重要だけんども)、誰にでもお薦めできる名盤であると思う。

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2007年7月21日 (土曜日)

J・キングのピンカートンとH・プライのシャープレスの蝶々夫人

P1000790プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」
マリア・キアーラ(蝶々さん)、トゥルデリーゼ・シュミット(スズキ)、ジェームズ・キング(ピンカートン)、ヘルマン・プライ(シャープレス)、フェーリー・グルーバー(ゴロー)、その他
ジュゼッペ・パターネ指揮/ミュンヘン放送管弦楽団・バイエルン放送合唱団


過去記事:コーンヤは最高!蝶々夫人

バルビローリ・蝶々夫人

また蝶々夫人のCDを買った。

どんだけ~、蝶々夫人が好きなのか?というわけではなく。
蝶々夫人を、色々な人が演奏・歌唱しているのを探検するのが好きなのである。

昨日、新宿塔で見つけた蝶々夫人は、1250円。

しかも、ジェームズ・キング皇太子がピンカートン、ヘルマン・プライがシャープレス。

しかし、残念ながら(いや、一般的には残念ではない)ドイツ語ではなく、イタリア語。タイトル・ロールがイタリアの人だからねえ。ドイツ語だったらマイスタージンガーみたいな蝶々夫人になってたかもしんね(←?)。

ジュゼッペ・パターネのCD、うちあるのはマスカーニ・の「イリス」とか、サン=サーンスの「サムソンとデリラ」とか。うちにはないけど、ラジオで聴いたプッチーニの「修道女アンジェリカ」(三部作)とかもすごくいい(ルチア・ポップがアンジェリカを歌っている。グレイト。)。

印象としては、(何かやむをえない状況なのかもしれんが)ドイツ系の歌手を使ってイタリア(フランス)ものを録音していることが多く、またそれを違和感なくまとめている。

ということで、かなり(ヘンな風に)期待して購入したが、意外なキャスティングがよい結果をもたらしている。

まず、ジェームズ・キングのピンカートン。アメリカ人にとって国辱オペラともいえるこの「蝶々夫人」。リアル・メリケン人のキング様が歌います。(イヤじゃなかったのかしらん)

ジークムントやパルシファルのような苦悩のヒーロー役がぴったりなキング様だが、悪と色の権化みたいなピンカートン役というのは違和感があるんじゃないか?

と、思ったけど、そんなことはなくて、逆に。

やべえ、あたし、ピンカートンのこと好きになっちゃうかも。

多分、このピンカートンはアメリカ大リーグのスターみたいな感じの人である。背が高くてハンサムで強健な体で性格は陽気(と思う。私の頭の中では)。蝶々さんが一目見て好きになってしまう説得力がある。

そして。

第2幕で妻を引き連れてアメリカから戻ってきたピンカートン。それを歌うキングは本気で苦悩している。今頃本領発揮というところか。まるでジークムント。ここらへんのプライとの苦悩に満ちた掛け合いはちょっとワーグナーっぽい。

さて。肝心の主役・蝶々夫人(忘れてた!)。マリア・キアーラの蝶々さんは、強烈なところはなく清純な声でおおよそ15歳に聞こえてしまう。昔の日本の世間知らずの少女そのものである。これじゃアメリカ兵に口説かれたらイチコロであろう。

何故か彼の歌手生活の中で予定外にシャープレスを歌うことになったプライ(本当のところは知らん。ドイツではしょっちゅう歌ってたのかな?)だが、はじめっから終わりまで善人そのものであり。

・・・というわけで、意外と説得力のある録音でありました。イタオペ・ファンの方にはどうかと思うが、キングのファンの方には是非おすすめしたい。彼の違った魅力が垣間見えて、聴き応えあり。

(とはいうものの、塔HPもHMVのHPもみあたらなかったんですけど・・・)

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2007年7月19日 (木曜日)

ベルク&シェーンベルク・ヴァイオリン協奏曲

P1000788 ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出のために」
シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲 op.36

ルイス・クラスナー(ヴァイオリン)、フリッツ・ブッシュ指揮/ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団(ベルク、1938年録音)
ディミトリ・ミトロプーロス指揮/西ドイツ放送管弦楽団(シェーンベルク、1954年録音)



過去記事:ウェーベルン指揮のベルク・ヴァイオリン協奏曲

先日、高校のときの友人と3人で飲みに行った。

その中の一人の友人はクラスで一番仲が良かったのに、会うのはかなり久しぶり。というのは、私の友達の中で一番早く結婚して子供を産んでしまったからである。

清純な容姿から、彼女はもてた。なんたって、私が入学してすぐ「あの子かわいいなあ、友達になりたい」と声をかけた友人であり、そんなわけで高校時代も男子にもてたが、進んだ大学のクラスは殆ど男子ばっかりだったらしいので、もうよりどりみどりだったようだった。

女子大に進んだ私とは雲泥の差である。

しかし、彼女のゆうことにゃ。

彼女「いやー、naopingさんは高校時代、人気者だったじゃない~」

私「誰が? ぜんぜん。」

彼女「だって~、私たちなんかが全然話できないような素敵な男子と仲良くお話してたじゃない~。」

私「誰と。」

彼女「(バスケ部キャプテンの)Mくんとか。」

私「え・・・そりゃ、中間・期末のとき隣の席だったから、こっそり見せてあげたりしてたから・・・ アワワ

彼女「(ラグビー部の)Kくんとか。卒業パーティの帰り、遅くなって家まで送って貰ったんでしょ?」

私「そう・・・・だったっけ・・・?」

っつーか、もうそんな昔の話、日本史で言ったら中大兄皇子が中臣鎌足と共謀して蘇我入鹿をたおしたくらい、昔すぎて忘却のかなた。

それがまあ今じゃ。もう負け犬を通り越して、もはや敗戦、そして終戦。

耐え難きを耐え、忍び難きを忍んじゃって。マッカーサーがパイプくわえて飛行機のタラップ降りちゃってるんだから。どうしたもんだ。

日本無念。



そんな昔は良かったわね~と思いつつ。そんなヒストリカルな私の、ヒストリカル録音のCDを。

ベルクのヴァイオリン協奏曲の依頼者であるということで音楽史に名前をのこすルイス・クラスナーの演奏による、ベルクと師匠のシェーンベルクのコンチェルトのカップリング。

P1000789 実は、これはジャケ買いであった。べつにクラスナーの頭が素敵だわ!というわけではない。ジャケット表・裏とも色の使い方といい、なかなかデザインセンスがよいと思った。

作曲者の顔が肖像画というところもニクイ。師匠はもちろん自画像であるが、ベルクはヘタクソな師匠の絵ではなく、リリー・シュタイナーという画家の絵を使っている。なかなか時代的な雰囲気のあるよい絵であると思う。

ベルクの録音のほうはシェルヘンの初演(1936年)かからたった2年しか経ってない。録音の残っている初演から二番目の録音のウェーベルンの指揮による英国初演と比べると、状態がよい。カリカリコリコリというような雑音はあまりない。

演奏はもちろん素晴らしい(自分のための曲だから当たり前である)。ブッシュという指揮者は名前は知っているがあんまりよくわからない(フェリアーの伴奏で何か振ってたような。でもわかんないすいません)。でもこの曲を聴く限りなかなかよいと思う。

・・・というか、この曲は誰が演奏しても誰が伴奏してもそんなに劇的に違うことはないんだと思うんだが。

シェーンベルクのコンチェルトは、このCD以外もってないので、演奏そのものはなんともいえない。作曲は1934年から36年だからモーゼとアロンのあとあたり?か。もちろんバリバリの12音音楽。モノドラマ「期待」とか思い出す部分もある。

ミトロプーロスの指揮ということで、かなり緊張感に溢れた求心的な演奏・・・なのか誰が演奏してもそうなのか? シェーンベルクといえばこうしたもの、というイメージにはぴったりかと。実演で演奏したら客は平静ではいられないであろう。おばさまたちは退屈で楽章の間で帰ってしまいそう。でも、もし実演で聴けたら、私にとってはチャイ・コンやメン・コンよりはぜんぜん有難い気がするけどね。

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2007年7月17日 (火曜日)

第18回オリンピック東京大会のレコード

P1000783_2   










第18回オリンピック東京大会実況レコード
1.世紀の祭典開幕(開会式)
2.東洋の魔女 世界を制覇(女子バレーボール)
3.ウルトラC 世界を制覇(男子体操)
4.アベベ 史上最高記録で2連勝 (マラソン)
5.陸上競技
6.水上競技
7.メキシコで会いましょう(閉会式)

過去記事:J・ウィリアムズ:コール・オブ・ザ・チャンピオンズ


やってほしいなあ、東京で、オリンピック。
東京でせっかく生まれたんだもん。一生に一度はナマでオリンピックが見てみたいものだ。
オリンピックを東京でやってもらいために、石原さんに投票したんだからね。

あああ、開会式とか閉会式とか、どんなことがあっても見たい。ぐぅぅぅ。

(北京だって行こうと思えば行けるかもしんないが、何年か前の上海旅行で、空港で順番を全く守らずどっと押し寄せる現地の人々を見て、二度と中国旅行はしないと心に決めたのである)

・・・。

あの。
一応言っておくけど、生まれてないから、(前の)東京オリンピック。
でも、市川崑監督の映画は残っているし、オリンピックオタクだから誰がメダル取ったとか有名な人は知ってる。あの、レニ・リーフェンシュタールのベルリン・オリンピックくらい、東京オリンピックは素晴らしかったと思う。

このところ、オリンピックで本当に日本は弱い。こないだの冬季オリンピックなんて金メダル1個なんて。

東京オリンピックなんて日本は、金は16個、銀は5個、銅は8個で世界3位。1位はアメリカ、2位はソ連だからどんなに日本が凄かったか(今更言うまでもないが)。

で、このレコード。中古屋で何年か前に購入。
NHKの実況中継を収録したもの。アナウンサーは書いてないから不明。

<開会式の音楽>
オリンピック東京大会ファンファーレ(今井光也作曲)
オリンピック・マーチ(古関裕而作曲)
剣と槍(スタルケ作曲)
オリンピック賛歌(サマラ作曲)
鼓隊マーチ(須磨洋朔作曲)
オリンピック東京大会賛歌-A(清水 脩作曲 佐藤春夫作詞)

<閉会式の音楽>
オリンピック・マーチ(古関裕而作曲)
サンプル・エ・ミューズ連隊(プランケット作曲)
オリンピック東京大会ファンファーレ(今井光也作曲)
オリンピック東京大会賛歌-B(小倉朗作曲 西条八十作詞)
オリンピック賛歌(サマラ作曲)

蛍の光

東京大会のファンファーレ(今井光也作曲)は歴史に残るものだと思う。ロスアンジェルス大会におけるジョン・ウィリアムズのに比肩するものと思う。神秘的である。

今井 光也(いまい みつや)
長野県諏訪清陵高等学校卒業。諏訪交響楽団の指揮者を努めていた1963年に組織委員会とNHKが行った東京オリンピックのファンファーレの公募に応募し当選した。開会式でも演奏され、ペンタトニックで始まる金管楽器のみによる華々しい響きをもつこの作品は永く日本人の記憶に刻まれることとなった。出身地で開催された長野オリンピックでは表彰式用ファンファーレの冒頭に田中賢のアレンジにて用いられた。他には数曲の校歌の作曲を行っている。1990年諏訪交響楽団会長。(ウィキペディアより)

東京大会のためのオリンピック賛歌は開会式と閉会式に別の作曲家で作られているようだが、どっちもとっても素晴らしい。全部納められてないのが惜しい。ことに清水脩の開会式のほうの曲はR・シュトラウスに負けないくらいかっこいい(多分)。

P1000786 まあ、全体的に画像がないもんで、頭の中でおぎなうしかない。
開会式は今の過剰演出に比べたら本当にシンプル。でもこれがいいんだよなあ。一回、ショーアップはほとんどなしで、原点に戻したらどうだろう。シンプルって本当は一番カッコイイんだよ。

歴史に残る女子バレー、東洋の魔女が西洋の魔女と戦う様は、何回もテレビで見ているので知っている。しかし最後は結構「アレ?」って感じで勝っている。今と違いアナウンサーも解説者も絶叫したり大興奮したりしない。気品があるねえ。

マラソン。昔はマラソンて女子はなかった。アベベの一人勝ち。
(ベルリン・オリンピックのとき優勝した孫基禎は日本代表として出てたけど、韓国人だったので後年彼は石工となり、ベルリンの競技場に刻んである彼の国籍を日本から韓国へこっそり彫りなおしに行ったらしい。)

アベベの力走より、日本人である私が印象深いのはやっぱり円谷幸吉の銅メダル。あと少し!ってとこでイギリスのヒートリーに抜かれてしまった。で、「幸吉はもうすつかり疲れ切つてしまつて走れません」と遺書を残して自殺してしまったんだった。

悲しい話だよね。

いつの時代も、オリンピックには魔物が住んでいる。プレッシャーに負けずに、日本人選手ガンバレ!!

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2007年7月16日 (月曜日)

シュレーカー・狂える炎

074646685020 シュレーカー:歌劇「狂える炎」(Irrelohe)
ミヒャエル・パプスト(ハインリッヒ)、ルアナ・デヴォル(エヴァ)、エヴァ・ランドヴァ(ローラ)、モンテ・ペダーソン(ペーター)、ハインツ・ツェドニク(クリストバルト)その他
ペーター・ギュルケ指揮/ウィーン交響楽団・ウィーン楽友協会合唱団

はじめに、本日の大地震に見舞われた方、心よりお見舞い申し上げます。

過去記事:シュレーカー・烙印を押された人々

・・・さて。
ここのblogもほとんど書きたいCDは書いてしまった感があります。あとは新しく買ってレビューを書くしかないなあ。さあて、ほんとにどうしようかなあと思ったら、まだあった。ウチの秘曲中の秘曲。多分、このCDの価値といったら、以前ご紹介したコルンゴルトの「ヴィオランタ」くらいのもんだと思う。

あまり最近CDショップでも見かけないので、廃盤になったものと思われる。1989年、ムジークフェラインにおけるライブ。演奏会形式(多分)。

今までblogに書かなかったのかというと、当然輸入盤なので対訳はないし解説は英語・ドイツ語・フランス語。

うーん。私のたどたどしい英語力。そしてただでさえ難解なシュレーカーの台本。あいかわらず自己完結っぽい筋書き(だからなんなんだ~と言いたくなる)。ちょっとヒクものがある。

そんなこんなで・・・・「たぶんこんな感じなんだろう」という筋書き。


時は18世紀、とある小さな村に建つIrreloheという城にまつわる物語。

とある居酒屋の女主人ローラは、自分は昔は美しく若かった、と歌っている。彼女の息子のペーターは、自分の出生の秘密を知りたがっている。彼女は「Irreloheの呪い」について語る。
その昔ある貴族が水の精を愛し、息子をもうけた。この子供とその子孫は代々この村から若い花嫁を強奪するという。

そのとき居酒屋に現れた楽士・クリストバルト。彼もかつて「Irreloheの呪い」によって自分の花嫁を奪われた。クリストバルトは3人の楽士とともに国中を回っているが、彼らの現れるところには必ず火事が起こる。

ペーターの幼馴染みであるエヴァが、城の現在の持ち主であるハインリッヒ伯爵と会い、あわてて逃げてやってきた。しかし、ペーターはエヴァが伯爵と会ったことに嫉妬し、彼女を部屋から追い出してしまう。

夜。3人の楽士(放火犯)が村に現れる。これから城が燃やされるということを背後で見ていたエヴァは知ってしまい、ハインリッヒに知らせにあわてて城へ向かう。

ハインリッヒ伯爵はエヴァに恋してしまっていて、彼女に手紙を渡すように召使に言いつける。それと入れ替わりにエヴァが城にやってくる。互いの愛を告白する二人。それからすぐに教会で婚礼があげられることになる。
教会。婚礼の場に、嫉妬に狂ったペーターが決闘に現れる。母ローラは「この人はあなたの兄弟なのよ!」と止めようとするが、すでに遅くペーターは殺されてしまう。火事を知らせる鐘が鳴り響き、人々がIrrelohe城が燃えていることを告げる中、ハインリッヒとエヴァは若い愛の輝く朝の光の中へ踏み出す。




初演は1924年、クレンペラーによって行われたが、結果はあまり芳しくなくシュレーカーの今までの名声に陰りが見えてくる。

とはいえ、このCDで聴ける音楽はいかにもシュレーカーらしいものである。とくに第2幕のエヴァとハインリッヒの愛の場面は美しい。それと第3幕の出だしからの混沌とした管弦楽、舞台裏から聞こえる軍楽トランペット(マーラーのようである)、色々な楽器が好き勝手にメロディーを奏でつつも一つにまとまっていく様はうーんと唸ってしまう。オルガンも交えた婚礼の合唱も壮大で、かなり聴き応えがある。

さて歌唱は。

なんといっても私の大好きな性格テノール、ツェドニクが大活躍しているところが素晴らしい。この役はやっぱりこの歌手でないと、というくらいはまっている。名歌手ランドヴァも(老女の役なので違和感があるが)うまいし。

猿之助版「影の無い女」で皇后を歌っていたデヴォルが主役のエヴァを歌っている。ホント、このパートはトンデモナイ高音から始まったり、伴奏オケも複雑なのできっととっても音が取りにくいんじゃないかと思うが、この歌手はピタリと決めている。とくに高音の弱音が素晴らしく綺麗。

ヘルデン・テナーの役柄と思われる伯爵役のパプストはこの難しい役を頑張って歌っています。たまーに音をちょっと外したりしているのが惜しい。

録音はデジタルなのでかなりよいですが、もうちょっと合唱団に広がりがあるともっとよかったかなと思います。

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自民党のCMにさーえどわーどの音楽は。やめてちくれ。
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2007年7月14日 (土曜日)

ペルト、タヴナー、リド、グレツキ合唱曲集

Pa0_0146_1 ペルト:Summa,The Beatitudes,Seven Magnificat Antiphons
タヴナー:The Lamb,Funeral Ikos,Two Hymns to the Mother of God,Magnuficat&Nunc dimittis,
アラン・リド:Litany
グレツキ:Totus Tuus
Vasari Singers

(夕べ書いていた記事です。ヒーリング系音楽がたたり撃沈、爆睡。しょうがなく今朝更新します。)

Pa0_0147 先日のカニパーティの時に、近所の金物フェアで半額で出刃包丁を購入。名匠「関孫六」である。持っているとなんだか魚とか捌(さば)きたくなってくるもの。(右のはやっぱり最近買ったヘンケルスのベルリン・シリーズ。名前がカッコイイ。)

最近、駅から歩いて10分位のところにあるスーパーに行っている。魚、肉、野菜、とても安いし、ちょっと問屋さん的にダンボールに入れっぱなしの乱雑な店構えがマニア心をくすぐるものがあるのだが。

あまり普通のスーパーでは売ってない、捌く前のまるごとのお魚がかなり色々売っている。サバやタイやその他いろいろ。見るとどうしても捌いてみたくてしょうがない。

Pa0_0145 で、今日は安売りになっていたサバを買ってみた。35センチくらいのサバを丸ごと捌いてみる。安いんだから、練習練習。

そしたら、あのー、なんだな。

この子ちょっと前まで生きてたってのを忘れてた。もうタイヘンな出血量。スプラッタ・ムービーが大のニガテな私。なんだか自分このまま死んだら絶対地獄へ落ちるんじゃないかというくらい、悪事を働いている気分。内臓を出すと、消化前の小魚が出てきて、リアル。(食事中の方ゴメンナサイ)

しかも。

いったいどこまで包丁を入れていいのかわからずなんだか随分薄っぺらいフィレを切り出してしまった。もったいねー。まだ食べれそうなトコほとんど捨ててるし。

Pa0_0144 ということで3枚おろしにし、捌く前はイタリアンとか色々妄想が広がったのだが、結局一番楽な塩焼きをすることに。(写真だと何の魚がよくわかりませんが、サバです。)

そしたらまあ、ほっこりとしておいしいこと。病み付きになりそう。さすが捌きたて。今度はタイに挑戦してみよう。

で、まあ。あまり関係ないけど。今日は現代音楽。といってもコアなクラシック・ファン以外でも人気のヒーリング系な合唱曲を集めたCD。タワレコのHPでは残念ながら見当たらなかったけど、HMVでは売ってる。

Part609

http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=116609&cldetail=1

イギリスのVasari Singersが歌っている。CDはとてもお安いのにガンガン癒される。この団体はとってもうまい。

収録の作曲家はまー、有名な人、既にblogに登場した人もいるが一応。

アルヴォ・ペルト(1935- )はエストニアの作曲家である。しばしばミニマリスムの楽派に属する一人とされる。初期の作品はショスタコーヴィチやプロコフィエフ、バルトークやシェーンベルクの影響を受けていたが、後年は単旋聖歌やグレゴリオ聖歌などに影響された作品を多く発表。ロシア正教への入信も行っている。生涯中に絶大な人気を博した稀有の作曲家である。

ジョン・タヴナー(1944 - )は、前衛音楽崩壊後に活躍するイギリスの作曲家。
メシアンやシュトックハウゼンとならぶ神秘主義の作曲家で、長年ロシア正教徒を自認していたが、2004年にイスラム教に再改宗したと伝えられる。16世紀イングランドの作曲家ジョン・タヴァーナーと混同せぬよう注意しなければならない(ちなみにタヴナー自身は、タヴァーナーの末裔を自称している)。2002年にナイトに叙勲された。

ヘンリク・ミコワイ・グレツキ(1933 - )は、ポーランドの現代音楽の作曲家。
初期はブーレーズと同じような前衛的な様式に基づいた作品を発表していたが、その後
交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」がイギリスで大ヒット、一躍有名な人気作曲家になるが近年は音楽関係者から攻撃を受け、創作数は激減しているようだ。

アラン・リド Alan Ridout(1934-1996)
この作曲家については全くのお手上げ。ごめんなさい。作風は上記3人の作品と非常に近い(と思う)。ご存知の方誰か教えて。

グレゴリオ聖歌、神秘主義、宗教音楽というキーワードから集められたような合唱曲が(これらの作曲家の作品がスクランブルに)このCDには集められている。(これにシマノフスキが入ってたら万全なのだが)

これを聴きつつベッドに横たわると、癒しの効果があると同時に、早くも自分が葬られてしまったような、成仏してしまいそうな気分(←仏教徒)。魂抜けそう。74分にわたってガンガン哀悼されまくる。いい人だったわねえ、こんなに早くお亡くなりになるなんてnaopingさんたら。

曲の中ではやっぱりタヴナーの有名どころ"Funeral Ikon"とか"Magnificat"なんかが私は好き。

こんなにお安く成仏(私はタワレコで千円しないで買った)できるなんて。いい時代になったものだ。

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2007年7月12日 (木曜日)

アバド・グレの歌(怒りの鉄拳編)

028943994422 シェーンベルク:「グレの歌」
ジークフリート・イエルザレム(ワルデマール王)、シャロン・スウィート(トーヴェ)、マリアーナ・リポヴシェク(山鳩)、ハルトムート・フェルカー(農夫)、フィリップ・ラングリッジ(道化)、バルバラ・スコヴァ(語り)
クラウディオ・アバド指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、アーノルド・シェーンベルク合唱団、スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団

過去記事:H・ケーゲル・グレの歌

フィレンチク・グレの歌は意外と。



本日は、アバドの「グレの歌」。これは、(前にも他の項で書いたが)とちゅうまで何の滞りもなく、名指揮者アバドとウィーンが世界に誇る名オーケストラと名合唱団と名歌手たちが、名ホール・ムジークフェラインで素晴らしい演奏を繰り広げておきながら。

さあ、あともうちょっとでフィナーレというときに。

どこから沸いてきたのか。この女は。どこの病院から連れてきたのか?というくらいの恐ろしい(狂った)語りでもって締めくくられるという稀代の名演奏。

シェーンベルクも存命中は自分の作品の上演で相当ヒドイ目に遭い、それだけではなく自分の弟子の作品の上演中にちょっと(好意的に)笑われただけで大激怒し、そんなに悪い雰囲気でもなかった演奏会を自らメチャクチャにしてしまうような、間の悪い作曲家だが。

前衛的な作品のせいでウィーンを追い出され。ユダヤ人のためにヨーロッパからも追い出され。絵はヘタだし悲惨な人生。

そんな中、(やや不本意ながら)存命中は唯一評判の良かった浪漫的なこの「グレの歌」(マーラーにおける「千人の交響曲」のような)。ウィーンの香りたっぷりのこの素晴らしい演奏の最後に。

なぜかこの違和感たっぷりな語り。

本当に泣きたくなるよ。フィレンチク盤のパツァーク、シャイー盤のホッターがどんなにまともに聴こえるか。

アバド盤、歌手は↑ご覧の通りなかなかのメンバーを揃えている。イエルザレムはシャイー盤でも歌っているけど、シャイー盤のほうがやや立派に歌っていると思う。シャロン・スウィートは取り立てて美声ってわけでもないけど、声量もありスケールの大きい歌唱。

バイエルン国立歌劇場の誇る名歌手、リポヴシェクももちろん立派な歌唱を繰り広げる。彼女はいつも貫禄たっぷりよ。

よりすぐりの名合唱団の歌声も美しいし、最後は迫力満点。ラングリッジだって軽妙な歌唱だし。それに応えるウィーン・フィルのソロ奏者もうまいし。あの難しいトランペットのソロもばっちりだし。

なのに、ああ。この突然の高い声が耐えられない(・・・いいかげん、もうこの記事やめよう。きりがないし)

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この記事読んでから聴くと、結構普通に聴けるかもよ。
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2007年7月 9日 (月曜日)

東京芸術劇場シリーズ第98回

 
エルガー:「威風堂々」第6番(日本初演)
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
エルガー:交響曲第2番
大友直人指揮/東京交響楽団
ネマニャ・ラドロヴィッチ(ヴァイオリン)
<2007年7月8日東京芸術劇場>

いやー。疲れた。土曜日は自分の誕生日パーティを自分ちでして、次の日はコンサート。自分で自分の首を絞めているみたいな感じ。ヘロヘロでした。逆にハイになってたというか。

コンサート前後に、音楽愛好家さんたちの会合に参加。滅多にオフ会には参加しない(人見知りではないんだけど非常に場もちの悪い性格のため)が、まあ、前からの知り合いの方が何人かいたので大丈夫かな・・・という感じ。

コンサートはなんと「ソールド・アウト」らしく。なんでかな?と思ったら「ヴァイオリニストがイケメンだからであろう」という意見アリ。

チラシ見してもらったけど、・・・え。すっきりおしょうゆ顔ファンクラブ会長(んなもんナイ)のあたしとしたら、「ああ、こういう全く違う星の人を好きな方もいらっしゃるのね」と強引に納得・・・するしかなかった。

事前会合では、私はワグネリアン堂々宣言(っつーか、そういわれて「いやーそんなことありませんよ」とか否定するのもどうかと。)。しかし「ワグネリアンってコワイってイメージありますよね。上演中に物音を立てたら「キッ」と睨まれるとか。」などと言われ、しかし「私はそんなことナイですよ」とか、返せなかったです。

何故かっつーと。

このところ、行くコンサート行くコンサート、財布やケイタイに鈴をつけている人が多い!昨日のコンサートだって、よっぽどエルガーの曲がヒマだったのか、カバンや財布の口をあけるバリバリとマジックテープの音とか鈴の音がチリンチリン鳴ってたりとか、あたしは終始気になってしょうがなかった。そのたびにその方向をキッと睨んでしまうのさ。

(こないだの「戦争レクイエム」でもそうだった。)

でも、そんなこと話題にする人、ダレもいなかった。あたしだけ、ワグネリアンの血が脈々と流れているのであった。ごめんなさい。

さて演奏会。

威風堂々6番。威風堂々という日本名はよくつけたもんだが、これっていったいだれがつけたんでしょう?
6番は未完のものをアンソニー・ペインが大英博物館等で発見された自筆譜をもとに補完したもの。

補筆とか、補完とか。いったいどの程度なのか、そしてそれが音楽史上どのくらいの価値があるのか、私にはわからない。このエルガー自身が遺した自筆譜も、どの程度まで作曲されていたのか開示されていない、らしい(っつーことである)。

ということで、これがたとえば「トゥーランドット」のアルファーノ補筆くらいの悲惨なものなのか、それともベルクの「ルル」くらい音楽的価値のあるものなのか、私はわからない。少なくとも響きや雰囲気は「エルガーっぽい」という感じはした。いい曲でした。

一般的観客においては「メインディッシュ」のチャイコン。どんな人かなーと思ったらなんだか手足のすごーく長い、細身で黒い服を着た、髪型はもうなんだかもじゃもじゃとした・・・申し訳ない(←何が?)。

演奏は・・・申し訳ない。判らない。アタシのレパートリーにこの曲はナイ。無論、小さいころからよくラジオで聴いているから知ってはいるよ。

第一楽章終わってすごーい拍手が。あれ。

「うおう、もしかして今日の聴衆は楽章ごとに拍手をする人たちなの??もしやエルガーでも?」

と思ったけど、そんなことはなく。よかったー。

さて、肝心の2番。

実は私はエルガーの交響曲は1番止まり。1番は大好き。2番はどうも自分にとって唯一無二の存在かっていうと、そんなでもない。

1番が良すぎるので、評価が厳しくなってしまうのである。

(しかも3番なんて存在すら忘れてた・・・)

事前、お勉強しようと思ってたった一枚持っているバルビローリ盤を聴いていたが。こともあろうにこれが(CDなのに)飛ぶ、飛ぶ。最後まで行き着かない。

ということでまともに聴けてない。

なので、このblogでも大友さんの演奏について細かく言える立場の者ではない(yokochanさんの感想をお読みください)。ただ、典雅なエルガーらしい響きは堪能しました。けっして寝てたわけではないですよ!(逃)

Pa0_0143 終演後、まぎれて楽屋に連れて行って頂き(すいません)、大友さんのサインを頂きました。いや本当に素敵ですね大友さん。最高のネクストバースディ・プレゼント(いや、その場にいた方は誰も私の誕生日のことなんて知りませんがね)でした。奥様もビューチフルな方でした。

(いや~、大友さんのオッカケ?の方々・・・濃かったナァ。こんなこと書いたら怒られる?)

ヴァイオリニストの方のサイン会ももちろん盛況でしたよ!!女性ファンの肩に手を回して写真を撮ったり、大サービスでした。(もらわなかったけど)

最後に、昨日お会いした方々(このblog読んでらっしゃる方は非常に少ないと思いますが)ありがとうございました。音楽の濃いお話ができて楽しかったです。

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2007年7月 8日 (日曜日)

蟹写真集

P1000779_1 午前中に蟹がきた。バタバタしてる。コワイ。

P1000780 クーラーのガンガン利いた部屋で自然に動かなくなるのを待ち(動物道徳上)、ゆでた。 ゆげでうまく写らなかった。

Pa0_0141_1  イカと甘えび。こんなふうに届くわけではもちろんない。イカは私が包丁でさばいたのよ。イカも甘エビも、甘くておいしかったなあ。写ってないけど、ウニも絶品。

Pa0_0140 蟹の一匹はさばいて焼き蟹に。でかいホタテはバター醤油焼きに。うつってないけど、イカの足と頭の部分も醤油焼きに。ここらへんが一番おいしかった。






5000円のセットを注文し、会費一人2000円。他に肉じゃがとぶり大根を煮たけど、その写真は撮るまもなく食べてしまった。



かにや本舗 (株)いわまさ

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こんなに宣伝してるのだから、次安くしてほしいです。 いえ、おいしいからいいです。
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2007年7月 5日 (木曜日)

蟹の思い出

あさっては7月7日。七夕であり、マーラーの誕生日でもあります。そして何をかくそうわたくしの誕生日であります。  何歳かは訊くな

今年は土曜日にあたるので、部屋にお友達を呼んで蟹パーティをすることにしました。腕を振るうのはもちろん私。

このネット上に数多く存在する蟹売り場において、前々からいつもココと決めているのが、いわまさ

この中で、いつも頼むのが「大盛りいわまさ活セット」であるのだが



今回は3人で集まってパーティ。3人でこんなに食べられるの?って思うかもしれないが結構食べられてしまう。蟹は、ウチにあるちゃんこ鍋くらい大きい鍋で丸ごと茹でる。イカはさしみに、ホタテは殻ごと焼こうかな。うにと甘エビはもちろん生で。

いつもこのお店で頼んでいるが、失敗だったことはない。ネットでこんな風に安いセットを買うと、たまにスカスカの蟹が入ってたりするとこもあるようだが(楽天のユーザーレビューをみると面白いよ)、いわまさはそんなこと一度もなかった。茹でたてはいつも昇天するくらいの旨さ。

最初に生きた蟹を頼んだときに茹で方がよくわからないので(一応調理法の解説書はついています)、わざわざ福井まで電話をかけたこともあったが、威勢のいいアンチャンが丁寧に教えてくれた。イヤな思いをしたことは一度もない。

・・・ということで(音楽とは全く関係のない話で恐縮ですが)とっても楽しみです。


・・・。

蟹・・・というと忘れられない思い出があります。

何年か前のある日、(実家にいた頃)大きな発泡スチロールの箱が送られてきました。私あてに。

中には冷凍の茹でずわい蟹が10ぱいも入っていました。私が大好物なのを知ってて、親しい友人のご両親が旅先から送ってきて下さったのです。(どこの漁港からかは忘れた)

その日、夕方から飲みに行く約束だったので、お店から友人へお礼の電話をしました。

ウチでは私の両親が蟹と格闘。

家に帰って「蟹食べた?どうだった?美味しかった?」

曇る母の顔。「・・・うーん。ひとつ蒸して食べてみたんだけどねえ。全然身が入っていなかった。明日また次の食べてみよう。」と。

翌日、2はい蒸して食べてみた。大きさはまあまああるのに、中身が全くはいっていない。

・・・翌日のも入ってない。

・・・また次のも入ってない。

冷凍庫は蟹だらけ。大きさはそこそこあるのに何も入ってない蟹。ところで生物学上、肉の入ってない蟹ってどうやって生きているの?

そんなわけで、最後の一つに(やっと)なりました。

「お鍋にすれば、おだしくらいは取れるかもしれない」と考え、鍋物に入れてみた。・・・・が。

やっぱり蟹の味はまったくしなかった。鍋から蟹は撤廃して父には出しました。

母は真顔で言いました。
「このことはもう忘れよう。一生、○○ちゃんには黙ってよう。間違っても『10匹全然食べるところ、なかった』なんていうんじゃないよ。」

もちろん、私もそのつもりだった。こんなことで友情をこわしたくない。

(一般的に)こんなにたくさんの蟹を送ってもらってお礼をしないわけにはいかないので、私の手作りパウンドケーキを送った。

その友人からは「ケーキおいしかった~!家族みんなでおいしく頂きました」と激賞のメールが帰ってきた。

これで、よかったのかな?(因みに、友人はこのblogは知りません)

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2007年7月 1日 (日曜日)

ショルティ/影の無い女


R・シュトラウス:歌劇「影の無い女」
プラシド・ドミンゴ(皇帝)、ユリア・ヴァラディ(皇后)、ラインハルト・ルンケル(乳母)、ホセ・ヴァン・ダム(バラック)、ヒルデガルト・ベーレンス(その妻)、アルベルト・ドーメン(伝令師)、スミ・ヨー(鷹の声)、エヴァ・リント(しきいの護衛者)、その他
ゲオルグ・ショルティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン少年合唱団

うあ~、昨日のベームのトリスタンに続き、今日も重い曲であります。ショルティの影の無い女、しかも映像のほうじゃなくて完全全曲盤のCDのほうである。

(因みに、私は初出で買ったので、ジャケットは全然違う。)

あの、サヴァリッシュ指揮の完全全曲盤が1987年録音。
このショルティ盤は1989年録音。
比べると音がかなりいい気がする。デッカの録音技術の素晴らしさ。

しかも、ウィーン・フィルとその合唱団、オマケにウィーン少年合唱団。

これは悪いはずはない。それだけでもう大満足。ラーメンでいえば、最高のおだしで、最高の醤油と油。

あとは麺と具である。

ところが。

何か違うものが混じっている。ラーメンに何か(トマトとか、オリーブオイルとか)イタリアンなものが混じっている。

ドミンゴ。

いや、ドミンゴがドイツものを歌ってはいけないという法律はどこの国にもない。
しかも、これはワーグナーではない。

(ドミンゴの歌うワーグナーは私の中では全くありえない。タンホイザーもパルシファルも。)

R・シュトラウスならまだ。ちょっとは大丈夫。大丈夫よ、だって薔薇の騎士だって出てたじゃない(歌手役で)。

大変心の準備をして臨めば、なんてことない。あら、美声でなかなかいいじゃないの。あんまり他の歌手とのからみはないし。

しかし。これは最後の壮麗な4重唱でぶち破られる。
例えはヘンだが、歌舞伎の世話物に突然セリで紅白の衣装の小林幸子が登場したようなビックリ感。心の準備が必要。

とはいうものの、他の歌手は素晴らしい。とくに女声。
サヴァリッシュの「リング」でジークリンデとブリュンヒルデを歌っているヴァラディとベーレンスが歌っている。

(これは、ベームのリングでジークリンデとブリュンヒルデを歌っている歌手がそのまま「影の無い女」で歌っているのと同じ。)

とくにヴァラディのキメ細やかな歌唱はとても素晴らしい。アラベラも歌え、皇后も歌える。なんて素敵なシュトラウス歌手であろう。

ベーレンスも・・・こんなこと言っちゃアレだが、可愛らしいとさえ思うほど魅力的。

ヴァン・ダムは、F=ディースカウやベリーみたいな「おとうさん、まだまだ頑張っちゃうから~」みたいなかっこ悪いが愛すべき感じに欠けている。ぶっちゃけ無愛想である。まあ、本来はこういう役なのかもしれない。

さて、演奏全体の話だが。
前半非常に疲れる。なぜかとても遅いのである。サヴァリッシュの、精妙というか絶妙なテンポ(いかにも劇場でシュトラウスを振りなれている感)に慣れているとダレる。

しかし、後半俄然素晴らしくなる。ウィーン・フィルならではの壮麗な音色を楽しむには十分。なので、第1幕でリタイヤしてはいけない。ドミンゴかよ~と思ってはいけない。

それにしてもまえまえから不思議に思っていたのだが、(完全全曲盤から入ったからそうなのかもしれないが)実際に上演されていてカットされてるところが、この曲では一番素晴らしい部分である(と私は思う)。

他のシュトラウスの曲にはないかもと思うほど、中身の濃ゆい音楽が隠されているのである。

重要なカットはたとえば。
皇后がうばに別れを告げ、うばが自暴自棄になる場面、そしてバラック夫妻が互いの名を呼び合っているところ。

また、皇后が水を飲むのを諦めるまでの長いセリフの場面。(セリフの部分はサヴァリッシュ盤のスチューダーのほうが絶妙なタイミングであると思う)

および、最終場面の皇后と皇帝の二重唱。

ここらへんは、聴いたことないでシュトラウス・ファンは一生を終わるのは惜しい。
ま、現実的には上演時間とか歌手への配慮もあったのかもしれないが。

残念なことに、どうもサヴァリッシュ盤は廃盤らしいので、現在はここらへんの部分を聴くならショルティ盤を聴くしかないのかも。(実はシノポリ盤は未聴なのですが、カットはあるそうなので)

しかし、ここまで頑張って揃えておきながら、最後の子供たちの出てくるところで、グラス・ハーモニカが響かないのはどういうことだ。(グロッケンシュピールで代用?)

サヴァリッシュは日本での実演でもグラス・ハーモニカを使っていた。大変メルヘンチックで好きな部分だ。(そもそもどっちが正しいのかは知らないけど。)
ついでに言えば、好みの問題もあるが私はウィーン少年合唱団よりもテルツ少年合唱団の歌唱のほうがここではあっていると思う。やんちゃな子供らしさが。

ということで、サヴァリッシュ盤の再発を強く望む次第である。(アレレ?)

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←レオニーの皇后も聴ける。

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