フィンジ・大地と空気と雨
フィンジ:歌曲集「大地と空気と雨」
スティーヴン・ヴァーコー(バリトン)
クリフォード・ベンソン(ピアノ)
雨が降ったり。また晴れたり。
いったい最近の気候ってなんなの? 週末の予定も立てられないよね。天気予報士役にたたねー。石原良純、四苦八苦。
そんな今日この頃、いかがお過ごしですか? (←誰に向かって)
今日は、何故か会社で北海道のアスパラガス、大量にもらったりしまして。私は一人ものなので、遠慮して12本くらい頂きました。いや、アスパラガス、高いのですよ、スーパーで買うと。
それで、サーモンとオニオンスライスとともにサラダにしてみました。ドレッシングは普通のフレンチドレッシング(市販のじゃないぜ。手作り)にバジルペーストをちょっと混ぜてみました。
残りは肉巻きにして明日の弁当のオカズに。
・・・
そんな(どんな?)うっとうしい気候にぴったり、心に深く染み入るようなフィンジの歌曲を。しかも雨って題名についてるしぴったりよ。
本日紹介のCD、2枚組なもんでフィンジの歌曲集5つも収められている(ハイペリオンにはそういう「この作曲家の曲、まとめてもってけ!」みたいなイギリス歌曲集が多い)。しかも、対訳がついてねー。輸入盤だからシカタガナイ。
このCDはフィンジが(気に入ってるらしい)詩人トーマス・ハーディの詩による歌曲を集めたもんなのですが。
私は「トーマス・ハーディ全詩集」(中央大学出版部)のⅠを昔買ってもっているので(その後買ってないのでウチは一冊目しかない)、この中の曲で半分は訳を持っているのです、たまたま。
ということで、この歌曲集「大地と空気と雨」の中で訳詞があるもので、しかも自分も大好きなのが「リズビー・ブラウンに」という曲。
リズビー・ブラウンに
Ⅰ
懐かしいリズビー・ブラウンよ
今君はどこに居るのか?
太陽のなか、雨のなか?
それとも君の面貌は
喜びも悲しみも通過してしまったのか?
懐かしいリズビー・ブラウンよ
Ⅱ
愛らしいリズビー・ブラウンよ
どんなに君は微笑んだことか
どんなに君は歌ったことか!
ひと目ちらりと見るときも
何と君はいたずらっぽかったことか
愛らしいリズビー・ブラウンよ
Ⅲ
そして、リズビー・ブラウンよ
ほかの誰が君の髪のように
鹿毛馬の赤さを持っていただろう
戸外で育ったというのに
誰が君のように色白だったろう?
愛らしいリズビー・ブラウンよ
Ⅳ
君が、リズビー・ブラウンよ
ちょうどある少年に
こっそり恋されるように
なり始めたその時に
君は姿を消した
僕のリズビー・ブラウンよ!
Ⅴ
そうだ、リズビー・ブラウンよ
君の生は とても早く歩み
僕の生は とても遅く歩んだので
僕が愛の心を君に まだ
見せることもできないうちに君はもう
人妻、リズビー・ブラウンよ
Ⅵ
でも、リズビー・ブラウンよ
人の噂では 君は
男のなかでも一番上等な男と
結婚したというではないか・・・
それから君はどこに行ったのだ?
おお。リズビー・ブラウンよ
Ⅶ
懐かしいリズビー・ブラウンよ
僕は考えるべきだったのに、
「女の子は早く大人になってしまう」と
そして君が居なくならないうちに
言いくるめて掴まえておくべきだったのに
懐かしいリズビー・ブラウンよ!
Ⅷ
なのに、リズビー・ブラウンよ
僕は君を逃してしまった
恋のしるしひとつ見せなかった
僕の唇で触れもしなかった、
一度たりとも君の唇に。
失われた リズビー・ブラウンよ!
Ⅸ
だから、リズビー・ブラウンよ
ある日人々が
僕のことを 世を去ったとして
語るときにも君はいうだろう
「だけど、その人どんな人?」
そうだとも、リズビー・ブラウンよ
(森松健介 訳)
こんなふうにヘタレ、というか大変ナサケナイ男の歌である。私の大好きなヴァーコーの美声でさりげなく、語るように歌われているからじーーーーんと心に深く染み入るものであるが、詩だけ読んでいるとどうだろうか。(ちょっとイラっとくるかも?)
この人はきっと卒業10年後とかに久しぶりに同窓会とか行っても「てゆーか、あの人誰?」とか、こそこそ女子に言われているような人なんだと思う。
(英国引っ込み思案&後悔ソングの有名なので「サリー・ガーデンズ」がある)
とはいえ、この2枚組CDはとても私は大事にしている。何年か前はお店に見当たらなくて、ハロルド・ムーアで個人輸入までして買ったものである。
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コメント
こんにちは。昼の職場より、こっそりお邪魔します。
この2枚組、持ってないのですよ。フィンジは寡作だから、全部集めようと思えば可能ですが、ハイペリオンって高いから・・・・。
というセコイ私ですが、ハイペリオンにシャンドス、ENIのコンポーザーシリーズは、英国音楽好きにとってなくてはならぬ存在ですな。
意を決して購入してみようかしらん。
私も、歌詞知りたさに、詩集を購入することがあります。
歌物は、手間がかかります。
アスパラうまそう!
投稿: yokochan | 2007年6月12日 (火曜日) 12時50分
>>yokochanさん
おお、昼休みですね。このCDお持ちでないとは。
これは、私がフィンジので一番好きなCDです。私のイメージするフィンジに一番近いです。
確かにハイペリオンはどれもお高いですね。しかも私、買ったときはイギリスのお店でカード決済だったので(しかも英国歌曲ばかり何枚かまとめて買った)、マヒしたままでいくらか忘れました。
しかし、買ってソンはないと思います。ヴァーコーと、テノールはマーティン・ヒルだもん、間違いなし。どっぷりと癒されてください。
アスパラは美味しいです。
投稿: naoping | 2007年6月12日 (火曜日) 21時06分