« マルシュナー/ハンス・ハイリング | トップページ | カイルベルト/さまよえるオランダ人 »

2007年6月24日 (日曜日)

マイスタージンガー第3幕

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
第1幕前奏曲と賛美歌、第3幕全曲

青戸知(ハンス・ザックス)、萩原潤(ベックメッサー)、水口聡(ワルター)、高橋淳(ダーヴィッド)、田中美佐代(エヴァ)、その他
飯守泰次郎指揮/東京アカデミッシェカペレ(オーケストラと合唱団)
すみだトリフォニーホール6月24日


過去記事/新響:トリスタンとイゾルデ

お約束どおり?、行ってきましただ、すみとり。
やー、行ってきてよかった、というかこの演奏会に気が付いて本当に良かった。タッチの差だったっつーか。もし会社でヒマつぶしにすみとりのHPを眺めてなかったら全く気づかずとおりすぎていったに違いない。

それにしても長いコンサートだった。2時間半くらいにはなってたと思うんだけど。ただでさえ第3幕は長いのに、その上第1幕の前奏曲とそのあとの合唱までやるんだから。しかも途中休憩なし。まあ、三幕全部聴くことを考えれば、短いものだけれど、アマチュアの楽団なので「あんまり音楽わかんない友人」や「おとうさんが出るから来た家族」とかが沢山見に来ているのでは・・・というちょっと落ち着かない感。

この団体は今回初めて存在に気づいたのだけれど、今までの演奏会記録を見ると、オドロキである。

合唱団がくっついている団体ということなので、演奏会は当然合唱つきの大曲が多い。なのに、「普通この1曲でオールじゃね?」みたいなのでも、その前に1曲かついてたりする。

「復活」やマーラー3番は普通それ1曲だけじゃないか?だのに「復活」の前に詩篇交響曲とか、3番の前にモーツァルトとかやるんだな。オトクな感じ?

こんなハードなコンサートを(他に仕事を持ちながら)年に2回こなすアカデミッシェカペレという団体。あなどれない。

今日はなんてったって飯守さんの振るワーグナー。飯守さんはワーグナーを振っていると水を得た魚のようだ。貰ったプログラムによると、飯守さんは合宿まで参加され、楽員が縮み上がるような厳しい練習をされたようだが、演奏を聴いているとまあそんな感じもする。(ソロの部分で飯守さんに指を指されるとマジコワイよ)

演奏に関して言えば、演奏技術とかはプロと同等に考えてはイカンと思うが。(それは不公平である)

飯守さんの曲に対する情熱と、それに必死で答えようとしている楽団の人たちの努力とかが、凄く伝わってくる。

飯守さんの、ワーグナーを振るときのテンポは、何一つ「ヘンだ」と思ったことはない。妥当、というかそれ以外ないな、と思う。よく精通していて振ってらっしゃるのが(バイロイトの助手されてたので当然だが)わかる。

前奏曲から、たっぷりと聴かせる。うーん、(今更ながら)この曲好きなんだよね、私。この曲を聴くと頭からアルファ波が出まくる。そのあとのオルガンと合唱が続くのもあまり実演では聴けないので嬉しい。

歌手の中では、ベックメッサー役の萩原潤さんと、ダーヴィッド役の高橋淳さんが素晴らしかった。

ことにベックメッサー役は演技とかも交えてとても慣れているなあと思ったら、二期会の公演で既に演じられているということであった。紹介文には今まで「セビリアの理髪師」のフィガロに「魔笛」のパパゲーノなどを演じているとあり、ヘルマン・プライの役柄と重なる。9月のアルミンク指揮の「こうもり」ではブリント博士を演じるようだが、私の予想では主役の外人歌手を食ってしまいそうな気がする。

ダーヴィッド役の高橋さんて人は日本では貴重な性格テノールで、もしやミーメとかローゲとか歌えるのかしら~と期待。声も良かったです。シュライヤー系?

本日の主役、ザックス役の青戸さんは、以前神奈川フィルで「戦争レクイエム」を歌ってらした。そのときは青年兵士の雰囲気だったので、今回のザックスはちょっと若々しいかなと。でも真摯な歌唱でとても素敵だったです。(以前、読響の「神々の黄昏」第3幕でグンターを歌ってたのですね。何だか忘れていました。)

ワルター役の水口さんは、いや~こりゃイタオペの声だなあと。バリトンからテノールに変更した方とのことですが・・・。

エヴァ役の田中さんは、エヴァがそもそも役柄的に弱いのでなんとも言えませんが清らかなお声で良かったと思います。もっと個性の強い役で聴いてみたい。

合唱団、頑張ってた。色んなかっこで(首から身分証明書?ぶら下げてたサラリーマン風の人、なんだろう)。

今日は前から5番目の席で、とても指揮が良く見えた。ワーグナーの音を目一杯体に浴びた感じ。気持ちよかった。生き返ったっつーか。
もっと飯守さんのワーグナーをいっぱい聴きたいです。

・・・

長かった演奏会が終わり、ロビーでは小学生のお子様二人とそのお母さんが、コンサートチラシをみながら「あ、今度はこの夏休みこどもコンサートっていうのはどう?」と。お子達は「もう、こんなのいやだよう、長いんだもん」

もしかして、クラシックのコンサートは全てがこんな長丁場と思ってしまうかもしんね。悪影響。


さて。

この団体、この秋の11月25日にはミッチー指揮でオール・ショスタコーヴィチ・プロが控えています。(すげー)
・祝典序曲
・ジャズ組曲第2番
・森の歌

ということで、森の歌もよろしく。
合唱団参加者も募集中だそうです。(もしかしてロシア語?スパシーバ。)

-----

人気blogランキングへ

|

« マルシュナー/ハンス・ハイリング | トップページ | カイルベルト/さまよえるオランダ人 »

コメント

お久しぶりですね^o^

なかなか素敵なコンサートでしたね、僕も今日は地元のオケのコンサートに行ってきました(http://orchestra.musicinfo.co.jp/~npo/)。こちらもなかなかいいコンサートでしたよ!

>「復活」の前に詩篇交響曲
熊本にいたときに、半年間でマーラーの全交響曲を演奏したオケがありますよ。僕もコンサート行ったけど、1番と「大地の歌」とか9番と10番とか、すごいプログラムでしたよ。


投稿: Shamshyraq | 2007年6月24日 (日曜日) 23時28分

こんばんは。いいなぁ、行かれたんですな。
私のほうはブログにも書きましたが、同じアマチュアでも別世界の親バカ演奏会でした。
飯守さんのワーグナーは、シュタイン譲りなだけに安心感ありますね。
歌手たちもなかなかのメンバーのようですしね。
たしかに水口氏は、ドイツ系じゃありませんね。

情報をひとつ。
関西二期会が、尼崎で飯守さんの指揮で「アリアドネ」をやるんですが、来年1月、そのプロダクションをそのまま「新国」で上演するそうですよ。
「ワルキューレ」に「アリアドネ」、飯守先生のオペラが2本ですわ!

投稿: yokochan | 2007年6月25日 (月曜日) 01時16分

>>Shamshyraqさん
おひさしぶりです。西区フィル・・・こちらは市民オケですね。最近はアマチュア団体でも優秀なところが多い気がします。

>熊本にいたときに、半年間でマーラーの全交響曲を演奏した
まあ、そういうオケもたまにあるでしょうね。1番と「大地」なんて聴くのも疲れそうですね。

投稿: naoping | 2007年6月25日 (月曜日) 23時24分

>>yokochanさん
こんばんは。他にコンサートの券でも買ってらしたのかなぁ?と思ってたら、こういった事情だったら仕方ないですねえ。でもいいじゃないですか。
やー、飯守さんが指揮するワーグナーは世界に誇っちゃうから。私が自慢することでもないけども。それに最近は日本の歌手の方もレベル高くなってきました。昨日はなかなか芸達者な歌手の方がおられて、今後の日本のオペラ上演が楽しみになってきました。

「アリアドネ」!ですか。プロのオケを振った飯守さんのオペラを観たことないので「ワルキューレ」とともにぜひ行かなければ。情報ありがとうございます。

投稿: naoping | 2007年6月25日 (月曜日) 23時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マイスタージンガー第3幕:

« マルシュナー/ハンス・ハイリング | トップページ | カイルベルト/さまよえるオランダ人 »