歌うことはボクシング!J・キング名唱集
ジェームズ・キング(テノール)
ベートーヴェン:「フィデリオ」より
ワーグナー:「ローエングリン」「パルシファル」「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より
R・シュトラウス:「影のない女」より
ヴェルディ:「オテロ」より
昨日blogに格闘技まがいなことを書いて、テレビをつけたらHIRO'Sって格闘技の番組をやっていました。(あらー)
楽しく見ていたら、お笑いコンビ「塩コショー」のベルナール・アッカさんが出場していました。「エンタの神様」にたまーに出演していたのを見ていたのですが、外人さん二人で「プロ野球の外人助っ人」とか「外タレ来日時のボディガード」とかのネタを流暢な日本語で披露していましたっけ。お笑い好きの私から見てもとても面白いコンビだと思います。
アッカさんは、お笑い芸人ながら色々な肩書きを持っている人のようです。昨日見た限りでは体のつくりは本当に格闘家のようだし、初めての試合にしてはなかなか立派な戦いぶりでした。もちろん勝利を収めていましたよ。
アッカさんのblog
http://d.hatena.ne.jp/bell-brown/
・・・で、今日はこないだ買ったジェームズ・キング様のアリア集の紹介っつーか、感想をのべよう。
このところ、yokochanさんやNiklaus Vogelさんとの交流では話題の中心は専らキング様。
実際、yokochanさんが激賞されているとおり素晴らしい(シビれちゃう)歌唱なのですが、会社の昼休みにCDの解説書を(ドイツ語、英語)眺めていたら、キングさんへのインタヴューに対する言葉でこんなことが書いてありました。
I find that singing is very like boxing. With singing,too, you can get very demoralized if something goes wrong. It's terrible if your voice breaks on a high note, but you just have to force yourself to go on, just like a boxer who get one on the head.
歌うことはボクシングに似ています。歌っていて、もし何かうまくいかなかったら意気消沈してしまうでしょう。高音で声が壊れてしまったらと思うと恐怖です。しかし、それでも頭に一発受けてしまったボクサーのように、歌い続けなければなりません。
(なんか中国旅行の日本語ヘンテコパンフレットのような訳で非常に申し訳ない。しかもあってるかどうか非常に不安。英語得意な人訳して。)
へー、彼がそんなことを。
そういえば、キングの歌はいつも何かと戦っている感じを受けるな、と私は思っていたのでちょっとびっくり。歌う格闘家ジェームズ・キング??
そもそも、私がジェームズ・キングの歌を初めて聴いたのはフィリップスから出てたベームのリングのハイライト盤のLPでした。キングの歌は「ワルキューレ」でジークムントがノートゥングを引き抜く場面から1幕の終わりまで収録されていました。
(正直なところ、自分はまだ中学生で「リング」のあらすじはあまりよくワカリマセンでした。ラジオでバイロイト音楽祭を聴いていたくらいです。)
このレコードを聴いて、ジークムントはジークリンデを脅しているのかと思いました(爆)。二人が兄妹にして恋人なんてずいぶんあとで知りましたよ。甘いシーンなしでそこだけ聴くとジークムントってコワイ人なのかなあと思ってました。
そのあと、バーンスタインの「大地の歌」のレコードを買いました。バーンスタインがVPOをドライブしまくる中、キングがまたドライブしまくりの歌唱で、なんだかすごくびっくりしたのですが、それでもよく聴いていました。
キングのジークムントが素敵だなと思い始めたのはかなり遅くて、ショルティのリング全曲を買ってしかもよく聴くようになってからだと思います。それでも相変わらず私の中ではキングは何かと戦っており、しかも苦悩しているという印象です。
ということで。
本日紹介のCDは(前置き長いです)もちろん彼の得意な代表的なレパートリーを歌っています。(ジークムント以外の)
しかし、キングはいつも苦悩しててほしい、戦っていてほしいという私の勝手な意見からいうと「マイスタージンガー」のヴァルターは(歌は素晴らしいのですが)ちと違和感があります。しかも、ヴァルター役のものと思われるカワユイ衣装の笑顔のキングはちょっと私ダメかも。ドSな私はいつも彼は苦しんでいてほしいと思っているのだわ。
得意の「影のない女」皇帝のアリアをかなり長く聴くことが出来、この歌唱もたいへん立派。いまだにこの皇帝という役は不可解だが。
ベーレンスとの「オテロ」は、取り合わせからいうとなんだかブリュンヒルデがジークムントに死の告知をしているとこを思い出しちまうのですが、やはり苦悩の歌手?キングはオテロも合っていると思います。
というふうになにやら勝手なことばかり書かせて頂きましたが、やっぱりキングは私の大好きな歌手には違いありません。
ぜひぜひご協力をお願いします。
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コメント
キング氏はエントリーにもありましたが、バーンスタインとのマーラー「大地の歌」でしか聴いたことないですね。
追々聴いていきます。
naopingさんのおかげで、コルンゴルド、ワーグナー、R.シュトラウスのオペラをよく聴くようになりました。
これは感謝です。
こんど菓子折りでももってお邪魔せねば。(なんて)
投稿: ピースうさぎ | 2007年3月13日 (火曜日) 22時13分
naopingさん、こんばんは。TB&ご紹介、ありがとうございます!
今回ご紹介のCD、そしてリザネックとの共演盤も未だ開封していません…(汗)。いったい何ヶ月たつのでしょう!
ですから、キングが歌唱をボクシングに喩えているとは初耳でした。興味深い発言ですね。
しかし、ジェイムス・キングはある意味で、きわめて頭脳的な面も持ち合わせていたと思います。レパートリーを極端に絞っていたこともありますが、これに関しては今週の土曜日に拙ブログにて…(笑)。
またよろしくお願いいたしますm(_ _)m
投稿: Niklaus Vogel | 2007年3月13日 (火曜日) 22時25分
>>ピースうさぎさん
こんばんは!
キングのバーンスタインとの「大地の歌」は(マーラー・ファンは一度は通る道?)オペラ以外のキングが聴ける貴重なものだと思います。彼の声楽曲やリート(←ない?)なんかの録音は少ないと思うんで。でもオペラでのキングもぜひ、これを機会に聴いて頂きたいものです(←エラソーですいません)。
いやー、感謝なんかぜんぜんして頂かなくても、好き勝手なこと書いてるだけなんで、恐縮です。菓子折りは「坂角」の詰め合わせで・・・いやウソです。
>>Niklaus Vogelさん
うわ、まだお聴きでない。私はどっちも買ったばっかりだけど全部聴きました。ま、もったいない気持ちはわかりますが、CDは減りませんから。
キングは、自分に合っている役柄をよく知っていたのでしょうね。しかし、「トリスタン」は結構合ってるんじゃないかと思うんですけど、私の知る限り録音はないですね。なんでかな?
記事、楽しみにしております。
投稿: naoping | 2007年3月13日 (火曜日) 23時28分
naopingさん、こんばんは。連続コメントすみません。
この時間までお目当てのCDを探したのですが、どうしても出てきません…たぶん実家に置いたままなのかもしれません…。
エントリーを延期させてください。ごめんなさいm(_ _)m
投稿: Niklaus Vogel | 2007年3月14日 (水曜日) 03時18分
>>Niklaus Vogelさん
り、律儀にご報告どうもありがとうございます。みっかったら宜しくお願いします。
投稿: naoping | 2007年3月14日 (水曜日) 07時18分
こんばんは! ご紹介ありがとうございます。TBも入れさせていただきました。
おおゲットされましたね。教祖たるものこの1枚は必帯ですぜ。
やっぱし、ワルターじゃなく、ジークムントですな。
だからトリスタンやくたびれたタンホイザーが聴いてみたかった。
ちなみに、ヴォツェックの鼓手長なんかを威勢よく歌っていたこともあるらしいです。
キング熱はみなさんしばらく続きそうですな。
投稿: yokochan | 2007年3月15日 (木曜日) 00時25分
>>yokochanさん
TBありがとうございました。
(私はTB失敗しました。なぜかしら~。)
このCDはblogを拝見してずーっと気になっていたので、やっと手に入って嬉しいです。いやー、オペラの舞台じゃなくてオペラ・アリアの録音てなんだか一曲一曲が力いっぱいですごい迫力ですね。
また何かいいものを見つけたらご紹介下さい!
投稿: naoping | 2007年3月15日 (木曜日) 22時39分