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2007年3月12日 (月曜日)

カラヤン・リング(ハイライツ)を聴きながら、ワルキューレについて考えてみた。

ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」-ハイライツ
(虹の架け橋、愛の二重唱、ワルキューレの騎行、森のささやき、ブリュンヒルデの目覚め、ラインの旅、葬送行進曲、自己犠牲)
ヴォータン … ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
ジークムント … ジョン・ヴィッカーズ(テノール)
ジークリンデ … グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
ジークフリート … ジェス・トーマス(テノール)
ブリュンヒルデ … ヘルガ・デルネシュ(ソプラノ)  他
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
(1966年-1970年 ベルリン)

何を今更カラヤン盤のハイライトもないでしょ~naopingちゃん、と思ってる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はカラヤン・リングはうちには「ジークフリート」のLPしかないのである。

リング全曲は6種持っているが(これでも少ない?)、もうこれ以上増やすのもどうかなあと思いつつ、やっぱりカラヤン盤の評判を聞くにつけ「やっぱりちょっと聴いてみたい」という気はする。なので、このリングいいとこどりのこのハイライツ盤は試聴盤として素敵である。

まあ、リング全部聴いたわけではないのであまり感想というほどのものは書けないが、印象としまして全体的に歌手の声がカラヤン好みに軽量級である。

今まで聴いてきたリングが、フルヴェンだのカイルベルトだのは歌手がまるでプロレスラー並みの重量級なものが多く、しかも自分で気に入って聴いてきたので、このカラヤン盤は(録音が古いのに)大変新鮮である。

そうそう、カラヤン盤を聴いて、とくにブリュンヒルデのデルネシュとジークリンデのヤノヴィッツを聴いて思ったのだが、まるでお風呂上りのスリムな美女のような洗いたてみたいな声なんである。

思い出したのは、絵本画家のアーサー・ラッカムの絵によるところの「ニーベルングの指環」に出てくる美女たちである。

Arthur Rackham's illustrations to Wagner's THE RING OF THE NIBELUNG

これだけ美しい女性がジークリンデやブリュンヒルデを演じることなど、現実にはほとんど不可能であろう。ついでに言えば、ジェス・トーマスのどちらかといえばジークムント向きの声のテノールがジークフリートを歌っているが、彼もラッカムの絵から飛び出たような感じではある。

・・・。

ということで、ここまで書いて「プロレスラー」とか出てきたけれど、そろそろプロレスのリングを舞台にした「リング」の演出があってもいいんじゃないかと思う今日この頃。

大体、外国のオペラハウスの引越し公演での「ワルキューレ」を見て、ブリュンヒルデを含めたワルキューレ=「戦乙女」がどんなに女子プロレスラーに見えたことか。みんなあまりにもたくましいんだもん。

いっそ舞台中央にプロレスのリングをしつらえて、いや最初からプロレスの聖地「後楽園ホール」でリングを上演するってのはどうだろう。

(以前、ボクシングの試合中継で、リングの横にオーケストラと指揮者がいて、ラウンドの間にホルストの「火星」とか演奏してたのをテレビで見たことがある。だから、リング横にオケ・ピットがあっても全然不思議ではないってことである。)

ヴォータンは女子プロレス団体の長(おさ)でね。
「ワルキューレの騎行」の音楽に乗って選手たちが勇ましく現れるわけだが。ワルキューレの中に本物の女子プロレスラーも何人か混じっていて、リング上で色々と技をかけたり、リングの四隅から飛び降りたり色々とやってほしい。ワルキューレの歌手たちも役作りのために一ヶ月くらい女子プロレスに入団してね。ブル中野さんみたいなヒール(悪役)の人も必要ね。

もちろん、ジークムントとフンディングは赤コーナーと青コーナーから現れてリング上で戦ってほしい。

で、「ヴォータンの告別」では、プロレス団体から足を洗うことになるブリュンヒルデを、ヴォータンはキスではなくてプロレスの技「スリーパーホールド」を決めて眠りに陥れる。

眠りに落ちたブリュンヒルデを、リング周りを火で覆い寂しげに立ち去るヴォータン。<幕>

うーん、素晴らしい。日本初、いや多分世界初の格闘技とオペラのコラボレーション。キャストは去年聴いた飯守さんの「トリスタン」のときの歌手の方々でお願いします。

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仕事中、こんなことばっかり考えている。
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コメント

naopingさま こんばんは

私も、カラヤン盤のリンクは持っていません、「マイスタージンガー」は愛聴盤なんですが。
カラヤンは、DGの専属であった時期で、その頃の大歌手がデッカの支配下にあり、使えなかったということも少しは影響しているのではないかなと思います。ですが、カラヤンは、歌と伴奏の融合というのを考えていたのかもしれませんね。その時代の大オケストラを凌駕するような声ではなく、伴奏にとけ込みながら、しかも聞こえる声というのが好きだったのかもしれませんね。

ルートヴィヒさんが書いておられましたが、カラヤンは本当に上手く歌わせてくれる指揮者であったそうですよ。歌手に無理がかからないように、伴奏をしてくれたそうです。ですが、ステージリハでも、録音に合わせて演技をさせられるのには閉口したそうです。
ミ(`w´彡)

投稿: rudolf2006 | 2007年3月12日 (月曜日) 23時38分

 こんにちわ。カラヤン盤はハイライトとジークフリートをCDで、ラインの黄金とヴァルキューレをLPでもっていますが、残念ながらあまり聴きません。ジークフリートはベームが良いし、意外にもショルティもそれほど悪くないとおもいます。どういうわけか、ミーメが好きです。

投稿: サモトラケのニケ | 2007年3月13日 (火曜日) 19時30分

>>rudolf2006さん
いつもコメントありがとうございます。体調はいかがですか?
このハイライト盤を聴いて(rudolf2006さんの言われるとおり、デッカが大歌手を支配していたとしても)、カラヤンのこの歌手のチョイスもまあアリかなあ?と思います。カラヤン盤は耳に美しい感じがします。個性的だと思います。

カラヤンは舞台の演出もやっていたのですよね、確か。B・ニルソンが「あんたの舞台は暗がりで足元が危なっかしいわ」と言いつつ、リハーサルの時に懐中電灯付きのヘルメット被ってきたっていう話とどこかで読んだことがあります。

>> サモトラケのニケさん
コメントありがとうございます。
ベームもカラヤンも何故かハイライトしか持ってないもんで、「リング」を語るにはまだまだモグリな私です。でも、ショルティは(最近評価が下がりつつありますが)そんなに悪くないと思います。ショルティ再評価に向けて最近準備中です。
ミーメ・・・私は性格テノール大好き人間ですからもちろんミーメは大好きです。シュトルツェとツェドニクとクラークは私のアイドルです。

投稿: naoping | 2007年3月13日 (火曜日) 19時43分

ハッハハ。こんばんは。
リングでリングとはまた愉快なり。かつて、バイロイトでウォルフガングが、リング状のお椀を舞台に4部作を演出したことがありましたっけ。リングは部族間のバトルの物語ですから、本物のリングも面白いですよ。聴衆は4方から眺め、座布団を投げたりするわけで、歌手も聴衆の合間から出てきちゃって。

カラヤン・リング大好きです。自分の言いなりになる歌手や新発掘の若手を起用したまさに指揮者主体のリングですね。
4部作カラヤンで取上げましたが、「ラインの黄金」だけTBさせていただきます。

投稿: yokochan | 2007年3月15日 (木曜日) 00時14分

>>yokochanさん
こんばんは。カラヤン・リング相当お好きなようで(カラヤンっつーよりデルネシュ?)前から気にはなっていたので、このたび試聴いたした次第で。
バイロイトのリング・リングは写真で見たことがあります。火で囲まれてブリュンヒルデが眠らされているところでしたが、なんだかフライパンでじゅうじゅう焼かれてるみたいでした。ベルリン国立のクプファー演出のときは餅焼き網みたいでしたし。火の扱いっていうのは演出上難しいですね。

もー、後楽園ホールじゃなくて国技館で、みんなで座布団投げちゃいましょう!!スモウ・リング!

投稿: naoping | 2007年3月15日 (木曜日) 22時49分

 はじめまして。ワーグナー大好き人間なので、ちょっと立ち寄らせていただきました。

 リングはショルティで聴き始め、いまだにその影響から抜け出せないのですが、カラヤンもよく聴きました。非常に透明感のある演奏に思えますので、通して聴いていても疲れにくいのが特徴ではないかと。ただ、彼のその他の録音と比べると、やはりちょっと物足りない。もう少しこってりしていた方が相応しいんじゃないかと思うし、彼としてはベストの出来ではないのではないかとも思う。

 余談ですが、私は今回出たハイライト盤のジャケットを見て、全曲をボックスで持っているのにもかかわらず、新たに買いたくなっちゃいました…。やっぱ、主役は歌手ではなくカラヤン様なのね。

投稿: Bluebird | 2007年3月21日 (水曜日) 11時13分

>>Bluebirdさん
はじめまして!コメントありがとうございます。
まー、ちょっと前だとリングはショルティからってことになりますね。私が聴き始めた頃はリング=ショルティという公式が出来上がっていましたからね。今はどうなんでしょ。

カラヤンのハイライト盤、まあ千円という価格も魅力ではございましたが、やっぱりジャケットですかねえ。ここらへんの時代のカラヤンはやっぱり一番かっこよかったですもんね。また、演出とかやってるっぽいのもグーですね。
もっと若い頃だとロン毛でイマイチなんですがねえ。

投稿: naoping | 2007年3月21日 (水曜日) 20時53分

はじめまして。うぐいすと申します。
ブログ村からきました。
私もワーグナー好きなので、当ブログいろいろ読ませていただきました。古い記事にいまさらコメントするのはどうかなあとも思ったのですが、「ブリュンヒルデにスリーパーホールド決めて眠らせる」のがどうにもツボにはまってしまいまして(笑)。なんとなくアニマル浜口・京子の親子を想像してしまいました。

カラヤンのリングはとにかく抒情的で、童話の世界のようなきれいなつくりの音楽になっているなあと思います。
ちょっとさわりを聴くのは綺麗で良いのですが、雰囲気が単調になりがちなので全幕通して聴き続けるのは、うぐいすにはちょっと苦しいです。でも、ラインの黄金の、特にシュトルツェのローゲにはいたく感心しました。まさに変幻自在ですね。
でも「ラインの黄金」以外は、カラヤンのリングはハイライト盤だけでもいいかもなあ、なんてうぐいすは思ってます。

投稿: うぐいす | 2007年9月17日 (月曜日) 11時12分

>>うぐいすさん
はじめまして!コメントありがとうございます。ワーグナーお好きなのですね。そちらのブログも後ほどゆっくり拝見させていただきますね。
そうそう、アニマル浜口さんと京子さんにも「プロレス・リング」に是非出演頂けますよう現在交渉中です(←もちろんウソ)。私はいまだにカラヤン&ベームのリングは全曲持ってません。基本かなあ?と思いつつも、他のもののついつい気持ちが傾いてしまいます。シュトルツェはほんとに何やってもうまいですね~。

投稿: naoping | 2007年9月17日 (月曜日) 23時39分

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