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2007年3月 1日 (木曜日)

クライバー「椿姫」再び。


ヴェルディ:歌劇「椿姫」
イレアナ・コトルバス(ヴィオレッタ)プラシド・ドミンゴ(アルフレード)シェリル・ミルンズ(ジョルジョ・ジェルモン)
その他
カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団・バイエルン国立歌劇場合唱団



昨日の「魔弾の射手」に続き、カルロスの名盤「椿姫」を聴いてみよう。

過去記事
クライバーの椿姫とこうもりと私



以前にも書いたとおり、私が一番最初に買ったオペラのレコードはクライバーの椿姫です。中学生1年のときです。

音楽的に言えば、この「椿姫」とゆーオペラは実にわかりやすい。オペラの基礎というか基本というか、美しい前奏曲あり、有名なアリアあり、合唱が入り、男女の恋愛があり、最後はヨヨと泣かせる。
「わたし、オペラなんて行くの初めて~。ドキドキ。何着て行こうかしら?」なんていうデートのシーンでも活躍しそうな演目である。全曲短いので女性が退屈して「私帰るわ」なんてこともなさそうだし、そのあと豪華ディナーに行くなり、他の所(?)に行くなり、自由である。

ワーグナーだったらそうはいかん。初デートが初オペラで「パルシファル」とかだったら目も当てられない。普通の婦女子だったら第1幕終わったあたりで相手の男の横っ面張り倒して帰るだろう。や、あたしだったら無論超オッケーなんだけれども。

や、それはさておき・・・。

私とこのオペラとの出会いは、少し早すぎた。オトナの世界があまりよくわからんうちにやってきた。

(ウチの子は小学生だけど、とっくの昔にこの曲を聴いていますよ、などというコメントは受付けません。あくまで私の話。)

まず、この主人公ヴィオレッタの職業がナゾであった。解説書には具体的には書いてない(と思う。よく読めばどっかにあるのかもしんね)。

解説書のヴィオレッタの説明は以下の通り。

ソプラノ。ドゥミモンドの女。けがれない心の持ち主で、アルフレードを愛し、病のため死ぬ。ソプラノ・リリコの持ち役であるが、ドラマティックな表現力も必要であり、コロラトゥーラのパッセージも歌いきることが求められている。そのためにこのヴィオレッタの役は、ソプラノにとって、至難の役とされている。下は1点ニ音から、上は3点ハ音までが必要で、特に<ああ、そは彼の人か>のカバレッタ<花より花へ>では3点ニ音が求められている。デュマの原作での、マルグリット・ゴーチェ。

ドゥミモンドて何。
1点だの3点だのどうでもいいっ。いったいこのヴィオレッタという女は何者なのか。何故こんなに舞踏会ばっかり行っているのか。何故こんなに金持ちそうなのか。なぜ恋人のお父さんに「息子と別れてくれ」と言われて素直に従うのか。

うすうす、何とはなしに「もしかしてアレ・・・?」とか思いつつ、ナゾは深まるばかりだ。

しかもある日、この録音がNHK-FMで放送された時。NHKの解説の女性はこんなふうにしゃーしゃーと切り抜けた。
「昔、貴族のご機嫌をとりながら生活していた女性たちがおり、ヴィオレッタもそのような女の一人であった・・・」
ご機嫌を、取るだけで、こんな裕福な暮らしを!昔のパリの女性はなんて幸せなんだ!

・・・。

で、まー。私も自分の働いたお金でCD買うなり実演のオペラなり観にいくような年齢になる頃にゃ、ヴィオレッタがどんなヤツだかはイヤというほど充分わかっていた。

が。

題名の「椿姫」ってのが、ずっと意味がわからなかった。オペラには椿の花はいっさい出てこないし。ヴェルディのオペラの題名は「道に迷った女」であり。いったいどういう関係が?

この「椿」の本当の意味がわかったのはつい3~4年ほど前である。つまり(まあ、オペラ通の方はとっくにご存知だと思う)、お仕事が可能な日は白い椿、お仕事が不可能な日は赤い椿をお部屋に飾る、というかなりグロイ理由で椿姫なんだそうである。

中学生のときに知らなくてよかった。

さてこのCDの演奏であるが、もう言うまでもなく素晴らしい。今やワーグナーなんか歌っちゃってるドミンゴも、このころは大変若々しい声でうっとりする。まあ、いかにも田舎のボンボンの役のアルフレードにはちょっと理知的にすぎるかも、と今聴くと思うけれど。

そして、なんといってもコトルバスの声が、実にかわいそうな感じがする。声自体が悲しげである。実演で見たらきっと大泣きであろう。実際、テレビで彼女の演じるヴィオレッタを見たことがあるが、かなりの大熱演でけっこう「キタ」のを覚えている。泣きはしなかったが。

しかし、この演奏の主役はどう考えても指揮者。悲しい前奏曲が終わり、生き生きと曲が進み、あっというまにアルフレードとヴィオレッタは恋に落ちる。それにしてもなんという速さだろう。まるでビデオの早回しのようである。第1幕のこんなドキドキワクワク感は他の演奏では感じられない・・・っていうか他にCD持ってないので何ともいえないが、多分そうなんでしょう。・・・。

ま、次は”クライバー「こうもり」再び”の予定なんでお楽しみに!

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コメント

naopingさん、こんばんは!

私もこの「椿姫」に関しては同様の思い出があります(笑)。意味も分からず、学校の先生に「この人、何をして暮らしてるんですか?」と聞いてみました。モロに「高級娼●」と返事があり、それでも分からず、家に帰ってから「コーキューショー●ってなあに?」と聞いて親を困らせたことがあります(笑)。

ところで、師匠はクライバーの実演をご覧になられていてうらやましい限りです。(私は一度もその幸運に巡り合うことはありませんでした…。)

> ま、次は”クライバー「こうもり」再び”の予定なんでお楽しみに!

私も予告していいですか? 次回は「門外不出の『落書き入り』CD」を掲載します(爆)。 先日、実家の神棚から取り出してきました(笑)。

投稿: Niklaus Vogel | 2007年3月 1日 (木曜日) 22時45分

こんばんは。たびたびお邪魔します。
ヴィオレッタの役柄は、時代も雰囲気も違いますが、今で言えば叶姉妹ということになるかも知れませんね。
コトルバス、あの声がこのオペラに似合っていると思います。か弱そうでいかにも悲劇のヒロインという感じです。
そのあたり叶姉妹とはだいぶ隔たりがあるかも知れません。いや意外と似てたりして。

投稿: 吉田 | 2007年3月 1日 (木曜日) 22時49分

>>Niklaus Vogelさん
やはり同じような経験をしている方がいらっしゃるということですね。初めてのオペラの主人公が高級娼●ってのもなんだか。オペラってみんなそんなもんかと思ったら、そんなでもないですもんね。

>クライバーの実演をご覧になられていてうらやましい
たまたま、他の人より早く働き始めて、そのころちょうどバブル期だったのが幸いでした。オペラに行けるだけ行きましたから。その頃の経験が今は宝です。

落書き入りCD!ついに登場ですね!楽しみです。

>>吉田さん
叶姉妹ですか・・・。叶姉妹のどれなんでしょうかね。男の人と好き放題の長女か、財宝を持ち逃げした次女さんか、姉に従順で勉強家の妹の美香さんか・・・いやそんなことはどうでもいいんですが。

コトルバスは声はか弱そうですが、とっても度胸のある人で、スカラ座に開演何時間か前にヴィオレッタの代役で呼ばれて見事大喝采を浴びたっつー伝説の人ですね。彼女のルイーズ役も大好きです。

投稿: naoping | 2007年3月 2日 (金曜日) 20時01分

椿姫は誰がなんと言ってもジュリーニだ。1955年のあの日スカラ座にのろいをかけたあの演奏。カラヤンだってのろいには勝てなかった。

投稿: gkrsnama | 2013年4月24日 (水曜日) 12時42分

>>gkrsnama さん

コメントありがとうございます。
スカラ座の呪いって、すっかり忘れていましたがそういうのありましたね。カラスの椿姫、実は未聴ですごめんなさい。

投稿: naoping | 2013年4月24日 (水曜日) 22時48分

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