フェレンチク・グレの歌は意外と。
シェーンベルク「グレの歌」
アレクサンダー・ヤング(ワルデマール王)、マーティナ・アーロヨ(トーヴェ)、ジャネット・ベイカー(山鳩)、ユリウス・パツァーク(語り)その他
ヤーノシュ・フェレンチク指揮/デンマーク放送交響楽団 デンマーク放送合唱団(1974年ライブ) ※今なら1211円だ!
過去記事:H・ケーゲル・グレの歌
ああ、この曲が好きだ~~~!!大好きだ~~~!!
という雄たけびとともに、今日は新橋投売りコーナーで買ってほとんど聴かずに放置プレイしていたフェレンチク指揮の「グレの歌」。
ところで。(いきなりだが)
フェレンチクって指揮者をこのCDではじめて聴く。全然今までお世話になってない。
ヤーノシュ・フェレンチク(1907~84)
ハンガリーのブダペストに生まれ、没したハンガリー楽壇の重鎮指揮者。ブダペスト国立歌劇場の副指揮者としてスタート。48年~50年ウィーン国立歌劇場の常任指揮者。53年~84年までハンガリー放送響の監督&首席指揮者。57年からブダペスト国立歌劇場総監督、ブダペスト・フィルの音楽監督も兼任。74年、76年、79年、ハンガリー放送響を率いて来日した他、わが国のオケにも客演した。
ハンガリー生まれの指揮者といって思い出すのは、有名所でゲオルグ・ショルティ、ジョージ・セル、ユージン・オーマンディ、イシュトヴァン・ケルテス、アンタル・ドラティ、フェレンツ・フリッチャイ、フリッツ・ライナー・・・等。
これらの指揮者は全部他の国に渡っている。アメリカ、イギリス、オーストリア・・・等々。
フェレンチクはずっとハンガリーで活動していたようである。ということで他の人よりやや地味めな印象が拭いきれない。(と思う)
フェレンチクをタワレコで検索してみると、レーザーライトから出ている(異様に安い。1995円て。)ベートーヴェンの交響曲全集とかある。どんななんだろう。
その他はフンガロトンから結構色々出ているようである。フンガロトンが入手しやすいのかはまた別として。リストのカンタータ集とか。またはハンガリーお国もの集やハンガリー語の「ピーターとオオカミ」とか、プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」とか、マニア心をふつふつと揺さぶるものが沢山あり。本当はバルトークの「青ひげ公の城」が聴きたいが、廃盤なのだろうか。
さてえ、この「グレの歌」のCDのことであるが、ライブであるということ以外はよくわからないが、結構イイのである。オケや歌手は意外な組み合わせであるが。まあ、この曲はそもそもデンマークのお話だからこのオケと合唱団は正解?なのかもしれん。何が正解なのだ。合唱団のドイツ語の発音がデンマーク語っぽいのは気のせいか。
ライブだけあって、なかなか熱っぽい演奏である。熱い指揮者だという記述は本では見あたらないので、これは曲のせいなんだろうか。生で聴いたらたいそう感激しそう。録音年は古いのだが、全然聴き辛くないし。たまに演奏ミスもあるが。
ポイントは独唱陣。なんといっても(一曲アリアを歌うだけの)山鳩さんがジャネット・ベイカーであるってとこが豪華。古今東西の名アルト、メゾが歌うパートなだけに、思いいれもいっぱいだが、当然ベイカーは素晴らしい。や、当たり前だ。
意外とよいのが、ワルデマール役の、私は全く知らないヤングってテノール。(忌まわしきM・ユングではない)
ドラマティックなヘルデン・テナーが振り当てられることが多いパートだが、このヤングって人はどっちかっつーとリリックな歌声でよい。ジェシー・ノーマンの先輩みたいなマーティナ・アーロヨはノーマンみたいに立派すぎず、少女トーヴェに近い。
端役の農夫とか道化の人は名前からいって現地調達なのか、知らない歌手。まあ、こんなもんか。(ここんとこの難しいトランペットのソロは聴こえず。)
はて。この曲を名演奏にするかぶち壊しの演奏にするかは、最後の語り(シュプレッヒシュティンメ)にかかっている。このCDでは、やる気のないテノールのチャンピオン、ユリウス・パツァークが受け持っている。
この曲の他の録音ではすいぶん個性の突出した人を割り当てている(全く別の曲に聴こえてしまうこともしばしば)が、ここでのパツァークは正攻法で、この曲そのものを感じさせていてなかなか好感がもてる。まーぜんぜん面白くはないが。
ということで、ケーゲル盤と比べるとそんなに超個性的な演奏でもないが、値段もお安いことだし、曲そのものを聴くにはよいのではないだろうか。アバド盤を一回聴いて放り投げているのに比べてずいぶんおトクな買い物であった。
余白に、何故か私の好きなノーマン・デル・マー指揮(ロイヤル・フィル)による、「弦楽オーケストラによる組曲」が入っている。一瞬エルガーの曲かと間違えそうなくらい(?)うっとりと素晴らしい演奏。
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まあ、真面目なときもあるさー。
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コメント
オヒスレデエーさん、こんばんは!
> この曲を名演奏にするかぶち壊しの演奏にするかは、最後の語り(シュプレッヒシュティンメ)にかかっている。
最近なぜか遠ざかっている新ヴィーン楽派、いつの間にかいくぶん苦手になっていました。でも、良かった…私と同じご意見が聞けて! 「やっぱ、これはホッターのシャイー盤が好き!」と言って、知人にドン引きされたことがあります。
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ところで、珍しい曲にお詳しいnaopingさんにあやかって、数日後には秘曲の中の秘曲を拙ブログでも取り上げようと思っています。そのエントリーは師匠に捧げます(爆)。
投稿: Niklaus Vogel | 2007年3月29日 (木曜日) 22時42分
>>Niklaus Vogelさn
オヒスレデエーでえす。
やっぱりホッターのシャイー盤が一番ですな。あれはワーグナー好きにはコタえられません。でも、なんでドンビキされるのかしら~。私わからないわ~。
アバド盤の語りのキライな方はいまだに現れず。待ち人来たらず。
いつもクリックありがとうございます。半ば強制的にクリックしたくなるような方法を日夜考え中です。ルール違反にならない程度に・・・ドラえも~ん!
>そのエントリーは師匠に捧げます(爆)。
あ、捧げられてしまった・・・ドキドキ(←?)。
投稿: naoping | 2007年3月29日 (木曜日) 23時14分
通りすがりですが…
グレの歌は昔聴いたきりで、この記事を読んで
また聴いてみようかなと思いました。
少し調べてみたらアマゾンでCDも、それから
スコアも安く売ってたので、僕にはあまり
鑑賞能力がないですから、とりあえず安いのを
購入して聴いてみようと思います。
ありがとうございました。(__)
投稿: mana | 2007年3月30日 (金曜日) 14時35分
>>manaさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
鑑賞能力がないなんて・・・そんな。ご謙遜を。「グレの歌」は本当に色々な個性的な演奏が出ていますね。またお寄り下さいませ。
投稿: naoping | 2007年3月30日 (金曜日) 20時57分