戦争レクイエムin県民ホール
久しぶりに横浜・中華街へ。
私は都心に住んではいるが、「みなとみらい線」って電車ができたお陰で、うまく急行に乗れば家から30分ちょっとで中華街に行けるのである。
以前は東横線終点の桜木町からバスに乗って・・とめんどくさかったのに、なんて近くなったものだ。
ところで。
県民ホールでブリテンの戦争レクイエムを演奏する、なんて情報を入手したのは実は今月はじめくらいである。しかも、地下鉄の車内の広告テレビを見て知ったのである。
・・・で、まあ神奈川県民ホールといえば、すぐウラは中華街である。昔から休日に行けばかなり混みあっているが、「元町・中華街駅」ができてから、中華街の中心になる大通りから駅まで行く途中の通りまで繁盛してきたような気がする。さらに「横浜大世界」とか「よしもとおもしろ水族館」とか派手なテーマパークが出来ていた。
とはいうものの、かなり昔から中華街で食事をするときはたいていココと決めているお店がある。
六鳳居
http://g.pia.co.jp/shop/7131
夜はまあ値段は張るけれど、ランチだったら安いのでおおいにおすすめ。(「アド街っく天国」で横浜・中華街ランチのランキングで1位だったそうである)
こじんまりとして外見も内装もかわいいし、あまり混んでないので入りやすい。本日は海鮮粥セットを食した。イカ・エビ・貝などがごろごろ入った粥と、シュウマイと春巻きが一つづつときゅうりのお漬物とマンゴープリンで980円(税別)である。お粥だけだったら600円くらいからある。
昨日も今日も中華?なんてこまかいことは言わない。因みに夕飯も「究極の肉まん」、明日からのおかずも帰りに買った「横浜大世界」の点心と「皇朝」のシュウマイ(および、なめらか杏仁豆腐。美味!)である。「元祖でぶや」みたいな生活。
(皇朝のネット通販はココ)
・・・ということで、そのあとは「戦争レクイエム」を聴きに神奈川県民ホールへ。当日券をゲットして中へ。
ブリテン:「戦争レクイエム」
大倉由紀枝(ソプラノ)、望月哲也(テノール)、青戸知(バリトン)
現田茂夫指揮/神奈川フィルハーモニー管弦楽団・合唱団、県民ホール合唱団、小田原少年少女合唱団
うきうきるんるんと中華街での食事やお散歩を楽しんだあとにいかにも似つかわしくない曲目である。
第2次大戦でドイツ軍に大爆撃されたコヴェントリーにある聖ミカエル大聖堂が、1962年に再建されました。この曲はそのお披露目の式典のためにブリテンが作曲したものです。
「レクイエム」と名はついているものの、「死者を悼む」というよりは、第一次大戦で死んだ戦争詩人オーウェンの詩をテクストに用い、ラテン語の典礼文と織り交ぜながら、強い反戦のメッセージを伝えるという内容になっております。
で。
観客の方はなぜかお年を召した男性(および熟年カッポー)が多い。それに観客のほとんどはおそらく出演者(一般公募の合唱団員)の知人・家族であることは間違いない。そして(私もマーラーを歌ったときに経験アリ)券を売るノルマがあるはずである。
初めて聴きに行く人にこの曲はきっとキツイことだろう。英国音楽をよく聴く私でさえ、この曲は敷居が高い。
そんな(ある意味)気の毒な観客の皆さんのために?今回はステージ中央に正方形のスクリーンをしつらえて、字幕スーパーと映像作家/佐々木成明氏によるイメージ映像が演奏にあわせて映し出された。これでずいぶん退屈さを緩和・・・のはずだったが。
「ダフネ」日本初演同様、私の後方の席にはまた、最初から最後までイビキをかく男性がおり。ちっとも緩和してねー。
とはいうものの、かなりこの映像は効果的であったと思う。コンピュータで作られた(と思う)催眠効果みたいなくるくる回る映像(最近持病の良性めまい症が出てきたのでやめてくれぃ)と、第一次大戦の写真や、イギリスの田舎の航空写真などを組み合わせ、最後のほうはこの演奏会が行われている横浜の港の映像が映し出されたりしました。 (写真は県民ホール2階ロビーから見える山下公園↓)
それは「戦争は決して過去のものではない。ともすればここで聴いている私達にも起こりうるものなのであるから、記憶を風化させてはならない」などというメッセージのようなものを感じた。(ま、この名曲には余計だと思う人ももしかしているかもしれない)
その他、演出でソプラノの大倉由紀枝さんが舞台ではなくて舞台横の高い所で歌ったりして、まるで聖母マリアのような効果を与えていた。
で、まー、独唱者のことなんですが。
テノールの望月哲也さんが大変素晴らしかったです。もう、今日の大収穫といっていいです。なんたってまー、なかなか「イギリス音楽のテノール」って声は日本では珍しいのです。どうしてもイタオペ寄りの声が多い。(悪いことではないのですが)
彼の声は、そうねえイアン・ボストリッチ?いやいやハイペリオンから出ているガーニーの歌曲集を歌ってたPaul Agnewってテノールを思い出しました。私、あまり英語の自信はないのですが、発音もすごく綺麗な感じ。違和感なし。(もし、「えー、ぜんぜんダメだった」って思う方がいたら、私の耳が悪いんでしょう。)
きっとイギリスで学んだに違いないわ!などと思って経歴を調べたら・・・あらあ、何の関係もないわ。
しかし、5月にオペラシティのリサイタルではブリテンの「ホルンと弦楽のためのセレナード」(弦楽はピアノで)を歌うそうだ。(売り切れ?)
ということで、おそらくブリテンの曲を歌うのでかなり英国もののお勉強をされたのでは?と思う素晴らしい歌唱でした。
演奏のほうは。このような凝りに凝った演出はとくに邪魔ではなく、むしろスタッフの方々や演奏者のみなさんの熱意みたいなものをひしひしと感じられ、なるべく大感動したり泣いたりしないように気をつけてはいたものの(だって周りの人はとても泣きそうな感じじゃなかったんだもん)、やはり曲が曲だけにたまに少し涙がちょちょぎれてしまいました。うう。(それにしてもこんな難しい曲、一般の人よく応募したなあ。音程はとりにくいし、歌うの辛そう。)
ただ、映像作家の方の考えだと思うのですが、字幕スーパーはオーウェンの英語の詩のみで、主に合唱団が歌うラテン語の部分は全く字幕なしだったのが・・・なんだろう。やっぱり対訳ほしいな。配られたパンフレット(片山さんその他の解説が素晴らしい!これも収穫!)には対訳は載ってたけど、手元は暗くて見えないし。どうかと。
・・・。
演奏会が終わり、また中華街へ。たまたま、今日は中華街は媽祖祭というお祭りでした。華僑の人々が太鼓をじゃんじゃかじゃんじゃか鳴らしていました。観光客も集まってなんともにぎやか。
こんな近隣諸国と仲のよい、平和なアジアが続いてくれるといいねえ、と思う横浜の一日でした。
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長くてすいません。読んでくれた方ありがとう。
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コメント
こんにちは、う~、こちらでしたか。てっきりディーリアスにいらっしゃっているかと(笑)
いやぁ、拝見してますます悔しい思いがしてます。東京ってコンサート多すぎなんですよ。
戦争レクイエムは自演とガーディナーを中心に録音音源をたくさん集めました。いつも最後には私も涙ちょちょぎれの結末で、大好きな英国もののひとつです。
望月氏はよさそうですね。
追)大友氏、来年1月に「海の交響曲」やりますよ。
投稿: yokochan | 2007年3月18日 (日曜日) 12時29分
>>yokochanさん
うーん、逆にディーリアスのほうはすっかり頭から抜けていましたね。
この曲の感想でこんなこと言うのもなんなのですが、なかなか面白かったです。実演と映像を合わせるなんて誰の提案かしら。戦争の写真とか戦没者の写真とかが沢山出てきて、グッときましたね。戦争詩人のことをもっと知りたくなりました。
望月さんのことは誰もなんとも言ってないんですが、本当に良かったんですよ。リリックな綺麗な声でした。演奏中、彼のソロが早くこないかなあ?って思ってたくらい。ゲロ夢のソロやってもらいたい。
「海」は楽しみですね。実演で聴いたことはないんですよ。
投稿: naoping | 2007年3月18日 (日曜日) 19時42分
こんばんは。
この曲はガーディナーのCDを2週間ほど前に安く買って、聴いています。
レコード時代からブリテンの自演盤はかなり評価が高いですね。2枚組みは高いのでなかなか手が出ないでいました。
ガーディナーのは輸入盤なので歌詞対訳がないので、なんとなく聴いています。
ちょっと歌詞を真面目に読んでみます。。
戦争レクイエムは何年か前に名古屋市民コーラスが演奏しており、暗譜で歌ったそうです。(1年間取り組んだにしろ、大したものだと思います)
投稿: ピースうさぎ | 2007年3月19日 (月曜日) 19時11分
>>ピースうさぎさん
コメントありがとうございます。
実は私は「戦争レクイエム」のCDはケーゲル盤しかもってないのです。国内盤で対訳つきでしたが、ちょっとなあという感じでした。それ以来実演を池袋ゲイゲキで1回とこの日だけですね、聴いたのは。実演のほうが圧倒的に感動します(当たり前ですが)。これを機会にブリテン盤も買わなきゃ、この曲を語る資格はないかなあと反省。
この曲は歌詞を読みながら聴いたほうがブリテンさんの意図もよく伝わるんじゃないかな~と思います。戦死した若者の詩は、心に強く迫るものがあります。
暗譜でこの曲を歌った方々は凄いですね。尊敬します。
投稿: naoping | 2007年3月19日 (月曜日) 20時37分