「ダフネ」日本初演
R・シュトラウス:歌劇「ダフネ」(日本初演)
池田直樹(ダフネ父)、板波利加(ダフネ母親)、釜洞祐子(ダフネ)、樋口達哉(ロイキッポス)、福井敬(アポロ)、勝部太(第一の羊飼い)その他
若杉弘指揮/東京フィルハーモニー交響楽団
白河直子(メインダンサー)
<東京文化会館大ホール>
過去記事「ダフネ」
そうなのよ。
今日行ってきたの、ダフネ。
本当は最終日に行くはずだった(券は取ってなかった)のに、その月曜には急遽前の前の会社の友人たちによる「おんなだらけの白昼堂々飲み会」が計画されており、初日に早まったということなの。
---- ま、それはいいとして。
この歌手の顔ぶれを見たら、多分なんにも心配することはない。3日間公演で、今日とあさっては同じ顔ぶれ。私は福井さんのアポロと釜洞さんのダフネがやっぱりいいんじゃないかと思って今日にいたしました。
http://www.nikikai-opera.or.jp/richard_s.html
釜洞さんは、R・シュトラウスのメロディラインにフィットしたうたいぶりでとっても気持ちがいい。ちょいとした節回しがイイよね。容姿は美人演歌歌手みたいながら絢爛たるコロラトゥーラ・ソプラノであり。日本のソプラノでは好きな歌手の一人。
福井さんは誰もが知ってる日本を代表するテノールだが、去年にたまたま当たった東京メトロ主催コンサートにて「ボエーム」のロドルフォを歌ってた。これも本当にグッときちゃった歌唱でしたが、R・シュトラウスのこんなドラマティックな役も素敵に歌われてしまうので、またファンになってしまいましたとさ。
ロイキッポス役の樋口さんは初めて見る歌手ですが、若くてとても魅力的な歌唱でした。遠目に見て(前から14番目でしたので)舞台姿は藤原竜也さん系かと。また機会があったら見たい歌手です。
それと。今回の公演でのポイントは半分くらい現代バレエかな?みたいな感じだったのですけれども(ヨーロッパではどういう風にしているのでしょうか)幕が上がって最初から無音のままで、ダンサーの方がばさばさとしばらく踊っていました。
H・アール・カオスというコンテンポラリー・ダンスの集団が今回出演されていました。演出も振り付けもその集団の主宰の方(女性)がされていました。トップダンサーの白河直子さんという方は大変スレンダーな方で(女性ながら中性的で、例えばほぼヌードになったとしてもイヤラシクはない)、しかも大変体がやーらかくてお酢飲んで生活してるのかと思うくらいです。踊りのほうはあまり詳しくないのですが鋭い踊り方でちょっと惚れてしまいました。他のダンサーの方もワイヤー釣りになったりしてアクロバティック、なんだかオペラ見に行ったというよりはサルティンバンコっつーか。がんばってた。
演出のほうはまあ、ぜんぜん前衛的でもなかったしまっとうな感じ。最初と最後のほうで「ぶらさがり健康器」にツタが絡まったかな?みたいな機材が大活躍してたけれど。あれは何の象徴だったのかしら~。なんか勝手に動いているし。それと衣装のことなんだけどギリシャ神話なのにやたらスパンコールがキラキラしてた豪華衣装もどうか?と。(ダンスのほうの衣装みたいにシンプルな感じに合わせたほうが私はよいと思うんだけど・・・まあ、これは好みだし)
注目してた最後の「月桂樹になっちゃいな」シーンは、なんだか別に「あっそう」って感じでした。ま、舞台だから特撮は使えないしねえ。(ベルクの「ルル」みたいに最後だけスクリーンが降りてきて特撮フィルムが流される、なんてのはどーよ。)
若杉さん&東フィルはやっぱりうまい。安心して何事もないように聞いているけれど、こんなふうにR・シュトラウスのオペラの音楽が東京で生で聴けるなんて、本当は幸せなことなんだよね。
最後に。
私の斜め後ろでイビキかいてた客、今晩呪われればいいわ!!
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「トリスタン」券ゲットして意気揚々。
どうか押して下さい。がむばるから。
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Danke schoen.
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コメント
やっぱし、いらっしゃいましたね。私は11列目でしたヨ。
私もほぼ同感。あんなド渋いオペラが満席にしてしまうのは、「シュトラウスが聴きたい・観たい」じゃない方々の力でしょうな。
NHKは、最後の部分はそのまま放送するんですかね。そりゃしますね(笑)
若杉氏のシュトラウス上演はパンフレットによると、12作品目。
あと「グンドラム」「火の欠乏」「平和の日」の3作が残るのみ。
期待しましょう。
投稿: yokochan | 2007年2月11日 (日曜日) 09時16分
>>yokochanさん
「私よりずいぶん前の席にいらっしゃるに違いない」と思ってたのですが、わりと近かったのですね。
若杉さんの「インテルメッツォ」初演は室内歌劇場のお得意様アンケートに答えて当たったので行きました(らっきー!)。歌手がウラだったので、あまり細かいことは覚えてないのが残念です。
えー。ダフネはNHKで放送するんですか。「芸術のため」ならばアレは構わないんでしょうね。一昔前のクプファー演出「タンホイザー」の放送はさすがにボカシ入ってましたが・・・。(←私は一番前の席だった・・・)
投稿: naoping | 2007年2月11日 (日曜日) 09時41分
はじめまして。
あの「ぶらさがり健康器」をわたしはなんとなくぶどう園のぶどう棚のイメージで見ておりました。ぶどうとかディオニュソスといった言葉からの連想かもしれません。4人のダンサーの動きを植物に見立てるのに必要な小道具だったのではないでしょうか。それが最後のダンスでダフネの変容が自然に客席に受け入れられる下準備として作用したのだと思います。
それにしてもオペラの歌なしのラストであれほどの緊張感をもって舞台にひきつけられるとは思ってもみませんでした。
投稿: 白夜 | 2007年2月11日 (日曜日) 09時43分
>>白夜さん
はじめまして!コメントありがとうございます。
そうですね、ぶどう棚・・・。最初に舞台に出てきたときははそうかなとも思ったのですが、一回ぶらさがり健康器に見えてしまうとずっとそうなってしまいました(←いつもblogのオチを探しているので、イケナイ癖ですねえ)。
オペラの最後を舞踊でシメるっていうのはなんだか不思議でした。初体験です。オペラもダンスも楽しめる、一粒で二度オイシイ(古い表現だ)公演でした。
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行ってないみなさん、今日か明日、是非お出かけ下さい(微笑)。
投稿: naoping | 2007年2月11日 (日曜日) 09時56分
naopingさま 初めまして
私のブログにご訪問、コメント、ありがとうございます。
『ダフネ』は良かったみたいですね
色々な方のブログで書かれていましたので、さぞや良かったんだと思います。
私はシュトラウス、大好きですので、聴きたかったです。
グッドールの『トリスタン』は、久しぶりに良いヴァーグナーを聴いている感じがします。
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 | 2007年2月11日 (日曜日) 14時18分
「ダフネ」、良かったようで何よりです。
私はポップの「ダフネ」がレコードで出て以来、ジャケットに惹かれて買いたいと思いつつ、ここまで来てしまいました。(ビンボーなので)
実演で聴けるというのは関東圏ならではでしょう。うらやましい。。。
若杉さんの指揮はもう7年くらい前でしょうか、モーツァルトのレクイエムの合唱で演奏しました。このNHKテレビ芸術劇場で新国の音楽監督に就任されたということで抱負を述べられていました。随分お歳を取られたように見えました。
福井さんは昨年、某銀行主催のコンサートに出演されていました。私は裏方表方のバイトで聴いていましたが、伸びのある声でコンサートの印象はほとんど福井さんになってしまったようでした。日本にこんなスゴイ人いるんですね。NHKのニューイヤーコンサートにも出ていましたっけ。
すいません、自分のブログでもないのに随分語ってしまった。。。
投稿: ピースうさぎ | 2007年2月11日 (日曜日) 17時25分
今日はコメントが多くてウレシイ。
>>rudolf2006さん
コメント返しありがとうございます!
R・シュトラウスのオペラもそうなんですが、歌舞伎がお好きなようなので(愛之助さんの後援会のお話は思わず固まりました。私もメールしてみようかなー)たまに読ませていただいています。
「ダフネ」良かったです。なんだか神に感謝してしまう感じ。日本のオペラ界も頑張ってますね。
>>ピースうさぎさん
いつもコメントありがとうございます。いやー、ガンガン書いてください。「ダフネ」のポップ盤てこのところあんまり見かけないんですが、廃盤なのかしらーと思いつつ公演は見てしまいました。
若杉さんもずいぶん年とりましたなあ、お若い頃はステキだったのに・・・今もステキでしたけど。昨日はなんかちっちゃくなっちゃった感じがしました。
福井さんは本当にステキなんですよ。イタものでもドイツものでもなんでもイケちゃうのが凄いですね。
投稿: naoping | 2007年2月11日 (日曜日) 19時10分
私も10日に行ってきました。
全体としての感想は「期待していたよりも良かった〜」です。
残念ながら、ソロの人のはトモカク、4人セットの踊りは私の趣味とはちょっと違いましたね。動き過ぎで気が散る、、「木」なんだからじっとしていろよ!と言いたくなりました。ソロでも、「木」の役は動くな!です。
歌手は、アポロが一番良いと思ったのですが、あの人が「福井」さんなんですね。噂には「読んで」いたのですが、初めて聞いて、なるほど、、、です。
釜洞さんは、初めて聞いたのがハンブルクの代役で、今回が2回目ですけれど、昔からの奇麗は声は未だ健在で、経験を積んだ分、オペラ全体への力配分などベテランらしいバランス感覚だと思いました。やはり、声量という点では、相変わらずちょっと物足りない感じがしましたけれど、まあしょうがないのでしょう。
ロイキッポス役の方は、大きな声は出るけれども、メリハリが利かないというか、ずっと大きなままで、、、釜洞さんの様になるとぐっと良くなると思いますが、可能性は大きそう。
若杉さんの指揮は、いつも、巧いなと思います。でも、僕の心をぐいっと掴んでくれた例がありません。今回も、所どころ大変美しい音楽を聞かせて貰ったのは、ありがたかったです。
R.Strauss は、何で Friedenstag と同時上演をしたかったのでしょうかね?
投稿: ボーや | 2007年2月12日 (月曜日) 00時21分
お初にお目にかかります。
僕も10日でした。
人から譲り受けたチケットで、「バラの騎士」のステージ体験もないまま、いきなり「ダフネ」。こりゃぁばちが当たると思いました。前から5列目の席はハッキリいってステージ全体が見通せない!やっぱり新国のいつも座っている辺りが私にはあってます・・・。
感想なんですが、頻繁にセットが変わり、舞踊も加わって落ち着いていられなかった、というのが本音です。皆さんと同様。踊りそのものは良かったんです。敢えてシュトラウスの音楽とシンクロナイズさせていないところは、異化作用なんでしょうね。最後の変身の場面でのソロは見事。ダフネが月桂樹に変容していく様子を表現していたと関心。それ以外の場面でも、舞踊が素敵。歌唱のほうには注意も行かないほど(大袈裟かな?)でした。
釜洞さんのタイトルロール、最初は不安定といおうかセーブしていたように感じました。ツェルビネッタほど超絶技巧ではないのですし、サロメほどのエネルギーは要しないと思われますから、もうちょっと飛ばしたほうがよかったんじゃないかなぁ。福井さん、最近いろいろなところで聴く機会があり、強靭な声には痺れっぱなし。今回のアポロも押し出しが強く、いけてました。ロイキッポスの樋口さん、軽妙な声。テノール二人というと、「ジークフリート」のジークフリートとミーメのような声の対照が感じられ、満足させていたたきました。
マエストロ若杉の指揮する東フィル、新国ではたまにルーティンなオケ伴だと感じることがあるのですが、やるときはやるもんだ。ギリシア神話を題材にしたオペラのオーケストレーションが透明で明るいものであるところをしっかり掴んでいたと思います。
投稿: IANIS | 2007年2月12日 (月曜日) 13時42分
>>ボーやさん
いつもコメントありがとうございます。来る「R・シュトラウス祭り」の前夜祭?は楽しめましたか?
「気が散る踊り」っていうのは私もまあ、感じたのですが(これは去年見たメータの「トゥーランドット」のときも思ったのだけれど)、ホント、オペラの舞台は本当はもっとシンプルであって欲しい(パトリス・シェローの「ヴォツェック」なんてシンプルそのものです)と思いますが・・・。
しかし、見に行く人は色々ですから、どーしても視覚的に退屈させてはいけないと思うのかなあ~。私は出だしの木の踊りはなんかディズニーのファンタジアの映画を思い出しました。
>R.Strauss は、何で Friedenstag と同時上演をしたかったのでしょうかね?
時間的な問題じゃないかなあ?としか思ってなかったです。何ででしょうね。
>>IANISさん
ようこそおいでいただきました。HPほうもちら~とですが、拝見させていただきましたが、あとでゆっくり。
やはり10日に行かれたのですか、しかも前から5番目って確かに舞台から近いですね。踊りもド迫力だったのではないでしょうか?(それとも余計気が散った?かも)
福井さんは私は聴く機会が比較的多いのですが、ホントしびれちゃう感じですよね。個人的希望としては「ワルキューレ」1幕のジークムントとか演奏会形式でもいいからやってもらいたいです。(ム、ムリ?)
投稿: naoping | 2007年2月12日 (月曜日) 19時48分
naoping さん、こんばんは。
前夜祭は順調な滑り出しです。
昨日、今日とTVドラマの「李香蘭」観てました。
で、ドラマの中で歌われる「夜来香」や「何日君再来」はとても懐かしかったのです。
私は、直接この歌が流行っている頃には生まれていませんでしたが、親父が買った「懐かしのメロディー」的LPセットに入っていて、結構気に入っていた曲でした。
ここまではダフネとは関係ないのですが、ふと思ったのは、ダフネはシュトラウスの「懐メロ」というかヒット全集なんじゃないか?という事です。
最後のダフネの長いアリアの中には、サロメあり~の、アリアドネあり~の、バラ(あったけ?)、はてはトリスタン迄思いを馳せてしまう部分がありました。
これって、「懐メロ」あるいは「ベストヒット」なのかな?と思ってしまいます。
という事で、私が踊りに違和感を覚えるのは、ナツメロと合わないという事なのかもしれません。
セピア色の写真を懐かしむ様に、ぼんやりとした中に展開する懐かしのメロディー、、、、
「夜来香」と「暗黒舞踏」が合わない、、、、事もないかも、、、
そう言えば、寺山の「中国の不思議な役人」はイケてたかも、山口小夜子、怖かった、、、
ボケ始めのおっさんの世迷言でした。お聞き流し下さい。
あ、2本立ての話ですが、シュトラウスは、既にサロメやエレクトラで短いオペラの大成功経験があるので、時間だけでは2本立ての理由としては弱いかな~~と、、、
投稿: ボーや | 2007年2月13日 (火曜日) 02時29分
>>ボーやさん
再度コメントありがとうございます。
実は「李香蘭」は見ませんでした(笑)。でも実は「夜来香」はカラオケの得意中の得意曲です。ま、友人でこの歌を知る者はおりませんが。
シュトラウスって確かに自分の過去のメロディの引用が多かったり、ちょっと「○○」に似てるかも?みたいな感じはよくあります。こないだblogに書きました「火の欠乏」なんかもそうでした。
現代的な演出とか他の演劇とのコラボレーションって、合うオペラと合わないオペラがあるような。「青ひげ公の城」なんかは現代舞踊(確か山海塾っぽかった)とのコラボを見た記憶があります。
投稿: naoping | 2007年2月13日 (火曜日) 20時04分