ウィーンのワグネリアン作曲家ユリウス・ビトナーのオペラ「山の湖」について調べてみた。
ユリウス・ビトナー:歌劇「山の湖」
エバーハルト・ヴェヒター(山の湖の漁師)
ヒルデ・コネツニ(彼の妻、グンドゥラ)
ギュンター・トレプトウ(イェルク・シュタインレヒナー)
アロイス・ペルネルシュトルファー、ユリウス・パツァーク(山の湖の農民たち)、その他
フェリックス・プロハスカ指揮/ウィーン放送管弦楽団、トーンキュンストラー合唱団
昨日は渋谷文化村での「スーパーエッシャー展」に友人たちと行くはずだったのだが、「券を持ってても45分待ち、持ってなかったら1時間待ち」ということで、挫折。いやー、テレビで宣伝しすぎだよ。しかも「スーパー」て。新しいマーケットか。いつエッシャーはパワーアップしたのさ。
それでまあ、その前に渋谷のタワレコにも一人で行ったのですが「オペラ・クリアランス・セール」なるものをやっておりました。私がご紹介したコーンヤの「蝶々夫人」も沢山売ってましたよ、305円で。
そんな中で、かたっぱしから探してみてほとんどカス(?ごめんなさい)の中よりJulius Bittnerの"Der Bergsee"というオペラの全曲盤を890円で発見。微妙な値段である。
なんか・・・聞いた事あるなあ、このユリウス・ビトナーて名前。
・・・と首をかしげかしげ、でもこの豪華メンバーだったらきっとイケテルのでは、と思い、レジへ。(たまには冒険)
ウチへ帰ってはた!と気がついた。ユリウス・ビトナーって昨日ご紹介した「アレグロ・コン・グスト」の中の料理の一つ(カリフラワー料理)に紹介されてたんだ。
なんだか偶然でうれしい。
ユリウス・ビトナー(1874~1939)ウィーンに生まれウィーンに没した作曲家・法律家。裁判官であったり詩人でもあった。
最初法律を修め、1920年まではその活動を法律と作曲に分けた。音楽はJ・ラボールとブルーノ・ワルターに師事。比較的数多くのオペラを作曲している。1915年にはマーラー賞を獲得し、1937年にはオーストリア国家賞を受賞した。(参考:大田黒元雄著「歌劇大辞典」)
・・・・などというように、日曜作曲家だったわりにワルターに習ってたり、マーラー賞を獲ってたり、かなり本格的である。ウィーン国立歌劇場でオペラを初演されていたりとか、もしかしてかなり当時はもてはやされていたのかもしれない。
さてこの曲であるが。あまり情報もないまま聴いてみると、前奏曲が始まって15秒で爆笑。もう、タイヘンである。「ワーグナー(またはR・シュトラウス)の埋もれていた楽譜が発見されました!!」とか言っちゃうくらい、影響みえみえなのである。あまりに凄くてかえって微笑ましい。
オペラの内容は、1525年にザルツブルグで実際に起こった農民たちと大地主の争いをベースにした、とあるがあまりよくわからない。
かのコルンコルドのとっつぁん、ウィーンの著名な評論家ユリウス・コルンゴルトがこのオペラを「農民達の黄昏」 ("Bauerndammerung"-"Twilight of peasants")と称していたと解説書に書いてある。
うまい! 見習わなくちゃ。
しかし、本家ワーグナーの音楽的才能とは程遠い。聴いていくとところどころ素晴らしい部分、カッコイイわくわくする部分もあるのだが、全体的にしまりがない。ダラダラと好きな音楽を並べているだけのように感じる。大体、漁師や農民が出てくるオペラなのに音楽はやたら英雄的。
音楽の師匠ワルターが、彼のオペラについて自伝にこう書いている。(「アレグロ・コン・グスト」より抜粋)
「その劇的、音楽的才能が繰り返し現れている。しかし、一つ一つは効果的であるものの、全体としての完成には到達できていない。」
私もまさにそのとおりだと思った。
この録音は1953年ながらモノラルでもかなり聴きやすく、雑音や拍手が入ってないところをみると、放送用録音と思われる(liveとの表示ではあるが)。
歌手は有名な人が多いのでなかなか聴き応えがある。フルトヴェングラーの「スカラ座リング」でジークムントとジークリンデ、そしてアルベリヒを歌っていたコネツニ、トレプトウ、ペルネルシュトルファーが出演してたり、名歌手ヴェヒターや、ワルターの「大地の歌」のテノール、パツァークの調子っぱずれな歌が聴けたりとかディープな?ファンにはたまらない。
「怖いもの見たさ(聴きたさ)」でご興味のある方はタワレコで探してみてください。まだあるかもしれないので・・・まあ、あまり薦めませんが。
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