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2007年1月17日 (水曜日)

エルガーとディーリアス、二人はなかよし。

P1000705 Elgar's Interpreters on Record, Volume 1 Vocal & Dramatic Music
インドの王冠、ゲロンティアスの夢、オラフ王のサガ、使徒たち、カラクタス、スターライト・エクスプレス、
他からの抜粋

ここのblogで、英国音楽が好きなわりに、エルガーの登場が非常にすくねーと思っている方も読者の中にはいらっしゃるかもしれない。

もしかして、エルガーがキライなんじゃないの?

いや、そんなこと決してありません。ウチには少なからずエルガーのCDやレコードがあります。好きな作曲家の一人ですよ。

なぜ、あんまりblogに書かないかというと。実は。

私の知り合いに、日本におけるエルガリアンの西の横綱と東の横綱(と、私は思っています)がいますのです。
ので、少々書き辛い。私はエルガー協会にも入ってないし、全然詳しくないしな。読まれるの、はずかしいので、あまり書きたくない。

なのに、なんで今日はエルガーなの?というと、今少しずつ読んでいる「イギリス音楽の復興」(マイケル・トレンド著・木邨和彦訳、旺史社)の本のエルガーとディーリアスの項を今日読んでいて「あ、すてきだなあ」と思った文章があったので、是非ご紹介したくて。



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エルガーとディーリアスは同時代の音楽家です(5歳違いでディーリアスが若い。没年は一緒)。
二人の音楽はご存知の通り、全然性格が違う。同じ「英国音楽」というジャンルではくくり辛いほど、違う。というわけで、そもそもこの2人は音楽的にも相容れなかったし、晩年になるまで交流はなかったようだ。

しかし、この本によると。

1933年、エルガーは自作のヴァイオリン協奏曲を指揮するために、15歳のユーディ・メニューインとともにパリを訪れる前に、ディーリアスの住むグレ・シュール・ロアンの家を訪ねた。ディーリアスはすでに失明しており、全身麻痺という状態であった。

エルガーはイギリスからフランスへの渡航に、初めて飛行機を利用したのである。(そのときの「さあ乗るぜ」とばかりの写真も本に載っている)

ディーリアスはエルガーが心配するより体調は悪くなく、文学や音楽について楽しく語り合ったそうである。
そのとき、エルガーが初めて乗った飛行機についても話した。「飛行とはどのようなものですか」とディーリアスは聞いた。エルガーは答える。

そうですね、詩的に言えば、君と私の人生に似ていなくもないでしょう。大地から飛翔するのはちょっと難しいものです。どうやって耐えようかなどとはっきり言えません。でも高所に達してしまうと、まったく俗世から離れた世界になります。金と銀の雲を縫って飛行すると、意気揚々としてきて、気持ちが晴れ晴れします。それは、ディーリアス、まるで君の音楽のようです・・・ときには少々雲をつかむような、でも、いつも美しい。私はそこにずっといたかったのに。下降は古き良き時代のようです・・・平和で、のどかで。(本より抜粋)

昔の飛行機。「初めての飛行機はどうだった」と聞かれて「いやー、もう死んじゃうかと思った、上へ下へやたら揺れるしさー。もー生きた心地がしなかったわよーアンタ」などと膝をバシバシ叩きながら言ってしまいそうなものだが、さすが紳士の国・英国の作曲家エルガー、言い方がエレガントである。

二人はこの会談が終わったあと、文通を始めた。しかし、その翌年エルガーは亡くなった。ディーリアスの妻イエルカは、夫はエルガーの死から立ち直れなかったと後に語ったという。ディーリアスもそれから暫くして亡くなった。

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紹介のCDは、ダットン・レーベルでエルガー協会からの音源である。とにかく録音が古い。最初の「インドの王冠」というブラスの曲はおもちゃの兵隊さんが出てきそうだし(1912年録音)、「ゲロ夢」からの抜粋も驚くなかれクララ・バットが(!)サー・ヘンリー・ウッドの指揮で歌っている(1916年)。「使徒たち」はハミルトン・ハーティが指揮しているし(1927年)。ここらへんの録音は、エルガーが生きている時代はこんな演奏だったのね、としみじみ思いをはせることができる。

でも、このCDの中で一番貴重な録音は、なんといってもかのカスリーン・フェリアが「ゲロンティアス」から天使の独唱の一部分をジェラルド・ムーアのピアノ伴奏で歌っている部分である。

たった3分ほどのテスト録音ではあるが、ややいつもの彼女よりはそっけない歌唱でありながらも、本当に天使ってこんななのかも?と思うほど神々しい。(1944年録音)



どれも古い録音ながらダットンだけあって復刻技術は素晴らしい。


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是非宜しくおねがいします。
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コメント

感動した!涙が出てしまった。
ディーリアスの音楽を語ったエルガーの言葉に。
なんて素晴らしいんでしょう。
なんだか良さそうな本。すげぇ気になります。
冗談抜きに、人様のブログを拝見してて、こんなに感銘を受けたこたぁ、ありません。早くも、私のグログアカデミー賞候補ですよ。

そしてこのCDのノスタルジックな様子、これ知りませんです。
フェリアー、いいですね。「ゲロ夢」をこのところ聴いてますが、フェリアーの歌があるんですね。
すんません、ちょいと熱くなってしまいました。

投稿: yokochan | 2007年1月20日 (土曜日) 22時26分

>>yokochanさん
昼休みに弁当をパクつきながら、このエルガーの言葉を読んで「じぃぃぃぃん」としてしまって、つい載せました。ま、この青い字の文章は私の文じゃないんでアカデミー賞はないかもしれませんが(汗)。
この本は、資料的価値っていうよりこんな感じのエピソード満載なんですよ。あんまり知らない作曲家も載っててかなりヤバイです。またCD増えてしまいそうで。

フェリアの「ゲロ夢」は是非是非聴いていただきたいです。テスト録音ってことはおそらく全曲録音する予定ではなかったのかしら・・・。残念。

投稿: naoping | 2007年1月20日 (土曜日) 23時12分

こんにちわ。

これは以前教えて頂いた録音ですね!
ダットンがかたまって置いてあると、わくわくして探すのですが、今だ見付けることができません。

聴きたいですねー。この録音。

エルガーとディーリアスが晩年仲良しだったとは知りませんでした。てっきり忌み嫌うような間柄かと思ってました・・・

投稿: ちょ | 2007年1月28日 (日曜日) 17時58分

>>ちょさん
そうそう。まだ見つかってないんですね・・・。フェリアー・ファンの方は是非聴いて頂きたいですね。

エルガーとディーリアスは、本当に最晩年にやっとご対面したって感じですね。それまでは全然だったみたいですが。
もうちょっと早く仲良くなってたら、もしかしたらお互いに少し作風が違ってたかもしれないなあ・・・と勝手な想像をしてしまいます。

投稿: naoping | 2007年1月28日 (日曜日) 18時51分

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