コルンゴルト・ポリュクラテスの指輪
エンドリック・ヴォットリッヒ(ヴィルヘルム)、ユルゲン・ザッヒャー(フロリアン)、その他
クラウスペーター・ザイベル指揮/ドイツ・ベルリン交響楽団
寒くなると、ウィーンを思い出す。
ウィーンは(たまたま私か行く友達の仕事の都合で)冬のほんとに寒い時期しか行ったことがない。東京の冬の寒さも、ウィーンの年末年始の刺すような寒さにはかなわない。
昼間でも「あと5分、外にいたら死ぬ」と本気で考えて、必死にカフェを探して飛び込む。そこでは暖かいコーヒーと美味しいケーキが待ち構えている。ウィーンのカフェ文化はこういったわけで花開いたのである(ウソ)。
ウィーンの大晦日は恐ろしい。普段はとても旅行者には暖かく気のいいウィーン人だが、大晦日の夜にケルントナー通りに繰り出すと、人が変ったように市民は火のついた爆竹を他人にぶん投げて楽しむ。
シュテファン大聖堂前で酒(屋台でホットワインが売られている)に酔った若者たちに爆竹で追いかけられて、どんなにコワイ思いをしたことか。恐怖とクソ寒さに震え泣きながら(?)大急ぎでホテルに戻ると窓の外では普通に打ち上げ花火(!)など町内会で楽しんでいる。木造住宅の多い日本だったら即刻全員逮捕であろう。
さて。
ウィーンの天才肥満児、コルンゴルトの初めて書いたオペラがこれである。15歳から16歳のときの作品というから驚きである。
一幕構成で1時間ちょいの小さな喜歌劇。18世紀のオーストリアを舞台に、宮廷楽長ウィルヘルムとその妻ラウラ、フローリアンとその恋人リーシェンという2組のカッポーに起こる騒動を描いている。
以前ご紹介した古きよきウィーン情緒たっぷりなコルンゴルトのオペラ・アリア集には、ヤノヴィッツが歌ったこのオペラからのアリアが収められています。(ラウラの日記の歌)
ヤノヴィッツの歌を聴いてしまうと(うっとり)「ああ、ヤノヴィッツが全曲歌ったらどんなに素敵だろう!」などとないものねだりをしてしまう。でも、この全曲盤も決して悪くはない。喜歌劇なので対訳があったらどんなにいいかと思うんだけど。日本で演奏会形式でいいからやってくれないかな?
初演は、これまた以前紹介いたしましたこの次に作られた傑作オペラ「ヴィオランタ」と一緒にブルーノ・ワルターの指揮によってミュンヘンで行われました。いずれにせよ、10代の子供が作ったとは思えないオペラが大指揮者や名歌手たちによって初演されたなんて、当時のヨーロッパの大人の人々の驚きはいかばかりだったか。想像すると面白いです。
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コメント
こんばんは。この若書きオペラ、気にはなってたんですが、CPO盤って高いので手が伸びませんでした。
というより、「死の街」しか知らんとです。ヴィオランタやヘリアーネも気になりつつ、外盤ばかりですんで。
naopingさんの記事を参考にトライせねばと思ってます。
それにしてもウィーンの冬は恐ろしきところなり。
投稿: yokochan | 2006年12月24日 (日曜日) 00時15分
>>yokochanさん
CPO盤は高いですよね。実は「カトリン」ってオペラもCPO盤で出てるので(宿命的に)買わなきゃなあと思うんですが、「ポリュクラテス」と同様に配役がイマイチ?なのに高いって。なかなかラインスドルフ盤「死の都(街)」やヤノフスキ盤「ヴィオランタ」のようなメジャー歌手配役盤は今作るのは難しいようで。
ウィーンの記事は、一緒に行った友達も読んでくれてて「懐かしいね~」と言ってくれました。コワイけどまた行きたいです。
投稿: naoping | 2006年12月24日 (日曜日) 08時39分