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2006年10月 5日 (木曜日)

ベルク「ルル」その3

Lulu2 初めて生で見る「ルル」は、おそらく海外のオペラハウスの引越し公演とか、ロンドンもしくはウィーンとかの海外旅行でたまたま日にちが合ってとか、そんな感じに思っていた。

日本人プロジェクトによる「ルル」が初めてになるとは思ってもみなかった。

それが、予想を上回る名演だったというのは大きな喜び!!

公演パンフレットより、ニッセイの理事長・名原剛さんのご挨拶によりますと。

1970年にベルリン・ドイツ・オペラ3度目の来日公演によって、オペラ「ルル」の2幕版が日生劇場で初演されましたが、フリードリヒ・ツェルハ補筆による3幕版については、これまで日本で上演の機会をみることがありませんでした。今回、日本のオペラ界をリードされてきました(財)二期会オペラ振興会、東京フィルハーモニー交響楽団の力強いご協力を得て初演実現の運びとなりました。・・・

というわけで、この公演は3幕版日本初演ということです。

2003年11月(日生劇場)
<主な配役(私が見たほう)>
天羽明惠(ルル)、小山由美(ゲシュビッツ伯爵令嬢)、福井敬(アルヴァ)、吉田浩之(画家)、大島幾雄(シェーン博士)、その他
沼尻竜典指揮/東京フィルハーモニー交響楽団

私はこのような素晴らしいメンバーのほうを取ったのですが、ダブル・キャストのもう片方のルル役の飯田美千代さんも大変素晴らしかったそうです。(画学生時代の担任の先生よりの報告)



両方見ればよかったかなああ・・・。

天羽さんは、日本人歌手の中では私のお気に入りのソプラノの一人。本当に素晴らしい歌手さんです。エロティックの権化?のようなルルを日本人が演じるなんて・・・と最初違和感があったのですが、彼女の熱演を見たらもう全然。心配なし。

日本人女性歌手って(平均的に)小柄でかわいい。外人の女性歌手は大柄で肉感的な感じの人が多いから、ルルをやっても妙に肉感的にイヤラシクなりがち。でも、天羽さんは清純でとってもチャーミングに見えた。ルルは私のイメージではあどけない少女なので(ちょーっと人と違うかもしんないけど歌手のaikoちゃんみたいな感じ) 、イメージに近かった。

他の歌手のみなさんも、イメージ通り。福井さんや吉田さんのキャスティングも、2人のファンである私にはすごく嬉しかった。2人とも声が若々しくてとってもステキ。

それになによりも、大島幾雄さんのダンディなシェーン博士もイメージぴったり。

衣装と装置以外はオール・日本人スタッフによるこの公演。演奏の大変難しいというこの曲をよくぞ緊張感も途切れずに上演しきったものだと思った。ことに今でも思い浮かぶのは、ルルがシェーン博士を撃ち殺したあとから映画音楽に移行するまでの、音楽の緊張感。もうほんと、あそこは見事。

映画も、前衛的な感じで(ベルクの指定通りではなかったけれど)すごくよかった。上演では写真とかでごまかし勝ちなのに、映画をちゃんと作ってくれたこともよかった。もうアッパレよ。

3幕まで上演すると、かなり長くなりがち、しかも音楽は難解であるのにもかかわらず・・・2幕あとのトイレ待ちのときに並んでいる若い女性たちが「次はどうなるの? ね、どうなるの?」みたいなワクワクな会話をしていたのが心に残る。もうこれは古典オペラを超えている。リアル日常な演劇である。この曲の人気の秘密はこのヘンにあるかと思う。

公演批評の朝日新聞(2003年11月27日)より。なかなかよい批評である。
Lulu1

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なお、この公演から何ヶ月後だか、新国立劇場で別の日本人プロダクションによる「ルル」の公演があった。私は、この日生での公演の印象が飛んでしまいそうな気がして、券は取らなかった。ネット上で読んだだけだが、公演までに第3幕まで練習が間に合わなかったという。難しいんだろうなあ、やっぱり。

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3回にも渡る長いラブレターを読んで頂いてありがとうございます。
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コメント

こんばんは。第3弾は和製ルルですね。
日生のルルは、すごく迷ったんです。結局当時仕事が大変で、諦めた記憶があります。今拝見すると、惜しい機会を逃したもんです。
ルルは妖艶に演じられるよりは、aiko風の手のひらサイズのほうが、「男心」をくすぐるかもしれません。(ふっふっふ)
新国の方は、主役の名前を見たときから、その気はまったく起きませんでした。ホントいい上演をご覧になられてうらやましい。
白石さんの新聞批評も素晴らしいですよ。

投稿: yokochan | 2006年10月 5日 (木曜日) 23時13分

>>yokochanさん
ご覧になってないのは残念。
ベルクはルル役について「ルルは綺麗で、いや本当に大変な美人でなければなりません」とエーリヒ・クライバーに書いています。なんてこんな声楽的にも難しい曲に無茶なこと言うんだ!って思います。でも、綺麗でないと興ざめなのは事実です。男を狂わせる役だから、綺麗でなくともせめて可愛くあってほしいもんですね。

最近aikoのCD買おうかどうか迷ってます・・・J-popのCDのお値段の高さには恐れ入りました(余談)。

投稿: naoping | 2006年10月 6日 (金曜日) 00時07分

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