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2006年10月16日 (月曜日)

R・シュトラウス「平和の日」

Friedenstag R・シュトラウス:歌劇「平和の日」
アレッサンドラ・マーク(Sop) ジョージ・シャーリー(T)その他
Robert Bass指揮・The Collegiate Chorale & Orchestra
The New York City Gay Men's Chorus 他
(1989年11月、カーネギー・ホールでのライブ・世界初録音)







たまーに実家に帰って色々自分のもともと住んでいた部屋を漁っていると、「あー、こんなCD買ってたなあ」っていうのが多々。もっとひどいのになると、いっこうに買った記憶にないCDとかもある。

今日ご紹介するCDは「そーいえば、あったなあ」の部類。オペラというよりはオラトリオ的な性格の強いこの曲。のちにザヴァリッシュやシノポリが録音をしているはずである。

このCDは現在市場に出ているのか不明だし、多分この曲を聴くなら(私は未聴だが)シノポリかザヴァリッシュをオススメする。絶対そのほうがいいに決まっている。(どうもどれも廃盤な感じだが)

で、何でこのCD買ったのかっていうと、当時この曲はこれしか録音がなかったからである。確か。

このCDの指揮者Robert Bassって人は全然知らない。オケもコーラスも全然未知。しかもニューヨークのゲイ男の合唱団ってのも気になる。ま、ニューヨークには沢山ゲイの男の方がいて、野球チーム、もしくはバレーボールチームどころか、合唱団作れるくらいいらっしゃるってことは予想はつく。十分につく。ゲイの方だけで「千人の交響曲」演奏できちゃうかもしれない。

ま。

このCDの素晴らしいところは、先日フィレンツェ歌劇場の引越し公演で「車椅子トゥーランドット」を演じてくれたアレッサンドラ・マークがマリア役を歌っていることである。っつーか他に見当たらない。彼女はオペラ・デビューがこの曲だったらしい(1986年)。

写真で見ると、もうこのころからかなり体型は、いっちゃってる。ああ、もうすこしスタイルが良かったら(あの体型あってのあの声なの?)、きっとイゾルデとかもよかろうに。私は実は彼女の声が好きなのである。ここでも人並み外れた美声を聴かせる。彼女特有の声をずりあげる歌い方に好き嫌いはあるかもしれぬが。


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ええっと、この曲はどんな曲?というご質問にはどうもお答えできない。だって解説が英語だし。

<HMVの解説より>
第二次大戦直前に書かれたシュトラウスの意欲作で本来は反戦的な内容にも関わらず、初演にはヒトラーも臨席し、結局、ナチのプロパガンダ的な目的にも使われてしまった作品ですが、実際の内容は、シュトラウス久々の大編成作品ということもあってか、かなり聴きごたえのあるもので、特に“フィデリオ”を思わせる後半部分は魅力的です。

<UNIVERSAL CLASSICSの解説より>
このオペラは30年戦争の講和である1648年のウェストフィリア条約の締結の時のことを扱った一幕のオペラです。

・・・ってことらしい。でも、ほんと後半はフィデリオっぽい。内容がよくわからなくても結構クルものがある。何かの記念日みたいなときに演奏するのにふさわしい。実演で聴いたら迫力で感動するかもしれない。最後の合唱はなんとなく「影のない女」っぽいとこも。

最後の拍手はなんとなくメリケン人だなあ・・・と思える。曲終わるまで待てぬのか!


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<追加>
(平成19年1月23日)

blogの資料的価値を考えて、(っていうか、最近「歌劇大辞典」を実家から持ってきたのでかなりのオペラの筋書きがわかるようになった)このオペラの筋書きを一応付け加えておきます。

舞台は30年戦争中に包囲された町の城塞内の大きな円形の部屋。時は1648年10月24日。兵士たちは歌を歌っているが遠くからパンを求める飢えた人々の叫びが聞こえる。

町長と僧正に率いられた長老らが入ってきて、司令官に降伏するように切願するが、司令官は皇帝からの命令を守って城塞を守り続けている。しかし司令官は町長たちや民衆たちの要求を聞き入れ、正午まで待つことを要求。長老たちは満足して立ち去る。

だが、司令官は降伏するかわりに、火薬庫に火を放って兵士たちとともに名誉の死を遂げようと覚悟する。妻のマリアが、司令官の様子がいつもと違うのに気づき、その理由を尋ねる。これにたいして司令官は「城塞内にいる者は全て死ぬ運命にあるので、ここから逃げなさい」と言う。しかしマリアは司令官への愛のためにこれを拒否。

司令官は兵士の一人に火縄を持って火薬庫に向かわせるが、そのとき外で大砲の音が聞こえる。これは敵軍の攻撃の合図。しかし敵軍の姿は見えない。そのかわりに町の鐘の音が次々と鳴り始める。まもなく町長が平和を告げに入ってくる。

司令官は降伏を拒むが、行進曲とともにホルシュタイン部隊が入ってくる。隊長は勇敢な司令官と握手をしようとするが、司令官はこれを拒んで剣を抜き、隊長もこれに応え剣を抜くので、これを見たマリアは二人の間に身を投じて降伏するように夫に懇願する。それを見た司令官は剣を捨て隊長を抱擁する。全ての独唱者は平和の賛歌を歌い、幕。

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コメント

のだめってテレビでやってるんですか?知りませなんだ。

「平和の日」はたしかにオラトリオですな。
1枚のコンパクト曲ながら、上演にはコストが合わんのでしょう。
コッホ盤は初見です。これは世界発録音でしょうね。車椅子マークが歌ってるんですね。指揮者は無名ながら、貴重な1枚ですよ。

私は、シノーポリとFM音源のサヴァリッシュです。
ちょっと「にぎにぎしい」曲かもしれませんね。

投稿: yokochan | 2006年10月20日 (金曜日) 01時29分

>>yokochanさん
のだめに関して、上手(うわて)の方登場。なんだかほっとしました。

「平和の日」はサヴァリッシュ盤もシノポリ盤も聴いたことがないし、タワーレコードでも売っている様子がなかったので、シュトラウスのオペラの中でも幻の名曲って感じですねえ。なかなかいい曲だと思うんですけど・・・。

投稿: naoping | 2006年10月20日 (金曜日) 21時11分

今度、これ見に行くので、あらすじなどの情報を探していて、この blog に来ました。

私は、Sawallisch 指揮のCDと、Clemens Krauss 指揮のCDを持っています。ロクに聞いていませんけれど、、

Krauss 盤は、KOCH の 3-1465-2 Y4 と書いてあります。Wiener Staatsoper の Live (1939年6月10日) だそうです。

ウィーン国立歌劇場のライブシリーズの15巻目となっていて、この曲(全曲)以外に、アラベラとアリアドネの抜粋が入っています。石丸の投げ売りコーナーで、2枚組1360円で購入していますね、、、いつ買ったんだろう?

投稿: ボーや | 2007年1月23日 (火曜日) 03時01分

>>ボーやさん
はじめまして!コメント残してくださってありがとうございます。 これを見に行かれるって・・・どこでするんでしょう?海外でしょうか・・(私、すごーく情報の遅い人なので・・・)。

私も全然筋書きがわからなくて四苦八苦していましたが、本日UPしました。間に合いましたらどうぞご参考になさって下さい。

投稿: naoping | 2007年1月23日 (火曜日) 21時01分

naoping さん、こんばんは。

お返事と、あらすじ、有難うございます。

見に行くのは、ドレスデンです。3月にシュトラウスのオペラ10演目連続上演企画があるので、その内の7日間滞在予定です。土日の一番安い前売りチケットは手に入れられなかったので、その2日は観光か当日券に並ぶ予定です。

目玉は、この「平和の日」と「ダナエの愛」で、その他、「アラベラ」「カプリッチォ」「アリアドネ」のチケットを確保しました。当日券にチャレンジするかも知れないのは、「サロメ」と「影の無い女」です。

***

クラウスのCDをちょっと聞いてみましたが、ラジオ放送の録音(ライブ)との事で、音はかなり悪いです。途中までで飽きてしまいました。

投稿: ボーや | 2007年1月23日 (火曜日) 23時40分

>>ボーやさん
再びコメントありがとうございました。
ぬぉおおお!!ドレスデンですか!いいですねえ。シュトラウスのオペラをまとめて本場で見られるなんてなかなかないことですね。楽しんでいらして下さい。「平和の日」は実演で見たらきっと大感激するんじゃないかなあ、と思います。
帰国されたらぜひぜひ、またコメント頂きたいと思いますので、このblogのことは忘れないで下さいね(笑)。

投稿: naoping | 2007年1月25日 (木曜日) 20時34分

1年後の記事で恐縮です。
一見みょうちくりんな曲ですが、味のある作品ですね。
今回、真剣に聴き思いを新たにしました。
TBさせていただきました。

投稿: yokochan | 2007年10月10日 (水曜日) 23時13分

>>yokochanさん
TBありがとうございます。私はこの曲好きですよ。ま、あんまりblogにこの曲のこと書く人はいないようで・・・調べたことないですけど。

ところで、久しぶりにここの記事読んで、ドレスデン旅行でこの曲聴いたはずの「ボーや」さんはどうしてはるのでしょうかねーと思いやした。もし読んでらしたら、是非旅行の感想とか寄せていただきたいです。

投稿: naoping | 2007年10月12日 (金曜日) 20時28分

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R・シュトラウスのオペラシリーズ。全15作の第12作は、「平和の日」。この訳語 [続きを読む]

受信: 2007年10月10日 (水曜日) 23時01分

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