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2006年10月29日 (日曜日)

火刑台上のジャンヌ・ダルク/イングリッド・バーグマン

P1000659 オネゲル:劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」
監督:ロベルト・ロッセリーニ、原案:ポール・クローデル、脚本:ポール・クローデル、ロベルト・ロッセリーニ、
出演:イングリッド・バーグマン、テュリオ・カルミナティ、ジャチント・ブランテルリ、アウグスト・ロマーニ
(1954年)

一時期大ブームを巻き起こした(私の中だけで)オネゲルの傑作「火刑台上のジャンヌ・ダルク」について、今日は書くことにします。

最近、タワーレコードで小澤征爾さんのCDがありえない値段設定で発売されたので、お買いになった方も多いと思います。対訳つきで千円は買いです。ちなみに私は初出のとき輸入盤で買いました。
こちらももちろん素晴らしいですが。

P1000660 手元にあるのはもっと前の録音、セルジュ・ボド指揮チェコ・フィルのスプラフォン盤です。指揮者のこの作曲家に対する思いいれとか、真摯な姿勢が感じられて、感銘深い(なんだかありきたりなコメントで申し訳ない)。ジャンヌ役の女性も少女らしさが感じられて素晴らしい。(多分廃盤)

この曲、一時期よく日本でも上演されました。
私も2回くらい実演を見た記憶があります。確かフルネ指揮でNHK交響楽団の定期(確かフルネさんの娘さんがジャンヌ)と、若杉さんの「日本語上演版」だったと思います。

(ちなみの日本初演は草笛光子さんのジャンヌ、露口茂さんのドミニク神父だったようです。)

N響の定期はとても感銘深かった記憶があります。また、舞台に乗ったオケで色々なことが行われていて、とても面白かった。例えばグランドピアノの中にトライアングル?を置いてクラブサンみたいな音にするとか。

この曲と、メシアンの「トゥーランガリラ交響曲」のときに必ず出演する原田節さんとオンド・マルトノって電気楽器にあえるのもとってもうれしいし。(この2曲が音楽史にあるかぎり、この楽器は存在する・・・)

ただ、「日本語上演版」はかなり違和感がありました。日本語でやる意味あんのか!って。私フランス語は全然わかんないけど、フランス語でもうこの曲頭に入ってるし。ダメよ、ダメ。日本語でやられたらなんだか生々しいって。なんだか中学んときの同級生のじゅんこちゃんが火刑に処されちゃうみたいなそんなくらいの生々しさが出ちゃって。あれはキツかったなー。最終場面のセリで上がってくる佐藤しのぶさんもなんだか紅白みたいだったし。





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で。

さて本日ご紹介のDVDは、大女優イングリッド・バーグマンがジャンヌを演じ、夫の映画監督ロベルト・ロッセリーニがメガホンをとった映画版の「火刑台上のジャンヌ・ダルク」です。

そもそも、バーグマンがこの曲を演じたっていきさつは、かいつまんで説明すると、

イングリッド・バーグマンはジャンヌ・ダルクの役に相当思いいれがあり、ジャンヌ・ダルクを主題とした映画にも主演していたが(500円で売ってるDVDにもありますね)いまいち物足りなかったようであった。しかも当時のハリウッドのシステムにも不満があり。

そんな頃たまたま映画館でロベルト・ロッセリーニ監督の映画を見て深い感銘を受けた彼女は、ロッセリーニに強く出演を希望する手紙を書き、その後夫と子供を捨てて彼の元へ走った。

それから彼の映画に何本か出演したあと、ある興行主よりオネゲル作曲のこの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」の舞台をやらないか、とのオファーがあり、ロッセリーニの監督によりヨーロッパ各地で上演。パリ公演を元に作られたのがこの映画です

(実は、私はこの公演のイタリア語上演盤のLPを所有しています。舞台写真とかも見られてとても貴重。チェトラ盤で録音はものすごく悪いですが。ガヴァツェーニ指揮でした。)

この曲が映像として見られるのはとてもありがたい。バーグマンは「少女」というにはキツイ年齢ながら、やっぱり美人だし。堂々たるもんです。ジャンヌはこの演出では鎖で縛られてなくて、自由に歩き回っている。これは彼女の自伝に書いてあったのだが、「縛られて演技するのはイヤ」というバーグマンも希望によるもの、と記憶する。

映像としても色々面白いし。裁判をするブタさんやヤギさんやロバくんの扮装をしてる人が出てきたりね。「酒樽おっかあ」がごろごろと転がされて出てくるところも(女優さんは大変そうだが)面白い。

が、映像も録音も1954と大変古いものなので、音はかなり厳しい。映像もカラーながらなんだか昔の印刷物のように退色しており、それが味って言えば味かもしれないが。さらに困ったことに音楽のカットが多く見られる(オンド・マルトノがなかったからかもしれない。)。

また、場面場面の切り替えがプチップチッとなっていて、繋がってないところがあり、あれもどうかと。ジャンヌが火刑に処される一番感動する場面も、ジャンヌの鎖がはずれて天に昇っていくが、これはリアルにやりすぎで感銘が薄くなってしまった。ま、ロッセリーニらしい感じなのかもしれない(よく知らんが)。

そのようなわけではじめから何も予備知識もなくこのDVDを見るのは辛いかもしれない。始めに小澤さんのCDに慣れ親しんでから、もしもすごーくこの曲にはまってしまったらぜひこのイングリッド・バーグマンのDVDをご覧になることをおすすめします。それと、バーグマンのファンは必見。


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2006年10月28日 (土曜日)

ペッテション:交響曲第7番

P1000658 アッラン・ペッテション;交響曲第7番
アンタル・ドラティ指揮/ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
交響曲第16番
フレデリック・L・ヘンケ(アルトサックス)ユーリ・アーロノヴィッチ指揮/ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団(スウェーデン協会 SCD1002)



今日は六本木ヒルズに行ってきました。

Pa0_0019 でも、遊びでも仕事でもないよ。健康診断です。六本木ヒルズの中のクリニックに健康診断(半ば人間ドック)に行って来たのです。

六本木ヒルズはハロウィンでした。お子さんたちが思い思いに着飾っている。(おかーさんたちも)
(日本人には馴染みのないこの祭。やはりさすが外国人居住者の多い六本木ですこと。)
Pa0_0020_1 ところでハロウィンって何する日?子供がよその家に侵入してお菓子を強奪する日としか私は知らない。



実は、私はあまり健康診断が好きではない(好んでする人はいないと思うが)。
見た目元気そうなのに、健康診断行くたびに何かと引っかかったりいらん病気が発見されたりで、毎回毎回本当にイヤである。死に至る病にはかかったことはない(現に生きてるし)のでまあいいのであるが、それにしても体に何も心配がない人が羨ましい。

Pa0_0021 そんなわけでまたしてもブルーな気分で終わり、何だかもうこんなときは好きなもの食べよう!と思い、ヒルズで回ってない寿司を食べたり。美味しかった。バリウムのあとでちょっときつかったが。

病は気から、か。

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こんな気分の沈む日は、ワーグナーとかR・シュトラウスとか華々しい音楽は敢えて避けて。

あまり一般的ではないが一部に熱狂的なファンがいる(と思う)アッラン・ペッテションの交響曲をご紹介します。

グスタフ・アッラン・ペッテション(Gustav Allan Pettersson, 1911年9月19日 - 1980年6月20日)は、スウェーデン出身の交響曲作曲家。17の交響曲のほか、いくつかの協奏曲や小品を残す。

暴力的でアルコール中毒な父と、病弱な母とともに4人兄弟の末子として幼年期を過ごす。1930年からはストックホルム王立音楽院でヴァイオリンとヴィオラを学び、後にストックホルム・フィルにヴィオラ奏者として入団。

パリへ留学し、オネゲルやミヨーと親交を結び、スウェーデンへ帰国後は作曲家として活動するが関節炎を患い、後にはペンももてないほどになる。 1980年、癌のため死去。

・・・というように何かと暗そうな人生を送った彼の交響曲は全体的に暗い・・・と思う。CD2枚しか持ってないのでなんともいえないが、私の知っている限り、暗い。

具体的には、マーラーやショスタコーヴィチの交響曲の暗いところを集めてつなぎ合わせたんかいな?と思うくらい暗い。(なので、そういうのが好きなドMな人にはたまらない?)

このCDの交響曲第7番と16番は両方とも楽章はなくて単一楽章である。
まず第7番だが・・・とにかく出だしから暗い上に、「ファンファファファーンファン」というメロディの執拗な繰り返しである。これに耐えてずっと(演奏時間約40分)聴いているのは苦行である。

しかし。

聴いているといいことはある。まず最初に15分くらいしたところで、すこし曲に温かみが混じってくる。それが終わってまた暗く厳しい音楽が戻ってくる。

人生そううまくは行かないものである。

そして、25分くらいすると、曲に光がさしてくる。もう「待ってました!」というくらいに美しい音楽がやってくるのである。ここまで聴いてきてよかった!と思わせる。ここはかなりクル。気が弱っている人はほとんど号泣してしまうと思う。逆境のときにやさしくされると泣いてしまう・・・そんな感じ。

しかも、今までの暗いとこをすっとばしてそこだけ聴くと別にどーとも思わないので注意が必要です。

で、カップリングの16番のほうですが、アルトサックスの独奏が入っていてどっちかというと協奏曲っぽい。フリージャズっぽいかんじもあるので、こっちのほうが実は聴きやすいかなとも思います。かっこいいです。

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今日もどうか一つ。
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2006年10月27日 (金曜日)

室内楽版カルミナ・ブラーナ

Carmina_brana オルフ:カルミナ・ブラーナ(室内楽編曲版)
Lena Nordin (Sop),Hans Dornbusch(Tenor),Peter Mattei(Baritone),
Roland Pontien,Love Derwinger(Pianos)
Kroumata Percussion Ensemble,Allmanna Sangen, Uppsala Choir School,
Conducted by Cecilia Rydinger Alin



最近、知りたいこと。

私もしかり、クラシック・オタクの方はときには会社等で飲みにいったりすると思うんですけど。そういう流れでカラオケ行ったりしますよね。いったい皆さんは何を歌っているの?

最近のカラオケは、クラシックの曲が少ない。

まあ、カラオケまで行ってわざわざクラシック歌う人はほとんどいないと思うけれども。前は、プッチーニやヴェルディのオペラ・アリアもあり、「乾杯の歌」だの「ある晴れた日に」だの歌おうと思えば歌えたものである。(たいていの人はヒクけど)

何年か前に、一回だけ「ベートーヴェンの第九」ってのがカラオケにあった。友人と二人でカラオケに行ったときに、友人がトイレに行っている間に一人で挑戦してたことがある。第4楽章のバリトン「オーフロ~~~インデ・・・」より最後まで入っていた。(長いぜ・・・)

当然ドイツ語で色々なパート一人で歌いきった。(友人ヒキっぱなし)

今はそういうのが見当たらないし、あまり友人らにヒかれるのも困るので、最近は新しい歌を練習したりしている(わざわざ)。aikoとか、夏川りみとか一青窈とか。(新しいといっても結構2~3年前の歌だったりするが)

・・・というわけで、クラオタの方コメントください。
「私はこんな歌を歌って切り抜けています!」

ちなみに、私はカラオケ大好きですよ。すぐにレパートリーが切れてしまいますけど。



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さて、本日のお題は有名なカルミナ・ブラーナ。
この曲を知らない人はいないんじゃないかな。クラシック知らない人でもテレビで耳にしていると思うし。人気あるから数多くのCDが発売されている。

が。

このblogでは普通なのはつまんないので、本日はBISから出ている(出ていた)室内楽編曲版?カルミナ・ブラーナを。
室内・・・といっても合唱団とソロ歌手は普通。オケがピアノ2台と打楽器奏者が5~6人といったところ。

バブルの頃は、合唱・ソロ歌手・大オーケストラだけではあきたらず。舞台上にバレエダンサーがたくさんいたりして。相当肥大化していたようだが。

バブル弾けて。

会社は人員削減の一方。人事部と総務部が合体して。あたしなんかは給与計算もしながら、客の応対や電話の応対、お茶出しや掃除までしているわよ。(愚痴?)

いやー、そもそも人事と総務は別の仕事なのよ。ついでにいうと経理はできないわよ。ダメよ混同しちゃ。

(もーすぐ年末調整なのです。毎年大変よ~。)

そんな感じで。
普通何十人もいるはずのオーケストラが、こんなに人員削減。なんてグローバル。なんて地球に優しいの?さすが北欧のレーベル。

んなわけない。

合唱は普通にいるので合唱の部分はなかなか聴ける。問題はオケ部分だけの曲。ここはピアノだけになるのでいっこうにつまらない。

打楽器は当然クローズアップ。BISなので録音がよい。ヘッドフォンで聴くと耳が痛い。くれぐれもヴォリュームに気をつけて。

最後に指揮者の写真を載せてみよう。



Carmina_brana2








こんな女性の指揮者だったら歌うの楽しいだろうな~。

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というわけで、本日も一票いただけると嬉しい。

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2006年10月25日 (水曜日)

英語版・神々の黄昏:グッドール

Twilight1 ワーグナー「神々の黄昏」第3幕より(英語版)
クリフォード・グラント(ハーゲン)、ノーマン・ベイリー(グンター)、アルバート・レメディオス(ジークフリート)、マーガレット・カーフェイ(グートルーネ)、リタ・ハンター(ブリュンヒルデ)
レジナルド・グッドール指揮/サドラーズ・ウェルズ・オペラ管弦楽団&合唱団

こんばんは、ちょっと久しぶりです。
私もおととい話題の月9、「のだめカンタービレ」見ましたよ!はじめて。

で。感想?

・あの、「のだめ」という女の子は日々日ごろから酩酊している方なのかと思っていましたら、いつもあんな感じなのですね。空腹だからですか?

・そんで、はじめのほうに出てきたマーラーの8番は、流れてきたのはショルティ指揮ですかね!や、すてきな選択です。ありがとうございます。

・チェコのオケがよくドラマに使われるのは、国内オケより安くあがるからだってのをきいたことあります。前に草なぎくんドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」でもチェコのオケ使われてたような。間違ってたらごめんなさい。

・なにぶんにも少女漫画を小学6年生で断った身ですので(→ショルティの千人参照)、これからも原作読むとは思えないのですが、ドラマはこれからも見ようと思いました。だって、やっぱり玉木宏くんはかっこいいですもん。

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で。

すいません、本編入ります。

本日は孤高のワーグナー指揮者、グッドールの指揮による英語版「神々の黄昏」を。英語では"Twilight of the gods"。すいません全曲ではありません。英語版の「リング」を英語圏でない人種の私がなんで全曲購入しましょう。意味ねーし。でも。でも。

このCD、第3幕の第2場(ジークフリートがグンターやハーゲンたちと狩に行く場面)から最後の自己犠牲まで66分くらい聞くことができます。

Twilight2 レジナルド・グッドール(1905~1990)
イギリス東部のリンカーンに生まれミュンヘン、ウィーンで指揮を学んだ。第2次大戦後の1945年、ブリテンの推薦でサドラーズ・ウェルズ歌劇場の再建公演の「ピーター・グライムズ」を世界初演。翌年コヴェントガーデンに迎えられ活躍したが、ショルティが音楽監督を務めた1961~71年の10年間は練習指揮者として不遇の時代を送った。だが、68年にサドラーズ・ウェルズで「マイスタージンガー」を振り成功を収め、73年には「リング」全曲を上演。「トリスタン」「リング」全曲と「パルシファル」の録音を残した。ロンドン近郊の養老院で没。(音楽の友社「指揮者のすべて」より)

英語だからといって、たとえばイタオペをドイツ語で上演したときに「なんだかこのカバレリア・ルスティカーナ、ワーグナーみたいに聞こえるわ~」とかいう錯覚は、ワーグナー英語版では起こらない。「なんだかエルガーみたい」とかはたまたディーリアスとかブリテンとかには、まちがっても聞こえない。ワーグナーはあくまでワーグナー。

英語なもんでたまーにリアルに意味がわかってしまったりとかする違和感はあるけれど。たとえばブリュンヒルデの自己犠牲で「Children here are whining for there mother because some milk has been spilled;I hear no cries of true lamentation to mouen this hero's death.」
とか歌いだすと「あああ~、そのままやんけと思う。

このCDを聴いている限り、リタ・ハンターとかノーマン・ベイリーとか、ワーグナーを歌う声の人なので違和感はほとんどなし。

だが。

興味深いのはジークフリート役の人。聴いた感じヘルデン・テナーでないのである。ほんとに歌うとこちょっとしかないんだけど・・・。ぶっちゃけブリテンのオペラとか歌う声よーな透明な声なのよ。さすが英国プロダクション。これはちょっと全曲聴いてみたい気がする。英国歌曲好きのあたしは意外とはまりそうなかんじがするよ。これだけでも全曲聴いてみたいという衝動はあります。

で、肝心の演奏ですが。

この指揮者は本当に素晴らしい。ゆったりめのテンポで雄大なワーグナーを聴くことができます。滔滔と流れる大河のよう。英語だからってバカにしちゃいけないです。葬送行進曲なんて鳥肌立っちゃうくらいイイ。

最初から全部聴いたらさぞ凄そう。ちょっと予算がないからまさかそこまでは手が回らないけれど。で、録音はとっても鮮明です。暫く古い録音のリングばっかり聴いていたから、ちょっと耳がびっくりしています。

ところで。グッドールはショルティにいじめられてたのか~。まるでオペラハウス版「渡る世間は鬼ばかり」だわ。





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いつもいつもどうも。
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2006年10月21日 (土曜日)

カイルベルトのラインの黄金

P1000653 ワーグナー楽劇「ラインの黄金」
 ハンス・ホッター(ヴォータン)
 グスタフ・ナイトリンガー(アルベリヒ)
 ルドルフ・ルスティヒ(ローゲ)
 ヨゼフ・グラインドル(ファフナー)
 ルートヴィヒ・ヴェーバー(ファゾルト)
 ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィツ(フリッカ)
 ヘルタ・ヴィルファート(フライア)
その他
 バイロイト祝祭管弦楽団
 ヨゼフ・カイルベルト(指揮)

 録音:1955年8月 バイロイト祝祭劇場[ステレオ]

やっと「ラインの黄金」の発売である。あとは「神々の黄昏」の発売を待つだけである。(私はこらえ性がないので、出たらすぐ買う派)

しかし、そもそも「ラインの黄金」から始まるべきこのリング、発売の順番めちゃくちゃである。大体私、初めて生で見たリングだって「神々の黄昏」から始まって「ワルキューレ」で終わったりとか、いつも何かしら演目が抜けたりしているので、ま、こんなもんかなあ。(と、勝手に納得。)

昨日CD買ってすぐ聴いて、また今日もう一回聴いている(他のワーグナーの演目ではありえない)。
まずはじめの重低音から引き込まれる。実際こんな音なのかなあ、バイロイト。それで、いつもながらナイトリンガーのアルベリヒはナイスである。もうアルベリヒといったらこれじゃないの。ライブなのでもう、奴はノリノリである。

続いてホッターのヴォータン。いつもながらグー。ナイトリンガーとホッターはもう、双璧の素晴らしさ。ショルティ盤ではジョージ・ロンドンがヴォータンだったので、このCDはとってもありがたい。

デンデケデン、デンデケデンと巨大なオケ伴奏とともに巨人さんたち登場。舞台写真を見ると、巨人というより肉襦袢を着たお相撲さんという感じ。だが、(ホッターよりもう一時代前の歌手のような気がするのに)ウェーバーの素晴らしいファゾルトは結構クル。グラインドルももちろん素晴らしい。もう、名バス歌手オンパレードにホレボレする。

それに比べて、この演目でのマイ・フェイヴァリット・キャラクターのローゲがイマイチさえないのが大変残念(と私は思う)。頭の回転が良くて機敏な動きでしかも滑稽な愛すべきローゲは、この演目の主役ではないかなあ?と思うんだけど。少なくともシェロー演出では主役だったよね。シュトルツェあたり出て欲しかったなあ。(1953年のクラウス盤ではシュトルツェはフローだったんだね)

録音は・・・勿論よいのだけれど(「ワルキューレ」よりよい気がする)、演出のせいなのか、地下にもぐっている場面のところでは(煙?)シューシュー言っているのでなんだかウルサイ。画面が見えないのでよけい気になる。

また、最後の場面(へだーへどー)の、ドンナーがハンマーを振り下ろす直前のオケの音が一瞬ちょっとまたモノラル?になってる気がする(すぐ直る)。ありゃまた!ここだけだけど残念よ。

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2006年10月20日 (金曜日)

コーダ・クミ疑惑

今日は、カイルベルトの「ラインの黄金」をすかさず買いに行きました。とにかく早く欲しかったので。
2枚なので、ラインの黄金は気が楽。いま聴きながら書いていますが、最初の重低音が素晴らしいですね。解説書の中の写真が今回はカラーがあったりします。CD入ってるジャケットの写真がなかなかお茶目でカワイイのですよ。買ってからのおたのしみに!

他に、シュレーカーの「はるかなる響き」のナクソス盤も購入。これはどうかな?

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さて、今日はクラシック音楽の話以外のことを。

あの、例の槇原敬之が作った曲の歌詞が「銀河鉄道999」の中の一節に似てるって、盗作じゃねえかっていう話ですけど。まあ、マッキーが歯医者かどこかで読んだのかもしんないし、偶然一緒になっちゃったのかもしれない。人間って無意識ってあるから。

でも、今の私はどうしても腑に落ちない。盗作?っていうより「それ一緒だよ!」って曲がある。

エロかっこいいと巷で評判のコーダ・クミさんの「夢のうた」って歌が、JA共済CMの歌(介助犬の出てくるやつ)に似ている。

「JA共済HP」(「喜びを共に」編)
http://www.ja-kyosai.or.jp/about/cf.html

「夢のうた」
http://www.youtube.com/watch?v=3bkK-_2ocxo

サビの部分、同じ歌なのかと思ったくらい。どうして問題にならないのかなあ?

(何か問題がございましたら、この項削除させていただきます。)

それでは、「ラインの黄金」の感想をお楽しみに!

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2006年10月19日 (木曜日)

ドイツ・オペラ・アリア集/ルアナ・デヴォル

Devol ルアナ・デヴォル・ロマンティック・オペラ・アリア集
ベートーヴェン「フィデリオ」より/ウェーバー「オイリアンテ」「オベロン」より/マルシュナー「騎士団員とユダヤ女」「吸血鬼」より/ワーグナー「妖精」「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」より

ルアナ・デヴォル(Sop) ラルフ・ヴァイゲルト指揮/ミュンヘン放送管弦楽団

ルアナ・デヴォル、という名前を聞いて「ああ!あのデヴォルね!」とすぐ反応されるかたは、相当足しげくドイツのオペラハウスの来日公演に通われた方だと思う。デヴォルはあのバイエルン国立歌劇場引越し公演、猿之助さん演出のR・シュトラウスの「影のない女」の皇后役を演じた人でえす。

ほとんどCD録音は見かけない人だったので、来日してはじめて声を聴いたくらいである。正直いって知らない歌手が主役を演じる演目の券を入手するのは、勇気がいるもの。私はR・シュトラウスのこのオペラが当時大好きだったから、迷わず券は(二回分)買ったけれど。

幸運にも彼女の皇后は素晴らしかった(と、思う)。どこまでも響き渡る高音、その声は高ければ高いほどどんどん美しくなって響く。吸い込まれそうな感じ。ドラマティックソプラノでありながら野太い声ではなくやや線が細く、可憐ささえ感じる。

ま。声だけなら。

猿之助さんの演出では、皇后は完全白塗りだったため、彼女の素顔はさっぱり見えなかった。プロフィール写真は2~3種類しか見たことはない。まあ・・・美人ではないな、はっきりいって。

彼女のCDはこのCD(多分個人輸入したんだと思う)以外にシュレーカーの"Irrelohe"ってオペラの全曲録音しか知らない。(なかなか手ごわいオペラなので、ちょっと紹介し辛いけれど、ぜひこのblogで取り上げたい、と思っています。ツェドニクが出演。)

このCDはカンテリーノってレーベルなんですが、解説書のおしりにカタログがちょっとついています。でも、知ってる歌手はクルト・モルのアリア集があったくらいで、他は「?」な歌手ばっかり。

CDの曲目で、まず目をひくのはマルシュナーって作曲家。このマルシュナーが結構やってくれるのですぅ。とくに「騎士団員とユダヤ女」ってナゾのオペラのアリアはステキ。「アイヴァンホー」によるオペラらしいが。この歌劇の中の合唱はシューマンの交響練習曲のフィナーレに用いられているそうな。こんな素敵なアリアなら、なんか全曲聴いてみたい気もするナリ(ここだけがヨイのかもしんね)。「吸血鬼」はこのオペラよりはちいっと有名なんじゃないかな?

他の有名どころのオペラアリアも、申し分ない素晴らしさ。
録音も透明でとっても綺麗。

もしも、ドイツやアメリカ(彼女はアメリカ人)の旅行で偶然ワーグナーやシュトラウスのオペラを幸運にも見に行けるようなスケジュールで、もしデヴォルが主役であったならそれは超ラッキー!もちろん予定はなし!

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2006年10月18日 (水曜日)

ウルマン「アトランティスの皇帝」

Ullmann1 ヴィクトル・ウルマン(1898~1944):歌劇「アトランティスの皇帝」
ミヒャエル・クラウス(皇帝オーヴァーオール)、フランツ・マツーラ(ラウドスピーカー)、マルティン・ペッツォルト(一人の兵士)、クリスティアーネ・エルツェ(ブービーコプフ)、ワルター・ベリー(死神)、ヘルベルト・リッペルト(ハルレキン)、イリス・フェルミリオン(鼓手)
ローター・ツァグロセーク指揮/ライプツィヒ・ゲヴァンドハウス管弦楽団(1993年2月録音)

本日取り上げますこの作曲家、ヴィクトル・ウルマンという作曲家は、ご存知の方は非常に少ないと思います。以前、ロンドン・レーベルで以前沢山出ていた「退廃音楽シリーズ」の中でも、悲惨な人生を送った作曲家ナンバー・ワンだと思います。

ナチスに迫害された作曲家でも、コルンゴルトやシェーンベルクなどのハリウッドに亡命した比較的運のよい人はいる。

しかし。ウルマンはアウシュビッツ送りにされ殺されてしまいました。それだけでなく、彼の作曲した音楽も抹殺されてしまっていました。

Ullmann2 ヴィクトル・ウルマンの主な生涯
・1898年 オーストリア領テッシェンに生まれる。

・ウィーンで教育を受ける。その後プラハのドイツ語の劇場で稽古ピアノ伴奏者を勤めたり、オペラ劇場の指揮者や舞台音楽の責任者になったりした。

・1929年、ジュネーヴ音楽祭でピアノ曲「シェーンベルク変奏曲」で初めて国際的な成功を収めた。

・・・・

・その後、作曲家として賞を取ったりして認められながらも、ナチスによりテレージエンシュタット収容所に送られる(1942年)。テレージエンシュタットでは普通の囚人作業から開放され、作曲を行っていた。

・1943年オペラ「アトランティスの皇帝」を完成。上演される計画もありながら、理由は不明だが中止になってしまう。・1944年10月16日にアウシュビッツに移送され、彼は殺される。彼のオペラの原稿は友人に渡しており、友人は無事だったため、原稿は残った。


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無数の変更が彼の手で書き込まれているので、どれが最初のヴァージョンであるかはっきりしない。オペラのフィナーレもこのCDでは2通り収録されている。

あらすじも、なんだか取りとめがなくてここにまとめようがないが、登場する皇帝オーヴァーオールはアドルフ・ヒトラーをモデルにしたと思われる(途中、本当のヒトラーの演説の録音がちらっと入る)。

全体に音楽はジャズの要素が強いけれど、やはり死の影があまりに強い。ノー天気に酒でも飲みながら楽しく、などとはとてもいかない。襟を正し正座して覚悟を決めて聞くべきである。

作曲家の、死を感じながらもかすかな、本当にかすかな生への希望を感じる部分がある。歌詞をここに載せてみる。



本当かい、榴弾の穴で荒れ果てていない土地があるっていうのは?

本当かい、まだ厳しく残酷というのではない言葉があるっていうのは?

本当かい、まだ百花繚乱の香しい草原があるっていうのは?

本当かい、まだ青々として澄んだ空気の山々があるっていうのは?




このCDでの歌手は、新旧取り混ぜてのキャスティングだが、どの人も真摯な歌唱で素晴らしい。名歌手ベリーとマツーラは勿論、当時新人と思われる若手の歌手の人たちも美声を聴かせる(とくにエルツェの清澄な歌唱とフェルミリオンの深い声が心に残る)。
余白に収められている歌曲集も心に深く染みる。

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今日は秋らしくちょっとマジメに。
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2006年10月16日 (月曜日)

R・シュトラウス「平和の日」

Friedenstag R・シュトラウス:歌劇「平和の日」
アレッサンドラ・マーク(Sop) ジョージ・シャーリー(T)その他
Robert Bass指揮・The Collegiate Chorale & Orchestra
The New York City Gay Men's Chorus 他
(1989年11月、カーネギー・ホールでのライブ・世界初録音)







たまーに実家に帰って色々自分のもともと住んでいた部屋を漁っていると、「あー、こんなCD買ってたなあ」っていうのが多々。もっとひどいのになると、いっこうに買った記憶にないCDとかもある。

今日ご紹介するCDは「そーいえば、あったなあ」の部類。オペラというよりはオラトリオ的な性格の強いこの曲。のちにザヴァリッシュやシノポリが録音をしているはずである。

このCDは現在市場に出ているのか不明だし、多分この曲を聴くなら(私は未聴だが)シノポリかザヴァリッシュをオススメする。絶対そのほうがいいに決まっている。(どうもどれも廃盤な感じだが)

で、何でこのCD買ったのかっていうと、当時この曲はこれしか録音がなかったからである。確か。

このCDの指揮者Robert Bassって人は全然知らない。オケもコーラスも全然未知。しかもニューヨークのゲイ男の合唱団ってのも気になる。ま、ニューヨークには沢山ゲイの男の方がいて、野球チーム、もしくはバレーボールチームどころか、合唱団作れるくらいいらっしゃるってことは予想はつく。十分につく。ゲイの方だけで「千人の交響曲」演奏できちゃうかもしれない。

ま。

このCDの素晴らしいところは、先日フィレンツェ歌劇場の引越し公演で「車椅子トゥーランドット」を演じてくれたアレッサンドラ・マークがマリア役を歌っていることである。っつーか他に見当たらない。彼女はオペラ・デビューがこの曲だったらしい(1986年)。

写真で見ると、もうこのころからかなり体型は、いっちゃってる。ああ、もうすこしスタイルが良かったら(あの体型あってのあの声なの?)、きっとイゾルデとかもよかろうに。私は実は彼女の声が好きなのである。ここでも人並み外れた美声を聴かせる。彼女特有の声をずりあげる歌い方に好き嫌いはあるかもしれぬが。


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ええっと、この曲はどんな曲?というご質問にはどうもお答えできない。だって解説が英語だし。

<HMVの解説より>
第二次大戦直前に書かれたシュトラウスの意欲作で本来は反戦的な内容にも関わらず、初演にはヒトラーも臨席し、結局、ナチのプロパガンダ的な目的にも使われてしまった作品ですが、実際の内容は、シュトラウス久々の大編成作品ということもあってか、かなり聴きごたえのあるもので、特に“フィデリオ”を思わせる後半部分は魅力的です。

<UNIVERSAL CLASSICSの解説より>
このオペラは30年戦争の講和である1648年のウェストフィリア条約の締結の時のことを扱った一幕のオペラです。

・・・ってことらしい。でも、ほんと後半はフィデリオっぽい。内容がよくわからなくても結構クルものがある。何かの記念日みたいなときに演奏するのにふさわしい。実演で聴いたら迫力で感動するかもしれない。最後の合唱はなんとなく「影のない女」っぽいとこも。

最後の拍手はなんとなくメリケン人だなあ・・・と思える。曲終わるまで待てぬのか!


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<追加>
(平成19年1月23日)

blogの資料的価値を考えて、(っていうか、最近「歌劇大辞典」を実家から持ってきたのでかなりのオペラの筋書きがわかるようになった)このオペラの筋書きを一応付け加えておきます。

舞台は30年戦争中に包囲された町の城塞内の大きな円形の部屋。時は1648年10月24日。兵士たちは歌を歌っているが遠くからパンを求める飢えた人々の叫びが聞こえる。

町長と僧正に率いられた長老らが入ってきて、司令官に降伏するように切願するが、司令官は皇帝からの命令を守って城塞を守り続けている。しかし司令官は町長たちや民衆たちの要求を聞き入れ、正午まで待つことを要求。長老たちは満足して立ち去る。

だが、司令官は降伏するかわりに、火薬庫に火を放って兵士たちとともに名誉の死を遂げようと覚悟する。妻のマリアが、司令官の様子がいつもと違うのに気づき、その理由を尋ねる。これにたいして司令官は「城塞内にいる者は全て死ぬ運命にあるので、ここから逃げなさい」と言う。しかしマリアは司令官への愛のためにこれを拒否。

司令官は兵士の一人に火縄を持って火薬庫に向かわせるが、そのとき外で大砲の音が聞こえる。これは敵軍の攻撃の合図。しかし敵軍の姿は見えない。そのかわりに町の鐘の音が次々と鳴り始める。まもなく町長が平和を告げに入ってくる。

司令官は降伏を拒むが、行進曲とともにホルシュタイン部隊が入ってくる。隊長は勇敢な司令官と握手をしようとするが、司令官はこれを拒んで剣を抜き、隊長もこれに応え剣を抜くので、これを見たマリアは二人の間に身を投じて降伏するように夫に懇願する。それを見た司令官は剣を捨て隊長を抱擁する。全ての独唱者は平和の賛歌を歌い、幕。

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2006年10月15日 (日曜日)

ニュルンベルクのマイスタージンガー

Meister1 ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
オットー・ウィーナー(ザックス)、ハンス・ホッター(ポーグナー)、ジェス・トーマス(ヴァルター)、フリートリヒ・レンツ(ダヴィッド)、クレア・ワトソン(エファ)、リーリアン・ベニングセン(マグダレーネ)
ヨゼフ・カイルベルト指揮/バイエルン国立歌劇場管弦楽団・合唱団、(1963年11月23日 バイエルン国立歌劇場再建記念公演ライブ)

Wedding2  今日は、友人の結婚式。いやー、いいお式でした。
(しかし、どうも気になるのは祝電の豪華メンバー。安部総理大臣に石田純一、鹿賀丈史って・・・いったい。ナゾ。)

そもそも彼女とのなれそめは、彼女が丁度オペラに興味があったところに私が現れたため、私が彼女の類まれなきよい先生となっていたんだけど(←自画自賛)。。。そんなわけで彼女の結婚式はBGMがオペラの曲主体になっていました。「乾杯の歌」とかこうもりとかホフマン物語とか。「オペラ座の怪人」とか。

でも、あたしとしてはやっぱり結婚式に流すんだったら「マイスタージンガー」の前奏曲は外せないなあ。たとえばローエングリンの結婚行進曲よりは、これでしょ。

ってなわけで、本日のお題は大好きな「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。

この曲、名曲なわりに、昔から「ベスト盤」ってのがこれといってない気がする。しいて言えばカラヤン盤かもしんないけど、キャスティングがもうひとつ(聞いたことないんでどうとも言えないけれども)。うちに唯一あるカイルベルト盤も、ハンス・ホッターは出ているけれどもポーグナー役ってのが少し残念。ウィーナーのザックスも悪くはないけれど・・・。ジェス・トーマスのヴァルターは(外見的にも)ステキだけれど、ワトソンのエファは一般的にどうなのか・・・。


とはいうものの。
実演では我々日本人は思い出として、心の中に素晴らしいマイスタージンガーを持っている。ザ・ベスト・オブ・マイスタージンガーの、1988年のバイエルン国立歌劇場の引越し公演を。

が。私の見に行った日はベストな日ではなかった。唯一、欠けたのはクルト・モルがポーグナーでなくて夜警だったってこと。けれど。他はヴェリーベスト。

ベルント・ヴァイクル(ザックス)、ルネ・コロ(ヴァルター)、ペーター・シュライヤー(ダヴィッド)、ルチア・ポップ(エファ)、ヘルマン・プライ(ベックメッサー)、ヤン=ヘンドリック・ローターリング(ポーグナー)、コルネリア・ヴルコップフ(マグダレーネ)その他

Meister2 これだけ揃っていれば、何の文句があろう。ルチア・ポップのエファなんて(当時もうずいぶんふくよかになっていたが・・・そんな重病とは露知らず。これと「アラベラ」が唯一彼女の舞台に触れた貴重な経験となった。)これ聞いちゃったら他はどうでもよくなっちゃうし、ふだんはぼおっとしたドイツのおっさんのコロだって舞台の上では凛々しすぎてちょっとクラッときちゃうし。

でもなんといっても一番ステキだったのが、カタキ役のはずのプライのベックメッサー。なんてキュートなの。あたしがエファだったら絶対ヴァルターよりベックメッサー選ぶわ、このキャストなら。

ま、惜しかったのは、第3幕の合唱の中に助っ人としてゲイ大の学生さんを舞台にのっけてたことくらいで。ドキュメンタリー番組で学生さんのインタヴューで「もう・・・夢みたい・・・。このままドイツへ一緒に行きたい」とおっしゃっていたが。

聞いている客の私としては、「どうして二期会とかプロの合唱団を呼べなかったのか」とか思ってしまった。ザヴァリッシュとしては日本の将来ある学生さんに本場の大歌手に触れさせる滅多にないチャンスを作ってくれたんだろうけど。聞くほうとしては・・・どうかと。

ま、全体としては、良い思い出として心に残っている。多分二度とこんな経験はできないと思うから。

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おめでとう!の気持ちもこめて・・・。
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2006年10月14日 (土曜日)

学生オケの頃。(ローマの松)

Respighi レスピーギ:「ローマ三部作」
交響詩「ローマの祭り」
交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの松」

エンリケ・バティス指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

ひっさしぶりに登場いたしましたCDはご存知、メキシコからやってきた爆音野郎バティスによる名盤?「ローマ三部作」のナクソス盤でえす。
(ナクソスなのに何故か一流オケの使用がナゾである。ま、演奏がうまいにこしたことないが。)

爆音好きにはお馴染みのこのCD。
いやー、このCDを近所を気にせず普通に聞けるリスニングルームをお持ちの方はうらやましい。
ことに最後の「アッピア街道の松」なんかヘッドホンでなくてはちょっと近所の苦情がきそう。(ま、私は安マンション暮らしなんで大抵ヘッドホンですが)

「アッピア街道の松」というと、学生時代に入っていた学生オーケストラのことを思い出す。

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このblogでも何度か触れてきたように、私は美術の学校出身です。
で、不思議なことに「美術大の学生によるオーケストラ」というものが当時存在したのでした(今もあんのかな~)。

このオーケストラは東京都にある5つの有名美術大学の学生が作ってるもので(でもゲー大の人はなぜかいないのね、格が違うのかな?)、私の学校もいちおーその中に入っていたので、入学してすぐ入部申し込みをしました。

のだめ+ハチクロみたいな学生でしたのね、私(どちらも全く読んだことないが)。

でも、まあ、所詮世間のうまい大学オケとは違う、ただの楽しいサークル活動みたいなもんだったので、うまい人もいたことはいたけれど、私含むそうでもない人がほとんどで。しかもアマオケにありがち?弦と管とのバランスがすごく悪く、私含むトランペットがヤケに多かったりしたので少々肩身の狭い思いをしました。

今や学生オケだってマーラーやったりするみたいですが(えーっと、ここでぜひ申し上げておきます。私、blog内でも一般の生活でもぜえええええええったいマーラーの名は略さないもんね。婦女子だもん。ミトプーは略すけど)、そんなのウチのオケではとんでもない。「ローマの松」だって全曲はやんない。だってムリだもん。で、何故か最後の「アッピア街道の松」のみ演奏。

何故か当時この曲を全曲聴いたことなかった私は、なんだかただやみくもに盛り上がりまくって終わる曲だなあと感じた。

1年の夏休み合宿で、管弦楽の曲はほとんどこの「アッピア」のみ練習し続けた。

合宿は、山の中の山荘みたいなとこを借り切って行われた。若い学生のサークルですもの。恋あり涙あり。ああ、人生に山河あり(←水戸黄門?)。楽しかったなあ、今考えると。

しかし。
ほんと、ド田舎なところでの合宿だったので、おなかがすいたりすると近所のみやげ物屋でお菓子買ったりするわけだが。何気に店のおばちゃんが「アッピア街道」の最後の部分のメロディとか口ずさんだりしながら仕事していたのにはちょっと引いた。村中に響き渡っていたらしい。

そら、まーさすがに毎日こればっかり聴かされてたら覚えるよね~。(・・・)

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まいどありがとうございます。
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明日は結婚式。

一週間のご無沙汰です。玉置宏です・・・じゃなくて今はやっぱりいい男といえば玉木宏くんだわね~。へたれ・・・じゃなくてのだめカンタービレ楽しみですね。いや、私、クラオタの婦女子でありながらこのマンガ一回も読んだこと(いや、一ページも眺めたことさえ)ありません。ま、玉木くんが出るんだったら見ますけどね。全然先入観なく見れると思います。

いや、そんなことどうでもいい。一週間のblogのお休みをとってたのは、別に二日酔いでずっとぶっ倒れてたわけではなく、明日の結婚式のウェルカム・ボードをこさえていたのでした。友人の。



いつからこのようなもの作って結婚式の受付に飾るようになったんだろう。記憶にあまりない。絵描きの友人が多いので、そういった夫婦の結婚式には夫婦の似顔絵を描いたりしてかわいく作ってあったりしたのを見るしたこともあったが・・・。

私の友人はとってもかわいい人だが(お世辞言わない私が言うのだから本当だ)、「そういう似顔絵とか写真とかいっさいいれないで、文字だけでシンプルに作ってね。イメージはオペラハウスのポスター」というリクエストであったので、このようになりました。

Wedding






で、今日は完成したブツを引き渡しに行きました。が、待ち合わせ場所になかなか現れない。やっと現れた彼女、凄い疲れている。息も絶え絶え。

「どうしたんじゃ」と訊くと

指環がないってことに突然気がついて・・・慌てて買いに行ったの。それがなかなかサイズぴったりなのなくて・・・お店何箇所も回って。やっと見つけたの。指環ってお店に色々サイズ取り揃えてあるもんだと思ってたけど、違うのね。」

「・・・(絶句)。ボタン買うんじゃないんだから・・・。それって泥縄中の泥縄。あんたら夫婦のことは『泥縄婚』ってこれから呼ぶことにするよ。それにとりあえず『ゼクシー』読んだりとかしなかった?必要なものとか書いてあったでしょう(私は中身見たことないけど・・・・「地球の歩き方」みたいに必要なものが表になってたりしないの?) 




ところで。あたし、結婚したことないのでいったい指環(あの、指環交換のとき使うやつだよね)っていつ買うもんだか知らないんだけど、そういうのって最初のほうで買うもんじゃね?そんでウラに「K to T」とか彫ってあったりして、貰ったら嬉しくてなかなか大事にはめてるものであろう?一般的に。(←想像の域を出ない)

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まあ、ブツを渡すだけでは味気ないのでお店に行くことに。しかし。明日結婚式だというのに「あーー、のど乾いた。なんかもう、かーーーっと飲みたい。」って。向かったのは蕎麦屋兼飲み屋。昼間っからビール飲んで。ま、休日だから全然かまわないけれど、明日結婚する花嫁さんと、ジョッキ2杯づつも飲んじゃって。まあ、あたしはいいけどさあ・・・。

ねえ、Tちゃん・・・。











ホントニケッコンシタイノ?

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帰りに、渋谷東急東横店の「北海道物産展」に行った。すっごおおおい混んでる。実は昨日も行ったんだけど(好きねえ)。昨日は並んでラーメンを食しました。美味しかった。

今日は「かに弁当」を買いました。

Pa0_0017

かに!うに!いくら!って3大美味しいもの山盛り!まるでオールススターキャスト。例えて言えばホッター、ヴァルナイ、ヴィントガッセンと揃ったワーグナー公演のようだわ。

←ちょっと値段は張ったけど。




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2006年10月 8日 (日曜日)

コルンゴルト・ハリウッド・ソングブック

Ewksongbook エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897-1957)
 映画からの歌曲
 「恋のナポリ」より
 「逃げちゃ嫌よ」より
 「シー・ホーク」より
 「女王エリザベス」より
 「永遠の処女」より 
 シェイクスピアの歌 Op.29
 「十二夜」より
 シェイクスピアの歌 Op.31
 「オテロ」より
 「お気に召すまま」
 My mistress' eyes Op.38-5
 サイレント・セレナーデより

スティーヴン・キンブロー(バリトン)
コートニー・ブッド(ソプラノ)
ダルトン・バルドウィン(ピアノ)

3連休、皆様いかがお過ごしでしょうか。本日は結構最近発売された(このblogにしては)、コルンゴルトの甘いメロディーに溢れた映画音楽からの歌曲集など。

なんともムーディな雰囲気に溢れた歌曲である。こんな曲が流れるような大人の雰囲気の店でブランデーでも傾けたい。

コルンゴルトの映画音楽は甘美な感じが全体的に多いが、この映画「恋のナポリ」からの曲も、身も心もとろけそうなメロディーに溢れている。

「恋のナポリ」 (原題Give me This tonight)はオスカー・ハマースタイン2世の詩によるオペレッタ映画です。美男子テナー、ヤン・キープラ主演ってことで、ちっと見てみたい。内容は『歌のうまい漁師が美しいソプラノ歌手に見出され、歌と演技のレッスンを受けるうちに彼女と恋に落ちる』ってな感じらしい。『漁師』ってだけでもうなんだかコルンゴルドやる気うせそー。

曲はまあ、ありそーでなさそなメロディ、コルンゴルトあまあま路線炸裂。

「逃げちゃ嫌よ」は、プレイボーイの作曲家セバスチャンと私生児を連れた少女ジェンマとヴェネツィアで同棲するが・・・とかいう話。なかなかこれも甘い美しい音楽に溢れている。最初の曲「愛のための愛」は当時ヒットしたという。フランク・シナトラにでも歌わせたい。

他の映画音楽はまあ、コルンゴルト映画音楽ではレギュラー・スターティングメンバーなので、筋書きなどは割愛。
ただ、私の大好きな「永遠の処女」からの曲「あした」は珍しくバリトンに歌われるが、やっぱりアルト&フル・オーケストラ&女声合唱のほうがクルかも。

後半、シェイクスピアの詩による歌曲などが続く。「4つのシェークスピアの歌」はマックス・ラインハルトが開いたハリウッドの演劇学校の公演のために作曲したそうだ。

英国歌曲マニアにはお馴染みの詩、Come away,death とかO mistress Mine とか Under the Greenwood Tree とかが聞かれる。聞き比べも楽しいかも。クィルターやフィンジやガーニーなどとは一味も二味も違う。っつーか全然違う。

独唱者2人。なんかミュージカル歌手のやう。アメリカ歌曲集とかのCD買うと大体こんな声かなあ?といった声。英語はアメリカ発音なり(当たり前)。英国ものを聞きなれた耳には多少キツイかも。ヴィブラートもきついし。ううう。

それにしても(他の日にも書いたが)ここ何年かのコルンゴルト再発見により新盤が次々と発売されている。全部買ったら破産しますだ。嬉しい悲鳴。きゃー、CD屋覗くのコワイわ。

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2006年10月 5日 (木曜日)

ベルク「ルル」その3

Lulu2 初めて生で見る「ルル」は、おそらく海外のオペラハウスの引越し公演とか、ロンドンもしくはウィーンとかの海外旅行でたまたま日にちが合ってとか、そんな感じに思っていた。

日本人プロジェクトによる「ルル」が初めてになるとは思ってもみなかった。

それが、予想を上回る名演だったというのは大きな喜び!!

公演パンフレットより、ニッセイの理事長・名原剛さんのご挨拶によりますと。

1970年にベルリン・ドイツ・オペラ3度目の来日公演によって、オペラ「ルル」の2幕版が日生劇場で初演されましたが、フリードリヒ・ツェルハ補筆による3幕版については、これまで日本で上演の機会をみることがありませんでした。今回、日本のオペラ界をリードされてきました(財)二期会オペラ振興会、東京フィルハーモニー交響楽団の力強いご協力を得て初演実現の運びとなりました。・・・

というわけで、この公演は3幕版日本初演ということです。

2003年11月(日生劇場)
<主な配役(私が見たほう)>
天羽明惠(ルル)、小山由美(ゲシュビッツ伯爵令嬢)、福井敬(アルヴァ)、吉田浩之(画家)、大島幾雄(シェーン博士)、その他
沼尻竜典指揮/東京フィルハーモニー交響楽団

私はこのような素晴らしいメンバーのほうを取ったのですが、ダブル・キャストのもう片方のルル役の飯田美千代さんも大変素晴らしかったそうです。(画学生時代の担任の先生よりの報告)



両方見ればよかったかなああ・・・。

天羽さんは、日本人歌手の中では私のお気に入りのソプラノの一人。本当に素晴らしい歌手さんです。エロティックの権化?のようなルルを日本人が演じるなんて・・・と最初違和感があったのですが、彼女の熱演を見たらもう全然。心配なし。

日本人女性歌手って(平均的に)小柄でかわいい。外人の女性歌手は大柄で肉感的な感じの人が多いから、ルルをやっても妙に肉感的にイヤラシクなりがち。でも、天羽さんは清純でとってもチャーミングに見えた。ルルは私のイメージではあどけない少女なので(ちょーっと人と違うかもしんないけど歌手のaikoちゃんみたいな感じ) 、イメージに近かった。

他の歌手のみなさんも、イメージ通り。福井さんや吉田さんのキャスティングも、2人のファンである私にはすごく嬉しかった。2人とも声が若々しくてとってもステキ。

それになによりも、大島幾雄さんのダンディなシェーン博士もイメージぴったり。

衣装と装置以外はオール・日本人スタッフによるこの公演。演奏の大変難しいというこの曲をよくぞ緊張感も途切れずに上演しきったものだと思った。ことに今でも思い浮かぶのは、ルルがシェーン博士を撃ち殺したあとから映画音楽に移行するまでの、音楽の緊張感。もうほんと、あそこは見事。

映画も、前衛的な感じで(ベルクの指定通りではなかったけれど)すごくよかった。上演では写真とかでごまかし勝ちなのに、映画をちゃんと作ってくれたこともよかった。もうアッパレよ。

3幕まで上演すると、かなり長くなりがち、しかも音楽は難解であるのにもかかわらず・・・2幕あとのトイレ待ちのときに並んでいる若い女性たちが「次はどうなるの? ね、どうなるの?」みたいなワクワクな会話をしていたのが心に残る。もうこれは古典オペラを超えている。リアル日常な演劇である。この曲の人気の秘密はこのヘンにあるかと思う。

公演批評の朝日新聞(2003年11月27日)より。なかなかよい批評である。
Lulu1

クリックして読んで!






なお、この公演から何ヶ月後だか、新国立劇場で別の日本人プロダクションによる「ルル」の公演があった。私は、この日生での公演の印象が飛んでしまいそうな気がして、券は取らなかった。ネット上で読んだだけだが、公演までに第3幕まで練習が間に合わなかったという。難しいんだろうなあ、やっぱり。

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3回にも渡る長いラブレターを読んで頂いてありがとうございます。
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2006年10月 3日 (火曜日)

ベルク「ルル」その2

Luludvd昨日の続き)


満を持して、24歳になるまで彼との再会を待っていた私。
しかし、24歳になったといっても、私は精神的にはさっぱり中学生と変わっていなかった。ガキだった。

でも、CDを買ってしまえばこのオペラは私のもの。

シェーン博士は私のもの。

本や解説によく書いてあるように。
この「ルル」というオペラは、作曲者ベルクが死ぬまで10年間も続けたハンナ・フックス=ロベッティンとの不倫の恋愛より多大な影響を受けている。

Hanna ハンナはアルマ・マーラー=ウェルフェルの3番目の夫、フランツ・ウェルフェルの姉である。写真のように大変美しい人である。これじゃヘレーネ・ベルクも勝ち目なし、といったところか(←?)。

ま、そんな感じで。大人の恋愛の機微を当時24歳のアホな私が解するわけもない。しかし、音楽の美しさには相当まいってしまった。CD買って初めて長い全曲を聴いてみたのだが、もう全ての瞬間が美しいと思える。今まで聴かなかったのがホントばかみたい。

その中でもとくに。(いまだに)私を「よよ」と泣かせる瞬間がある。

それは第1幕第2場、実質的には愛人のルルをさしおいて若い身分の良い女性と婚約したシェーン博士がルルに対して「あなたの主人のいるところでなら逢ってもいい」という言葉に対し、

「あなたの主人の・・・」
私がもしこの世の中で誰かのものであるとしたら、あなたのものですわ。もしあなたがいなかったら、・・・私どこにいるか言いたくないわ。
あなたがあなたの時計を盗もうとしたとき、あなたは私をひきとってくださり、私にたべものをくださり、着る物をくださったのよ。・・・このことを忘れられると思って?あなた以外の誰がいったいこの世の中で残された人でしょう?

と、ルルは歌でなくセリフで切々と語る。そのときの音楽もまた、美しく切ない。
あたしが実年クラスのおっさんで、年若い愛人がいてこんなこと言われたらもうたまらないだろう。(どんなシチュエーションでも私には絶対こんなことはないが)

ここはCDで聴いてもDVDで見ても大抵泣く。

他にグッとくる瞬間は沢山ある。もうここに書ききれないくらい。
ルルが、シェーン博士に婚約者への別れの手紙を書かせる場面。便箋を引っ張り出して「書いてちょうだい」と迫る迫る。もう気持ちいいくらいかっこいい。いまならメールで、というところか。

それと、重要なのは舞台転換のときに演奏される「映画音楽」。第2幕でシェーン博士がルルに撃ち殺されたあと、警察がどかどかと入ってきて、舞台は暗転、舞台にはスクリーンが下りてくる。そしてこれからのルルの運命、投獄されたり裁判になったり、レズビアンのゲシュビッツ伯爵令嬢の機転によって救出されるところまでが無声映画で描かれる(ことになっている。ブーレーズ盤のDVDには入ってない。)

ここはもう、音楽の作り方といい、ベルクの設定どおりに音楽とシンクロさせてうまく作ってある映画(本当に設定通りに作ったら制作費が倍かかりそうだが)とあわせて見るときの感動と興奮ったら他のオペラとは比べ物にならないほど凄い。

以前、アンドリュー・ディヴィス指揮&クリスティアーネ・シェーファーのルルの映像をBSで見たのだけれど、かなり克明に映画が作られていて、これは唸った。(ちょっと笑えるとこもあったけれど)

ベルクがもしもっと遅く生まれていてもっと長生きしてたらきっと映画監督になっていたと思う。惜しい

さて、最初に掲げたブーレーズ指揮の初演のDVD。

映像は一度「東京の夏音楽祭」で映画館で見たときは「ああ、これがずっと待ち望んでいた映像なのね!!」と大層感動したもんだった。

しかし。DVDでいざ見てみると、音楽的にも歌唱も演出もすばらしいが、でも・・・なんだろう。視覚的に華がない。美貌の歌手だったはずのストラータスはもうちょっと若やいでいてほしい。おっさんのシェーン博士はまだしも。シェーン博士の息子や「若くて元気だからルルにあてがわれた」画家だったもうちょっと若くあってほしい(ロバート・ティアーはいかにもキツイ)。「天下の名演」に対して非常にないものねだりで申し訳ないが。

ストラータスは「ええ?こんなかっこで歌えるの?」というくらいアクロバティック。殺されたあとのエビゾリもイナバウアー真っ青の凄さである。

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さて、(まだ終わらないよ。私の「ルル」への愛情はまだまだ続く)次回は初めて見た生ルルについて書かせて頂く予定です。

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2006年10月 2日 (月曜日)

ベルク「ルル」その1

Lulu 本日は、満を持して、満を持して(←強調)私の愛するオペラ「ルル」のことを書いちゃう。

や、このオペラが「この世で一番好き」とは言わない。
ワーグナーの「トリスタン」やこのblogに何度も登場願っている「リング」、またはコルンゴルトの「死の都」と比べてもなお、「ルル」の方が好きなんてこと、言えない。

でも、「ルル」の場合ちょっと思い入れが違う。
他とは違う愛情注いじゃってる。存分に注いじゃってる。

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(ここではオペラ「ルル」のこと)との出会いは、私がまだ子供の頃。

私はマーラー聴いてるはなたれ小学生(もしくは中学生になりかけ)だった。

で、その頃「ルル」第3幕版が(作曲者の残したスケッチより)フリードリヒ・ツェルハによって補足され、ブーレーズによって初演された。

ベルクはオペラ「ルル」の第2幕まで仕上げたが、第3幕は未完のままこの世を去った。未亡人ヘレーネ・ベルクはシェーンベルク、ウェーベルン、ツェムリンスキーの3人にこのオペラの完成を依頼したが、拒絶された。(ということだが、本当のところはわからないという)

ヘレーネ・ベルクはその後何人かに完成を依頼したようだが、何故かその後第3幕の完成どころか、スケッチ等の閲覧も禁止してしまった。しかし、フリードリッヒ・ツェルハはヘレーネにナイショで完成を進めていた。ヘレーネの死後、ブーレーズの指揮、ストラータスのルル、そしてシェローの演出によって初演され、センセーショナルな成功を収めた。

私はベルクについて何も知らなかった。しかし、FMかなんかで「レコードアカデミー賞」を受賞したそのブーレーズのレコードを流していて、その「ルル」を聴いた。

惚れた。彼(オペラ「ルル」)に惚れた。

エアチェック(←死語)したテープは何回も聴いた。第2幕の最初からシェーン博士がルルによって撃ち殺されるまでだったと思う。こんな美しい音楽は今まで知らなかった。

その頃、音楽の友社から出ていた「オペラのすべて」という本を買った。当然大評判だった「ルル」3幕版の初演の写真や批評がたくさん出ていた。オペラの筋も初めて知った。

こんなオトナな内容だったのね・・・。

中学生naoping大いに悩む。
これは私の範疇でない。彼は私にはオトナすぎる。
オトナになってからでなきゃ、このオペラは全部聴いてはいけない。っていうか、おそらく手に負えないであろう。

そして、テレサ・ストラータスがスリットスカートから足をにょにょっと出して啖呵を切っているジャケット写真もおおいに清純な中学生をビビらせた。

まるでシェーン博士に出会った頃のルルのように、私は子供だった。




オトナになるまで、あなたとは清い関係でいましょう。オトナになったらレコード買いましょう。

そして。
(まあ、それからはベルクの師匠のシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」とか「期待」とか聴いてたヘンな中学生だったのですが)


学校を出て社会人になり、24歳にもなった頃、昔よりずいぶん小柄になってしかもずいぶん取り扱いが便利になった彼(コンパクトディスクになっていた)と再会することになる。

あたしは、あなたにふさわしい大人の女になっていたかしら・・・。

(続く)

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今回は長くなるので、ちょっとコマギレにさせていただきます。すいません。

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