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2006年9月23日 (土曜日)

バレンボイム・ワルキューレ(97年)

Sob 来年、バレンボイムがベルリン国立歌劇場を率いて来日、ワルトラウト・マイヤーとともに「トリスタン」を上演するというビッグニュースに因み,

本日は私が9年前に見聞きしたベルリン国立歌劇場の引越し公演のうち「ワルキューレ」「パルシファル(演奏会形式)」「ヴォツェック」を見たときの記録(へっぽこ感想文)がつい先日実家で発掘されたものより「ワルキューレ」(長いけどほぼ原文で)を公開いたすことにします。

当日見た方は懐かしく思い出してくださると嬉しい。見てない方も我慢してどうか読んで、祭日だし。



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1997年11月12日(水)「ワルキューレ」(NHKホール)
ポール・エルミング(ジークムント),
ルネ・パーペ(フンディング),ファルク・シュトルックマン(ヴォータン),ワルトラウト・マイヤー(ジークリンデ),デボラ・ポラスキ(ブリュンヒルデ),ローズマリー・ラング(フリッカ),その他
ダニエル・バレンボイム指揮/ベルリン国立歌劇場管弦楽団 ハリー・クプファー演出/ハンス・シャーヴェルノフ装置

Walkure ついに待ちに待ったバレンボイム、クプファー、マイヤーとカードの揃ったワルキューレ!史上最高なのだ。さあ、どんな楽しいことが起こるんだろう。楽しみ楽しみ!

第一幕。例の網目のような背景(色々な効果をあげる)の前に、倒れた材木(もちろん、とねりこの木)。お約束のノートゥングがぶっちゃちゃってる。ワルトラウト・マイヤーのジークリンデ登場。美しい。いったいどうしたもんだかこの人。女の私がこんなに見とれてしまうのだから、殿方は一体・・・。

ジークムントのエルミング登場。実はこの歌手、開演前のアナウンスによると「風邪による音声障害」にかかっているとのこと。そう思って見ると、やはり少し元気がない。

フンディング登場。ルネ・パーペという歌手。バス歌手らしく図体でっかい。最近の(注:当時)研究ではフンディングは結構身分も教養も高くて、古い演出にありがちな山賊の頭みたいな野蛮な輩ではないなどと書いてあったりもしますが、この演出では結構凶暴(!)。ジークリンデちゃんをいじめまくっているのだ。ああ、かわいそうなジークリンデ。

や、それにしても近頃のバス、バリトン歌手の充実といったらどーしたことでしょ。このパーペという歌手も凄い。この人材を少しテノールにもわけてよってかんじ。

この第一幕というのは、これだけでもよく演奏会でやるくらいだから、とってもいい曲が多くてやたらと勝手に盛り上がってる感じがするのだが、この日もとても良かった。マイヤーがやっぱりうまかった。私はジークリンデがフンディングを眠らせてから再度登場するところが大好きでもう、涙が出ちゃうくらいなのだが、寝巻き姿に着替えたマイヤー、うっ色っぺー。(←オヤジ?)

第二幕。ファルク・シュトルックマンという歌手、声は初めて聴く人でヴォータンなんかどうかしらなんて思っていたけど、私好み・・・っつーか素晴らしい歌手。美声といっていいと思う。そしてやっぱり好み。

ブリュンヒルデのデボラちゃんはすっかりバイロイトの常連。やっぱり安定した歌唱を聞かせる。しかし演出のせいか(せいなのだ)やたら元気でびっくり。ガッツポーズをとったりして。へんなの。

いつものことながらフリッカの出てくるシーンは退屈。演出家はなんとかしたほうがいいと思う。

しかし、一番なんとかしたほうがいいと思ったのは、この幕一番の盛り上がりシーン、ブリュンヒルデの死の予告場面だ。なぜだかわかんないのだがブリュンヒルデは歌いながらジークムントの顔や頭に白い石膏のようなものを塗りたくるのだ。何か意味があるのだろうが、気分が悪い。ただでさえ調子の悪いジークムントも気の毒だ。

第三幕。例のワルキューレは設定どおりに戦場で死んだ英雄たちの死体を運んでいる(というか死体が勝手に歩いている)ってところ。

ジークリンデがブリュンヒルデに伴われて登場。ああ、やっぱり哀れで美しいわっ。子供を身ごもっていると聞き、いきなり大感激、(いつも思うのだが、そんなにすぐできるものか。ただでさえフンディングにおっかけられてそれどこではないと思うのだが)一人で盛り上がって一人で森に逃げていく。ここんとこもマイヤーは感動的。美人はそれだけでも泣けるんだもの、得よねっ!

ヴォータン登場。いつもながら怒ってる。

ああっ、今まで触れなかったけれど、舞台の後ろであみあみになってる蛍光灯でできているやつが全幕にわたって色々なシーン(嵐とか)でいろんな色で点滅するのよね。ヴォータンが出てくるときも、色々な模様が出て効果をあげる(ようだが、私には昔のインベーダーゲームのようにも見える)。

長い親子げんかの末突然仲直り、二人で手をつないで地面に倒れる(へんなの) 。そしてローゲを呼んで火で囲ってもらうのだが、これまた後ろのあみあみが赤くなって色々な模様に点滅。こりゃ西洋の人には火が燃えているようにしか見えないだろうが、我々日本人はついつい正月の餅焼き網のように見えてしまう。 しかしカネがかかっている。

最後にバレンボイムの指揮について。一幕の最初からして「ざっざっざっ・・・」という感じで流れが悪い(というかそれが持ち味なのか)。よくフルベンもどきとかいうのを聞くけどそ-かな。少しちがうんじゃないか。

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次回(いつ?)「パルシファル」(演奏会形式)の感想をお楽しみに!

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